[原因と対策の報告の公表文(様式2)]
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策の報告について(平成14年4月分他)
 
14. 6.10
環境政策課
(内線2443)
 
1 四国電力鰍ゥら、伊方発電所で平成14年4月に発生した設備異常及び平成14年3月31日に発生した復水器細管洗浄装置ボール循環ポンプの自動停止について、原因と対策の報告がありましたので、お知らせします。
 
[報告書の概要]
県の
公表
区分

異常事項
 
発 生

年月日

推定原因等
 

対     策
 







 
復水器細管洗浄装置ボール循環ポンプの自動停止
(3号機)



 
14. 3.31






 
ポンプの羽根組立時の嵌め合い部への異物混入等により、主軸外表面に傷が発生し、その傷を起点に、ポンプ運転による繰り返し応力により、疲労破壊したものと推定される。 ○折損した主軸の新品への取替え等を行い、復旧済。
○ポンプの羽根組立時には、嵌め合い部の異物確認を十分に行うこととし、点検要領書を改訂。
○今回定期検査において、同型ポンプの分解点検を実施する。

 






 
復水脱塩装置の再生用水ポンプ出口配管からの漏えい
(3号機)

 
14. 4.17





 
パッキン外周部のゴムの劣化により生じた割れが、運転に伴い内部へ進展、貫通したことにより、配管内の純水が漏えいしたものと推定される。 ○当該フランジ部のパッキンを新品に取替え、復旧済。
○当該系統配管については、今後とも定期パトロールによる目視点検を実施し、必要に応じて補修する。


 














 
1次冷却系水抜用配管弁からの漏出
(1号機)










 
14. 4.18













 
前回定期検査で取替えた1次冷却材主配管の水抜用配管の弁が、取替前より全長が長いため、温度上昇に伴う弁棒と弁箱の伸び差が大きく、増し締めを実施する前に微小な隙間が生じ、一次冷却水が水抜用配管内を漏出したことから、格納容器サンプ水位の上昇、原子炉フランジリークオフ温度の上昇、1次冷却材ポンプ軸振動の増加が発生したものと推定される。 ○高温・高圧で熱影響の可能性があり、大きな締付力を必要とする弁について、締付力管理を実施するとともに、昇温・昇圧の途中段階でも増し締めを実施することとし、要領書及びチェックシートを作成。
○漏えいした一次冷却水の影響を受けた機器について、点検を行い、異常のないことを確認。
○上記対策後、昇温・昇圧を再開し、漏えいのないことを確認済。
○今回の事象を紹介したワンポイントレッスンを作成し、関係箇所に周知。

 
 
2 県としては、伊方発電所に職員を派遣し、当該部の復旧状況の確認など、四国電力の対策が確実に実施されていることを確認しています。


                          原運発 第2955号
                            平成14年6月7日
 
 
   愛 媛 県 知 事
    加 戸 守 行 殿
 
 
 
                         四国電力株式会社
                        取締役社長 大 西  淳
 
 
 
伊方発電所第3号機復水脱塩装置再生用水ポンプ出口配管フランジ部からの
漏えい他2件にかかる報告書の提出について              
 
 
  平成14年4月17日に発生しました伊方発電所第3号機復水脱塩装置再生用水ポンプ出口配管フランジ部からの漏えい他1件及び平成14年3月31日に発生しました伊方発電所第3号機復水器ボール洗浄装置ボール循環ポンプBの不具合につきまして、その後の調査結果がまとまりましたので、安全協定第11条第2項に基づき、別添のとおり報告いたします。
 
  今後とも伊方発電所の安全・安定運転に取り組んでまいりますので、ご指導賜りますようお願い申しあげます。
 
 
以 上




 
 
 
 
 
 
 
 
 
伊方発電所第3号機
 
復水器ボール洗浄装置ボール循環ポンプBの
不具合について
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
平成14年6月
四国電力株式会社


1.件 名
   伊方発電所第3号機
   復水器ボール洗浄装置ボール循環ポンプBの不具合について
 
2.事象発生の日時
   平成14年3月31日 15時38分(警報発信)
 
3.事象発生の設備
復水器ボール洗浄装置 ボール循環ポンプB
 
4.事象発生時の運転状況
   定格出力(890MW)運転中
 
5.事象の概要
 伊方発電所第3号機は、定格出力(890MW)にて運転中のところ、平成14年3月31日15時38分、復水器ボール洗浄装置ボール循環ポンプBの異常を示す警報が発信し、当該ポンプが自動停止した。
 保修員がポンプの軸を手動で回転(ハンドターニング)させたところ滑らかに回転せず、ポンプ内部またはモータに何らかの異常があると考えられたため、ポンプの分解点検を実施した結果、主軸の折損等が認められた。
 このため、当該ポンプを全分解し、各部の詳細点検、主軸等の取替及びインペラの修正加工を行い、組立完了後、平成14年4月12日、試運転を実施し、異常のないことを確認して通常状態に復帰した。
 なお、当該ポンプには、予備機が設置されておらず、この間、復水器冷却用細管内面の清掃は実施できなかったため、細管の清浄度は若干低下したが、復水器の伝熱性能には十分な余裕があり、プラントの運転への影響はなかった。
 また、本事象による周辺環境への放射能の影響はなかった。    (添付資料−1
6.事象の時系列
   3月31日 
15時38分  ボール循環ポンプB自動停止(警報発信)
17時10分  モータ点検開始、ポンプハンドターニング実施
         (滑らかに回転せず)
18時00分  系統隔離開始
18時20分  モータ点検終了(異常なし)
18時35分  系統隔離、ポンプ分解(一部)点検開始
20時35分  主軸の折損等を確認
4月 2日〜4月11日
ポンプ全分解、点検、組立
(主軸、ケースウエアリング取替)
4月12日
14時14分  試運転完了、通常状態に復帰
7.調査結果
 
 ボール循環ポンプBの主軸が折損した原因を究明するため、以下のとおり調査を実施した。   
 
(1)現地調査                  
 
 現地にて当該ポンプを全分解し、ポンプ各部の外観目視点検を行った結果は、以下のとおりであった。          
a.ポンプ主軸は、インペラとパッキンスリーブ当たり面よりインペラ側にやや入ったインペラと主軸の嵌合部で折損しており、破面には、ほぼ全面に赤褐色を呈した錆状の付着物が認められた。
 
b.主軸とインペラを結合するキー2本のうち、1本は折損が認められ、他の1本は、折損には至っていないもののひびが認められた。
 なお、折損していたキーの破面には付着物は認められなかった。
 
c.吸込カバーに取り付けられているケースウエアリングの嵌め合いが緩くなり、ケースウエアリングが手で抜ける状態であった。
 また、ケースウエアリングにはインペラ前面と摺動した跡が認められ、斜めに摩耗していた。
 
e.ポンプ内部に異物等は発見されなかった。
 
f.その他の軸受・モータ・カップリング等に異常は認められなかった。
 
(2)製作メーカにおける調査結果
 
 主軸折損の原因特定のため、製作メーカにおいて以下のとおり詳細調査を実施した。
 
a.破面観察結果                  
 破面は平滑な様相を呈するとともに赤褐色となっており、明瞭なビーチマークが認められた。その形成状態から、割れはキー溝部ではない主軸外周面を起点として主軸中心方向に進展したと推定される。
 また、起点部の約180°の位置が最終破断部と推定される。
                         (添付資料−4
 
b.走査型電子顕微鏡(SEM)による破面の拡大観察結果
 起点部近傍の破面域は潰されており、折損の原因となるような介在物や傷などの有無及び破壊の形態は確認できなかった。
 しかし、き裂進展部の破面域では、疲労破壊の特徴であるストライエーションが認められた。そのストライエーションは、表面から少し内部では破断面が潰されており、不明瞭であったが、最終破断部近傍では明瞭であった。
 なお、最終破断部の極めて小さい領域では、延性破壊の特徴であるディンプル模様が認められたが、大部分の破面域は疲労破壊によって生じたことが分かった。               

c.断面ミクロ観察                  
 起点部近傍の組織は、オーステナイト組織を呈しており、SUS316材の組織として問題はなかった。また、起点部近傍はわずかに塑性変形を生じていた。なお、き裂の断面形状は疲労破壊に見受けられるなめらかな様相であった。       
e.引張試験
 ミルシートの調査結果及び分解した主軸から採取した試験片2本についての引張試験の結果は、いずれもJIS規格値内であり、異常は認められなかった。                 (添付資料−8)
 
d.硬さ試験
 ミルシートの調査結果及び分解した主軸(芯部)の硬さ測定(ビッカース硬さ)を行った結果は、いずれもJIS規格値内であり、異常は認められなかった。                (添付資料−8)
 
e.化学成分分析
 ミルシートの調査結果及び分解した主軸の化学成分分析を行った結果は、いずれもJIS規格値内であり、異常は認められなかった。
                          (添付資料−8
(3)保守実績調査
 当該ポンプは点検計画に基づき、定検毎に分解点検を実施している。
 前回点検時(第5回定検 平成13年4月)の保守実績は以下のとおりであった。
 
・主軸とインペラ、軸受け等との嵌め合い部の隙間寸法が大きくなって
いたため、主軸の取替を行った。
・計画的にインペラの取替を行った。(第4回定検において、インペラとケースウエアリングとの接触跡が見られたため。ケースウエアリングについては軽微な摩耗であったため再使用とした。)
 
 なお、取り替えた主軸については、工場出荷前に非破壊検査を実施し、異常のないことを確認している。
 
(4)運転状況調査                   
 復水器ボール洗浄装置による細管の清掃は、1日/1回実施しており、当該ポンプにより、スポンジボールの投入・回収を実施しているが、清掃時以外については、ボール注入配管及びボール取出配管への海生生物付着防止のため、当該ポンプにより水循環(清掃用スポンジボールは含まない海水のみの循環運転)を行っている。
 
 前回の第5回定検での分解点検(主軸、インペラ取替)後、平成13年5月11日に水循環にて試運転を実施した後、平成13年5月21日にボール洗浄装置の運転を開始し、以降トラブル発生まで連続運転状態であった。
 
 当該ポンプについては、1月に1回の割合で振動測定を実施しており、試運転後、当該ポンプの振動値は、Aポンプに比べ高めの値で推移しているものの許容範囲内であった。            
(5)ポンプ設計についての調査                   
 運転時、当該ポンプ主軸に発生する平均応力及び変動応力により、高サイクル疲労について評価し、問題ないことを確認した。
 
 
 以上の調査結果をまとめると、以下のとおりである。
 
 主軸の破面観察において、疲労破壊の特徴的な破面として観察されるビーチマーク及びストライエーションが認められたことから、今回の主軸の折損は、主軸に作用する繰り返しの回転曲げ応力により徐々に割れが進展した疲労破壊であると推定される。
 
 疲労破壊が発生した原因としては、 
 
・主軸の材質はSUS316材の規格値を満足しており、材料強度に問題はなかったこと
 
・前回点検において取替えた主軸は、出荷前に非破壊検査を行い、異常がないことを確認していたこと
 
・疲労破壊の起点部は、応力集中部となるキー溝コーナ部や径変化部ではなく、インペラと主軸の嵌合部の平滑な部位であると推定されること
 
から、今回のボール循環ポンプB号機の主軸折損は、分解点検完了後のインペラ組込(焼きばめ)時に、何らかの要因により、主軸折損部位の起点部に傷が発生し、当該ポンプの運転時に主軸に作用する回転曲げ応力により、この傷を起点として疲労破壊が徐々に進行したもの推定される。
 なお、主軸外周面に傷が発生する要因としては、異物の混入などが考えられる。
 
 また、ケースウエアリングとインペラ前面の摺動による摩耗については、主軸折損後、吐出圧力と吸込圧力の差圧により生じるスラスト力によりインペラが軸端側に移動し、ケースウエアリングと接触した状態でポンプが運転されたため発生したものと推定される。
 
8.推定原因
 ポンプ組立時のインペラ焼きばめ時に、異物の混入などにより主軸外周面に傷が発生し、ポンプの運転による繰り返し応力が作用したことにより、その傷を起点として、疲労破壊に至ったと推定される。
 
 
9.対 策
 
(1)
 折損した主軸及び摺動跡の認められたウエアリングについては新品に取り替えた。また、インペラについては摺動跡の修正加工を行い、異常のないことを確認した後、再使用した。
 なお、これらの部品については、念のため、現在実施中である伊方3号機第6回定検において新品に取り替える。
 
(2)
 今後、機器点検後の組立作業において、今回と同様に焼きばめ作業を実施する場合には、嵌め合い部の異物確認を十分に行うこととし、その旨を作業要領書に記載する。
 
(3)
 ボール循環ポンプA号機については、現在実施中である伊方3号機第6回
定検において分解点検を実施し、主軸の当該部位に異常のないことを確認した。
 
 
以 上
 
 
 
用 語 解 説
 
 
1.ビーチマーク
 
 疲労破面に認められることの多い、貝殻状の縞模様。ビーチマークは進行した亀裂の前縁を示すマークであり、このパターンから疲労破壊の起点を知ることができる。 
 
2.ストライエーション
 
 電子顕微鏡による破面観察において、疲労破壊の特徴的な破面として認められる繰り返し応力のサイクル毎に形成された縞模様。 
 
3.疲労破壊
 
 繰り返し応力が作用する条件下において、静的強度よりはるかに低い応力によって破壊を起こす破壊様式。 
 
4.延性破壊
 
 大きな塑性変形を伴った後に起こる高応力破壊であり、荷重の増加につれて徐々にき裂が進展する点が特徴である。 
 
5.ディンプル
 
 電子顕微鏡による破面観察において、延性破壊の特徴的な破面として認められる多数のくぼみ模様。
 
6.オーステナイト組織
 
 面心立方構造を持ち、非磁性で電気抵抗が大きい組織。通常727℃以上の高温で安定であり、常温では存在しないが、マンガンやニッケルを多量に含む場合は容易に得ることができる。
 SUS304、316に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼は 当該組織を有し、粘り強く、柔らかく成形性性と耐食性に優れた性質を示す。
 
 
 
 
 
 
添 付 資 料