[原因と対策の報告の公表文(様式2)]
伊方発電所から通報連絡のあった異常に係る原因と対策の報告について(平成14年7月分)
 
14. 9.10
環境政策課
(内線2443)
 
1 四国電力鰍ゥら、伊方発電所で平成14年7月に発生した設備異常について、原因と対策の報告がありましたので、お知らせします。
 
[報告書の概要]
県の
公表
区分

異常事項
 
発 生

年月日

推定原因等
 

対     策
 





 
高圧注入流量計の故障
(2号機)



 
14. 7. 6




 
流量検出器本体とアンプ回路の絶縁が、一時的に不良となり、アンプ回路が接地状態となったことから、出力が不安定になったものと推定される。 ○検出器を予備品と取替え、健全性を確認のうえ復旧。
○今後とも、定期検査時に特性試験を行い、健全性を確認するとともに予備品を常備する。
 












 
一次系補給水ポンプの故障
(2号機)










 
14. 7.10











 
インペラ用ボルトの首下丸み部に座金が片当たりした状態で締付けられていたため、ポンプの起動、停止等により締付けが緩み、インペラとケーシングが接触したため、ボルトに繰り返し荷重が加わった結果、疲労割れが発生・進展し、接触部が広がり、自動停止に至ったと推定される。
なお、ボルト材質ステンレスの種類違いが判明したが、応力評価の結果、原因ではないことが確認された。
○インペラ用ボルトを新品に取替えるとともに、擦傷を研磨補修し、健全性を確認後、復旧済。
○当該ポンプと同様の締付け構造のポンプについては、ボルト締付け前後にボルト中心と座金中心にずれがないことを確認することとし、作業要領書を改訂。
○同様のポンプについて、至近の分解点検時にインペラ用ボルトに異常がないことをボルト材質も含め確認。



 







 
海水淡水化装置の濃縮海水排水ポンプの自動停止
(3号機)




 
14. 7.24







 
排水ポンプの起動、停止を行う水位スイッチ電極が付着物により検知不良となったため、常用ポンプ(A号機)が空転状態となり、その後予備ポンプ(B号機)が停止した際に常用ポンプ側に濃縮海水が逆流したため、回転方向とは逆方向の負荷がかかり、自動停止したものと推定される。 ○水位スイッチの点検、清掃及び当該ポンプの分解点検を実施し、復旧済。
○水位スイッチの点検頻度を、2定期検査に1回から年1回に変更することとし、作業要領書を改訂。



 
 
2 県としては、伊方発電所に職員を派遣し、当該部の復旧状況の確認など、四国電力の対策が確実に実施されていることを確認しています。



 
原子力発第02048号
平成14年9月9日
 
 
   愛 媛 県 知 事
    加 戸 守 行 殿
 
 
 
  四国電力株式会社
   取締役社長 大 西  淳
 
 
 
伊方発電所第2号機高圧注入ポンプ出口流量計の不具合
他2件にかかる報告書の提出について        
 
 
  平成14年7月6日に発生しました伊方発電所第2号機高圧注入ポンプ出口流量計 の不具合他2件につきまして、その後の調査結果がまとまりましたので、安全協定 第11条第2項に基づき、別添のとおり報告いたします。
 
  今後とも伊方発電所の安全・安定運転に取り組んでまいりますので、ご指導賜り ますようお願い申しあげます。
 
以 上

 
 
 
 
 
 
 
 
 
伊方発電所第2号機
 
一次系補給水ポンプの不具合について
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
平成14年9月
四国電力株式会社




1.件 名
   伊方発電所第2号機 一次系補給水ポンプの不具合について
 
2.事象発生の日時
   平成14年7月9日 20時32分(警報発信)
 
3.事象発生の設備
   補給水設備 一次系補給水ポンプ
 
4.事象発生時の運転状況
   通常運転中(出力573MW)
 
5.事象の概要
   伊方発電所第2号機は、通常運転中(出力573MW)のところ、平成14
  年7月9日20時32分、中央制御室に一次系補給水ポンプ2Bの故障を示
  す警報が発信し、当該ポンプが自動停止したことを確認した。
   このため、予備の一次系補給水ポンプ2Aを手動で起動した。
 
   原因調査のため、当該ポンプの分解点検を行った結果、インペラとケーシ
  ングの接触痕及びインペラと主軸を接続しているインペラ用ボルトの損傷が
  認められた。
   このため、インペラ及びケーシングの接触痕の研磨補修、各部の詳細点検
  を行い健全性を確認するとともに、損傷したインペラ用ボルトを新品に取り
  替えて組立を行い、平成14年7月11日、組立完了後の試運転において異
  常のないことを確認し、通常状態に復帰した。
   なお、本事象によるプラントの運転への影響及び周辺環境への放射能の影
  響はなかった。                                (添付資料−1,
 
6.事象の時系列
   7月9日
    20時32分
            「原子炉コントロールセンタ2D2負荷トリップ」
              及び「ほう酸混合器前純水圧力低」警報発信
            一次系純水ポンプ2B自動停止を確認
    21時35分  モータ及び電源設備点検開始
   7月10日
     1時14分  モータ及び電源設備点検終了
    10時35分  ポンプ点検開始
    11時頃    インペラとケーシングの接触跡を確認
            インペラ用ボルトの緩みおよび折損を確認
   7月11日
    19時10分  ポンプ組立完了
    21時35分  試運転完了、通常状態に復帰
7.調査結果
 
(1)現地調査
 
  a.ポンプの点検調査
 
  (a)外観点検
     ポンプ分解前の外観に異常は認められなかった。
     また、ポンプ軸を手動で回転したところ、抵抗や接触音などの異常は
    認められなかった。
 
  (b)分解点検
     ポンプを分解し、各部の点検を行った結果は以下のとおりであった。
 
    @)軸端側のインペラおよびケーシングの表面に接触した擦傷が認めら
     れた。
 
    A)インペラと主軸を接続しているインペラ用ボルトに緩みが認められ、
     同ボルト取外し中に、当該ボルトが首下部分で破断した。
 
    B)インペラ用ボルトの緩みを防止する回り止め座金は、適正に折り曲
     げが施されており、インペラ用ボルト締め付け後、当該ボルトが回転
     した形跡は認められなかった。
 
    C)その他の部位に異常は認められなかった。また、ポンプ内部に異物
     等は確認されなかった。
 
  b.モータ及び電源設備の調査
 
  (a)モータ
     モータの巻線抵抗及び絶縁抵抗を測定した結果、何れも管理値を満足
    しており、また、ポンプを切り離してのモータ単体試運転においても異
    常は認められなかった。
 
  (b)電源設備(コントロールセンタユニット)
     過負荷検知回路の動作確認試験を行った結果、異常は認められなかっ
    た。
 
 
(2)インペラ用ボルト等の詳細調査
 
  a.インペラ用ボルト
 
  (a)外観、寸法調査
 
     外観目視点検の結果、ボルト表面に腐食等の異常は認められなかった。
     また、寸法測定の結果、設計仕様(M12)どおりの寸法であり異常
    は認められなかった。
 
  (b)破面マクロ観察
     破面は、ボルト頭部ですり鉢状、ねじ部側で凸状となっており、両者
    とも比較的なめらかな状態であった。
     破面中央には、一直線上に引きちぎられた痕跡が認められた。
 
  (c)走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大観察
     ボルト頭部側の破面を走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果、破面
    のなめらかな部分の随所に疲労破壊の特徴であるストライエーションが
    観察された。
     また、マクロ観察における破面形状から、最終的に破断した領域と推
    定される部位の一部では、延性破壊の特徴であるディンプルが観察され
    た。                                      (添付資料−5
 
  (d)材料調査
    設計仕様はSUS403であるが、ボルトの化学成分分析の結果、Ni
    (ニッケル)が8.72%、Cr(クロム)が18.35%含まれており、
    SUS304と推定した。                           (添付資料−6
 
  (e)応力評価
     インペラ用ボルトは、前回組立時には43Nm(4.4kgm)の規定
    トルクで締め付けられており、このとき発生する応力は首下部で約152
    N/mm2 程度である。
     SUS304およびSUS403の耐力はそれぞれ205N/mm2、3
    90N/mm2であり、いずれの場合でも締付によってボルト首下部が損傷
    しないことを確認した。
 
  b.回り止め座金
     寸法測定の結果、設計仕様どおりの寸法(外形42mm、内径12.5
    mm、厚さ0.8mm)であり、異常は認められなかった。
     また、外観目視観察の結果、内周の一部に圧痕が認められた。
     このことから、回り止め座金がインペラ用ボルトの首下R部に片当た
    りした状態で締め付けられていたことが考えられる。         (添付資料−7
(3)ポンプ運転状態、保修履歴の調査
 
  a.ポンプ運転状態
    一次系補給水ポンプは、2台中1台を2か月毎に交互に切り替えながら
   連続運転されており、運転中は、通常ミニマムフロー運転状態であり、事
   象が発生するまでは、毎日の巡視点検においても特に異常は認められてい
   なかった。(定格流量50m/hに対し、ミニマムフロー約4m/h)
 
  b.保修履歴
    一次系補給水ポンプは、4定検に1回の頻度で分解点検を実施しており、
   B号機については、伊方発電所第2号機第12回定期検査によるプラント
   停止に合わせ、平成9年10月に分解点検を実施しており、異常は認めら
   れていなかった。
    また、その際、組立時にインペラとケーシングの間隙測定を行い0.8
   mmの間隙があり、問題がないことを確認した。 
 
(4)同型ポンプについての調査
 
    当該ポンプと同型の2号機一次系補給水ポンプA号機、1号機の同ポン
   プA、B号機の分解を行った結果、回り止め座金の片当たり、インペラ用
   ボルトの損傷等の異常は認められなかった。         
 
 
8.推定原因
 
   回り止め座金内周部がインペラ用ボルトの首下R部に片当たりした状態で
  当該ボルトが締め付けられていたため、当該ポンプの起動、停止等の影響に
  より、片当たり状態が緩和され、インペラの締め付けが緩み、ガタつきが発
  生したものと推定される。
   このため、インペラが流体推力により吸い込み側に移動するとともに、イ
  ンペラの振れ等により、インペラとケーシングの間隙がなくなり両者が接触
  した。
 
   この接触により発生する荷重が、インペラ用ボルトに繰り返し加わった結
  果、疲労割れが発生し、割れの進展に伴い更にインペラとケーシングの接触
  部が広がるとともに、回転抵抗が増大し、当該ポンプの電動機が過負荷とな
  ったことから自動停止に至ったと推定される。
 
 
9.対 策
 
(1)
   折損したインペラ用ボルトを新品(SUS403)に取り替えた。
 
(2)
   インペラとケーシングの接触個所について、擦傷を研磨補修後、液体浸透
  探傷検査で異常がないことを確認した後、再使用した。
   また、当該ポンプ各部の寸法測定及び主軸の液体浸透探傷検査により、各
  部品の健全性を確認した。
 
(3)
   当該ポンプと同様なインペラ用ボルトの締め付け構造を有するポンプにつ
  いては、回り止め座金の取り付け時、ボルト締め付け前後にボルト中心と座
  金中心にずれがないことを外観目視により確認することとし、その旨、作業
  要領書を改訂した。
 
   また、当該ポンプと同様なインペラ用ボルトの締め付け構造を有するポン
  プについて、至近の分解点検時にインペラ用ボルトに異常がないことを確認
  する。
 
以 上
 

 
用 語 解 説
 
 
 
 1.ストライエーション
 
    電子顕微鏡による破面観察において、疲労破壊の特徴的な破面として認
   められる繰り返し応力のサイクル毎に形成された縞模様。
 
 2.疲労破壊
 
    繰り返し応力が作用する条件下において、静的強度よりはるかに低い応
   力によって破壊を起こす破壊様式。 
 
 3.延性破壊
 
    大きな塑性変形を伴った後に起こる高応力破壊であり、荷重の増加につ
   れて徐々にき裂が進展する点が特徴である。 
 
 4.ディンプル
 
    電子顕微鏡による破面観察において、延性破壊の特徴的な破面として認
   められる多数のくぼみ模様。
 

 
添 付 資 料