愛媛県プルサーマル公開討論会

パネルディスカッション(各自意見)

西尾 漠(原子力資料情報室共同代表)

 西尾と申します。時間通りに話をするのはなかなか難しそうだなと思いながら聞いていました。
 原発というのは大きな潜在的な危険性を持っている。そのために原発は危険性を顕在化させないように、それを現実にさせないように安全の余裕を見込んで建設をされてきた。
それについては恐らく6人のパネリストの間で大きくは違わないだろうと思うんです。ただ、じゃあ、だから安全というふうに考えるのか、それともそうは思わないのか。その辺から多分違いが出てくるというふうに思います。安全余裕を見込んで建設されたから、だから安全というふうには考えない。そういう考え方からすれば、その上その安全余裕というものがいろんな形で建設された時よりもどんどん小さくされてきているということがあると思います。
 それからもう1つは、建設された時のそもそも安全余裕の見込み方が小さ過ぎた。実際にはもっと大きな危険があるのに、それをきちんと見込んでこなかったということもあるのかもしれません。具体的な例で言えば、今県民の間でも大きな関心事と言われている地震の問題があると思います。後ではなかなか議論にならないと言われているので先に言ってしまおうかと思うんですけれども、これはこの間出された鬼北町の意見書の中でも、耐震安全性に強い危惧があるということからプルサーマルへの疑問に繋がっているということを考えると、やはりきちんと考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 伊方の原発沖の海底の活断層群。その建設をした時の評価について言えば、やはりそれでは不十分だったということは四国電力さんも考えた上で再評価もされている。しかしそれでもまだ評価としては十分ではないんじゃないかということが様々な形で出されているということはご存じの通りだと思います。
 あるいは去年の8月に宮城県沖の地震が起きた時に、女川原発で耐震の元々の設定をした、安全審査の時に設定した基準地震動を超えることがあった。その前にもあったということがあります。しかも想定していたよりも地震としては小さな地震であったにもかかわらずそういうことが起きている。これは女川の場合の特殊な例だというふうに言われるのかもしれないですけれども、その特殊な例を安全審査では見逃していたということは明らかなことだと思います。そういう中で今原子力発電所の安全審査の耐震設計審査指針の見直しということが行われています。もうそろそろ結論が出掛かっているというところですけれども、その見直しの中では、今現在使われている現行の審査指針では、如何なる地震動に対しても大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していなければいけないと書かれていたものを、そうはもう言えなくなってしまった。策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより施設に重大な損傷が発生、大量の放射性物質が放出されて、周辺公衆に被ばく災害を及ぼす可能性ということを認めざるを得なくなった。その上でそのリスクが出来るだけ小さなものになるようにしようということになっているわけですね。そういうことからすれば、そもそも伊方原発が作られた時の安全余裕、地震について言えばもともとの余裕が小さかったということが言えるというふうに思います。
 さらに加えて、様々に見てきた安全余裕がいろんな形で切り縮められてきている。それにさらにまた加えてプルサーマルという形でまた安全余裕を縮める。その縮められ方はそれぞれ単純にプラスではなくて、ある場合には掛け算になるのかもしれない。そういったことを考えると、そもそもそういうことをするべきではないというふうに思いますし、先程から資源の有効利用とかエネルギー供給の安定性とかということを言われているわけですけれども、それが本当なのかどうかということがあるだろうと思います。実際には安定供給にも繋がらないし、有効利用にもならない。そんなことのために安全の余裕をさらに縮めるということには、私としては反対せざるを得ない。ですので、プルサーマル計画というのは撤回されるべきだということを最初に申し上げたいと思います。

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参加者のコメント・討論内容


■概略説明
概略説明


■パネルディスカッション
(各自意見)
内山 洋司
工藤 和彦

小林 圭二

舘野 淳
西尾 漠
山名 元

■パネルディスカッション
討論

■質疑応答
質問者1
質問者2
質問者3
質問者4
質問者5
質問者6
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