平成15年度(2003年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会(2004年3月23日開催)

一覧に戻る

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会 開催概要

1 日時

平成16年3月23日(火曜日)10時00分~11時50分

2 場所

愛媛県庁第1別館11階会議室

3 出席者

委員22名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1) 平成16年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画について
(2) 平成16年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画について

5 報告事項

(1) 原子力安全規制の強化(関係省令改正)及びその対応等について
(2) 伊方3号機充てんポンプの異常について

6 審議等の内容(全部公開)

(定刻になり、開会)

事務局

それでは、会長であります吉野内副知事から、御挨拶を申し上げます。

吉野内会長

(挨拶)

事務局

それでは、吉野内会長さんに議事の進行をお願いいたします。

吉野内会長

それでは早速、議事に入らせていただきます。はじめに、議題1の平成16年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画について、事務局から説明願います。

原子力安全対策推進監

では、平成16年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画につきまして御説明申し上げます。

(【資料1】に基づき、平成16年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画について説明)

吉野内会長

ありがとうございました。本調査計画については、技術専門部会で御検討を頂いておりますので、濱本部会長さんから、部会意見の報告をお願いいたします。

濱本部会長

調査計画について検討しました結果、専門部会の意見として、平成16年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画については、前年度の調査を基本的に継続するもので、見直し部分についても、迅速に広範囲の情報が得られる走行サーベイを採り入れ、緊急時モニタリングの準備体制強化に資するものであることから、適切なものと認められる旨、意見を取りまとめましたので、御報告いたします。

吉野内会長

ありがとうございました。本調査計画につきまして、何か御意見、御質問ございますか。

佐々木委員

サメに関する調査研究を行うとのことであるが、そんなにサメが取れるのかとも思いますが、採取するサメの種類ですとか、数、大きさ、回数はどのように行われるのか教えていただきたい。

衛生環境研究所環境調査課長

サメの種類としましては、食用にも供されておりますドチザメあるいはその種類のホシザメを対象とします。数量は年間30から60kgを、大きさとしては1メートルから1メートル50センチ程度のものになります。調査は通年で実施します。伊方町沖ほか対照地点も含めて県内3箇所の海域を対象として考えております。

現在はサメもお金にならないと言うことで、専門の漁師さんもおられないということですので、漁協ですとか、水産試験場の協力を得まして入手することとしております。

大元委員

サメに関連してですが、対象とするのはサメではなくて、我々が昔から言ってるノウクリにされたほうがいいのではないか。サメは歯のあるやつでノウクリは歯のないやつです、サメは上を回遊するがノウクリは底にいて非回遊性なのでそのほうが良いのではないか

衛生環境研究所環境調査課長

先程御説明いたしましたドチザメというのが、地方名でノウクリと呼ばれているもので、非回遊性でありますことから、今回対象に考えております。

佐藤委員

サメの調査で、伊方町及び全国から世界規模で比較ということであるが、世界規模のデータがあるのかという点をお伺いしたい。

衛生環境研究所環境調査課長

世界規模の調査は、愛媛大学の沿岸環境科学研究センターの協力を得ながら行うこととしております。実は、同センターの田辺先生とは従来より共同研究を行っておりまして、別のテーマで既に海外の学会誌にも投稿いたしております。センターの有する生体試料バンクの試料を提供していただいて、新たに分析する予定としております。

武岡委員

細かい話なんですが、昨日の専門部会で指摘しておくべきでしたが、生体試料バンクとありますが、正式名称は生物環境試料バンクですので訂正をお願いします。

衛生環境研究所環境調査課長

訂正いたします。

吉野内会長

その他ございませんでしょうか。

ご質問もないようですので、議題1の平成16年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画については、当委員会として「適切である」旨意見をとりまとめ、知事に報告させていただきたいと思いますが、ご了承いただけますか。

(異議なし)

それではそのようにさせていただきます。

次に、議題2の平成16年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画について、事務局から説明願います。

水産課長

それでは、平成16年度の温排水影響調査計画につきまして、ご説明させていただきます。お手元の資料2-1をご覧いただきたいと思います。

(【資料2-1】に基づき、平成16年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画について説明)

吉野内会長

ただいま説明がありましたように、温排水影響調査計画につきましては、過去の技術専門部会での意見を踏まえて、最近の海洋観測技術の発達を取り入れるなどの高度化の検討がなされておりまして、一部は今回の計画に反映されているわけですが、高度化への取組状況全般について、四国電力から説明を願います。

>

四国電力(株)(原子力部長)

それでは、資料2-2に基づきまして、伊方発電所温排水影響調査の高度化に関する取り組みについてご説明をいたします。

(【資料2-2】に基づき、伊方発電所温排水影響調査の高度化に関する取り組みについて説明)

吉野内会長

ありがとうございました。この問題につきましても、技術専門部会の方でご検討頂いております。濱本部会長、よろしくお願い致します。

濱本技術専門部会長

それでは、技術専門部会の意見をご報告致します。平成16年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画については、前年度の調査を基本的に継続するもので、新たに流動調査に導入されるドップラー流向流速計による曳航測定についてもより詳細な流況の把握が可能となるものであることから、適切なものと考えられる旨、意見を取りまとめましたので、ご報告致します。

なお、調査の高度化ということにつきましては、四国電力が引き続いて試験測定を行う事になっておりますので、一年後に平成17年度の温排水影響調査計画を検討する際に合わせて、その結果を踏まえて検討したいと思っております。

それから、高度化のことに関しまして、この領域の専門家である技術専門部会の愛媛大学の武岡先生から補足させて頂いたらと思います。

武岡委員

先程もちょっとご紹介ありましたように、高度化につきましては、2年前に私の方から、従来、非常に古い方法とか考え方が使われていると。もう20年、30年経ってですね、その間に計測技術とか、非常に進歩してきているわけですが、以前のままやっているということで少し見直したらどうかということを私が申し上げまして、それをきっかけに高度化の取り組みがなされているということでございます。そういうことでございますので、全般的な高度化の方向というのは、非常に適切なものであると私自身は考えております。まず、16年度から導入されるというドップラーを用いるという方法でございますが、ドップラー流速計というのは、先程ご説明ありましたけど、舟から音波を出して、海中に漂っている粒子から返ってくる音を計測する事によって、いろんな深さの流速が瞬時にして測れるということで、今や全世界で使われている確立した技術ということになっております。一方のアンデラーの流速計といいますのは、20年前くらい前までは世界標準的なものであったのですが、今やもうかなり古くなっております。アンデラーの流速計というものは、固定点に繋留して使うというものですから、いわば電話で言いますと、固定電話みたいなものですが、ドップラーの場合は、舟で走りながらどこでも計れるということで、いわゆる携帯電話的なもので、しかも一瞬にしていろんな深さの層の流速を測るということですから、まあいわば電子メールで一度に、数十人、数百人の人にメールを配信するという様な、非常に優れた機器であるということでですね、先程の例もありました様に、非常に広範囲のしかも、細かい流れの状況が把握出来るということで、こういったものが導入されるというのは、非常に結構であろうというふうに考えております。

それから、17年度以降に向けた取り組みの中で、水質の連続自動観測、従来は年4回というわけだったんですが、連続的にとるというのは、非常に大きな意味がございます。現在、宇和海の方では、我々と愛媛県の水産試験場、それから、愛媛県漁連さんの方と協力しまして、宇和海沿岸8カ所に水温計を設置して、連続的にデータを衛星経由で送ってきて、一部は携帯電話でもございますが、これをインターネットのホームページで、常時見れるような形にしております。水温の変化が細かく分かるということで、宇和海でどういうことが起こっているかということが、常時把握できるような状態になっております。こういった連続的なデータをとることは、非常に大きな意味がありまして、我々が80年代半ばから宇和海で、連続的な水温データをとることを始めたのですが、それによって宇和海に対する我々の知識というのは、飛躍的に伸びたということがございます。そういうことで、伊方の方でも、水温だけでなくクロロフィルや濁度など、こういった項目も新しく本年度とられるということで、それには非常に大きな意義があると、単なるモニタリングというだけでなく、水産振興といいますか、そういった方面に対してもここから役立つような知識が得られるというような可能性があるのではないかと思います。非常に適切な取り組みであると、私は判断しております。

吉野内会長

ありがとうございました。何かご意見ございますか。

佐々木委員

これは、四国電力さんというよりも、専門の武岡先生から、今、高度化についての説明があったわけですが、いわゆる温排水の調査につきまして、高度化の方向が17年度から実施をしたいという構想で、既に15年、16年のある程度の調査で成果がえられているということですが、いわゆる水質連続の自動測定器の導入に伴いまして、今回の計画から四半期毎の水質分析の調査範囲が2キロということで、現在よりも小さくしたいというのが、これを導入することによってのいわゆる簡略ということになるのかと思いますが、そういう形で、今の武岡先生の説明で、非常に時代的にはこういう器具の導入が適切な調査ができるということでございますが、全体としては、従来、この図面を見ても従来は流速等の範囲が非常に広かった。今回は自動測定機を導入することによって非常に綿密に範囲が小さくなっておるという状況が見られる。図面からはそういう感じがするのですが、従来と同等以上の調査情報がこれの導入によって問題なく得られるのだということであるのかどうか、その辺りについて電力または武岡先生のほうから御説明いただけたらありがたいと思います。

吉野内会長

ではまず電力のほうからお願いします。

四国電力(株)(原子力部長)

先ほども先生方のご説明にありましたけども、この装置を導入することによりまして、さきほど説明しましたけども、水質の代表的な水温など6項目につきまして、全面海域の1時間毎のデータが測定できるようになっております。従来は把握できなかった経時的なデータが把握できるようになります。データの数で、概略比較しますと従来ですと一項目あたりだいたい年間で400個くらいのデータになりますが、今回、こういう連続のものでいきますと一時間毎のデータがとれますので、年間で9000くらいのデータ、一カ所でだいたい9000くらい、ということで、従来から比べますと20倍以上の情報が得られるのではないかと考えております。また先ほどの項目の中で濁度とかクロロフィル、これは調査していなかった項目ですけども、これも同時に測れるということで、従来に増して充実したものになるのではないかというように考えておりまして、こういう点から考えましても従来以上の情報が入手できるというふうに考えております。

吉野内会長

4キロから2キロになるということで、少し心配なさる向きもあると思いますが、武岡先生お願いします。

武岡委員

少し補足しますが、水質というのは水が動いているということをお考えいただいたらと思うのですが、ここは潮が結構速くて行ったり来たりしております。ですから水質をある場で測った場合に、その場所の水質であるといいながら、実はその前に他のところにあったものであって、必ずしも分布というものが完全にこの場所のものであるということではなく、潮時が変わればどんどん変わるというようなタイプのものです。しかも、ここは先ほどいいましたように、潮が結構速くて海水も比較的よく混ざっている。ということは、ある場所で、1カ所でとっても、その周辺の水質をかなり代表しているということになります。それから、先ほど少しこれの説明もありましたが、潮の動きが大体30センチとして、上げ下げの間に4キロくらいということですが、ここはもう少し大潮になりますと速いですから、50センチ、1ノットくらい出ますので、その間ですと7キロくらいは動くわけですね。ですから、結構動いており、範囲としても広範囲のものをとっているということになります。さらにこれは従来の年4回だけではなくて、ずっと連続的に測るということは、実はもっと遠くにあったものがいずれやって来たものまで測ることができるということでして、従来のような細かい分布図というのは少し描けないかもしれませんが、モニタリングの意義としては、非常に大きなものがあるというように思います。

吉野内会長

ありがとうございました。佐々木委員よろしゅうございますか。そのほかご意見ございますか。よろしいですか。

それではこの2番目の議題でございますけれども、調査計画については適切であるということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

これで一応、今日予定している議題は終了するわけでございますが、続いて、報告事項がございます。国におかれましては、東京電力の不正問題を受けまして、法規制等いろいろ行われておられます。そのご説明をお願いいたします。

原子力安全・保安院

お手元の資料の3-1に則して、一昨年秋の法律改正を受けての昨年10月の省令改正によって、新しい安全規制の内容がどうようになっておりますかということにつきまして、この場をお借りしてご説明を申し上げます。

(【資料3-1】に基づき、原子力安全規制の強化(関係省令改正)について説明)

吉野内会長

ありがとうございました。それでは、この規制強化等に対しまして、四国電力の方での対応状況や自主的な保安対策、安全対策等を説明願います。

四国電力(株)(原子力部長)

対応状況につきまして、資料3-2に基づきましてご説明いたします。

(【資料3-2】に基づき、原子力安全規制の強化(関係省令改正)への対応等について説明)

吉野内会長

ありがとうございました。ただいまご説明ありました保安院の説明、それから四国電力の説明に関しまして、ご質問ございましたらどうぞ。

谷藤委員

原子力安全・保安院にお伺いいたします。新たに検査等を行う独立行政法人が設立されましたが、なぜ国が直接規制業務を行わないのか、このような体制とすることに、どのような理由や利点があるのか、教えて頂きたいと思います。また、報道や担当者からの説明によりますと、この法人には、電力会社や原子力メーカーの社員が出向しているということですけども、適正な規制・監督はできるのか。この点についてどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。

原子力安全・保安院

質問2点いただきましたので、順次お答えさせていただきます。まず国が直接規制を行わない理由に関してですが、先ほど申し上げたことと関連ございますが、必ずしも国として直接規制を行わないということではなくて、検査の内容に応じて分担をすると、こういう考え方でございます。やはり当然、検査には責任がございます。従って独立行政法人も組織としてはというより、国としてやることになりまして、彼らがした検査結果については、我々としてもきちんと把握をして、内容上、問題がないということを確保するということでございます。一方、どうして国のほうで直接やらないのかということに関しましては、以前に、発電技研という法人で検査をした結果について記録確認をするという形で定期検査をするという一部検査がございまして、実はそういう意味で、検査のやり方として、外部の能力なり経験を有する場を活用しながらするという、こういうやりかたは今回の見直しの以前からあったということがございます。背景として、何故今回、独立行政法人なのかということにつきましては、大きな公益法人の見直しの流れがありまして、その中で発電技研に代わる、公益法人ではなくてもっと国に近い組織を作るという話がもともとあったという経緯もありまして、今回独立行政法人の設立を若干早めて、本件に対応することとしたというのが1つ目のご質問への答えでございます。

2つ目の電力会社等からの出向者ということでございますけれども、これは大変もっともなご指摘でございまして、答えから言うと、大丈夫でございますということなんですけれども。簡単に申し上げると、さきほど申し上げた一昨年の、秋の法律改正の頃に、独立行政法人を作るという法律も合わせまして、国会で審議をしておりますけども、その際にも、先生方から、規制する側に電力関係の者を配置するのは非常におかしいと、厳しいご指摘をいただきまして、結果として、附帯決議と申しておりますけれども、法律を、国会を通していただくときに、電力なりメーカーなりの民間からの出向者を規制に直接携わらせてはいけないと、こういう決議まで国会の衆参両院でいただいております。したがって現在出向者は確かにおりますけども、これは規制を直接やる部署ではなくて、それ以外の研究なり開発なり、そういった部門に配属をする、こういう形で対応するようにしています。以上です。

吉野内会長

わかりました。そのほかございませんか。有吉先生、どうぞ。

有吉委員

四国電力さんにお伺いしたいのですが、安全管理の新規な取り組みに期待しておりますが、昨年、点検対象を取り違えるとか、薬品の洗浄水を誤って流すとかありましたけども、今回のこういった取り組みによってそういうミスも減らせるのかどうか、人為的ミスを軽減するための具体的な取り組みも含めてお聞かせ願えればと思いますが。

四国電力(株)(原子力部長)

ご指摘にありました、設備を取り違えるとか、ヒューマンエラー、これにつきましては、今回の新たな規定があるなしに関わらず、これは我々の永遠の課題ということで、毎回毎回取り組んでおります。特にヒューマンエラーにつきましては、やはりこれは従業員、あるいはそこで働く人、全体の意識をふるい立たせないといけない、かけ声だけではいけないということで取り組んでおりますので、その効果は順次出てくると考えております。これとは関係なしに取り組んでまいります。

吉野内会長

よろしゅうございますか。そのほかございますか。どうぞ。

三宅委員

ただいま原子力安全・保安院の方から説明ございましたが、健全性評価基準について、伊方発電所は加圧水型軽水炉でございます。この場合にこれがどういうふうに適用されていくのか、聞かせてもらえたらとおもいます。

原子力安全・保安院

お答えいたします。いわゆるPWR、加圧水型の発電所で、1次系の対象となる箇所は圧力容器と加圧器、蒸気発生器ということになって参ります。このうち圧力容器が、加圧器と蒸気発生器とは少し取り扱いが違いますけども、圧力容器と加圧器につきましては維持基準に従っていわゆる超音波探傷検査という検査をして、この検査の結果、ひびのようなものが検出されるかということがポイントです。そして、ひびのようなものが検出されました場合には先ほどご説明しましたように評価していくということです。蒸気発生器につきましては、そういったひびを検出して評価するのではなくて、ひびなど見つかった場合には、基本的には修理をして対応するということにしており、修理というのは基本的には、1600本になり、たくさんの管がございますので、そのうちの一部であれば、その管自体を使わないように、施栓という栓をして使わないようにするということをして、そこを通じてたとえばそれ以上のひびが進んだりとか、そこから漏れたりとか、そういうことのないような措置をする、そういう形で対応するようにしております。

吉野内会長

どうもありがとうございました。どうぞ

菊池委員

さきほどの保安院のご説明について、少し伺いたいのですが、12ページの中に、今のご質問にも若干関係をするわけですが、構造物の破壊限界を考慮して一定の裕度をもって設定という話が書いてありますが、実際には設計強度、安全水準、破壊限界、これをどういうレベルに設定するかということが、大変大事な話になるという気がいたします。何か具体的な例で設計強度、安全水準、破壊限界というのを、どのくらいのレベルで設計しているのかという、もし実例があれば、ご説明していただければ大変ありがたいのですが。

原子力安全・保安院

非常にもっともなご質問でございますが、私、今この場でですね、これについて具体例をお示しする材料というものを持ち合わせておりませんで、もしさしつかえなければ、県の方を通じて、そういった資料がお手元に届くような格好で対応させていただければと思いますが。

菊池委員

わかりました。

吉野内会長

後ほど対応するようにいたします。そのほかございませんか。どうぞ。

辻本委員

前回の時、きいたのですが、超音波の探傷試験で計りましたら、数字でははっきりしませんが3ミリか4ミリやらで、破壊試験をしましたら4ミリ以上あったとかで、超音波探傷技術が要するに十分でなかったとかいうお話もあったのですが、そういう機械的な超音波技術はその後、大分進んだり、改良されたのでしょうか。

原子力安全・保安院

そこは超音波探傷試験を適応する部位にもよると考えますが、再循環系配管に対する、PWRではあまり関係ないかもしれませんが、これについての検査技術という意味では検討を進めているところでございます。ご質問の内容でございますが、超音波探傷試験について、これまでにいろいろ問題があるといわれた点、多々ございますが、そういうことついての保安院としての見解をお知りになりたい、こういうことでございましたら、実は同じような問題をほかの地域の方からもお聞きいただておりまして、お答えをする材料がございます。これも県の方のほうにお渡しを後でさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

辻本委員

はい。

吉野内会長

他、ございますでしょうか。

中元委員

この機会に原子力安全・保安院にお願いをしておいたらと思いますが、のちほど四国電力から説明があるようですけれども、先日の充てんポンプのC号機のあの故障、あれなどは東京電力がいろいろなデータを改ざんしたり報告義務を怠ったりという、法律に違反した発電所で起きた事故というのでなくて、法律を遵守していた四国電力伊方発電所の事故ということになりますと、私はまだなにか国の安全規制に手抜かりがあるのではないかな、まだまだ不備な点があるのではないかなという気がいたします。特に最近は電力の自由化などによって、電力会社の経営が非常に厳しいという、そのようなことをよく聞きますが、そのようなことによって安全規制に齟齬をきたさないような、もっと綿密な規制を強いていただきたいと地元の住民としては感じておりますので、よろしくお願いをいたしたいと考えております。

吉野内会長

それは、要望ということでよろしいですか。このことについてなにか。

原子力安全・保安院

今回の規制で事業者がやるべきことというのは増えてきました。そのうえで規制に対応するコストというのは増えてきておりまして、今までにも増して、規制庁として、きちんとやっているかどうかということを確認をしながら、安全の確保に努めてまいりたいと考えております。

吉野内会長

ありがとうございました。その他ございませんか。どうぞ。

代谷委員

今の規制の関係でお話が出ましたので、ちょっとこの機会に規制当局のほうにお願いしたいことがございます。ともすれば規制を強化すれば安全が保てると考えられるのですが、私はそうではないと思っております。規制の一番重要なのは、規制の実効を上げるということで、本当に実効ある規制にするにはどうすればいいかということを考えていただきたい。規制をどんどんどんどん厳しくしていきますと、規制をすり抜けるということが必ずおこってきます。これは禁酒法をやっても全然意味がなかったというのと同じだと思うのですね。ですから、そこの部分は実効ある規制にするにはどの程度の規制にするのが最適か、ということをぜひ規制当局で一番の課題として検討していただきたい、というように思っております。それから四国電力さんの方につきましては、わたしも実は一方では、研究用の原子炉を持っておりますので事業者側なのですが、やはり、自らの持っている装置を、他の方々にご心配いただくよりももっと自分たちが先にたって心配することが必要なのではないかと思います。ヒューマンエラーを防ぐのこれは人間のことなので、現実には数学的に0にするということはありえないと思います。それをできるだけ少なくするには、どうすればよいかということをお考えいただきたい。これは、私のことも含めて、自戒の念をこめた発言でございます。

吉野内会長

ありがとうございました。なにかコメント等ございますか。

原子力安全・保安院

まさにご指摘ごもっともでございまして、われわれとしても、もう、地元の方の関心は、もはや規制の内容はなにかということにとどまらず、その規制を使ってどれだけの安全を確保するのかということに関心が移っておられる、我々、法律ができたころから、いろいろな場面で痛感しております。法律がきちんと機能しているということを、いろいろな場でお示ししていくことが、我々の務めだと思っております。

吉野内会長

ありがとうございました。そのほかございますか。

渡部委員

先ほどのヒューマンエラーということについてですけれども、先ほどの先生方の意見と非常に同感です。規制を強化することはとっても大事なことなのですけれども、それをいかに厳しく遵守していくことがもっと大事だと思います。四国電力さんも、伊方ネット21を始め、いろんな安全確保のための事業に取り組んでいるだろうと思うんですけれども、安全であればあるときほど、社員教育というものを徹底して、社員の心の問題ということにも取り組んでいただき、たえず前進していただきたいなというのが住民の声だろうと思います。

吉野内会長

ありがとうございました。四国電力からなにか。

四国電力(株)(原子力本部長)

ご意見いただきまして、ありがとうございます。おっしゃるとおりで、私どももそういうことを痛感して何年にもなるのですが、今日もいろいろ刺激になるお言葉をいただきまして、さらにいっそうよい集団にしていくようがんばっていきたいと思います。ありがとうございました。

吉野内会長

その他ご意見等ございますか。

それでは、この問題につきましては、国の原子力安全・保安院におかれましては、いままでのご意見をご参考にされ、監督官庁としまして、今後とも厳正な指導監督をお願いしたい。そしてその実効性の検証を図られまして、必要な充実強化をお願いしたいと思います。また、四国電力におきましては、関係法令を遵守するのは当然でございますけれども、先ほどありましたようにハード面の問題に加えまして、品質保証体制などの問題につきましても、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

最後になりましたけれども、去る3月9日に発生いたしました3号機のトラブル、これにつきましては、環境に影響はなかったとはいうものの、微量の放射能が環境へ漏れたというきわめて遺憾な事態に至りました。県といたしましては、四国電力に対し早急な原因解明と再発防止対策の徹底を求めているところでありますけれども、この場におきまして、四国電力から、トラブルの概要及び原因調査の状況につきまして、改めて報告をお願いします。

四国電力(株)(原子力部長)

今回の充てんポンプC号機の異常につきましては、微量とはいえ放射性物質を放出したということ、また、皆様にたいへんご心配をおかけしましたことを、ここでお詫び申し上げます。

では、資料4に基づきまして、ご説明いたします。

(【資料4】に基づき、伊方3号機充てんポンプの異常について説明)

今後、引き続き、調査と監視強化を継続しますとともに、原因の特定を行いまして、再発防止対策に万全を期して行くこととしております。また、調査結果がまとまり次第、ご報告させていただきたいと思っております。以上でございます。

吉野内会長

今、四国電力の方から、さらに原因調査を進めるということでございますが、委員の皆さん、なにかご質問等ございますか。

藤川委員

動く機械は必ず壊れるものなのですが、四国電力さんでは、耐用年数を含めて常時ご検討いただいていると思うのですが、やや著しい損傷があったのですが、耐用年数との関係はいかがでしたかということと、あと、1、2号機のポンプはピストン型をお使いだと思うのですが、これだけうず巻き形となっておりますが、このうず巻き形を採用した経緯というようなものも教えていただけたらと思います。

四国電力(株)(原子力部長)

はい、耐用年数との関係ですけれども、こういう機械ですので、一部の取替部品、軸受けであるとかシールの部分、これは3年ごとに取り替える。軸そのものは取り替えるということはないのですけれども、一応、予備として一つ持っております。我々としてはこういう形で折れるとは思ってないわけで、なぜこうなったかということは、これから詰めていきたいと考えております。

海外とか国内でもこういう横置きのものが折れたという実例はあります。

そういうことを全部反映しているものが伊方に入っているというふうに考えておりまして、それがなぜこうなったかということについては今後調査してまいりたいと考えております。

それから、なぜうず巻き形にしたのかということについては、往復動式でもいいのですけれども、どちらかというと、往復動式よりもうず巻き形の横置き形の回転型のほうが機械の振動が少ない、ということはそれにつながっている配管の振動が少なくなるということで、こういう横置き形の回転式のものを採用している、主にはそういう理由です。これらについては、原子力以外の火力等にも導入しておりますので、そういう実績等も考えて採用しております。以上でございます。

吉野内会長

藤川先生よろしゅうございますか。その他ございますか。

それではいろいろとご意見も出尽くしたようでございます。この件については、放射能が外部に出たということは、重大なことでございますので、今後とも原因究明をされて、県民の安全、安心につなげていただきたいと思います。

また、今までの事故でございますけれども、異常の通報件数、これが確認書改正当時と比べましたら少なくなってございますが、平成13年度以降はほぼ横ばいでございます。特に今年度は3号機が多くなっております。早めの部品交換、あるいは予備的予防的な保修により、異常の発生そのものを低減するよう、あわせて要請しておきたいと思います。

以上をもちまして、本日の会議を終了いたします。

長時間、委員の皆さんありがとうございました。これにて終了いたします。

(閉会)

[委員会事務局]
県民環境部環境局環境政策課原子力安全係
電話番号:089-941-2111(内線2352)
ファックス番号:089-931-0888

伊方原子力発電所環境安全管理委員会次第

日時 平成16年3月23日(火曜日)10時00分~
場所 県庁第1別館11階会議室

1 開会

2 議題
(1) 平成16年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画について
(2) 平成16年度伊方原子力発電所温排水影響調査計画について

3 報告事項
(1) 原子力安全規制の強化(関係省令改正)及びその対応等について
(2) 伊方3号機充てんポンプの異常について

4 閉会

資料目次

質疑への回答資料

GET Adobe Acrobat Reader
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、
Adobe Acrobat Readerが必要です。
Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、
バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。
伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況
メニュー
ページの先頭へ