愛媛県プルサーマル公開討論会

パネルディスカッション(各自意見)

内山 洋司(筑波大学大学院システム情報工学研究科教授)

 皆さんこんにちは。筑波大学の内山です。
 エネルギーは目に見えないものですが、私達は水や空気のように無意識に、しかし大量に使っております。過去100年間に日本は何と60倍もエネルギーの消費が増えております。皆さん方1人当たりにしてどのぐらいのエネルギー消費か考えたことがございますか。今、日本人は1人当たりにしまして、食物から摂取するエネルギーの約60倍を消費しています。しかしその大量のエネルギー消費のお陰で、私達はこの豊かな生活そして経済発展がなし遂げられているわけです。また雇用も確保されているということが現代社会の実情であります。
 それではスライドで説明してまいります。こういった傾向は今後世界的にさらに続いていかざるを得ないという流れがあります。この図は世界のエネルギーの消費を1971年から現在、そして2030年まで描いたものです。一番下の部分、黄色で書かれた部分がOECD、いわゆる先進国のエネルギー消費の実態であります。左から2番目のところに2002年の値がありますが、現在先進国は45%のエネルギーを消費しております。
 しかし今後のエネルギー消費を見てまいりますと、2030年になると先進国の割合は36%まで低下してまいります。一方で開発途上国のエネルギーの消費が増え、世界全体のエネルギーの消費は現在よりも1.6倍にまで増えていくという予測がなされております。中でも中国、インド等のアジア地域でのエネルギー消費の増大が最も著しいという特徴があります。皆様方もご存じのように、このアジア地域は石油、天然ガスの資源が地域別に見て最も少ない地域であります。この地域におきまして大量のエネルギー安定供給をどのように確保していくか、これが今非常に大きな問題になっております。
 これは世界の原子力の開発計画を示したものです。茶色で示した分がアジア地域の原子力開発の将来展望です。他の地域は今後それほど開発が進みませんが、アジア地域はこのように非常な勢いで原子力の研究開発計画が進んでおります。当然のことながら原子力技術を如何に安全に、そして信頼あるものにしていくか、これが非常に大きな課題であり、アジアにおいて最も先進国である日本がその責任を果たすということが求められております。
 ご存じのように日本は先進国の中でもエネルギーの自給率におきまして最も低い国であります。原子力を除いた自給率は僅か4%ということで、我が国のエネルギーの大半は海外から輸入されているという実情です。この状態をどのように今後改善していけるのかということが大きな課題になっているわけですが、その課題としまして太陽光や風力のようなエネルギーを開発していこう。そして原子力を開発していこうという流れがございます。
 しかしエネルギー源の特性をよく調べてみるとなかなか難しい問題があります。太陽光や風力は、一体エネルギーを変換するとどのぐらいのエネルギーとして我々は利用出来るのかということをこの図で示したものです。地球へ降り注ぐ太陽のエネルギーは1平方メートル当たり1キロワット程度でございます。風力は秒速20メートルの風が吹きますと何と5.5キロワットのエネルギーを生産する能力を持っております。水力は落差100メートルの水の力でもって、それがここに示しましたように太陽光の4万6,000倍の出力を出す能力を持っています。ところがこれが水蒸気になりますと、現在の火力発電所の水蒸気でエネルギーを変換しますと、その出力は何と太陽光の250万倍の力を発揮します。ですから水蒸気を、いわゆる熱を使ってエネルギーを変換するということは、太陽や風力に比べると圧倒的な動力源となるということです。
 こういうことから産業革命がこれによって進んだ理由がそこにあります。この熱を生産するのに最も優れているのがウランです。ウランというのは1キログラム当たりで6,600万メガジュールのエネルギーを発生します。それは石油、天然ガス、石炭などに比べましても、このようにせいぜい40とか20とかそんなものですので、これを見ましても如何にウランが優れているかが分かります。
 そこでウランの利用ですが、このままの状態ですと、ウラン資源というのは石油や天然ガスとほぼ同じような量でありまして、何とかFBR、いわゆるプルトニウムを利用していくことが大切になります。そうしますと約60倍の可採年数になります。その第一弾としてプルサーマルがあるわけです。勿論プルサーマルですとウランの燃料は10〜20%程度の節約です。しかしこの量を自給率で計算しますと、日本の電力消費の290〜580億キロワットアワーに相当していまして、これは何と風力発電を3万3,000〜6万6,000基建設したことになります。同時に、ウラン鉱山でのウラン燃料採掘の環境負荷も削減出来ますし、高レベル放射性廃棄物の処分量も減少出来ます。
 さらに最も大事なのは、将来の本格的な利用をはかる高速増殖炉の再処理技術の基盤を確立することです。経済性が問題になっております。経済性につきましては、燃料サイクルコストが1.6円。それに対して直接処分すると0.9〜1.1円ということであります。この経済性を比較したのがこのグラフでありますが、原子力の場合は5.2円が0.7円増加します。しかし現在の石炭、LNG、石油は燃料価格が高騰しております。それから見ると圧倒的に原子力は有利だということが分かります。
 さらに右側の新エネルギーであるバイオマス、廃棄物、風力、太陽光といった発電コストは20円あるいは70円といったコストにもなっておりますので、経済性から見ましても原子力の優位性はあるわけであります。それ以降の優位性につきましては、後ほどの討論の時にまた詳しく説明させていただきます。
 時間が来ましたので、これで終了させていただきます。

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参加者のコメント・討論内容


■概略説明
概略説明


■パネルディスカッション
(各自意見)
内山 洋司
工藤 和彦

小林 圭二

舘野 淳
西尾 漠
山名 元

■パネルディスカッション
討論

■質疑応答
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