愛媛県プルサーマル公開討論会

パネルディスカッション(討論)

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。6人のパネリストの皆様のお考えを伺ったわけですが、パネリストお一人お一人にとって、必要性がまずという方もいらっしゃいますし、安全性についてのご専門で、安全性についてポイントとして述べられた方もいらっしゃいます。
 全体のテーマとしてはその必要性と安全性ということになるわけですが、まず必要性のところで、例えば舘野パネリストが言われたように、必要性の検討がまず大事で、それで結論がもう出てしまえば安全性なんか議論する必要もないじゃないかという見方も勿論あると思いますけれども、まずはこの必要性のところで議論を進めていきたいと思いますが、西尾さんの手が挙がりました。西尾さん、どうぞ。

【西尾】
 先程少し短めだったので多少……。
 まず最初に、コーディネーターのご説明に異論ということではないんですけれども、先程プルサーマル計画の概要というお話をされました。その中でウラン燃料とMOX燃料について示されていて、そこで使用済燃料で再利用可能というところに、燃えやすいウラン、プルトニウム、燃えにくいウラン。ウランやプルトニウムは再利用可能なんだと。これはプルサーマルでということではなくて、先程から話が出ている高速増殖炉も含めてということであれば間違いとは言えない。意見はありますけれども、取り敢えず間違いとは言えないのですけれども、プルサーマルとはと来て、そしてこういう説明をされると、まるでプルサーマルによってそれが全部再利用可能であるかのような誤解を与えるんじゃないか。それは取り敢えず誤解のないようにしておきたいというふうに思います。

【コーディネーター(中村)】
 はい、分かりました。

【西尾】
 それは前置きで……。
 今、内山さんの話とかあるいは山名さんのお話。エネルギーの安定供給、資源の有効利用になるんだというお話をされたわけですけれども、やっぱり机の上の話という感じがします。伊方の原発で現実にプルサーマルをやることによって、じゃあどんな資源の有効性があるのかということが、何か世界のお話であるとか我が国はというふうに言われてもちょっとどうかなという気がします。
 実際に四国電力に対して質問が出ているのに対する四国電力のお答えというのをホームページで見たんですけれども、そこではこういうふうに言っているんですね。四国電力はこれまで海外で582体、国内で196体の使用済燃料を再処理しています。これによって当社の保有プルトニウムは約2.1トンになっています。これはMOX燃料で考えると約50体分に相当します。それを燃やしますと言っている。そうすると要するに50体分を取り敢えずプルサーマルしますということですから、簡単に言えば1回の燃料交換分程度で、そのぐらいが取り敢えずは節約されるというふうになるのかもしれないけれども、しかしその上でその50体のMOX燃料を作る時のプルトニウムはともかくとして、ウランは劣化ウランが日本の国内にもあるんですけれども、それは使わないで、わざわざ海外のものを買って作るということがありますし、そもそもプルトニウムを取り出すために使用済燃料を海外へ送って、そこで使用済燃料を再処理して、さらにそれをMOX燃料の加工工場に送って、それをまた日本に送り返す。そういったこと全体を考えた時に、これが本当に資源の節約になんかなるんだろうかという意味で非常な疑問を感じます。以上です。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。それでは続いて舘野さん、どうぞ。

【舘野】
 何から話をしていいかちょっと分からないんですけれども、山名先生から話がありましたので、そこら辺の関連で再発言したいと思います。
 1つは、プルトニウムと外国との関係ですね。これは、私は非常におかしいと思うのは、余剰プルトニウムを溜め込まなければ日本が核武装しないと外国は思い込むかというと、そんなことはないんで、そういうふうに勝手に外務省かどこか分かりませんけれども、お役人が考えただけの話であって、本当は核武装するかしないかは物質の問題よりもむしろ政治の問題なわけですよね一国の国が、北朝鮮じゃありませんけれども、核武装すると意思を固めたら、物がなければ出来ませんけれども、物があればいつでも核武装出来るということなわけで、そういう外交上の問題を科学技術上の政策に持ち込んで、とにかく全部プルトニウムを使ってくれという言い方は非常におかしいというふうに思います。
 それからプルトニウムがそういうふうに循環していると、行方不明のプルトニウムというのは必ず出てくるんですね。動燃の再処理工場では、あれだけ動かしていますと、70キロの行方不明のプルトニウムが出来たと言います。行方不明と言うと何か不穏な言い方ですけれども、要するにいろんな部品や何かに付着して、これを完全に掃除すればまた回収出来るわけですけれども、当面行方不明。70キロもあれば、核兵器を作るのはプルトニウムが5キロか10キロあれば出来ますから、幾らでも核兵器を作ることが出来るわけですね。そういう意味では核兵器を作らないためには、もう動かさないできちんと置いておく。例えば使用済燃料は使用済燃料それから変換されたプルトニウムはやはり封印した家か何かの関連の中で置いておくというのが一番外国にも信頼される。動かしていれば、どうしてもそういうプルトニウムは行方不明というふうな恰好で、核兵器に使う可能性も出てくるというふうに思います。日本はそう簡単に核武装するとは思いませんけれどもね。
 それからもう1つは、毒性の問題で、いろいろな方が毒性が減るということをおっしゃっていますけれども、それは私はよく分かりません。幾ら取り出して分離しようと分離しなかろうと、放射性物質は消えて無くなることはないわけです。だから毒性が減るという言い方はおかしい。ただ勿論愛媛県から青森県に持って行くことは出来ると思うんです。しかしそれはもう一遍皆さん考えていただきたいんですけれども、皆さんは真剣に愛媛県での安全性のことを考えていらっしゃると同じように、青森県の方達も非常にそのことについては心配されているんですね。だから青森県に持って行ってしまえばこれでお終いだという考え方はやはりおかしいんじゃないか。それじゃあ青森県ではその先が見えているかというと全然見えてないわけです。どんどん使用済燃料が来て、再処理を一部はやるけれども、再処理工場はしょっちゅう事故を起こして放射能を垂れ流しているという状況があるわけで、そういう意味では是非愛媛県の方も青森県の地元の方とよく交流していただきたいというのが私の心からの願いです。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。小林さん、どうぞ。

【小林】
 私は、プルサーマルは資源の節約にならないという話をしようと思っていましたら、今核兵器の拡散問題で盛り上がっちゃったので、ちょっとそっちの方へ話題を変えます。
 先程私は途中で話をはしょりましたけれども、一口で言うとプルトニウムというのは使ってはいけない物質なんですね。先程私は、世界はプルトニウムの利用からどんどん撤退していると申しましたところ、2人の方から、今はアメリカでもMOX燃料を使い始めたと反論されました。けれども、これはいわば核兵器に転用される負の遺産であるプルトニウムをマイナス思考で使う。つまり核兵器に転用されないような形に取り敢えずは変えたいというためのMOXでありプルサーマルでありますから、今四国電力がやろうとしているプルサーマルの目的とは全然違うわけですね。エネルギー資源の話では全然ないわけで、むしろ完全に後ろ向きの話としてやむを得ずやる話です。それと今日本がやろうとしているプルサーマルの問題を同じ次元のプルサーマルだと勘違いしては困ります。
 さらに言っておきたいのは、世界がもうプルトニウムを使わない。やむを得ずやる場合はプルトニウムを減らすためにしょうがなくやっているという状況であるのに対して、世界がそういうふうに手を引いている段階であるのに、日本だけが世界の流れに抗して、今からプルトニウムの大量流通、大量消費をやるというのは非常に国際道義に反する罪悪的な問題だと思います。ですから必要性、安全性の話をする以前に、こういう根本的な国際政治的な問題を抱えているんだ、プルトニウムは使ってはいけない物質なんだ、これは核兵器になるんだということをまず念頭に置いてから話を進めるべきだと私は思います。
 なお、資源節約問題に関する私の反論は、次に回った時にいたします。

【コーディネーター(中村)】
 今必要性の中で、プルトニウム利用ということで核拡散あるいは核不拡散のお話でお三方から関連でご発現がありましたので、それを片づけてというか、それについての反論をお聞きして、もう少し経済性を含めた必要性の議論にいきたいと思いますが、先程手が挙がっていましたので山名先生からどうぞ。

【山名】
 ちょっとスライドを出してください。先程この絵をお見せしましたかどうか分かりませんが、今最も大事なのは、原子力を長期利用していく時に、その使用済燃料の管理、バックエンドをどうしていくかという一つのデシジョンなんですね。ここには直接処分と再処理のオプションを書いておりますが、直接処分というのは、先程言いましたように溜まっていった使用済燃料をすべてそのまま溜めておいて処分していく系統です。再処理リサイクル路線は化学処理して安定な廃棄物に変えて、燃える部分だけはもう一度使うということをやっていくそういう考え方です。大きく考え方が違います。
 舘野先生が先程青森に持って行くとどうのこうのというふうにおっしゃっていましたが、実は直接処分でも燃料というのは溜めたままになるわけですね。再処理しようが直接処分しようが、あるものはあるわけです。再処理をしない路線を取れば、その使用済濃縮ウラン燃料はどこかに溜まっていくし、誰かがそれを溜めていかねばならない。そして最終的にはそれを直接処分していかなければならないんです。ですからまるで再処理をやるからプルトニウムが発生するとか放射性物質が発生するわけではないんですね。化学処理しなければ燃料としてそのままありますし、むしろプルサーマルというのはプルトニウムを使っていきますから、直接処分の系統よりもプルトニウムを減らしていくという方になるわけです。しかもプルトニウムを燃やすということは兵器として利用出来ないようなプルトニウムに変わっていきますから、再処理リサイクル路線があたかも新たにプルトニウムを生んでいるとか放射性物質をどこかに移動しているとかそういう発言は極めてよろしくない。ですから再処理リサイクル路線を取らない場合には、じゃあ直接処分路線を取るんだ。そのために燃料は最終的に誰がどう責任を取っているかということをはっきりしなければならない。
 何よりも我が国は、例えば伊方発電所を建設した時に国は設置許可というのを出しています。その時には、将来必ずそこから出る使用済燃料はどこかに持って行って再処理するということを条件に設置させているわけですね。それは愛媛県に使用済濃縮ウラン燃料が居座らないためにそういう約束をとっているわけです。ですからその燃料を日本で統合的に集めて、それを安定な形に変えていくという再処理路線を日本は20年ぐらい前からずっと準備してきました。そのために地元の了解を取り、法律を作り、その態勢を作ってきたわけですね。ですから今ここでそれをやめて直接処分にする。これは使用済燃料を無責任に世代間に回していくというような話に私はなると思っている。今は20年掛けて準備してきたこの再処理リサイクル路線をまず安定に回す。そして高レベル放射性廃棄物という危険な物質を早く地層処分する。プルトニウムについては資源価値があるから、出来るだけ今の軽水炉でまず使っていく。そして将来的には高速増殖炉に繋げていくというそういう判断を今取ろう。それが一番技術的な判断として柔軟性があるという判断を国は下したわけなんです。ですから再処理リサイクル路線があたかも何か新たな危険を作っているという考え方はやめていただきたい。それをやらないのであれば使用済濃縮ウラン燃料について具体的な対策を取るという提案があってしかるべきである。以上です。

【コーディネーター(中村)】
 内山さんから一言伺ってまいります。

【内山】
 今の山名さんの説明に付け加えさせていただきますが、この核不拡散性の問題は原子力委員会の策定会議でも随分議論されました。直接処分の方が、核拡散性が高いという意見が数多く出されました。といいますのはプルトニウムだけ取り出して、それを安全にきちんと管理するといった方が明らかに核拡散性は低いということでありまして、そういった点を考えていきますと、やはり核不拡散性はきちんと管理するということが基本になるかと思います。
 私のレジュメをちょっと見ていただきたいんですが、例えば3ページですが、皆さんご存じのようにアメリカのカーター大統領の時ですが、「核燃料のリサイクルは核拡散に繋がるので見直そう」と呼び掛けてきたんですが、これに対しましてINFCEと呼ばれる国際核燃料サイクル評価という国際会議が開かれまして、2年間にわたってこの問題は討議されました。それは結論として核燃料のリサイクルと核拡散の防止は両立出来るという結論が出されまして、今回の六ヶ所の再処理工場もこの結果、核不拡散性技術を十分に備えているということで認められているものであります。
 さらに次のページですが、皆さん国際原子力機関(IAEA)という名前は常に聞いていると思いますが、そこにおきまして原子力の平和利用活動が軍事目的に転用されないようなことを監視し、転用があった場合は速やかにそれを検知するという国際保障措置活動が行われています。それはそのページの下の方にも書いてありますが、3つから成っておりまして、この3つの手段で核が平和利用以外の活動に転用されないということを確認し、転用された場合はそれを速やかに検知するという施策が取られております。
 その中で5ページですが、日本の六ヶ所村の再処理工場はこの保障措置、これを新たにIAEAは追加議定書という形で、発電所だけでなくあらゆる施設についても適用するということで行われたわけですが、この保障措置システムに対しては、日本は最も優れた技術を持った国で世界の模範となっているというお墨付きを貰っております。そういう点で日本の核不拡散体制というのは世界でも誇るべき状態の技術レベルに達しているということを認識していただければと思います。

【コーディネーター(中村)】
 それでは小林さん。

【小林】
 内山さんの今のお話ですけれども、まず不可解なのは、プルトニウムを再処理して、プルトニウムを分離してきちんと保管した方が核不拡散のためにいい、直接処分の方が核拡散の危険性が高いというように私には聞こえたのですが、私はむしろ逆じゃないかと思います。ただ、もう既に取り出したプルトニウムに関してはどのような管理の仕方をすればいいかということは大きな問題で、それ自身は議論する必要が勿論あるわけですけれども、私は直接処分の方が遙に核不拡散上はいいと思います。
 それからもう1つ、INFCEが核燃料のリサイクルと核不拡散は両立すると言ったからといって、核不拡散が守られるという保証には全然なっていない。それは今の政治状況を見たらはっきりしているじゃないですか。私はやっぱり核拡散の問題を技術屋だけで議論するというのは駄目だと思っています。技術屋は技術の問題としてしかこれを捕らえようとしないですけれども、さっき舘野さんがおっしゃったようにプルトニウムの扱いをどうするか、核不拡散をどうするかという話は、やはり技術屋が技術の興味で――興味と言ったら怒られるかもしれませんけれども、そういう次元で話す問題ではない。これは明らかに政治的な問題ですし、これが核兵器になるかならないかは技術の問題で解決出来る問題じゃなくて、舘野さんがおっしゃったように政治がどう動くかということが大きいんですよ。
 特に今は北朝鮮のミサイル発射問題を契機にして日本が非常にナーバスになっています。閣僚自らが先制攻撃の発言までするそういう状況になっておりますし、元々平和利用に限られていた宇宙開発が平和利用条項を廃止して軍事利用にもタッチするというそういう改革の動きが進められておりますし、原子力基本法だってどうなるか分かりません。私は今の政治状況に非常に危機感を感じています。

【コーディネーター(中村)】
 その背景のことは皆さんもよくお分かりになったと思いますけれども、少しずつこのプルサーマルに収斂しながらお話を伺っていきたいと思いますが、西尾さん、どうぞ。

【西尾】
 いろんな話が出てきちゃって、こちらもいろんなことを言わなきゃいけなくてちょっと大変かなという気がします。
 例えば今INFCEという話が出ましたけれども、INFCEの結論もそんな単純な結論ではなかったわけですけれども、余りここでそんなことを議論してもしょうがないなと思います。
 それから日本がIAEAに認められたというのは、六ヶ所の再処理工場のそういう保障措置が認められたのではなくて、それもまた別の話なので、そういう話はどうかなと思いますけれども、それはもう議論から外します。

【コーディネーター(中村)】
 ご意見として伺って、ちょっと議論の対象としては扱わないで、次のお話に進めていただければありがたいです。

【西尾】
 その上で、山名さんが原子力が長期的に必要だということは共通認識だというふうに話されました。それは少なくとも私とは共通認識にはならないわけですけれども、ここで原子力が長期的に必要かどうかということを議論している余裕は多分ないだろうと思いますので、それは取り敢えずそこだけ言っておくんですけれども、その上で伊方原発の建設の当初から使用済燃料は再処理のために持ち出すことになっている。それはその通りだと思うんですね。むしろ使用済燃料は黙って出ていくはずだったのに、山名さんのレジュメを見ると、何か使用済燃料を持ち出すのにMOX燃料を受け入れるというのがあたかも条件のように書いてある。MOX燃料を1体受け入れないと8.5体の使用済燃料が出て行かないようなことを言っているのは全くおかしいと思います。伊方原発を受け入れた時に、MOX燃料なんて形で戻ってくるということは誰も約束はしてないだろうし、誰も考えもしなかった。むしろ再処理をして、プルトニウムを高速増殖炉で使うという国の政策の破綻の結果としてプルサーマルが押しつけられようとしているんであって、それを条件のように言うのは非常におかしいというふうに思います。使用済燃料を押しつけられる先の話はまた別の話として、伊方の話で言えば、居座らないというのがある意味で言えば当然だったはずだということをまず申し上げたい。
 それからプルトニウムを取り出すことによって、むしろ核不拡散になるんだというふうに内山さんは言われました。それは要するに使用済燃料をそのままにしておけばプルトニウムが残っているからということなんだと思うんですけれども、だけどその使用済燃料の中に残っているプルトニウムが核拡散上非常に大きな問題になるというのは、もし問題になるとしても凄く先の話ですよね。それに対して、そのプルトニウムを取り出す再処理工場の中でも、先程行方不明という話がありましたけれども、様々な形でどこへ行くか分からないようなことがある。取り出した後のプルトニウムをどうするのかということもありますし、それの輸送とかその他の移動の問題があります。そういうことからすれば目の前の核拡散への危険ということから言えば、やはり取り出す方が私は大きいだろうというふうに思います。
 それとさらについでに一言。プルサーマルで使ったらプルトニウムは減るんだろうかということも確認をしておく必要があるんじゃないでしょうか。確かに山名さんが言われたように核兵器として使おうとしたらより質が悪くなるというのはその通りだと思いますけれども、量そのものとしてはMOXの使用済燃料の中にかなり大量のプルトニウムが残っていく。その意味で言えば結局プルトニウムは減ってくれないんではないかということも申し上げたいと思います。以上です。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。山名さん、反論をどうぞ。

【山名】
 まず先程西尾さんが8.5体との条件でとおっしゃったが、全くそういうつもりはありません。元々我が国は1970年頃の政策から、高速増殖炉に入る前にはプルサーマルを入れていくということを長期計画で言っていたわけです。ですから問題はFBRという高速増殖炉というものに展開していく時期の問題なんですね。結局天然ウランという資源が意外と豊富にあるということが分かってきた。ただあと85年ということで、高速増殖炉が経済的に入るまでにあと何年か余裕があるということになりまして、その間、現在ある軽水炉でプルトニウムを使っていこうという暫定的期間を使っているわけです。ですからその期間でもってウランの有効利用の究極的な話をしてもしょうがないし、あくまでここ20〜30年使用済燃料が出続ける中で、それをどう管理していくか。その時に今持っている軽水炉というところでプルトニウムをうまく使いながらそれを持っていこうという方法を取っている。これは昔からの政策そのままですから、そこは誤解なきようにお願いしたいと思います。
 それから核拡散についてですが、さっき言いましたようにIAEAのエルバラダイ事務局長もアメリカも原子力利用国から使用済燃料を全部引き取ろうとしているんですね。それはアメリカや原子力先進国に使用済燃料を引き取ろうとしているこういう行動が今あります。それが具体的に協調行動が議論されているところなんですが、それはどういうことかというと、使用済燃料を持っているという状態というのは、実はプルトニウムをそこにたくさん溜めて持っているわけです。国家意思としてそれを再処理すればそのプルトニウムは必ず取り出せますから、何をやるか分からないということになるわけですね。ですから使用済燃料をそのまま持っていても、ある意味では国家意思があれば兵器の拡散になります。だけれども、使用済燃料をきちんと処理して、それを平和利用に徹して使うということを国際機関にオープンにして、査察を受けて、しかも中に入っているプルトニウムの量を定量してオープンにしている状態は、これは保障措置と言うんですが、まさに非常に核拡散出来ない。つまりすべてさらけ出している状態になるわけです。ですから再処理すればそれが核兵器の転用に繋がるとかそういう話とは全く別次元の話である。むしろ現在のNPT体制、核不拡散体制の中できちっと我が国は平和利用に徹して、プルトニウムをこれだけ回収して、これだけ使ったよということをオープンにしていくことが一番我が国の核不拡散にとって国際的にオープンなもののはずなんですね。そこをよくご理解いただきたいと思います。

【コーディネーター(中村)】
 先程舘野さんが資源メリットとリスクということをおっしゃったんですけれども、このプルサーマル計画の資源メリットあるいは経済性といった視点でもう一度ご発言をお願いしたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

【舘野】
 その前に一言、今の山名先生の……。それならば何で余剰プルトニウムを持たない政策なんていうのを持ち出してくる必要があるんですか。ちゃんと管理のもとにプルトニウムを動かしていれば核兵器を作る危険性はないと言うんだったら、何も余剰プルトニウムを持たない政策なんていうのは全然ナンセンスじゃないかというふうに思います。
 それから先程2つのリサイクル路線と直接処分路線ということがあって、リサイクルをすると急に放射性物質が出てくるというのはおかしいと言われて、私もそんなことは全然言っておりません。それはいずれにせよ放射性物質、危険性のあるものは出てくるわけで、それをリサイクルするのか。それとも直接処分路線と言っていいか、当面溜めておく、あるいは直接処分も含めてですけれども、そのどっちかの路線があるということはいいんですけれども、その時にじゃあリサイクル路線に全面的に突入していくほど技術的にちゃんと出来るんですかということが、私は技術者の端くれとして疑問を持っているわけです。それはお役人なんかは、ちゃんとこっちの方が整理されて、こういうふうにうまくいきますというふうに科学者から説明されれば、ああ、それじゃそれでいこうということになるんですけれども、それは技術的楽観主義と言いますか、机の上では恰好が良くいくように言っても、実はそれは失敗するんです。その失敗した例は「原子力船むつ」の話であったし、それから「もんじゅ」なんかもうまくいくはずだったわけですよ。これは本当に問題なしにうまくいきますよということを一生懸命言っていて、突然事故を起こした。これは技術というのはそう簡単に急に左右されることは出来ないわけで、ちゃんと積み重ねがあって始めて技術的にうまくいくわけで、そこのところを私は技術者の一人として非常に大きな疑問を感じているというのが大きなところです。

【コーディネーター(中村)】
 資源メリットの点では如何ですか。

【舘野】
 資源メリットは、さっきも言いましたように4,000年増えると言うんだったら私も――私は基本的には高速増殖炉絶対反対、プルトニウムは悪魔の物質だから使っちゃいけないなんて論者ではありません。そういう点は他の反対派の方とは違っているかもしれません。私は科学者ですから、安全性が確保されるということが科学的に証明されればそれは使ってもいいじゃないかという立場なんです。ですけれども、少なくとも4,000年増えるというのと同じような恰好で、10年しか増えないのに、これはメリットがあるメリットがあるというふうに言い立てるのは、これは人を騙す論法じゃないかというふうに思います。
 それからお金の話は余り言いたくないんですけれども、これほど経済第一優先時代に経済性が無視されるというのはこれほどおかしな話はない。
 それで再処理工場がうまく動くという前提でそういう話をされているんだろうと思うんですけれども、もう赤字垂れ流し工場になるということは目に見えています。しょっちゅう事故を起こしていますからね。あれをどうするかというのはこれまた大問題で、これはここで話すことではないみたいなんで話しませんけれども、そういう意味では経済性から言っても非常に大きな問題であります。
 それから皆さん今までおっしゃってないので、山名先生が言われたのは核兵器に使いにくいプルトニウムが出来るということなんですけれども、核兵器に使いにくいというのは原子炉でも燃やすのが非常に難しいプルトニウムが出来るわけですね。こんなプルトニウムをたくさん作ってしまったら一体どうするのか。
 話は随分飛びますけれども、電柱の上の中に入っている絶縁物質でPCBというのが一時大量に使われました。これは非常に便利だからいって使われたんですけれども、あれが非常に有害だというので廃棄されましたけれども、あんなどう利用もしようもないものをたくさん作り出してしまった。これは非常に困るんですね。ですから燃えるプルトニウムはまだ電力会社か何かが引き取って一生懸命プルサーマルか何かをやってくれるかもしれませんけれども、燃えないプルトニウムがどんどん出来てしまったら、これはどうやって処分するのか。私は化学屋ですけれども、こんな物質を大量に作るということは非常に反対です。以上です。

【コーディネーター(中村)】
 一応舘野さんのお話を伺ったところで、その必要性、経済的なメリット、資源メリットにかなりの疑問が今出されましたので、まず内山さんから。続いて山名さんとまいります。

【内山】
 どうも推進と言いますか擁護する立場と批判する方の立場の違いは、技術に対する不信とそうでなく技術はやはり必要だという立場の違いかなと思います。原子炉技術は一朝一夕には信頼性ある技術にはならない。これはみんな知っていることだと思いますね。将来的にはFBRを導入するということは非常に大事であるということは舘野さんもおっしゃっていました。しかしFBRが商業化することについては、今は非常に厳しい状況にあるわけです。そのためにはそれに向けた技術開発をどうしていったらいいのか。それが再処理技術であるわけですね。それを現実のものから行うのが今の軽水炉のプルサーマル。そして一つ一つ積み重ねて信頼性ある技術にしていこうという方針を持っているわけですよね。一朝一夕にプルトニウム利用が図れるわけではないために、地道に努力することで実現していこうと考えているわけです。
 先程のスライドをちょっと見ていただくと分かりますが、ちょっと映していただけますか。大体10〜20%ぐらいのウランの燃料削減になるということで説明しました。これがFBRになれば60倍になってしまうわけですよね。ところが10〜20%でもこれは非常に大きな効果なんです。先程も言いましたように風力発電3万3,000基から6万6,000基に相当しているわけです。このことを達成するのにどれだけのコストが掛かるかというと、0.5〜0.7円高くなる。これは直接処分も再処理も新規に実践した場合の計算ですが、現在もう進んできている状況で考えて政策変更をすると優位さが逆転してしまいます。いわゆる政策変更を伴うコストを入れると直接処分の方が高くなってしまう。
 仮にプルサーマルのほうが0.7円高かったとしますね。そうするとその負担がどのぐらいかと言いますと、原子力の発電コストが5.2円から0.7円加わりますから5.9円になる。石炭が今5.4円。ところが最近の石炭価格の高騰によって今6.1円になっています。LNGですとそれが7.4円になっています。石油火力ですと15円を超しています。これから考えましても、決してこの費用負担というものは高いものではないということをまず理解していただきたい。
 さらに再生可能エネルギーの発電コストを見ると、10円とか20円あるいは太陽光発電ですと46〜73円という非常に高いものなんですね。こういったものを開発した方がいいのか。これだけ高いものを世の中に導入するというのは、皆さん方の経済負担を非常に大きくするということになります。反対の方は経済性が大事だと言っていますが、太陽光や風力を原子力にかわって導入する経済性は誰が負担するのかということになってくるわけですね。それを考えると、やっぱり経済性の面から見ると、いわゆるプルサーマルというのは他のものに比べて極めて有望であるということが一つ言えると思います。
 その費用負担は電気代して、家庭で1年間600円から840円です。私は太陽光や風力の普及のためにグリーン電力基金に参加して年間6,000円払っています。大体その1割で済むわけですよね。それを考えると私は経済性から見て決してこのプルサーマルというのは劣っていないというふうに思うわけですが、皆さん方は如何でしょうか。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。山名さん、どうぞ。

【山名】
 先程舘野さんから技術の成熟度についてのお話がありました。これは非常に大事なことなんです。私は昔茨城県にある再処理工場におりまして、数百トンぐらいの使用済燃料を処理した経験を持っています。数百キログラムのプルトニウムも扱った経験を持っていますが、実は茨城県の工場というのは昭和50年頃に出来たんですけれども、それを動かしていろいろな工学的なトラブルを経験したんです。これが容器の腐食ですとかそういうトラブルを経験して、それを基に新たな開発を進めてどんどん材料を開発するということをやっていったわけです。
 舘野さんのおっしゃっているのは実は30年程前の技術の話でありまして、そういう経験を基にどんどん再処理技術というのは発展した。特にフランスで設計されて再処理技術はほとんど完全な商用技術になっておりまして、フランスは既に2万何千トンかの使用済燃料を処理しております。非常に高い稼働率を誇っております。こういう技術を六ヶ所村に導入して再処理が今行われようとしている。既にアクティブ試験というのが行われていまして、30トン程の使用済燃料がテストで処理されましたが、全く問題ないことが分かっている。ですから商業再処理というのは非常に達成された技術なんですね。
 しかもプルサーマルについては冒頭にお話がありましたように世界じゅうで4,900体近い使用実績がある。つまり使用済燃料の再処理技術とそれからプルトニウム燃料を作る技術というのはほとんどもう商業技術として定着して、それが実際に世界で4,900体近く使われているということでありますから、実は再処理プルサーマルというのはもう商業技術として確立したものであると言ってもいいぐらいなわけです。ただ高速増殖炉の技術は、例えば「もんじゅ」の経験などを見てもまだまだ開発が必要なものですから、あと20〜30年開発が必要でしょうというふうに思っています。そのために今各国がFBRの開発を再開したということです。
 ちょっとスライドを映していただけますか。私は冒頭からこの使用済燃料の再処理というのは使用済燃料の管理の総合的な話だということを繰り返し申し上げていますが、プルトニウム、プルトニウムという話にどうしても集約していくわけです。ここに再処理リサイクルの効用というのを書いていますが、実は再処理してプルトニウムを燃やすということは、資源の節約だけではなくて、例えば中間貯蔵施設を削減したり、高レベル放射性廃棄物の大きさを小さくしたり、地層処分の面積を小さくしたり、高レベル放射性廃棄物の減衰時間を短縮したり、技術的に直接処分よりも遙に進んでいる。そういうメリットがたくさんあるわけです。さらに燃料としては濃縮ウラン燃料の節約。これは15%から最大20%程度。ですからこれは舘野先生がおっしゃるように究極的にウランの利用効率を上げるものではありません。ただし、高速増殖炉の技術に持っていくまでの間、現在ある原子炉を使ってそれを出来るだけ使っていくということでは十分な効果を与えているということなんですね。
 この表を見てください。ちょっと細かくて見えませんね。言葉で言いますが、再処理をして高レベル放射性廃棄物にすると大体体積で0.9立米、重さで6.1トンぐらいの廃棄体になるんです。これを直接処分すると体積として最大5.7立米、重さとして最大40.9トンの重さになります。戦車1台が大体50トンぐらいの重さですから、そういう重さのものを地下数百メートルのところにトンネルを掘って、人が近づけませんから遠隔で埋めてくる。しかもそれを埋め戻すという品質保証を行うということをやらねばなりません。しかもその使用済燃料を埋めた時にそれがどう溶け出てくるかということは、いまいち技術的に分かっていないという問題がありますですから再処理をするということは、ある意味で高レベル放射性廃棄物を地層処分しやすくするという非常に大きな効果もあるわけです。ですから再処理リサイクル路線というのはあまりプルトニウム、プルトニウムと近視眼的に見なくて、この原子力を長期的に使っていく時に、原子力のバックエンドを今出来る最良の方法で安定化させていく手法であるという目で、もっと総合的に見ていただきたいと思うんです。以上です。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。いろいろ背景の話題も多くて、今議論になっているわけですけれども、そろそろ時間的に技術的な安全性のテーマに移りたいと思うんで、それに移る前に、この必要性、プルサーマルのあり方について一言ずつ短くご発言いただいて、技術的な安全性のテーマに移りたいと思います。その辺、是非ご協力をいただくことにして……。

【小林】
 ちょっと待ってください。一言ずつ言う前に……。今、内山先生と山名先生が言われたあとで最後に全員に一言というのはちょっと不平等です。

【コーディネーター(中村)】
 その前の反論だったんですからね。――はい、分かりました。何とか時間管理をしますので、それを含めてこのコーナーのまとめと今の反論も結構です。
 ではトップバッターは小林さんからどうぞ。

【小林】
 今の山名さんの話ですけれども、山名さんの話で一貫して言えるのは、これからどうなるか分からない、でも国の計画になっていることを当たり前の前提として話をされています。ですから直接処分であろうと、それから再処理のガラス固化体であろうといずれは地中深く埋めるという方針なわけですが、じゃあ日本のどこで一体受け入れるのかというのは全く未知の問題としてあるわけです。同様のことは高速増殖炉についても言えます。
 技術の開発がまだだと言われましたけれども、高速増殖炉の開発は、世界では半世紀かけてやってきたんです。1995年に「もんじゅ」の事故が起こった後に、当時「もんじゅ」をやっていた動燃、「もんじゅ」事故後、核燃料サイクル開発機構と改名しましたけれども、そこが新しい高速増殖炉像としてFBRサイクル実用化戦略調査研究という非常に長ったらしい名前の研究を「もんじゅ」の運転再開の前に延々とやられて、今その中間段階の報告が出たわけですけれども、いろんな可能性をさんざん検討した結果、結局元のところに戻ってきて、やっぱり「もんじゅ」と同じように酸化物燃料でナトリウム冷却型に戻ってきているわけですね。
 私は高速増殖炉に関してはかなり突っ込んでやったことがありますが、端的に言って高速増殖炉はものになりません。確かに資源的な魅力は、この図のようにプルサーマルでは無限回リサイクルを繰り返してもせいぜい1%の資源効果しかないわけですが、高速増殖炉は数十%あります。これにみんな目を奪われて、日本の原子力政策というのはひたすら高速増殖炉を中心にやられてきました。それが「もんじゅ」事故で破綻して、高速増殖炉で使うはずだった使用済燃料の持っていき場がなくなった。そうすると核のゴミじゃないかということになって、日本の原子力政策はこれで破綻したわけです。高速増殖炉を中心にやってきた政策が破綻したわけです。
 そこで国策になってからほぼ40年間何もしてこなかったプルサーマルが「もんじゅ」の事故後突然のように動き出して、当初は関電と東電がトップバッターになるはずだったんだけれども、2つがこけちゃったので、やむを得ずといいますか四国電力の方に押しつけられてきた。だから私は、これは四国電力のためにもプルサーマルはやらない方がいいと思っているわけです。
 話を元に戻しまして、高速増殖炉はものにならない。どうしてかというと大きく分けて4つ危険性を挙げましたけれども、私自身がやってきた実感として、軽水炉に比べてはるかに暴走しやすい。一例で言いますと、あの暴走したチェルノブイリと同じような炉心の危険な性質があるんです。この性質は軽水炉にはありません。高速増殖炉にはあるのです。この暴走しやすい性質、これは決定的な弱点ですね。それから冷却材がナトリウム。これは「もんじゅ」の事故を起こしたあのナトリウムです。危険物です。それから燃料はプルトニウム。これはプルサーマルと同じ問題ですが、4つ目に、宿命として地震に弱い構造にならざるを得ない。この地震国日本ではとてもじゃないけど無理です。高速増殖炉がものにならないというのはもう目に見えているし、地震国でない他国でさえも、いわゆるエネルギー源としての高速増殖炉は、今はもう考えていません。廃棄物処理のための高速炉開発の話は出ていますが、それをもってアメリカもフランスもまた高速増殖炉再開に動き出したととらえるのは誤っていると思います。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。舘野さん、どうぞ。

【舘野】
 先程どっちが放射性廃棄物が増えるか。量ですね、嵩としてどっちが少なくなるかという話を山名さんが言われたんですけれども、あれには例えば再処理工場だって物凄く汚れるわけですよね。あれは何とかして最終的には処分しなきゃならない。そういうことを考えると、必ずしも一概にはトータルでは比較出来ない。片一方に軍配が上がるということは言えないんじゃないかというふうに思います。技術というのはいろんな面で将来分からない要素もあるんで、今の段階で余り断定的なことを言わない方がいいと思うし、それからもう1つは、前も言いましたけれども、技術的楽観主義というんですかね、ある程度技術を進めるには楽観主義が必要なのかもしれませんけれども、しかし楽観主義で押していって、いけいけどんどんでやっていくと終いには失敗してしまいますよというのは科学者の端くれとしては言いたいことなんです。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございます。工藤さんは技術的な安全性のところはご専門ですけれども、必要性についてご発言がなかったので、ここで一言お伺いして……。

【工藤】
 皆さん随分発言をされたから、私、時間を戴けないかとやきもきしておりました。
 まず必要性に関して勿論私も意見を持っておりますから、それに関して少しだけコメントをさせていただきますと、小林さんのお話で、世界じゅうがプルサーマルをやめていらっしゃるというようなおっしゃり方をしましたけれども、フランスは着実に行っておりますし、イギリスでも再処理工場は運転すると言っております。それからアメリカは核兵器から取り出したプルトニウムを燃やそうとしている。これはマイナスの姿勢だとおっしゃいましたけれども、私はそれが核兵器を少しでも減らすという意義を持つならば、ある意味日本とは目的が違うかもしれませんけれども、それが怪しからんということにはならないんじゃないかと思います。
 それから高速増殖炉(FBR)につきましても、世界もどこもやっていないというようなおっしゃり方が多かったんですけれども、中国やロシアでは研究的にやっておりますし、私はFBRの開発をいけいけどんどんというふうには思ってはおりません。技術論として、ナトリウムというものを取り扱うということから、それだけ慎重に且つ着実に進めるという必要があるというふうに思っております。
 安全性の話に入ってよろしいですか。

【コーディネーター(中村)】
 待ってください。一応コーナーを分けたいと思いますので。西尾さん、どうぞ。

【西尾】
 今の高速増殖炉の話で、どこがやったやらないみたいな話をしていくとキリがないのでやめますけれども、ただ小林さんがマイナスと言われたのは、怪しからんとかそういう意味で言われたのではなくて、要するに再処理をしてプルトニウムを取り出して高速炉で使う。それをリサイクルという考え方ではなくて、むしろ核拡散の防止であるとか、あるいはプルトニウムの処分であるとか、そういう考え方から来ている。まさに考え方の違いをマイナスと表現されたということをまず言っておきたいと思います。
 高速増殖炉は駄目なんだという話を小林さんはされました。その高速増殖炉が将来あるということを言い訳にしてプルサーマルを進めるというのは間違いだというふうに思います。それが1つです。
 それと先程内山さんが10%、20%でも大きいと言って風力と比べたりなんかされていましたけれども、結局どれだけプルサーマルを本気でやろうとしているのかなという気もします。先程の四国電力さんのホームページに出ていたことですけれども、将来1、2号機にも採用される計画でしょうかという質問に対して、当社のプルトニウムのバランスから考えて、伊方3号機の4分の1程度の使用で十分なので、伊方1、2号機での採用計画はありませんと言っているんですね。ところがここで言っているプルトニウム約2.1トンというのは六ヶ所でこれから取り出されるプルトニウムを含んでないわけです。六ヶ所で取り出す分はどうするのかなというふうに人ごとながら心配になるぐらいに消極的なことを言われているわけですけれども、本当にプルサーマルにメリットがあるんだったら1、2号機でもやったらいいと思いますし、先程の小林さんの発言と裏返しになりますけれども、東京電力や関西電力が出来ずにいてプルトニウムが余っているんだったら、それを買ってきてやったらどうでしょうかというふうに言いたいと思います。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。それでは内山さん。

【内山】
 どうも噛み合わないところは、批判されている方はやはり市場という問題を余り重視して考えていないためだと思います。エネルギーの市場というのは常に変化していくわけです。現在、先進国は電力需要がやや停滞ぎみにありまして、原子力の開発そのものが市場性からやや遠のいたという段階があります。しかし最近になってまた需要が増えてきているという流れで原子力がまた復活し始めたということがあります。
 と同時にもっと大きな問題が、開発途上国、特にアジアの市場が爆発的な勢いで増え始めている。これにどうしたらいいのか。日本は全く無責任に、そんなことは関わりのないことだと無視していいのかどうか。そうはいかないと思うんですよね。やはり日本の安全保障を確保するためには、やはりアジアのエネルギー安全保障も同時に日本は対応していかないといけない。そういう点で考えていきますと、プルトニウムを利用していくエネルギー政策というのは極めて現実的且つ経済性も含めて信頼性のある技術開発の一つになっているわけです。我が国が技術立国として今後対応していくためには、この選択というのはどうしても必要になってくるのではないかと思います。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。山名さん、どうぞ。

【山名】
 先程西尾さんの伊方で1、2号という話ですが、こういう理屈です。伊方発電所というのは大体1年に40トン強ぐらいの使用済燃料を発生するわけですね。それによって回収されるプルトニウムが0.4トンあるいはそれ弱程度なんですね。これは3号炉に入れるというのは、実はさっき言ったように8.5体分のプルトニウムを燃料に入れて、それを4分の1炉心に入れるという設計をしていますから、全体から出るものを消費するバランスが大体合っているわけですよ。それは海外のプルトニウムを処理して、さらに六ヶ所で出るものをやっていけば、実は逆に、最初は海外再処理したプルトニウムをプルサーマルしますね。その時には大体4分の1炉心で、1バッチ当たり10数体ぐらい入れていくことになりますが、今度六ヶ所再処理にそれを送り出していくと、そのプルサーマルの必要量は下がってくるはずです。逆に今度はプルトニウムの量が減ってきますから、伊方3号炉に入れるプルサーマル燃料は少なくなってくるはずです。ですから1、2号炉に入れる必要もないし、伊方発電所で出たプルトニウムは処理して、伊方の3号機で燃やしていけば、そのまま問題なく出来るというそういう量的バランスになるんです。
 それからこう考えていただきたいんですが、プルサーマルというのは濃縮ウラン使用済燃料の圧縮処理なんですよ。つまり濃縮ウラン燃料のまま持っていたら、8.5体の濃縮燃料をここに持っていなければならない。それを再処理することによって1体のMOX燃料に変えて、その使用済燃料を保管する。その使用済燃料中に残ったプルトニウムは将来高速増殖炉で燃えるように備蓄しておくという考え方なんですね。ですから言ってみれば使用済燃料を8.5分の1に圧縮する措置というのがプルサーマルでありまして、ここをよく分かっていただきたい。
 いずれにせよ私が冒頭から言っていますように濃縮ウラン使用済燃料をそのまま持っていることと、処理して、一度だけそこで燃やして、当面持っておいて、最後に再処理するという方法の違いは、使用済燃料として持っておく分の量の違いというのは非常に大きいわけです。その分の違いが中間貯蔵施設になって出てくる。しかも高レベル放射性廃棄物の処分を実施する時期の違いになって出てくるということなんですね。ですからプルサーマル燃料はあくまで濃縮ウラン燃料を圧縮して合理的な体系に持っていくための当面の措置であるというふうに理解していただきたいということです。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。いろんな角度で非常に幅広い視野からプルサーマルについてご意見をいただいたんですが、必要性をさらに越える根本的な政策的なこと、あるいは日本が取るべき道についてもご発言をいただいたと思いますが、またここでプルサーマルの具体的なテーマに絞らせていただいて、パネルディスカッションの後半を終わりたいと思うんです。
 これはやはり安全性についてということになりまして、先程のご発言の中で、例えば西尾さんは安全余裕というお言葉を使われまして、これは結構キーワードになっていて、他の方もお使いになっています。この安全余裕がどんどん低下しているという見方が一つある。それから安全性に疑問である。それはイコール危険性である。これは小林先生もそのようにおっしゃっておれます。この安全性について是非愛媛県民の皆さんに認識を深めていただくために、ここからは技術的なことにもなるんですが、なるべく分かりやすくお話をしていただきたいと思います。
 ではご専門ですから、工藤さんからまずお伺いしましょう。

【工藤】
 画面を映してください。前半、西尾さんがおっしゃったことは安全余裕がどんどん切り詰められているんじゃないかというご主張でしたけれども、これは恐らく地震に関係したことを中心のお話かと思います。そこは私も意見を持っておりますから後でお話しさせていただきます。
 小林さんがおっしゃったことについても、安全余裕が切り縮められているという同様のご意見ですけれども、1つの例としてこの図を見ていただきたい。山名先生が示された安全余裕の図が非常に分かりやすかったんですけれども。例えば1例として制御能力、制御棒の効きが悪くなる。止まりにくくなるというような主張というか、指摘がありますけれども、それに関する考え方を、1例として安全余裕というものがどう考えられているかご説明します。
 ここで示している黄色の部分は制御棒できちんと原子炉を止めるのに必要な制御棒の反応度と申しますけれども、制御棒が持つべき能力というのが定められております。実際に安全設計をする上での制限値あるいは基準値としてこれだけは確保しなさいというのは、いろんな余裕や誤差等を見込んで黄色の部分のような必要な余裕というのを決めております。これに対して現実の炉の設計では、青色で示すように例えばウラン炉心についてこの程度あるいはMOX炉心についてはこの程度の更に十分な余裕をとりますという決め方をしております。
 安全余裕に関して言うと、この基準値で決まった緑の部分というのは、ウラン炉心であれMOX炉心であれちっとも変わっておりません。平成7年に決められた3分の1MOX報告書というMOX炉心の安全評価に関する指針では、従来のウラン炉心と同等の安全性を確保するためにこの部分というのは変えないということを言っております。例えば燃料の溶融点なんかに関しては変わってくるからむしろ厳しめにするといったような変更は取っております。
 それでおっしゃっている安全余裕が切り縮められるという部分はこの青色の部分が変わってくるということであって、ここの緑色の必要な余裕まで切り縮めているということでは決してない。そこをどうも誤解されやすいようにお話をされているというのが非常に気になったところですけれども、例えばこのMOX炉心で言うと安全余裕というのは増えていっているという言い方だって出来るわけですが、だからじゃあ従来のウラン炉心がより危険であるなんていうそんな話ではないわけです。どれだけの余裕があるかというのを正確に見積もられるかというのは、山名先生のお話にもありましたようにその時々の技術の精度の向上なんかによっても変わってくるものです。
 こういった具合に安全余裕が切り縮められると言うと、耳には入りやすいんですけれども、意味としてこういう十分な余裕を見た制限値を変えているものではない。必要によって変えていても、それを侵すような特性をMOX炉心が持つものではないということをまずお話しさせていただきます。

【コーディネーター(中村)】
 小林先生も先程安全性に対する疑問の中で安全余裕という言葉を使われたんですけれども。

【小林】
 今、制御棒による停止余裕の件で工藤先生からお話がありましたけれども、制御棒の停止余裕というのは、これは制御棒自身の制御能力と、それから炉心がMOXとウラン燃料とでどう違うかとの両方の兼ね合いで決まってくるわけです。停止余裕という形で見れば大きくなるのは確かです。でも制御棒の能力としては確かに減ります。どうして減るのかというのはこの図ですけれども、これは模式的に書いた絵ですが、制御棒というのは熱中性子というのを吸収することによって始めて制御能力を発揮します。ですから制御棒に吸収される熱中性子がたくさんあれば、それだけ制御棒はたくさん熱中性子を吸収しますから核分裂反応は抑えられて制御棒は効くということになります。
 それに対してプルサーマルをやりますと、模式図には、MOX燃料集合体のことをプルトニウム燃料集合体と書きましたけれども、そこでは熱中性子が大幅に減少します。制御棒はMOX燃料には入れないことになっていますが、例えば隣のウラン燃料に入れますと、その場所は熱中性子が減っているところの一部にかかって、その分だけ制御棒で吸収するはずだった熱中性子が減っていますから効きが悪くなります。その結果、制御棒自身の能力としては確かに減るわけです。
 制御棒だけじゃなくて、四国電力の原発のような加圧水型の場合、通常の運転制御は基本的に冷却水の中に制御棒と同じように熱中性子を吸収するホウ素を溶け込ませてその濃度を調節して制御しています。熱中性子のへこんだところも全部、ボロンの入った冷却水で満たされているわけです。ですから当然MOXとウラン燃料とでは制御能力の違いがはっきり出てきます。したがって四国電力の方ではホウ素を効かすためにウラン炉心より濃度の濃いホウ酸水を使うというふうに申請書に書かれています。これは制御能力の低下を乗り切る一つの方策ではありますけれども、ただホウ酸の濃度を上げますと、今度は温度変化等で溶けていたホウ酸が塊になって出やすいということがありますし、それが原因でいろんなトラブルのもとになる可能性が今よりも増えるわけですね。さらにホウ酸水が外に漏れたりすると腐食作用もより強くなり金属類も腐食されやすくなります。それによって、例えばアメリカのテービス・ベッセという炉で危うく原子炉容器に穴が貫通する直前まで行きアメリカの原子力規制委員会もびっくりした事故があったわけですが、濃度が高くなるとそういう可能性へ一歩近づくという意味で安全余裕は確実に低下するわけです。
 安全余裕が低下する現象はたくさんあるわけですが、さらに1つ例を挙げますと、これは同じような図が伊方の図であればいいんですが、中国電力の島根2号のプルサーマル計画の図を仮に持って来ました。つまり燃料から核分裂性物質、つまり通称死の灰ですが、これの気体状のものがペレットから被覆管に出ます。そうすると被覆管内に溜まっていくわけですね。そのため燃料棒の内側がだんだん高圧になって、その変化をウラン燃料の場合とMOX燃料の場合とで比較したわけです。
 ご覧のようにウラン燃料ではなだらかに上がっていくわけですが、MOX燃料は最初中に詰めるガスの圧力を低くしているにもかかわらず、途中で急に上がりまして逆転する。
内圧がウラン燃料と同等になったところで燃料は使い終わって交換するということに恐らく四国電力でもなるはずですけれども、このように核分裂生成物のガスの放出率と、それから、α線がたくさん出ますのでヘリウムガスも溜まり、燃料棒の中の圧力が高くなって破裂させようとする力がより大きくなるという点でも安全余裕を低下させるわけですね。
 それから燃料の中にどのようにプルトニウムを入れるかというのは、伊方ではこの図のようにMOX燃料とそうでないところがはっきり区別されて入れられます。本当に安全を考えるならこんな入れ方をしないで、炉心全体を全部MOXにする、同じように一様な燃料にする方が、プルサーマルをやるにしても、プルサーマル自身のいい悪いは別として、より安全なわけですから、何故そうしないのかという疑問も持っております。こういうことを考えますと、元々プルサーマルをやる予定じゃなかったウラン燃料用の今の原発に対して、急遽間に合わせ的にプルサーマルをやるということからくる様々な変則的なやり方、同時に経済性を出来るだけ損なわないようにやろうということから来る安全余裕削減に見られるような安全の一定の軽視というものが私はこの計画に見られるということを言っておきたいと思います。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。山名さん、どうぞ。

【山名】
 スライドを映してください。小林さんが今圧力の話と制御棒の停止余裕の話などいろいろ説明していただいたんですが、元々原子炉の設計の安全の考え方というのはここに書いたような絵になっています。まず何かを変える。例えば今の場合にはMOX燃料を4分の1炉心入れる。そうするとそれに応じて多少特性が変わるということは分かっているわけです。
 実は設計の安全指針というのがありまして、MOX燃料を使う場合には、こういう問題があるから設計をきちんとやりなさいよという指示を国の安全規制側が出しているわけです。実はそれに14項目ぐらいありまして、例えば今の熱中性子が少なくなる問題。それから融点が多少変わる問題。核分裂生成物のガスの移動度が多少大きくなるといういろんな問題がありまして、14項目の課題がはっきりしているわけですね。
 国の方は電力会社に対してその14項目の課題に対してきちんと安全設計をしなさいという指示を出します。小林先生が今紹介したのは、実はその14項目の目次を紹介していただいただけのことであって、それに対してどういう設計を取っていて、その設計がどう問題であるかということは何も言っておられない。ですから目次の紹介であって、結局電力が出してくる設計をいろいろ議論する。そして審査する。結論として安全上問題がないということを国が結論を出したということですが、要するに設計をある制限をしていくわけですね。例えば炉心の4分の1しか入れないとか、それから今の圧力の話が何故かBWRのデータを小林さんは示されたんですが、BWRと違いますのでちょっと不適切だと思うんですが、圧力の話に関しては簡単な話で、MOX燃料の燃焼度は3サイクルに抑えているわけです。平均3万8,000、最高でも4万5,000。濃縮ウラン燃料は最大で5万5,000まで燃やせる。つまり圧力が上がりやすいということを見越して、それを吸収する設計を入れるとともに、燃焼度を低く抑えるという制限を入れているわけです。それから4分の1炉心しか入れないとか、プルトニウムの濃度を制限すると設計対応をすべて取って、その上でウラン燃料炉心と同じような特性を持つという設計を作っているわけです。ですから国はそれに対して、14項目の宿題に対してきちんとしっかりした安全設計をやっていると見なして安全の許可を出したという話なんですね。
 ですから小林先生の今の話は課題の紹介であって、最終的な設計が如何に適切であるかという話については言及されていない。そこが非常に大事でありまして、是非そこを、私がさっき見せた安全余裕の話になって、プルサーマルについては世界じゅうでかなりのデータがありますから、そういうデータ、知見を取り入れて、その設計評価が妥当であるということを国が審査して、安全余裕を減らすということでなくて、設計対応で出来ているということを判断したというなんですね。ですから如何にも危ないことが一杯あって、何か安全の余裕を切り詰めてぎりぎりやっているというような印象で説明されるのは極めて不適切だというふうに思います。

【コーディネーター(中村)】
 工藤さん、どうぞ。

【工藤】
 スクリーンを出してください。今の山名さんの意見を補足させていただきます。
順番に説明させていただきます。小林さんがおっしゃったホウ素の効きが足りなくなるというお話については、これは言われた通り分かっていることですので、ホウ素の濃度を濃くするだけのことです。具体的に言えば事故なり異常が起きた時に直ちに注入を行う蓄圧タンク及び燃料取り替え用水という大きなタンクがありますけれども、ここの濃度を高くするということで済む話です。それ以上でも以下でもありません。そしてこの濃度で従来のウラン炉心と同等の安全性が確保されるとしております。
 それから腐食が起きたというお話がありますけれども、別に非常に濃いホウ素を入れているというタンクがありまして、そういうものが腐食したというようなことも私は知りません。腐食したというのはあるいは別の原因で、濃度のせいではないのではないかと思います。
 次に、これも是非見ていただきたいんですけれども、制御棒の効きが悪くなるというのが一体どういう意味を持つか。先程私が、安全余裕があるとか減るとか減らないということをご説明したものの1つの例でありますこれは例えば伊方なら伊方が100%定格出力で運転している時に、必要があってスクラム、緊急停止と言いますけれども、制御棒を2秒ぐらいの間に入れて緊急停止するー核分裂を止めるーいわゆる確実に止めるということに絶対必要な一番大事なところですけれども、この動きを時間的に示したものです。横軸が秒です。ここが20秒ぐらいのところ。それから40秒、60秒。非常に短い時間の間の変化とお思いください。
 制御棒の効きが悪くなるとか良くなるという話の規制している値というのは一番上。ここは確保しなさいという意味の最低限の線と思っていただきたい。それに対して制御棒の効きを少し増やしてやったものがこれです。これは伊方のそのもののデータではないので少しは違いますけれども、伊方のは多分間に入るぐらいのことです。制御棒の効きが良くなる、悪くなるとかいったことはここの部分のみに関係することで、ここの間に発生するエネルギーの影響が関わるのみで、核分裂が確実に止まるということについては何ら関係ありません。
 それからあとホウ酸水を入れたりもしますけれども、それをしようがしまいが一定の割合で出力が落ちる。この傾向も制御棒の余裕に関係ない一定の割合で核分裂が少しずつ少なくなっていくという状況を示したものです。制御棒の効き方の違いというのが非常に危険性を伴うような主張なり指摘があるというのはここの部分のことをおっしゃっているということであるということを説明させていただきます。
 それから最後に、MOX燃料はガスが出やすくて圧力が高くなるというお話もされました。これも分析によって計算等で分かっていることで、ウラン燃料を核分裂した時にどれだけの、いわゆるクリプトンとかキセノンと言いますけれども、ガスが出るかという割合。これについてもプルトニウムが核分裂した時に出るガスの割合というのはきちんと分かっております。これを比較されても10%強、15%ぐらいの違いだということで、MOX燃料だからといって極端にガス圧が上がるというわけではないし、またこのことは分かっておりますから、最初から燃料棒の中に注入するヘリウムの圧力を減らすという設計上の手当てというので十分同等の安全性が確保出来る。
技術的なことで申しますと、そのように技術的な分かっていることに関しては十分対応しているんだということをご説明させていただきました。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございます。小林先生、どうぞ。

【小林】
 今お二方から、プルサーマルで生ずる安全上の問題は、設計で対応しているという話がありました。それは私も分かっていますし、工藤先生が初めから分かっている話だと言うのもその通りなんです。だからこそ私は安全余裕が減ったのか増えたのかということを問題にしたわけです。
 沸騰水型の燃料棒内圧の運転中の変化を例として出したのは不適切だというご指摘がありましたけれども、伊方にそのまま当てはまらないことは私も分かっています。ただ何故あれを出したかといえば、同じような図を四国電力も積極的に出して、もっと一般の人に分かりやすく言ってほしいということがあります。中国電力の方はまだ設置許可申請さえも出してないんですよ。でも今みたいにパッと見て誰にでも分かるような図がどんどん出ているわけです。だからそれを一つのサンプルとして、伊方のプルサーマルでもこのような変化をするんだと説明するために出したわけです。だからこそMOX燃料はウラン燃料より燃焼度を抑えて使われる計画になっているんです。けれども、最初こそ控えめな条件で使われますが、私が冒頭の説明で言いましたように、いずれは燃焼度も引き上げられることは間違いありません。
 何故かというと、ウラン燃料が4サイクル。それに対してMOX燃料は3サイクルで取り出すという特別扱いがいつまでも出来るとは私は思っていません。それは、これから電力業界も自由化で競争が大変になりますからコストを下げたいという圧力は当然出てきます。そうしますとウランもMOXもほぼ同じ燃焼度まで燃やし、サイクルも同じに合わせたいという動きが当然出てくるわけです。現にフランスでそれが出ています。フランスはその計画を規制当局がストップさせていますけれども、そういうことを見ましても、私は将来の問題としてあるということを指摘しておきたいと思います。
 それから、工藤先生はこの伊方プルサーマルの安全審査を直接担当されたのではないかと思うのですが、その安全審査を見ますと、いろんな事故解析が行われていまして、量的にはそれ程大きくはないですけれども、確実にウラン燃料よりもプルサーマルがより危険サイドになっているということが数値的にも出ているわけです。例えば制御棒飛び出し事故時の燃料の発熱量がMOX燃料でより大きくなるとか、冷却材喪失事故――空焚き事故ですね、その時の燃料被覆管の最高温度も、プルサーマルをすることによってより高くなっておりますから、それらも安全余裕が減っていることの証左として言っておきたいと思います。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございます。ご指摘になられた安全余裕の低下つまり安全性の課題というところは、それを踏まえて設計をしているあるいは運用でそれは対応出来るというお答えなんですけれども、テーマとして安全性についての課題はどこにあるのかというのはご指摘の通りですね。それを実際に設計でカバー出来るか、運用でカバー出来るかというのが議論のポイントという形になってきます。
 それでは舘野先生、短くお願いします。

【舘野】
 私は今の炉工学的なことは素人ですので余り発言しませんけれども、やっぱりプルトニウムが入っているということは潜在的危険性では非常に大きいわけですね。普通の燃料でも1%ぐらい使用済に入っていると言いますけれども、10%も入っていると、これはもうケタが違ってきているわけで、それに対して事故があったとしても、プルトニウムというのはそんなに簡単に外部に出ていかないんだということを言いますけれども、それは一定の仮定を置いた上で事故解析をしているわけで、事故があった時、よくそれは想像もしていなかったなんていう話がありますけれども、どんなことがあって事故は起こるか分からないわけですね。現に今でも地震の話がありますけれども、地震があって、老朽化していて、それで例えば新しい燃料でもいいですから、その燃料貯蔵施設が壊れてその燃料が破損するというふうなことだって可能性としてはないわけではないわけで、今の安全審査の網から外れたところで事故が起こる可能性は十分あるんです。現に安全審査というのは設計基準事故というのがありまして、そういう設計の基準的なものに関わる安全審査はやっていますけれども、とんでもないことが起こった時には安全審査の埒外ですよということはあるわけですから、そういうことをあれすると、やっぱりプルトニウムがたくさん入っているということに関しては潜在的危険性というのは十分考慮する必要があるんじゃないかというふうに思います。

【コーディネーター(中村)】
 ありがとうございました。済みません。まだご意見、反論がおありなのは十分分かっているのですが、やはりこの後の第2部の会場の皆さんとの質疑という時間をたっぷりと取りたいと思うものですから、予定通りに進めさせていただきますので、パネリストの皆様のご発言はその質疑の中でまたご発言いただくという形で何とか勘弁していただきたいと思います。
 ということで6人のパネリストの皆さんともう2時間以上にわたって非常に深い議論をしていただいたと思います。安全性についてはちょっと時間が足りなかったかもしれませんが、後程の会場の皆さんとの質疑の中でまたパネリストの皆さんのご意見を伺えればというふうに思っております。
 それではここで休憩を取らせていただいて、休憩の後、第2部の会場の皆さんとの質疑に入りたいと思います。パネリストの皆さん、まずは第1部ありがとうございました。(拍手)


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参加者のコメント・討論内容


■概略説明
概略説明


■パネルディスカッション
(各自意見)
内山 洋司
工藤 和彦

小林 圭二

舘野 淳
西尾 漠
山名 元

■パネルディスカッション
討論

■質疑応答
質問者1
質問者2
質問者3
質問者4
質問者5
質問者6
質問者7
質問者8
質問者9
質問者10
質問者11
質問者12
質問者13
質問者14
質問者15
質問者16
質問者17




愛媛県プルサーマル公開討論会