平成15年度(2003年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2003年9月3日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要

1 日時

平成15年9月3日(水曜日)13時30分~15時40分

2 場所

愛媛県自治会館5階大会議室

3 出席者

委員8名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1) 平成14年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成14年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3) 伊方発電所における高燃焼度燃料採用に係る安全審査結果等について

5 報告事項

(1)平成14年度伊方発電所異常時通報連絡状況について

6 審議等の内容(全部公開)

(定刻になり、開会)

事務局

それでは石川県民環境部長から御挨拶を申し上げます。

県民環境部長

(挨拶)

事務局

それでは、濱本部会長さんに議事進行をよろしくお願いいたします。

濱本部会長

それでは議事に入らせていただきます。
まず、はじめに議題の1と2、1の平成14年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果及び2の平成14年度伊方原子力発電所温排水調査結果について御審議いただきます。資料はあらかじめ皆様方の手元に届いて、お目を通していただいていると思いますが、一括して事務局の方から説明をお願いいたします。

原子力安全対策推進監

原子力安全対策推進監の大平です。
それでは、平成14年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果につきまして御説明申し上げます。
(【資料1】に基づき、平成14年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について説明)

水産課長

それでは続きまして、平成14年度の伊方原子力発電所温排水調査結果について御説明をさせていただきます。
(【資料2】に基づき、平成14年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について説明)

濱本部会長

どうもありがとうございました。ただいま説明のありました2つの調査結果について、何か御意見等ございますでしょうか。

濱本部会長

これまでと特に変わったことはないということでありますが、辻本先生、環境放射線の測定結果について何か御意見がありますでしょうか。

辻本委員

辻本でございます。
ただいま報告がございましたように、特に特異な結果はございませんでした。ただガンマ線線量率の場合、平均値プラス標準偏差の3倍を超えるような測定値がみられている時がございますが、原因を調査されまして、降雨によるものであると確かめられておられます。さらに、その場合にガンマ線のスペクトルも解析され、人工的なものが含まれていないと言うことをきちんと確認されておりますので、この膨大な調査は非常に大変だったと思いますが、調査結果について、異常はないものと私は思います。

濱本部会長

どうもありがとうございました。その他特に何がございますでしょうか。はい、どうぞ。

恵委員

もう少し早く気が付けばよかったのですけれども、別に間違いじゃないのですけれども、35ページの図26に、14年度の積算線量測定結果と、平成4年から平成13年度までの平均値に標準偏差の3倍を加えた値を図示してくださっております。これでみますと14年度の積算線量測定結果を示す実線の濃い線の方が、平成4年から平成13年度までの平均値に標準偏差の3倍を加えた値の範囲に入るのが正常でございますが、伊方町役場の所は濃い線が上になっております。これは前の表3の脚注を見れば何も問題はなく、定点が変わったためにこのような結果になったわけでございますが、図26のところには何もそのようなことが書かれておりませんので、この図26のところに表3-3のような注をちょっと入れていただくと、さらに充実したものになるのではないかと思うのですけれども。

濱本部会長

よろしゅうございましょうか。

原子力安全対策推進監

そのようにさせていただきます。

濱本部会長

どうもありがとうございました。温排水影響調査結果については、今日御欠席ですけれども御専門の武岡先生から御意見をお預かりしておりますので、御報告させていただきます。
「水質調査、拡散調査、生物調査のいずれの調査についても過去の調査結果と比較して特異なものはなく、問題となるものは認められない。また、定格熱出力一定運転の導入に当たっての管理委員会の意見を踏まえ、海水温の低い冬季に拡散状況調査が追加実施された結果、拡散面積はこれまでの調査結果の範囲内であり、特に問題は認められない。」という御意見をいただいております。
この問題は、よろしゅうございましょうか。

各委員

(異議なし)

濱本部会長

そうしましたら、明日の安全管理委員会には、この部会としての意見を取り纏めて御報告いたしますので、案として次のようなことでよろしいでしょうか。「両調査結果とも過去の調査結果と比較して同じ程度であり、問題となるものは認められない。また、温排水影響調査においては、定格熱出力一定運転導入に当たっての管理委員会の意見を踏まえ、海水温の低い冬季に拡散状況調査が追加実施された結果、拡散面積はこれまでの調査結果の範囲内であり、特に問題は認められない。」このような意見として報告させていただいてよろしゅうございましょうか。

各委員

(異議なし)

濱本部会長

どうもありがとうございました。
次に議題の3でございますが、伊方発電所における高燃焼度燃料採用に係る安全審査結果等について、でございます。
まず、事務局から、この件に関しての経緯について、御説明願います。

原子力安全対策推進監

それでは、高燃焼度燃料採用に係る経緯につきまして、簡単に御説明いたします。本件につきましては、昨年3月に四国電力から県の方に安全協定に基づきます事前協議がございまして、本技術専門部会及び管理委員会にて審議をいただきました。その結果、「使用済燃料の減少やウラン資源の節約に資するものであり、国により安全性に基本的問題はないとされていることから、安全審査を受けることは妥当である。」との意見を頂いておりまして、県としては、昨年4月に、国への申請については了解をしたところでございます。その後四国電力では、経済産業大臣の方に原子炉等規制法に基づく原子炉設置変更許可申請を行いまして、国により安全審査が行われていたわけでございますけれども、去る8月13日に許可となりましたので、今回の議題とさせていただきました。よろしく御審議いただきますようお願いいたします。

濱本部会長

それでは四国電力の方から説明をお願いします。

四国電力株式会社(原子力部長)

四国電力の石崎です。資料3-1に基づきまして御説明いたします
(【資料3-1】に基づき、高燃焼度燃料(ステップ2)採用計画の許可申請内容等について説明)

濱本部会長

ありがとうございました。引き続きまして、原子力安全・保安院の方から安全審査の結果について、御説明よろしくお願いいたします。

原子力安全・保安院

原子力安全・保安院で、統括安全審査官をしております小原と申します。隣におりますのが本件について一緒に審査を担当しておりました田村審査官でございます。共々よろしくお願いいたします。本件、四国電力からの申請によります原子炉の設置変更許可申請につきましては、冒頭事務局から御説明がございましたように、昨年4月に申請がございました。これを受けまして、我々で慎重かつ厳正な審査を行ってきて参りまして、今般、許可を行ったというものでございます。なお、原子炉等規制法の中に許可の基準というものがいくつか規定されております。その中に、たとえば、平和利用であるとか、計画的な遂行であるとか、経理的基礎とかに加えて、災害の防止上支障のないものであることという要件がございます。いわゆる安全確保というものでございます。最後の我々の判断に当たりましては、内容によりまして、原子力委員会あるいは原子力安全委員会の意見を聴いた上で、判断を下すということで、これらの審査の過程の中で、原子力委員会、原子力安全委員会からも問題ないという判断を受けて許可に至ったというものでございます。本日はこの中で安全に関わるものにポイントを絞りまして、審査結果の御報告をさせていただきます。具体的な御説明につきましては、田村の方から御説明させていただきます。

原子力安全・保安院

原子力安全・保安院原子力発電安全審査課の田村でございます。よろしくお願いいたします。
(【資料3-2,3-3,3-4】に基づき、高燃焼度燃料(ステップ2)採用計画に係る安全審査結果等について説明)

濱本部会長

どうもありがとうございました。只今説明のありました高燃焼度燃料採用に関わる安全審査結果等について、何か御質問ございましたら。

藤川委員

四国電力さんにお尋ねしたいんですけれども、資料3-1につきましてですね、高燃焼度燃料をお使いになることで、燃料資源の有効利用ができるとか、再処理処分において燃料のかさの減少で効率化ができるということをお書きになっておられまして、それはそのとおりであると存じますけれども、一方で周辺環境の安全ですとか、処理処分の安全のことを考えますと、炉内で発生・蓄積する放射能の総量はどうなるのかということを、一つ御確認させていただきたいと思います。
それとですね、第二点として、敷地境界の線量、内部被ばく、外部被ばくに関わる線量の評価におきまして、本燃料を使用することで、具体的に従来と比べてどれくらいの線量の変化があるのか、その辺についても併せて御説明いただきたいと思います。

四国電力株式会社

お答えいたします。2点あったかと思いますが、まず、放射能量が増えるかどうかということでございますけれども、運転中と使用済燃料になったときと、この2つに分けて御説明したいと思います。
運転中の放射能量につきましては、核分裂により発生するヨウ素など短半減期核種が支配的でございます。したがいまして、ステップ2燃料を採用いたしましても、原子炉出力を変えるわけではございませんので、核分裂生成物の数も変わらないため、支配的な短半減期核種の量は変わらないということから、運転中の放射能はほとんど変わらないというふうに考えております。
続きまして、使用済燃料の方でございますけれども、使用済燃料プールに取り出しまして冷却する訳でございますが、短半減期核種は急速に減衰して参ります。そういたしますと比較的長い核種、ストロンチウム-90とかセシウム-137、これらが主要核種となって参ります。これらにつきましては、やはり使用期間の長いステップ2燃料の方が蓄積量が若干多いということになります。しかしながら、その量は10年ぐらい冷却した場合で、だいたい一体あたり15%ぐらい多いというものでございますが、一方、一取替あたりの量にいたしますと、これは2割減りますので、トータルといたしますと10年冷却で8%ぐらい少なくなるのではないかというふうに考えております。
つづきまして、周辺環境への影響評価につきまして御説明いたします。資料の14ページで御説明いたしましたように、ステップ2燃料導入後の気体廃棄物及び液体廃棄物の放出に起因する実効線量、これは変更前の年間約12マイクロシーベルトから、変更後は年間約11マイクロシーベルトに、約1マイクロシーベルト下がるという御説明をいたしました。この変化に影響する因子でございますが、大きく三つございます。
1つは、環境への放出量でございます。放出量につきましては、先ほど御説明しましたように、炉心に内蔵される放射能量が変わりませんので、環境への放出量につきましては、燃料全体のうちの1%の被覆管が破損しているという仮定を入れまして放出量を評価しておりますが、内蔵される放射能量が変わらないため、環境への放出量もほとんど変わっておりません。
2つ目の影響因子は気象条件でございます。気体廃棄物が環境へ放出された後の拡散評価に用いる気象条件につきましては、従来、昭和57年から58年にかけた一年間のデータを使っておりましたが、約20年経過しましたので、今回平成13年の最新の気象データを使うようにいたしました。その結果といたしまして、若干風速が上がっておりますので、拡散がよく進む方向になります。つまり、環境中の放射能の濃度が少し下がる方向に働いております。
3つ目の影響因子は、ICRPの90年勧告の採り入れでございまして、これによりまして、各核種の人体への線量への換算係数、これが変わりました。液体廃棄物中のコバルト-60なりセシウム-137は換算係数が下がりまして、ヨウ素は上がりました。
こういう三つの影響因子が作用しておりまして、資料14ページで申しあげますと、表にありますように、気体廃棄物中の希ガスのガンマ線実効線量は、先程の気象条件変更が効きまして、変更前は約6でございましたが、変更後は約4.7へ下がっております。それから液体廃棄物中の放射性物質による実効線量は、ICRP勧告の採り入れが影響いたしまして、変更前は約4でございましたが、変更後は約2.8へこれも下がっております。最後にヨウ素による実効線量は、ICRP90年勧告の採り入れの影響で、変更前は約2でございましたが、変更後は約3.5に上がっております。これらを合計いたしまして、変更後は約11ということで、変更前よりも若干下がっているという結果になっております。以上でございます。

濱本部会長

よろしゅうございますか。その他どなたかございますか。
有吉先生。あ、失礼。恵先生、どうぞお先に。

恵委員

すみません。原子力安全・保安院の方にお伺いしたいのですけれども、濃縮度が増加いたしましても、炉の制御能力というのは問題ないということでございますが、その制御能力はどのような項目について評価なさったのか、それで十分かどうかということをお伺いしたいんですけれども。

原子力安全・保安院

はい。御質問のありました炉の制御能力の関係でございますが、炉心での制御能力といたしましては、審査書の方、11ページ目、こちらの3段落目と4段落目、こちらに制御棒クラスターそれからホウ素の濃度調整につきましての各種の反応度変化に対しまして、1、2号炉につきましては0.05Δk/k、こちら制御棒クラスターでございますが、ホウ素につきましては0.17Δk/k、3号炉につきましてもそういった具体的な数値があり、こういった反応度制御能力を有しているということです。それから4段落目に書かせていただいておりますが、いずれも1,2,3号炉で0.018Δk/kという反応度停止余裕、この余裕の確保というものがなされているかということを評価しておりまして、十分余裕を持って原子炉を停止することができるということを確認いたしております。以上でございます。

濱本部会長

よろしいでしょうか。それでは、有吉先生。

有吉委員

保安院の方にお尋ねしたいのですが、先程の御説明で、燃料の健全性それから過渡事象2つについて、クロスチェックなさったということですが、申請者側の四国電力と国側との違いはどこにあるのでしょうか、考え方はどんなところが違うのでしょうか、そのあたりを教えていただきたいのですが。

原子力安全・保安院

クロスチェックでございますが、まず我々の審査に当たりましては、申請者がまず評価してくるわけでございます。その評価が適切になされているか、その解析方法が妥当かということをまず確認するということでございます。その中で、ここで拾い出しております2つの案件につきましては、本件の変更申請の特徴に鑑みて、特にポイントだろうということで拾い出した2項目でございます。具体的には、原子力発電技術機構の方に解析を委託したということでございますが、申請者が使用した解析コードとは別個の解析コードをまず使うということ、それから解析に用いるパラメータ設定につきましても、別個に適切な保守性を持って設定をして解析を行うということで、申請者とは全く独立の形での解析結果を得て、申請者の解析結果と比較することによって、申請者の解析の妥当性を確認するということを行ってございます。

濱本部会長

よろしゅうございましょうか。はい、どうぞ。

有吉委員

その設計コードと申しましょうか、そういうものの信頼性は検証されているのでしょうか。

原子力安全・保安院

用いる解析コードにつきましては、まず、国が委託しまして解析コードを開発するというところからやっております。その開発の過程におきまして、実験データと検証して、開発コードの妥当性を確認して、準備をするということをやっております。今回適用した解析コードにつきましては、既に適用することが妥当であると準備されている解析コードを使用して解析を行っております。

濱本部会長

三宅先生、どうぞ。

三宅委員

四国電力と原子力安全・保安院の方にお伺いしたいのですが、燃料集合体として、最高燃焼度を云々評価されておりますが、集合体をもう少し細かく見まして燃料棒やさらにペレットとしての最高燃焼度についての評価もなされておられるのでしょうかお伺いします。

濱本部会長

それでは、四国電力のほうから、まず。

四国電力株式会社

お答えいたします。ステップ2燃料につきましては燃料集合体当たり55,000(MWd/t)ということで設定しておりますけれども、この設計の中で、例えば燃料棒の解析とか、例えば内圧評価、こういうものにつきましては、棒単位でということになりますので、これにつきましては、燃料棒の最高燃焼度61,000(MWd/t)まで評価しております。また、燃料中の燃料ペレットの最高温度、これにつきましてはペレット単位で評価いたしますので、ペレットの最高燃焼度といたしまして、71,000(MWd/t)まで評価してございます。以上です。

三宅委員

もうひとつお願いします。
パブリックコメントの方から、海外炉での試験データというのは、総じて燃焼度が低いという意見があるようでございますが、高燃焼度域の被覆管等についての試験データというのは十分おさえてございますのでしょうか。

濱本部会長

四国電力の方からよろしいでしょうか。

四国電力株式会社

四国電力の方からお答えいたします。ステップ2燃料で使用いたします被覆管につきましては、今回改良被覆管を利用するわけですけれども、これはこれまで使用していたジルカロイ被覆管と基本的にはジルコニウムが98%とほぼ同等なわけでございます。このジルカロイ4被覆管とともに、改良被覆管を国内外の商業炉等で照射いたしまして、燃料棒燃焼度では約62,000(MWd/t)まで、集合体で換算いたしますと56,000(MWd/t)までの照射データを取得して確認してございます。ステップ2の健全性評価につきましては、新しい改良被覆管の製造実績とか照射データ、これらのばらつき等を考慮いたしまして、ジルカロイ4被覆管の詳細データも参考にしながら、その健全性に問題ないことを確認しております。従いまして、これらに必要となる照射データは十分に取得していると、こういうふうに考えております。

三宅委員

被覆管に、例えば、MDAとかNDA、それにZIRLOもお使いになっておられますね。これらのそれぞれについて、そういうことは確認されておられるのでしょうか。

四国電力株式会社

資料の3-1の38ページをご覧いただければと存じます。
ここに、炉内の酸化膜厚さというデータを示しておりますけれども、上の図がMDA、ZIRLO、下の図がNDAの被覆管でございます。この黒く、また、白く大きく書いておりますのが改良被覆管のデータでございます。そして薄く書いているのが、ジルカロイ4管ということでございます。このように大量のデータを取得いたしまして、その傾向に問題ないということを燃料の解析コードにインプットいたしまして、それで評価をしているということでございます。

三宅委員

このグラフを見ますと、かなり改良された方はデータとしては良さそうですが、この燃焼度は、少し少ないような気はいたしますが、これでいけるわけですね。ひとつだけ黒いのが60ギガ以上になっていますけれど。

四国電力株式会社

そうですね。上の図ではひとつ黒いものが示されてございますが、下のNDAについては、三角のデータがこの55,000(MWd/t)に相当いたします燃料棒が61,000(MWd/t)のデータの所まで引かれてございます。

三宅委員

どうもありがとうございました。

原子力安全・保安院

補足的に御説明させていただければと思います。
今の御質問につきましては、当省の見解といたしましては、基本的には、昨年こちらの委員会でも御説明させていただいたとおり、当方の原子炉安全小委員会で検討された結果といたしまして、ステップ2燃料を本格採用することについては、基本的に問題ない。その確認のベースとなるのが国内外の試験炉あるいは商業炉で得られた高燃焼度域での照射データに基づいて、検討・判断した結果、そういった結論が得られたというのが、基本的認識としてございます。
今回の安全審査におきましても、ジルカロイ4との材料物性とか類似性から勘案すると、燃料の健全性が確保されると判断しております。この点につきましては、我々の安全審査、また原子力安全委員会の2次審査等の場面におきましても、かなり議論されたという経緯がございますが、結論としては、原子力安全委員会といたしましても我々といたしましても、使用期間中の燃料の健全性は確保されるものとの結論を得ております。以上でございます。

三宅委員

どうもありがとうございました。

濱本部会長

はい、どうぞ。

辻本委員

保安院さんにお伺いします。資料の3ページに文部科学省の同意がいると書いてあるのですが、今回は障害防止法とは関係がございません。原子炉等規制法ですので、なぜ文科省の同意がいるのかなと思うのですが。
四電さんの方にお伺いします。内部構造物のことについて教えていただきたいのですが、内部構造物は、3号炉と同じものを作られるようですが、工場で作られてこちらへ持ってこられるのでしょうか。また、炉心の冷却特性は変わらないのでしょうか。それから、旧の内部構造物を容器に入れられますが、溶接されるのか、パッキンで密封されるのか、どんな構造で内部の汚染物が漏れないようにされるのでしょうか。
密封した容器を運搬され、保管庫に入れられるようですが、保管庫の図面を見ますと、もうぎりぎりいっぱいでございます。大体エンジニアというのは少し余裕を見て物を作られるものと思うのですが、1号炉の蒸気発生器交換の時に保管庫を作られました。また2号炉の時にも作られ、もういっぱいですが、今後、作られるのでしょうか。今後作られるのでしたら、余裕をみて、もう少し大きい保管庫を作っておかれる方がよいのではないでしょうか。
内部構造物を入れた容器は汚染を検査すると書いておられますが、除染は水で洗浄されるのでしょうか、容器の汚染をどのようにして落とされるのかお聞きしたいのですが。

原子力安全・保安院

1点目の文部科学省の同意というところでございます。
これ実は、2、3年前に、省庁再編によりまして、文部科学大臣の同意といったことになっております。その前は、内閣総理大臣の同意ということでございます。
これはどういうことかといいますと、原子炉等規制法につきましては、当時の通商産業大臣の所管している原子力施設と、科学技術庁の所管しております原子力施設と、それぞれございました。
片方の、例えば通商産業省の所管する原子力発電所を許可しようというときには、あらかじめ、科学技術庁が所管する原子力政策に特段支障がないかどうかという観点でネガティブチェックを受ける、あるいは逆のケースもあるのですが、ということで同意が法律上義務づけられてございます。
今般の省庁再編によりまして、科学技術庁が文部科学省へ一体化されましたので、内閣総理大臣が文部科学大臣へと移ったということで残っております。

辻本委員

先ほどの話に戻りますが、常識的に考えますと、文部科学省でなくて厚生労働省が関係した方がよいのではないでしょうか。施設内で作業をいたしますし被ばくする恐れもあります。厚生労働省の同意もあってもいいのではないかと思うのですが。

原子力安全・保安院

ここで規定しておりますのは、あくまでも原子炉等規制法でございますので、ひとつの使用なりなんなりの許可という観点の同意が規定されてございます。
具体的な行為としましては、経済産業大臣が、こういうことで許可をしようと思うがどうかという文書の取り交わしをしてですね、文部科学大臣から異議はないという返事を受けているという同意手続きがなされております。

濱本部会長

では、四国電力の方、お願いします。

四国電力株式会社

あとの御質問に対してお答えいたします。まず、炉心の冷却特性でございますが、改良型の内部構造物の形状変更が炉心の流動特性に及ぼす影響はわずかでございまして、この点を考慮してステップ2燃料を装荷した場合の冷却特性について評価した結果を、資料3-1の11ページに書いております。また、この資料にありますように、最小DNBR等は、基準値に対して十分に余裕のあることを確認しております。
次に旧炉内構造物の保管についての御質問についてですが、まず取り外しました炉内構造物でございますが、これは専用の保管容器に収容します。これにつきましては、資料3-1の32ページに保管容器の絵を入れておりますが、原子炉格納容器から既設の蒸気発生器保管庫に、この容器を利用いたしまして運搬いたします。保管容器の厚さは約30センチでございまして、フタとの間を溶接いたしまして、放射性物質の密封性を確保するようにいたしております。
あと格納容器から搬出する際でございますが、外表面を放射性物質が付着していないことを確認しますが、必要があればその前に水拭き等を実施いたします。蒸気発生器の搬出時にも同様でございますが、線量当量率とか表面汚染密度等を検査する予定でございます。
保管庫の容量の件ですが、これも資料3-1の33ページでございますが、ぎりぎりいっぱいで余裕がないがという御指摘でございますが、33ページにありますように、その黒く塗った所に炉内構造物の容器を1号2号それぞれ置きまして、その容器の脚の下の所へ付属品等のものを保管する予定でございます。
まだ作られるのかという御指摘がございますが、現計画ではこの蒸気発生器保管庫内に収納できるということで計画いたしております。
以上でございます。

辻本委員

ありがとうございます。あと運搬したりしますときに、テロ対策等もお考えがあるのでしょうか。

四国電力株式会社

運搬時は、原子炉の設置、運転等の規則の中に運搬についての取り決めがありまして、放射線の防護とか、一時管理区域の設定とか、汚染拡大防止とか、車両の配慮とか、そういうものがあります。
テロ対策といたしましては、特別に法律等では決まってないのですが、一連の対策は、蒸気発生器と同様、取りたいというふうに考えております。

辻本委員

この新しい内部構造物の取り替え作業のときに、どれぐらい放射線被ばくをするのでしょうか。

四国電力株式会社

被ばくにつきましては、作業におきましてトータルで2人シーベルトを計画しております。蒸気発生器の時の約2倍というふうに考えております。それともうひとつ先生から御質問のありました、3号炉並みの炉内構造物をどこで作るのかということでございますが、これは、工場の方で作って船積みで持ってくるつもりでおります。

濱本部会長

代谷先生。

代谷委員

2点ほどお聞きしたいことがございます。
ひとつは、先ほど、四国電力さんが初めて統計的手法を使われたということなのですが、統計的手法を使うときに、どんなものでも統計的手法を使えば良くなるというものではなくて、ちゃんとデータが、統計的手法が扱えるだけのものがないと使えない訳ですが、その点はきっちりとされているということで統計的手法を使われたのでしょうか。
それからもうひとつは、統計的手法を使ったということになると、そこに不確実性というのが評価されるところがあると思うのですが、それの最大値というか、一番条件の悪いところというか、そこをとって評価されているのでしょうか。そこの御確認だけさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

濱本部会長

それでは四国電力の方から。

四国電力株式会社

それではお答えさせていただきます。
一番最初の御質問でございますが、統計的手法を使う際にその統計データの検証がなされているかどうかということでございますが、この統計的手法を定めた指針が平成12年に作成されておりまして、この指針の中にも、統計的に扱うパラメータについては、その統計的な性格をきちんと検査するようにという項目がありまして、これは我々もそういう統計的な検査をした上で、安全審査の中でも合格をいただいております。
それから、統計的な不確実性についてどういうふうに取り扱うかという御質問でございますが、これにつきましても、指針の中にございまして、95%の信頼度、95%の確率でDNBが起こらないようにということが指針の中に記載されておりまして、その考え方に基づいて評価をしております。
以上でございます。

濱本部会長

よろしゅうございますか。

原子力安全・保安院

保安院の方から若干補足をさせていただきます。
統計的な設計手法につきましては、現行の48,000(MWd/t)を採用するときに指針が定められて、以降適用されているものでございます。今回用いられておりますのは改良統計的熱設計手法というものです。
具体的にデータを統計的にどのように取り扱うかということにつきましては、今回の改良統計的熱設計手法で特段変えているものではございません。具体的にはまず実験データを元にDNBR相関式を導き、その相関式を用いて具体的な対象炉心でのDNBRを求めるという手法になってございます。
今回どこが改良されているかということでございます。
一点はDNBR相関式を定める際に、実験データから相関式に持って行くわけですから、そこでひとつ不確実性がある。そこで確率的なばらつきがあるということ。
それからもうひとつは、対象炉心の条件、例えば流量が若干ばらつくだろうとかあるいは温度がばらつくだろうとか、その個別具体的な対象のパラメータがばらつくことによる解析結果のばらつき。
こういう2つのばらつきがございます。これについて従来は判断基準を決めるときに判断基準値を大きめに決める、それから解析結果については保守的に小さな解析結果で判断基準と比較するということで統計的な扱いをしておったわけでございます。
今般の改良統計的熱設計手法の中では、この2つのばらつきを統合して、ひとつの全体的な確率分布として、判断基準値を保守的に定めるということとしてございます。
したがいまして、判断基準値そのものは従来のものよりもDNBRとしては大きめの値が設定されるということでございます。
かたや評価値については、評価に必要なパラメータのばらつきは判断基準の方に含めましたので、評価値というのは最確値として評価をして、判断基準値と比較をすると、このような取り扱いに変わってございます。
統計処理の手法が変わったかというと、そういうものではなくて、数学上の扱いが変わったというふうに御理解いただければと思います。

濱本部会長

よろしゅうございますか。どうぞ。

代谷委員

もう一点あるのですが、核設計等を含めまして、事故の評価とかをやっておられるのですが、ステップ1からステップ2に変わるということで、がさっと炉心が一度に変わるわけではなくて、徐々にステップ2燃料に変わっていくことになろうかと思います。こういう安全の解析等で、変更する際に起こる事柄も含めて申請されているのかということを確認したいと思うのですが、よろしくお願いします。

濱本部会長

それでは四国電力の方から、まずお願いします。

四国電力株式会社

お答えいたします。おっしゃるとおり、瞬時にステップ1燃料ばっかりの炉心からステップ2燃料ばっかりの炉心へ変わるわけではございません。徐々にステップ1燃料の平衡炉心からステップ2燃料の平衡炉心へと移って参ります。その途中の移行炉心につきましても、移行炉心は何サイクルか経ないと平衡炉心に達しませんが、その移行炉心も含めて安全審査において申請し、審査いただいておるものでございます。
以上でございます。

濱本部会長

保安院の方から、お願いします。

原子力安全・保安院

補足をさせていただきます。当省の審査書の方には、例えば10ページ目のところでございますが、こちら核設計の部分の記述でございますが、上から3段落目真ん中あたりから、「上記の要求事項を満足することを確認するため云々」と書いております。ステップ1燃料を装荷した炉心からの移行炉心、こちらステップ2燃料装荷炉心というふうに定義いたしておりまして、実体上の判断といたしましては、ステップ2が入った移行炉心としても評価をやっております。同様に、熱水力であるとか、動特性であるとかにつきましても、炉心の健全性という意味合いでの評価におきましては、ステップ2燃料装荷炉心として移行炉心を含めた炉心を評価した結果、妥当であるものと認めさせていただいております。

濱本部会長

どうもありがとうございました。三宅先生。

三宅委員

今、統計的な扱いというお話が出ましたが、ここでペレットの初期密度が95%から97%に上がり、そしてガドリニア入り燃料の場合には95%から96%と書いてございますが、これはどういう風な影響というか、ガドリニア入りの場合と、ただウラン濃縮した時と違いますね。製造の時に97%とか96%の目安でお作りになるということでございましょうか。

四国電力株式会社

お答えいたします。ウラン燃料でガドリニアが入っていないものにつきましては97%で、ガドリニアが入ると96%と違うではないかと、こういうことでございますけれども、これは、今の製造方法で95%で製造しているわけですが、これはウランの粉末特性、あと焼き固め方、これらの製造の中でできる範囲で、通常のウランペレットは97%まで可能であるということでございます。ガドリニアが入りますとやはり粉と粉を混ぜ合わせるという制約がございまして、そういうところから安定的に製造できるというところで96%ということでございます。それぞれのペレットを作るときにいろいろな製造誤差等ございますが、これにつきましてはそれぞれ適正に評価いたしまして、安全審査の中で評価確認頂いてございます。

三宅委員

どうもありがとうございました。

濱本部会長

よろしゅうございますかね。古賀先生、どうぞ。

古賀委員

高燃焼度燃料ステップ2の採用にあわせまして、既設の駆動装置の予備設備を活用しまして、制御棒4本の取り付けを1、2号機の工事に計画しておられるようですが、使用するにあたりまして、検査とか点検確認はどういうことをされるのでしょうか。

四国電力株式会社

お答えいたします。1、2号機につきましては、既に平成13年に予備の駆動装置の付きました原子炉容器上蓋に取り替えてございます。予備のものも現在使用している駆動装置も設置環境は同じです。現在使用している駆動装置は良好に機能しておりまして、予備のものも良好に機能するいうふうに考えておりますけれども、使用に当たりましては、制御棒クラスターを予備の駆動装置に取り付けた状態で、制御棒の挿入と引き抜きを繰り返すいわば慣らし運転を行いまして、駆動装置の機能に問題ないことを確認いたします。あと、電気事業法に基づく使用前検査といたしまして、制御棒クラスターの操作試験、それから、制御棒の落下時間測定試験というものがございまして、これらによりまして、その性能が基準を満足するということにつきまして国の確認を受けましてから、実際の使用をしていくということで考えております。
以上です。

濱本部会長

よろしゅうございましょうか。その他ございませんでしょうか。
だいたい御意見もみなさんから出尽くしたようでございますので、最後に三宅先生、原子燃料工学の御専門の立場から、これまでの議論全般を踏まえて御意見を賜りたいと思いますが。

三宅委員

先程来いろいろ議論がございましたように、高燃焼度燃料と申しますのは燃やすスピードは変えないで、燃える部分の割合を増やすというものですから、従来の3サイクルからもうひとつプラスしまして、もうワンサイクル長く燃やせるようになるわけです。従いまして、使用する燃料から発生する使用済燃料は少なくなりますし、また炉内で燃焼に寄与するウランの割合が増える訳ですから、ウラン資源の有効利用にもつながるというわけでございます。
一方、炉内で存在する期間が長くなりますために、被覆管の酸化が進むなどの影響がありまして、これらの影響につきましては、先程も質問がありましたように、参考資料5の24ページにテーブルがありまして、細かくまとめてございますが、それぞれの影響に対して対策や評価がなされておりまして、今回の安全審査において、その妥当性が確認されたものと考えることができると思います。
以上でございます。

濱本部会長

どうもありがとうございました。それでは、代谷先生、原子炉工学のお立場から総括していただけたらと思います。

代谷委員

私、原子炉工学の中でも核設計の方が担当でございまして、その観点から申しますと、静特性、動特性を含めてきっちりと核設計をやっておられると、しかも、移行炉心を含めてきっちりと評価がされているということだと思っております。その他のことも含めて、例えば熱水力の設計とか燃料等を含む機械設計、これも含めて原子力安全委員会の指針に沿ってやっておられますし、それから判断基準についても燃料の許容限界等の判断基準に沿ってやっておられますので、問題はないというふうに思っております。
ただ、安全審査というのは、基本設計の妥当性、これについて妥当であるという判断が下されたというだけで、それだけで十分というわけではございませんので、今後四国電力さんにおきましては、実際に作業されるときに、やはり高燃焼度燃料の使用ということで今までと少し違った点が出てくるかと思います。そういうことも含めて品質保証、それから燃料の安全な取り扱い等に留意してやっていただきたいと思いますし、保安院さんの方については、使用前検査等の後段の規制できっちりとやっていただきたいと思いますし、愛媛県さんのほうも監視をしていただくということが必要ではないかと思います。
以上でございます。

濱本部会長

どうもありがとうございました。
それでは、技術専門部会としての意見をとりまとめさせていただきたいと思います。今日の御説明あるいは御議論を、最後にお二方に総括していただきましたけれども、これまでの意見を踏まえまして、この部会として、「伊方発電所における高燃焼度燃料の採用計画については、使用済燃料発生量の低減及びウラン資源の有効利用に資するものであり、その安全性については、国において機械設計、核設計、熱水力設計、動特性等の面から審査がなされ、評価条件や指標は適正であること、評価結果は、燃料の許容限界等の判断基準を満足することなど、設計の妥当性が確認されているものと認められる。また、併せて実施される炉内構造物の取替及び貯蔵保管についても、同様に設計の妥当性が確認されていると認められる。今後の施工等に当たっては、品質管理や安全管理の徹底を図る必要がある。」旨、意見をとりまとめ、管理委員会で報告させていただきたいと思いますが、御了解よろしいでしょうか。

各委員

(異議なし)

濱本部会長

それではそのようにさせていただきます。
以上で議題の審議を終了いたしました。
続いて報告事項がございます。
平成14年度の伊方発電所異常時通報連絡状況について、まず事務局から報告願います。

原子力安全対策推進監

(【資料4-1】に基づき、平成14年度伊方発電所異常時通報連絡状況について説明)

濱本部会長

引き続いて、四国電力から、異常の原因とその対策などについて、報告願います

四国電力株式会社

(【資料4-2】に基づき、平成14年度伊方発電所の異常通報連絡事象について説明)

濱本部会長

ただいま説明のありました平成14年度の伊方発電所異常時通報連絡状況について何か御質問等ございませんか。

各委員

(なし)

濱本部会長

それでは、質問もないようですので、以上をもちまして専門部会を終了します。
委員の皆様には、長時間にわたり御審議ありがとうございました。

(閉会)

[部会事務局]
県民環境部環境局環境政策課原子力安全係
電話番号:089-941-2111(内線2352)
ファックス番号:089-931-0888

伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会次第

日時 平成15年9月3日(水曜日)13時30分~
場所 愛媛県自治会館5階大会議室

1 開会

2 議題
(1) 平成14年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成14年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3) 伊方発電所における高燃焼度燃料採用に係る安全審査結果等について

3 報告事項
(1) 平成14年度伊方発電所異常時通報連絡状況について

4 閉会

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