平成19年度(2007年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2007年9月5日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要

1 日時

平成19年9月5日(水曜日)13時00分~16時58分

2 場所

愛媛県庁第一別館11階 会議室

3 出席者

委員10名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1)平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2)平成18年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3)伊方1号機高経年化技術評価及び長期保全計画について

5 報告事項

(1)中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響を踏まえた伊方発電所の対応等について
(2)伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について

6 審議等の内容(全部公開)

(定刻になり、開会)

事務局

ただいまから、伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会を開催いたします。はじめに、傍聴者の方に、傍聴に際しての遵守事項をお守りいただきまして御協力をよろしくお願いいたします。また、携帯電話をお持ちの方は、マナーモード等に切り替えをお願いいたします。本日は菊池委員さん、三宅委員さんは、御都合により御欠席されております。それでは、三好県民環境部長から、御挨拶を申し上げます。

三好県民環境部長

県民環境部長の三好でございます。本日は、お忙しい中を御出席いただきまして、ありがとうございました。また、国の方からも原子力安全・保安院の前川高経年化対策室長さん及び御田安全審査官をはじめ、皆様にも御出席頂いております。お忙しい中お越しくださいまして、心より感謝申し上げます。本日は平成18年度の伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果及び温排水影響調査結果と、伊方1号機の高経年化技術評価結果について、御審議を頂くことにしております。なかでも伊方1号機の高経年化対策につきまして、この技術専門部会におきましても、それぞれ委員さんにおかれまして報告書等の詳細な検討を頂いております。また、そのうえに4月26日、27日には現地調査も実施して頂いたところです。8月6日には国の審査結果が出ましたので、本日、原子力安全・保安院から説明を頂いた上で、最終的な意見を取りまとめて頂きたいと考えております。また、7月16日に新潟県中越沖地震が発生いたしましたが、これを踏まえまして、本日は柏崎刈羽原発の影響や伊方発電所での対応状況につきましても国及び四国電力さんから報告を頂くこととしております。いずれも伊方発電所の安全性に係る重要な案件でございますので、よろしく御審査賜りますようお願いをいたします。以上でごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いいたします。

事務局

それでは、濱本部会長さんに、議事進行をよろしくお願いします。

濱本部会長

それでは議事に入ります。まず議題1、2の平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果及び平成18年度伊方発電所温排水影響調査結果について審議したいと思います。この資料につきましては、事前に事務局からお送りさせて頂いておりますが、まず、事務局から概要について御説明をお願います。

門野原子力安全対策推進監

事務局、門野と申します。5月から原子力安全対策推進監を拝命いたしまして着任しているところでございます。それではお手元の資料1の後ろについてございます、伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果の報告書がございますが、これに基づきまして御説明を申し上げます。

まず、資料1でございますが、環境放射線等調査の結果でございます。これは御承知のように昨年3月に開催いたしました伊方原子力発電所環境安全管理委員会での審議を経て決定いたしました平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画に基づきまして、愛媛県と四国電力が調査を実施したものでございます。(1)の線量率ですが、愛媛県は8か所、四国電力は5か所のモニタリングステーション等において、常時、空間放射線量率を測定いたしております。測定地点等につきましては、報告書の2ページ及び4ページに書いてございますので、そこを御参照頂ければと思います。このモニタリングポストで測定いたしました測定データでございますが、最高が49~90ナノグレイ、最低が11~24ナノグレイ、そして平均が13~26ナノグレイの範囲でありました。この線量率につきましては、降雨により変動いたしますので、降雨時と降雨時以外に分けて、その変動を踏まえた評価を行っております。具体的には報告書の10ページ以降に変動率を踏まえた数値がのってございますが、13ページまでが降雨時の線量率の測定結果でございます。平均値に標準偏差の3倍を超えた値といたしまして10ページから掲載してございますが、全部で超えた値が56回観測されているということでございました。これらにつきましては、いずれも降雨に対応して線量率の増加が発生していること、発電所を中心に設置された異なる方位のモニタで同時に増加が観測されていること、ガンマ線スペクトルから自然放射性核種によるピークの増加が認められるが他の特異なピークは認められないことから、降雨による自然放射線の変動と判断いたしております。降雨時以外につきましては、14ページ以降が降雨時以外の線量率の数値でございます。この降雨時以外におきましても、平均値+標準偏差の3倍を超えた値は81回観測されておりますけれども、これらにつきましても降雨時と同様の評価を行った結果、28ページにスペクトルを記載してございます。28ページの上が降雨時のスペクトル、それから真ん中と下ですけれども(2)、(3)が降雨時以外のスペクトルでございまして、これを御覧頂きますと自然放射性核種でありますウラン系列の鉛214、トリウム系列のタリウム208、カリウム40が認められておりますが、人工放射性核種は認められておりませんので、今回資料1の要約に書かせて頂きましたとおり、これらの結果から、ガンマ線スペクトルに自然放射性核種による上昇はありましたが、人工放射性核種による特異なピークは見られないことから、原子力施設による影響はないと判断いたしているところでございます。

空間放射線の積算値でございますけれども、愛媛県では29地点、四国電力では25地点でそれぞれ年間の積算値を測定してございまして、これらにつきましてはいずれも過去の測定値の平均値+標準偏差の3倍を超える値はございませんでした。これにつきましては、報告書の43ページ、44ページに愛媛県と四国電力の測定値を掲載してございます。これを御覧頂きますとおり、過去の数値から大きな解離はございませんので、これらにつきましても特段の問題はないというふうに判断してございます。なお、四国電力の実施分につきましては、44ページに書いてございますが、放射線を測定するための測定器でございますが、今まで熱ルミネセンス線量計(TLD)を使ってございますが、平成18年度の第1四半期から蛍光ガラス線量計による並行測定を実施しておりまして、平成19年度から蛍光ガラス線量計に切り替えるということを計画してございます。

次に2の環境試料の放射能レベルでございます。資料の2に環境試料の放射能レベルの表がございますが、核種を分析するとともに全ベータ放射能測定をしてございます。この表を御覧頂きますとおり、例えば大気浮遊じん、河川水は検出されず、土壌は5~27.2ベクレル/㎏というようなことで、昭和50年度から平成17年度の測定値の範囲と見比べますと、平成18年度につきましては特に超えてございませんので、特に放射能のレベルにつきましては問題はないものと考えてございます。

次に3の大気圏内核爆発実験の影響評価でございますが、近年は大気圏内核爆発実験は行われておりません。チェルノブイリの事故等の影響によるものは、一時的な増加は見られておりますけれども、その後は減少しているということでございます。

次に4の蓄積状況の把握でございます。セシウム137の蓄積状況を確認いたしているところでございますが、これも顕著なものは全くないので、問題はないものと考えてございます。 それらを踏まえた5の環境調査結果に基づく線量の評価をいたしましたところ、平成18年度は、外部被ばくについては0.25~0.37、内部被ばくについては0.00017ということでございます。以上に基づきまして放射線のレベルについてはすべて問題はないものと判断しております。次に放射性物質の放出管理状況に基づく線量評価結果についてでございますけれども、発電所の運転中等における放射性気体廃棄物や放射性液体廃棄物の放出に伴う周辺公衆での線量評価の結果でございますけれども、実効線量の推定評価値は年間で0.027マイクロシーベルトでございます。安全協定では年間7マイクロシーベルトと努力目標を四国電力と結んでいるわけでございますが、その数値を下回っており、問題はないものと考えております。次に放射性物質の環境挙動に関する調査研究ですが、愛媛県といたしまして昨年度から調査研究をやってございます。海洋中の食物連鎖の上位に位置するサメを対象といたしまして、放射能の監視の可能性を検討いたしたわけでございます。調査の結果、現在伊方沖で調査をしてございます魚類よりも、シロザメとかホシザメといったものの方がセシウムの濃度が高いということが分かってございます。そういったことから、今後の指標の生物といたしまして、シロザメの方がセシウムの濃度が高かったということで、しかも全長が大きくなるほどセシウム137の濃度が高くなるという傾向が見られたということでございます。雌雄の差を比較した結果、有意な差は見られなかったということで、県といたしましては、平成19年度から調査項目としてサメを指標の動物としたいと考えてございます。サメにつきましては、シロザメとホシザメのいずれでもよいと考えておりますが、調査の結果ではシロザメとホシザメではセシウム137ということであれば、若干差があったということでございます。放射線等調査結果の概要について説明申し上げましたが、特段の放射線の影響はなかったという調査結果でございました。以上でございます。

阪本水産課長

続きまして、温排水調査結果について説明申し上げます。事務局の阪本でございます。この4月に水産課に参りましたので、よろしくお願いします。

資料2をお願いいたします。資料2に調査結果の概要の表と 報告書の1ページをお開き願います。調査は愛媛県実施分と四国電力実施分の2つとなっております。県調査分につきましては、従来どおり愛媛大学に委託しております。調査内容は、水質調査、水温調査等を年4回、流動調査及び拡散調査を年2回、付着動植物調査を年4回、漁業実態調査を周年実施いたしております。なお、調査測点等につきましては、2、3ページに示しております。次に四国電力が実施しております調査内容ですが、4、5ページに示しておりますように水質、流動、底質等の調査を年4回実施いたしております。これらの調査測点等につきましては、6~20ページに示しております。それでは調査結果の詳細につきましては、21ページ以降に示しておりますけれども、資料2の結果概要表に基づきまして御説明させていただきます。県が実施した水質調査の結果を見ますと、表層水温は14.1~26.4℃、pHは8.0~8.3、CODは0.06~0.58mg/l、塩分は31.32~33.97、透明度は7.0~15.0mの範囲内で推移しております。一方、四国電力が実施いたしました水質調査の結果を見ますと、表層水温は14.0~25.4℃、pHは8.1~8.2、CODは0.1未満~0.5mg/l、塩分は32.19~34.06、透明度は7.0~20.0m、DOは6.1~8.6mg/l、ヘキサン抽出物質は0.5mg/l未満、全窒素は0.098~0.252mg/l、全リンは0.011~0.029mg/l、浮遊物質量は0.5未満~5.2mg/lの範囲内で推移しております。いずれの項目につきましても、過去の調査結果の範囲内であり、特に異常は認められませんでした。

また、流動調査の結果につきましては、愛媛県が0.05~0.82m/sec、四国電力が0.00~0.75m/secとなっており、これらにつきましても特に異常は認められませんでした。

次に、放水口から出された温排水の拡散状況を見ますと、温排水の影響と考えられます1℃以上の水温の上昇範囲は、愛媛県が実施しました6月の調査では最大0.04k㎡、10月の調査では最大0.15k㎡となっております。一方、四国電力の調査では5月に0.12k㎡、8月には0.01k㎡、11月には0.11k㎡、2月には0.17k㎡となっております。これらの結果から、温排水による1℃以上の水温上昇は、県及び四国電力の調査ともに確認されたものの、その範囲は過去の観測値の範囲内で放水口付近の部分的な海域にとどまっておりまして、特に異常は認められませんでした。

また、四国電力が実施しました底質調査の結果ですが、調査を行ったpH、強熱減量、COD、全硫化物、密度の数値におきましても、過去の調査結果と比較して、特に異常な値は認められておりません。

次にプランクトン調査の結果ですが、愛媛県の調査では、プランクトン沈殿量は、海水1m3当たり0.96~19.26mlとなっております。動物プランクトンの乾燥重量は、海水1m3当たり21.77~114.30mg、植物プランクトンは6.84~47.84mgとなっております。また、四国電力が実施しました調査結果におきましても、過去と比べまして、その出現する種類などに特に異常は認められておりません。

また、付着動植物調査の結果につきましては、昨年と同様に各調査定点ともにクロメが優占種となっており、愛媛県、四国電力のいずれの調査におきましても異常は認められておりません。このほか、四国電力が実施しました魚類の潜水目視調査及び磯建網による捕獲調査、動植物プランクトン及び魚卵、稚仔魚の取水口への取り込み調査結果につきましても、異常は認められませんでした。

最後に、漁業実態調査の結果ですけれども、八幡浜漁協の3支所から漁獲報告があり、例年の漁獲傾向と変わりなく、特に問題ないものと考えております。

なお、詳細につきましては、後ほど報告書をお目通し願います。以上が平成18年度の温排水影響調査の結果でございます。御審議の程、よろしくお願いいたします。

濱本部会長

どうもありがとうございました。環境放射線調査結果、温排水調査結果につきましても、これまでの調査結果と平成18年度大差なく問題がなかったというような御報告であったかと思いますが、先生方、御意見、御質問等はございませんか。

濱本部会長

辻本先生、環境放射線調査結果について、何かコメントございましたら。

辻本委員

平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果を見させて頂きました。非常に広範囲にわたる環境放射線の測定を、精度良く行われておりました。測定結果について県からも御説明がありましたが、私もこれらの結果を見る限り、特に問題はないと思います。

濱本部会長

ありがとうございました。温排水影響調査結果につきまして、武岡先生、何かコメントございましたら。

武岡委員

温排水影響調査結果について、特に例年と比べて異常な数値が出ているというのはないと思います。特段の問題はないと判断しております。

濱本部会長

ありがとうございます。そのほか御意見はございませんでしょうか。

それでは、部会として「過去の調査結果と比較して同じ程度であり、問題となるものは認められない」ということで、明日の安全管理委員会に報告させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

ありがとうございました。

それでは、次に議題の3番目の伊方1号機の高経年化技術評価及び長期保全計画の審議に移らせていただきます。

伊方1号機は、昭和52年9月30日に営業運転を始めまして、今月末に運転開始30年を迎えます。四国電力が法令に基づき、昨年9月に高経年化技術評価及び長期保全計画を国へ提出しました。国において厳正な審査が行われ、8月6日に原子力安全委員会へ審査結果が報告されたと伺っております。本日は原子力安全・保安院の高経年化対策室長の前川さんにお越し頂いておりますので、この審査された内容につきましてお話していただければと思っております。それから、タービン架台のひび割れがあったという問題につきまして、技術専門部会としては最新の構造解析を行い、裕度の確認、対策のあり方を再確認するよう四国電力へ求めてまいったわけですが、国においても今回の高経年化技術評価のなかでこの問題を取り上げて審査されたというふうに聞いておりますので、これもあわせてお話頂ければと思っております。よろしくお願いします。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

原子力安全・保安院原子力発電検査課におります高経年化対策室長の前川でございます。よろしくお願いいたします。

本日は伊方発電所1号機の高経年化技術評価を私どもが行いましたので、その結果について御報告申し上げるということでございます。本日、御用意しております資料でございますが、お手元の3種類を御用意しております。ちょっと多いので大変恐縮ではございますが、資料の3の1といたしまして審査結果についてパワーポイントの資料でございます。それと資料の3の2は報告書に係る審査の概要でございます。それから、資料3の3、正式に私どもとしてまとめました審査の結果でございますが、これが今御紹介頂きました8月6日に原子力安全委員会へ報告申し上げた正式な資料ということでございます。本日は時間の関係もございますので、スライドで話をさせて頂きたいと思っておりますが、必要に応じて概要版(資料3の2)若しくは報告書(資料3の3)に基づいて御説明申し上げたいと思います。

説明申し上げる内容でございますが、まず高経年化技術評価制度がどういうものかということを御紹介申し上げた上で、伊方1号機の技術審査の内容を、これが今回の主たる目的だと思っておりますが、更にはそれを踏まえまして今後10年間にわたって長期の保全計画を伊方発電所1号機用に作られておりますので、それについての私どもの見解、それと今後の対応ということで説明をさせていただきたいと思います。では、スライドをよろしくお願いします。

高経年化技術評価制度でございますが、我が国には55基の軽水炉がございます。そのうちもう既に2010年では20基が運転開始後30年を超える、2015年には30基が運転開始後30年を超えてしまうというように、使用の状況としては年数を経ているという状況でございます。こういう状況でございますので、プラントの健全性、今後の我が国の原子力の発展のためにということで考えますと、高経年化対策は非常に重要なポイントになってくるということです。高経年化対策をどのように評価していこうかということなんですけど、高経年化というのは、日々の健全性の確認ということではございません。長期にわたりゆっくり変化していくものの中に、どうしても常日頃は見落としているかもしれないようなものを踏まえて経年変化の状況を把握していくということが必要だろうと思ってます。それを踏まえまして技術評価を実施して今後現状の常に保全ということで日々メンテナンスをしているわけでございますけど、更にそういう長期の視点から保全を考えていかなくてはならないのではというような考え方に基づいております。つまり、着目すべき経年劣化事象に対して高経年化技術評価を実施し、この評価に基づきまして、長期保全計画を策定、策定された計画に基づくメンテをして頂くということになると思います。ここで着目すべき経年劣化事象という項目でございますけど、どうしても先ほど申しましたように長期に使うことを考えてございます。これは本来であれば技術評価をし、将来予測をしているわけでございますけど、今後のことを考えた時にはもしかしたら予測から解離していく可能性があるようなものというのは大事なポイントになろうかと思います。こういうものの中から着目すべき劣化事象というのを把握していこうと考えてございます。それから経年劣化に対します技術評価でございますけど、どういう形でやっているかといいますと、30年というのは1つの目安だと考えてございます。現に最初のプラントを設置する時には35年、40年というような形で我が国のプラントの場合、ある年数を設定して設計を行っているというような状況でございます。そういうような観点からいたしますと、30年というそれを1つの目安といたしまして、そこに至る前に今後の評価をしていこうということです。評価の方法はといいますと、技術評価の前提として60年の供用をまず仮定します。供用を仮定した段階でそれぞれの経年劣化事象がどのように変化していくのかということを考え、その予測を踏まえた設備の健全性というのを評価していこうというのが私どものコンセプトでございます。時々60年の供用を仮定したというところから、私どもの高経年化技術評価の結果、60年の運転を認められたというようなことを新聞報道等で、そういう報道内容があることがあるわけですけど、私どもの考え方といたしましてはこれは60年の供用を仮定して、それであっても今の状況では十分持つのか持たないのか健全性を確保する上で何をしなければいけないのかということを取り上げていこうということでございます。それを踏まえまして今後の行動計画を作らなくてはいけません。これが長期保全計画ということでございまして、ただ、例えば60年目までずっと見通したような行動計画を立てようということは非現実的でございます。あくまで今後10年間の計画に留まって保全計画を作って頂く、これを私どもとしては長期保全計画と言っているわけです。ただ、10年過ぎてしまったらどうするんだということになりますと、私どもとしては更にもう一度高経年化技術評価をして頂きまして、この際にはまた供用期間をどこに置くかということは、実は議論は十分されておりません。60年としておくべきか、もっと先を見るべきかというものは、まだ現実的な事例はございません。しかしながら10年ごとの長期保全計画を作ってステップバイステップで慎重に運転を継続していくことが必要であるだろうという考えに基づいている次第でございます。次のスライドをお願いします。こういうようなやり方を私どもとしては制度としてどのようにしているのかということでございますが、原子炉設置者の義務、四国電力さんの義務になります。それから私どもがどのような審査をするかというのが資料の下の方でございます。まず四国電力さんに対しては30年を経過する日までに安全上重要な計器等につきまして経年劣化に対する技術的な評価を実施してもらうと、これに基づきまして先ほど申し上げておりました今後10年間の講ずべき措置に関する計画ということで長期保全計画を策定して頂く。この内容を報告して頂きまして私どもとしては審査ということで下の方の項目があるわけですけど、それを踏まえて今後10年間を超えない時期のもとに、この評価と計画は確実に見直していくと。これは10年間全くしないというわけではございません。後ほど説明申し上げないといけないと思いますが、新たな知見、検討結果、学術論文等が出て、見直すべきものが出てきたとすれば、それは適宜見直しその段階で評価結果を国の方に報告するということも要求してございます。私どもはこれを受けまして高経年化技術評価を実施しますが、実施の中身としては、まず四国電力さんの評価の体制は適切なのかということ、それから安全機能を有する機器・構築物に対して技術評価の方法及び結果は良かったのかどうか、評価の結果を踏まえた長期保全計画は適切なのかというようなことを審査いたしまして、これを審査書の取りまとめをし公表をしていくということなんですけど、現在のところは公表の場面を原子力安全委員会への報告という形でオープンにしている次第でございます。更に、この行動計画の実施状況はすべて電力会社に任せるわけではなく、定期検査や定期事業者検査という各種検査等で確認していく所存でございます。こういうような制度になってございます。ちなみに次のページでございますが、伊方1号機の状況でございます。先ほど御紹介ございましたように昭和52年、1977年に運転を開始してございます。そうしますと30年後というのは本年9月30日ということになるわけですけど、これに対しまして昨年の9月28日に既に経済産業大臣あてに四国電力さんの高経年化技術評価等報告書が出されております。これを受けましてここでご説明申し上げるまでに概ね1年ということで大変時間がかかっているということになりますが、私どもこの高経年化については平成8年以降評価を進めていたわけでございますが、最近特に美浜3号機の事象を受けまして、高経年化の更に一層の充実を目指した審査ということを考えまして、平成17年12月に方向性を見直した審査の要領等を揃えております。そのために、今回の四国電力さんのケースは新しい審査基準にとってみれば最初のものということもありますので、若干慎重な審査をさせて頂いたというところでございます。審査の内容の方針でございますが、資料3の3、添付の3にフローチャートがございます。体系的に高経年化の対象となるのはいろいろな設備がございますし、いろいろな経年劣化事象がございます。その中から何を評価していかなければならないかということを考えますと、体系的なアプローチということでここで書いてございますような評価をやっていこうと考えております。まず、体制が確立されているのかどうか、これは四国電力さんで確立されているのか、対象とすべきものは、例えば消耗品は当然交換していくわけでございますので長期には関係ないだろうというようなことで除外できるものもあろうかと思います。そういうものの中で何を重要と見ていかなければならないのか、更には劣化という事象にもいろんなものがありますので、その中から高経年化を着目した時の劣化事象は何なのかということを評価し、選ばれたものの中で先ほど申しましたように60年の供用を考えて評価を進めるということをやっているわけでございます。どのように評価をしたかという内容は次のページ以降になります。審査の内容でございますが、まず最初に実施体制はどうだったかとか、実施の手順についてはどうだったかとか、更には評価の対象として選ばれている機器・構造物は妥当なのかということが問題にとなるわけでございます。まず最初の実施体制でございます。四国電力におかれましては、全体の取りまとめを本店の原子力計画グループで行われていると。技術評価の実施、報告書レビューを行われているほか、このような活動を、今、品質保証システムといいましょうか、クオリティマネジメントシステムの中で十分内部監査も含めて自立的にやられるような体制をお取りになられているということを確認してございます。そういうことから、社内の体制、高経年化技術評価の実施体制については概ね妥当と判断してございます。それから手順につきましても、最新の知見と運転経験を反映するということに対しても、抜け落ちがなく対象とするものは適切に収集・管理されていることも確認してございます。それから、抽出されるべき構築物等でございますけど、クラス1、2、3ということですべてを考えていくわけでございますが、その中から着目すべき経年劣化事象を抽出しているというやり方についても適切であったと評価している次第でございます。スライドは簡単に書いてございますので、このあたりについては報告書の方で申し上げますと、資料3の3でございますが、5ページから10ページにかけて書いた内容を簡単に申し上げますと、こういうようなことで概ね妥当ということで判断したわけです。次は個々の経年劣化事象ごとの技術評価ということになるわけでございます。次のスライドお願いします。経年劣化事象はいろいろございますが、高経年化ということで確認していく項目は、項目としては6項目あげ、その他の経年劣化事象として7つ目を取り上げております。中性子照射による脆化、これは対象となるのは特に原子炉の容器周りだと考えてございます。それから応力腐食割れという項目がございます。今回は加圧水型のプラントでございますので、沸騰水型とは違った応力腐食割れの様相を示してございます。ここではPWR特有な応力腐食割れ、特に発生しますのは特殊なニッケル合金のところで発生しているものが多くございますが、こういうものが対象となるほか、中性子を受けたことによって誘起されるような応力腐食割れを対象として考えております。それから、3つ目として疲労ということで、低サイクル疲労でございますが、例えば容器を起動するとかプラントを起動・停止するとか事故・トラブル等で緊急停止するとか、そういうようなことでいくつかの応力サイクルも入るわけでございます。こういうものに対してどのように評価しているか。それから、配管減肉というものがございます。これは美浜3号の事故が、皆さまよく御理解頂いているところと思いますが、減肉がどうしてもしてまいりますので、それをいかに管理し、その状況を事故に至らないようにするのかということが必要になっております。それから、絶縁低下ということで、原子炉の中には何キロにわたるケーブルが、例えば電力を供給する、信号を伝えるというようなケーブルがございますので、こういうものも絶縁低下はあるのかないのかということも評価してございます。それから6番目としてはコンクリートの強度低下ということでございます。コンクリート構造物、特に今回、先ほどの部会長からの御紹介にもございましたが、やはり伊方におきましてはアルカリ骨材反応等もございます。こういう劣化モードの中では熱だとか放射線それから中性子を受けたことによる評価、更には中性化ということで空気中にありますとどうしても空気中の二酸化炭素と反応してしまってアルカリが弱くなっていくという状況がございますので、塩分の浸透等を考えて、コンクリートの強度低下を評価している。更にその他といたしまして、特殊ではございますが、ポンプの主軸にフレッティングすることで、カチカチあたることによって疲労割れが発生するだとか、内面だけの腐食でなく外面からも腐食を受けている状況も長期にわたれば影響が出てくるということもございます。伝熱管の磨耗とか高サイクルによる疲労、樹脂も磨耗しますし、鉄骨構造物も表面上は腐食してございますので、そういうものを踏まえて経年劣化事象を取り上げ、どのように対応を取るのかということを評価しているわけでございます。

スライドの中では、特に(1)中性子照射脆化、(3)疲労、(6)コンクリートの強度低下について、追加説明をさせて頂きたいと思います。

まず、中性子照射脆化でございますが、中性子を受けることによりまして、格子の位置にある元素が飛び出してくるという、非常に高エネルギーを受けることによって発生する行為でございます。結果といたしましては脆くなる温度帯が、従来であれば非常に低い温度で起きたものがだんだん温度が上がっていくということで、通常の使用条件に近づいてくるという問題が1点ございますし、更に脆くなるエネルギー、これは上部棚吸収エネルギーと申しておりますが、これも下がっていくというような状況、この2つの要素を考えていかなくてはならないと考えてございます。これについて現状を評価するために、実は監視試験片というのが原子炉を運転した時からずっと入っております。このプラントの場合、6体入ってございましてこのうち3体を既に取り出し、中性子による影響を評価してございます。その1つでございます関連温度に関する予測式と、そこから今回の3体を比較したものが右下の図でございます。第1回、第2回、第3回とございますが、第1回についていえば中性子量で0.4×1019程度なんですけど、年数的に定格負荷をそれに換算したような年数でいうと大体3年ぐらいのところ、それから2回目についていえば19年目くらいのところ、それから3回目については34年から40年となるようなところでございます。これは何でそうなるかというと、非常に中性子の浴びやすいところに監視試験片を置き、原子炉容器は更にその外にございますので、その分実際に受ける量は低くなるものですから、このようにまだ30年も経ってないのに実測値は30年を超えるようなデータも取り出すことができるということになるわけでございます。このように私どもが現在持っている知見でありますJEACの予測式と比較しますと、十分予測式の範囲にあろうということが考えられます。この結果、例えば60年目でみますと、5.1×1019程度の中性子を浴びるということになりますので、そこからみれば関連温度も30℃とか40℃というような温度帯にいくであろうということが読み取れるわけでございます。こういうように現状は予測をされてる式から、それを大幅には解離していないという認識を私どもとしては捉えております。その結果を踏まえまして中性子照射脆化を確認していくわけですけど、まず1点目の先ほどの関連温度に関連するところから得られます破壊靱性の問題について申し上げますと、伊方発電所はPWRでございますので、加圧熱衝撃というものを評価の対象として取り上げてございます。例えば、冷却材の喪失事故が発生して冷たい緊急用の冷却水が導入されますと急激な冷却が起きまして、その温度差によって熱応力と内圧によります衝撃的な力がかかるということで、まさに脆くなったものに対してそういう力がかかった瞬間には割れる可能性があるということになるわけでございます。このための評価をしてみたということでございますが、この結果は今回の想定される欠陥から得られます応力拡大係数はKⅠというんですけど、これはグラフの黒い線のような温度に対する変化を示してございます。それに対して材料の状態でございますが、60年目を想定しますとグラフの緑色の状態にあります。これは1年目はどうだというと、もっとこの状態が上からといいましょうか、黒い線から解離するように、例えばy軸でいえば50にあるところが、100、150という方向にこの同じような傾き、だんだん傾きも立ってくるんですけど、そういうような方向で劣化してグラフの黒い線の方に近づいてくるわけなんですが、これであっても十分60年目でも健全性が保たれる、つまり交錯しないわけですから十分その耐性はあるということはわかるわけでございます。それから次のページは、今度はエネルギーの問題ということで考えてみますと、今回母材につきまして評価した一例でございます。これは母材のうちの圧延方向に対して直角の方向の吸収エネルギーを求めているわけでございますが、これに対しまして209と初期値がございます。やはり60年目を考えますとエネルギー値は174まで下がるということでございますが、それであっても私ども1つの目安として考えてございますJEAC4206の68Jを十分上回っているものと考えてございます。そのほか、溶接金属部分も評価してございますが、これらを踏まえても68Jを十分上回っているという状態が確認されたわけでございます。このような形で健全性を確認するということでございます。もう1つ今度は疲労の問題ですが、ここでは原子炉容器の上のスタッドボルドという上蓋と接合するボルト部を評価してございますが、これについては疲労サイクルがどのようにあるかということを評価しなければいけないわけでございます。ここに一例として運転状態Ⅰ、これは通常運転状態のものであります、運転状態Ⅱですが軽い過渡変化も踏まえたような内容になってございまして、こういう負荷の喪失や外部電源喪失も発生すると想定しつつ、何回くらいの応力サイクルが入るのかという評価をしているわけでございます。例えば負荷の状態をみてみますと、運転実績に基づく結果は0となってますが実は2000年に上蓋を交換した際にこのプラントにおいてはスタッドボルトを交換しているという事実がございます。結果といたしまして2003年までの時点でいいますと3年分しか評価はないわけでございますので、この程度になっているというところでございます。これを踏まえましてその後60年まで運転するということを考えたものが右の方の数字になりまして、この応力サイクルを入れることでどれくらい疲労の状態が進むかということを考えますと0.25というようなデータが出てまいります。これは60年の運転を仮定しましても、十分許容値を下回るということでございます。上蓋は交換できますが、原子炉容器及びそれに付随するものについてはなかなか交換するような対象ものではございませんので、こういうような形で60年の評価をしているということを御理解頂きたいと思います。それから、12ページ、コンクリートの強度低下についての一例でございます。熱、放射線照射、中性化、塩分浸透、機械振動でございますが、対象とすべきところを選びます。例えば熱についていうのであれば原子炉に近いところの温度の高い部分です。ここの熱について保有水を蒸発させるような強い熱が入りますと脆くなりますので、温度制限として65℃を1つの目安としています。現実にはどの程度の温度の域にあるのかというと62℃に抑えられています。これは内部コンクリートについて一般的な部分は62℃程度ということが得られましたので、コンクリートの熱による強度低下はないだろうと、放射線につきましても一部中性子の量といたしましては1020あればちょっと影響があるんじゃないかと思っているわけなんですけど、60年目の中性子量についてはそれほどではなかった。強いガンマ線による劣化もございます。これにつきましても評価いたしますと、コンクリートの表面の方では劣化の様子を示すと思っておりますが、その程度は評価をいたしますと約12cmくらいであろうと思っております。全体の壁の厚さが280近くございますので、そのうち12cmというところがもしコンクリートとして機能しなかったとしても構造物としては十分な強度を有するという設計になろうかと考えてございます。それから中性化ですが、炭酸ガスによる中性子の深さというものと、一番怖いのはコンクリートが強アルカリでそれが鉄骨をカバーすることで鉄骨の腐食を防いでいるということですから鉄骨まで中性化しますと鉄骨が腐食をはじめ、脆くなっていくということになるわけです。ですからかぶり厚さがどれだけあって、そのうち60年後にどこまでいくかということが重要になろうかと思います。現在のところ、例えばアニュラス床のところで評価いたしますと、かぶり厚さは8cm、外部遮へい壁では6cmほどございますが、これに対して60年後の中性子の深さはアニュラス床のところは3.9cm、外部遮へい壁では3.3cmというような評価になってございますので健全性は保たれると。このような形で評価しているわけですが、特にアルカリ骨材反応について申し上げますと、資料3の2の6ページをお開き頂きたいのですが、コンクリート強度低下評価のうちASR(アルカリ骨材反応)に対しての強度変化を第2段落以降で書いてございます。このなかの評価といたしましては観察をした時にコンクリート表面にひび割れがあるのかないのかで対応が変わると思います。ひび割れがないということは基本的には大丈夫だろうと考えられますが、その状態であってもコアにおきましてその圧縮強度を評価したところ、設計基準強度を十分上回ってございます。更にはアルカリ骨材の促進膨張試験もやってみたところ問題はないということで、長期保全上健全性は確保されているという評価になりました。もう1つは割れているところということになるわけですけど、御承知のようにこの部分はタービン架台にございますし、それからタービン系統でございますが、脱気器というタービンの後、復水器から出た水を、この中にある気体分を抜くための装置があるわけなんですが、その基礎部に見られております。このため、この2箇所について評価を加えているわけですが、結果といたしましては、脱気器部分についてはコアを抜いたところ圧縮強度は20.6に対して21.1ニュートンありましたので、十分な支持機能は有していると考えてございます。更には膨張変形でございますが、脱気器やタービンなど高温を受ける機械というのは伸びることが当然の設備でございますので、膨張を考えたセッティングをしてありますし、膨張を吸収するような基礎構造になってございます。結果といたしましてコンクリートの伸びも吸収できるような構造になっておりますので、基本的な影響はないと考えてございます。更には促進膨張試験を行いましても現在はアルカリ骨材反応の状況は収まっております。その状態にあって今後の長期運用を考えた時には、十分に健全性は問題ないという評価ができるであろうと考えてございます。タービン架台についても同じ視点でやってございまして、今申しました3点、圧縮強度は十分か、20.6に対して28.8ニュートンあります、それからスライド構造については、先ほど言いましたように、それを受けるよう構造がちゃんとできておりまして、スペーサー(緩衝材)の板材の厚さを変えるだけでそれを十分受け入れることができるということが理解できております。それからコア抜きした促進膨張試験の結果につきましても、JIS判定値を十分に下回っておりまして、長期保全対策上も問題はないということに考えてございます。基本的な運用、これからの使用に関しては問題はないと考えてございますが、ここについては今後の保全対策といたしまして監視を強めていくというようなこと、現状の保全項目にリバウンドハンマーを入れて非破壊検査を追加しまして急激な強度の変化が生じてないことを随時確認していくとか、更にはこういう視点でテーブルデッキ部分の膨張変形計測にあわせて柱の部分の傾斜の計測を追加するとか、7ページの中ほどに書いておりますように、研究開発中でございますが鉄筋の破断を調査する手法というものも適用していくというような方向を追加の保全ということで四国電力では考えているという状況てす。これについては私どもは妥当だろうと考えてございます。

それではスライドのほうに戻りますが、もう1つは耐震安全性の評価でございます。どうしても経年劣化することによる耐震というのはどんなことかということになるんですが、経年劣化しますと、例えば次の上から2つ目のコラムの横に例とありますように、基礎ボルトは腐食する、ちょっと細くなるとか、低サイクル疲労、振動・地震による追加があるとか、配管が減肉した状態で地震になったらどうなんだとか、いろいろ考えられるわけでございますが、こういうような項目で特に耐震安全上着目すべき項目というのを考えていったわけでございます。これを踏まえまして、評価をしていったところどのようになったかということでございますが、1つの例として次の14ページに、炭素鋼配管は減肉しますので減肉した状態でどのように評価したかということでございます。減肉につきましては、どうしても炭素鋼配管でおきます。そのため、ここでは保守的に周方向及び軸方向について必要な最小厚さ、これは技術基準で要求する内圧計算で要求するレベルでございますが、ここまで減肉を仮定した状態でもし地震があったらどうなんだということを考えます。今回いろいろなところで特に炭素鋼は一次系ではあまり使われてございませんで、タービン周りで使われてございますので、耐震クラスも実は低いんです。そういう状態のところで評価してみますと一箇所どうしてももたないところが発生しています。最小肉厚状態ですべてが減肉する状態というのは非常に保守的、過剰というくらいに保守的といいましょうか厳しい仮定だと思っております。こういう状態だと一箇所もたないところがありまして、それが第3抽気系統配管でございます。ここについては実態にあわせた形を取ります。例えば配管がセットされたときには同じ肉厚でのぞむんですけど、減肉がしていく曲がり管のところは本来であれば管全体が減肉するのではなくて一箇所が集中的に減肉させるわけでございます。一箇所若しくは周辺が減肉していくということになるわけでございますので、その減肉の実態にあわせたような形の評価を取り入れる、実測データに基づく再評価という項目はそういうことでございまして、保守的に薄い最小板厚の評価から、一箇所は最小肉厚に至ります。それを下回った時には技術基準に適合しないわけですから、そういう状態は技術基準違反です。そういう状態になった時には明らかに交換しなければいけないという大前提がございますので、一箇所は最小肉厚までいくけど残りは実態に合わせた肉厚がついているという仮定に変えます。そういう評価をしてみて許容応力を地震時の発生応力がかかった時どうかということを評価してみますと、この場合は耐震安全性は確保されるという評価をしてございます。つきましてはそのデータを管理していく、減肉の管理をすることによって必要な時に交換をしていくことで耐震安全性は確保されるということです。放っておいて耐震安全性は確保されることはございません。しかしながら、十分に管理された保全をすることによって耐震安全性は確保されるということが判断できるという内容になってございます。このような形で、高経年化というのはどうしても放っておいて60年間持つというような評価ばかりではないのです。やはり、交換するものはする、改良するものはするということは今後いろいろ出てくると思います。そういうものを踏まえまして評価はどんどん変わっていくことになりますが、このような前提で今まで評価をしているということを御理解頂ければと思います。結果といたしまして、こういう評価を受けまして長期保全計画が次の15ページに書いてございますが、具体的な保全の方針を定めるというのが第一点でございます。この場合、具体的にどうこうするということについては、どこの機種名で、機器名は何で、劣化事象は何を着目し、それに対してどんなことをやり、時期としてはどの程度の時期までやるんだというような整理をしてますが、明確にいつやるということはなかなかいえません。これはこのような枠組みの中で劣化事象の進展を踏まえて事業者は確認をしていくということになりますので、次にどうすればいいんだということになりますと、今後の対応という16ページのようになりまして、私どもとしては事業者に対しては保全計画に反映することは重要ですし、それを十分満たしていくように管理をしていかなければならないと考えてございます。その結果は定期検査をやってございますので、終了した時には計画を私どもにやったことは何なんだということを報告を受けるということもいたします。私どもとしては定期検査、定期安全管理審査等でこの実施状況を確認していくということで、事業者の長期保全計画が適切になされているかということをフォローしていくという形で高経年化したプラントの安全性の確保ということを関与していくというような方針であるということでございます。以上のような内容は、本来の報告書の中に書かれている内容でございます。以上で報告は終わらせていただきます。

濱本部会長

ありがとうございました。

伊方1号機の高経年化技術評価結果等につきましては、3月14日に当安全管理委員会で四国電力から説明を受け、各先生方には詳細なコピーがお手元に届けられて検討して頂いてきているわけでございますが、また、4月26日、27日の2日間、四国電力から技術的な説明を受け、伊方発電所にまいりまして実際に確認調査をいたしました。そういう結果を踏まえまして、本日は最終的な結論を出したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。この高経年化技術評価報告書の内容は多岐にわたって広範囲なので、資料3-3の目次の3番目に審査の内容とありまして、その細かい分類で3-1 高経年化技術評価等の実施体制等、3-2 経年劣化事象ごとの技術評価、3-3 耐震安全性の評価、4 長期保全計画、その他という順番で一つずつ御意見を頂きながら取りまとめていけたらと思っておりますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

それでは、まず最初に「3-1 高経年化技術評価等の実施体制等」というところ、この中では「高経年化技術評価等の実施体制等」、「評価対象機器・構造物の抽出」、「経年劣化事象の抽出」が重要になってこようかと思います。そのあたりについて御意見頂ければと思います。

有吉委員

国と原子力安全基盤機構が伊方発電所に立入検査に先に入られたというようにお話がありますが、どのような点に重点を置いてなさったのかということ、それから高経年化技術評価をなさっておられますが、伊方発電所の場合は他所に比べてどのような点に違いがあるのかということをお聞きしたいのですが。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

私どもの立入検査は2月20日から23日にかけて、現地に入らせて頂きました。基本的に立入検査の主旨は提出される書類はファイル2冊分しか実はないんです。あれでも非常に大変な量だとは思うんですけど、加えて現場の管理のデータですね、そこでどのように管理されているのかということが必要になりますし、更には現状を把握するということで現場を見るというようなことも大変重要なポイントだと思ってございます。立入検査では、この評価を裏付けるデータだとか規定だとか、そういったものは基本的に確認をさせて頂きたかった内容でございます。そういう観点で各プラントと比較した時には、それ自身は審査のやり方そのものでございますのであまり差はないんですけど、今回の場合は特に部会長から審査の内容「3-1高経年化技術評価等の実施体制等」をベースにというようなお話でございますので、そのあたりで若干違うところといいますと、例えば資料3-3にですね、消耗品とか定期取替品というものが一体どうなっているんだというところで、8ページに書いてございますが、立入検査等において定められた何が消耗品で定期取替品は何なんだというところの定義に基づいて評価をさせていただいたところ、今回の場合は、例えば制御棒クラスタについては他プラントと違って評価をし管理をされている内容であっても定期取替品ですと、つまり制御棒というのはどうしても内部で中性子を吸収すればどこかで取り替えなければいけないという意味からは交換するものなんですが、それを定期取替品ということで今回整理なさってたところがございましたけど、私どもともう一度議論させて頂きまして、これはそういう意味でなくてやはり高経年化として技術評価する対象であろうというようなことも議論の中から得られました。これは他プラントではそうであったということも事実ございますし、こちらではそうではなかったんですが、そういうところで評価をしただとか、やはりアルカリ骨材反応を発生してますタービン架台については私どもとしても非常にいろいろ慎重に見させて頂いたというようなところが、当然他のプラントとの違いかと思っております。

濱本部会長

そのほか御意見ございますでしょうか。

古賀委員

品質保証の関係のことですけど、3年前の美浜3号機の2次系配管の破断事故がありましたが、電力会社と下請会社の意思疎通を欠いたということが、2次系配管の減肉管理の必要な箇所が長年定期検査の枠から外れ、破損部位が漏れていたこと及び事故までに修正できなかったため、放置されたことが原因といわれておりますが、電力会社さんの施設設備機器の品質保証監査体制は、1号機の場合どのようになっているのかということと、それから品質保証体制について国としてどのように指導されてきたかということをお聞きしたいんですけど。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

品質保証体制でございます。これは一重に高経年化の問題ばかりではないんです。これは全体的に発電所におけます品質保証が重要ということは特に平成14年でしょうか、東京電力の不正問題がありまして、それ以降どのようにその体制を整えるのかということで保安規定の中で品質保証が平成15年10月から規定の中に書かれるというような規制を受ける対象となっている。これまでは品質保証は自主的にやってくださいねというところでありましたが、規制の対象ということで保安規定の中の受けるものということになりました。保安規定につきましては年に4回保安検査というものをやってございます。その保安検査の状況から品質保証の各プラントの状況については、日本全国すべてのプラントで確認をさせて頂いてます。これは一般論でございます。そういう一般論の中で申し上げれば、伊方発電所のケースは、本日私どもの保安検査官事務所長も参っておりますが、この発電所に適した形での品質保証体制は十分に整っているのではないかと感じてございます。今回高経年化を評価するにあたりましても、高経年化をいかに評価していくかという体制におけます品質保証も確認させていただきました。そういうところには基本的には問題はなく概ね妥当という理解をしてございます。御指摘の下請けさんとの関係というところになりますと、どちらかというと高経年化という問題ではなく、先ほど最初に申し上げました一般的な品質保証の体制の中の調達をいかにするのか、いかに情報を与えて、それに適切な設備が作られることをいかに確認していくかというところの管理がうまくいってるのかどうかというところが重要なポイントだと思ってまして、そういう視点につきましては品質保証の一般的な整理として保安規定に基づく保安検査というようなところで確認させて頂いてございます。今のところこういうポイントに大きな問題があるというようなことはご報告は頂いておりません。

四国電力株式会社 谷川原子力部長

四国電力原子力部長の谷川でございます。四国電力における下請け会社を含めた品質保証体制をどう考えているのか、どうなっているのかという御質問がありましたので、そういう点について私から御回答させていただきます。私どもの設備の保守保全にかかる品質保証体制につきましては、現場管理も含めてでございますが、従来は四国電力だけが責任を持ってやるというような体制でやっておりましたが、最近では命令する側と実施する側が分離して、命令する人は命令する人、実施する人は実施する人という形でやるよりも、実施する人が責任を持ってやるような体制を組んだほうが全体のレベルはいいレベルにあると考えまして、私どもは現地におります私どもの関係会社、機械装置でいうと四電エンジニアリングという会社にお願いしておりますが、この関係会社を含めて全員で伊方発電所の補修保全を図っていくという考え方で実施しております。従いまして関係会社の実力を上げる意味もありますので、現在大量の四国電力からの要員が、出向者ということで出ておりまして、そこで関係会社の実力を上げるというような行為も実施してやるようにしております。もちろん最終的な管理責任は四国電力の本体にございますので、確実なチェックは四国電力本体で実施するようにしております。いわゆる言ったように全体一体となって実施する体制をつくっておりまして、したがってそういう意味合いのいろんな活動も発電所では実施して、全体として品質保証が万全になるようにというような形で進めております。以上でございます。

藤川委員

資料3-3の添付資料3に関連しまして原子力安全・保安院さんにお伺いしたいんですけど、添付資料3(2)でクラス1、2、3すべての機器・構造物を抽出というふうに書いて頂いているわけですけれども、伺っているところによると、伊方では約1万5千点以上の機器があるというように存じております。これらがすべて抽出されてその後の一連の流れをこなしたということをどのように検査された、あるいは保安院としてそういう検査体制があるということを保証されたのかを教えて頂きたいと思います。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

こちらの方でございますが、特に私どもとしては、例えばこのような申請の中には書いてあるわけではございませんが、立入検査を行った際にですね、伊方原子力発電所の保守管理を行っているベースになる基礎資料といたしまして、例えば発電所の系統の、どのような配管の系統となっているかとか、信号系統がどうなっているかとか、計装のブロック図だとか、そういう全体を評価する図面集がございます。そういう図面の中でどこをチェックしたのかを色をつけてマーキングするような形で色を塗りながら抜けがないようにチェックして、分類をしているというようなことを、現に立入検査の資料確認の中で確認をさせて頂いております。こういうところから、クラス1、2、3、これは電力としてはすべてやって頂きたいところでございますが、それについてですね、今言ったような消しこみ管理というような形で抜けがないように機器を抽出し、それらを分類し、評価をしていくという、まず第一歩が進められているというのを確認した次第でございます。

濱本部会長

よろしゅうございますか。そのほかございますか。辻本先生、いかがでしょうか。

辻本委員

資料3-3高経年化技術評価において、60年の供用を仮定して経年劣化事象の発生・進展傾向の予想を行い、10年間の計画として取りまとめて行うということですが、その60年という期間の根拠がよく分かりません。学術的な知見、他産業における経験等も総合的に考慮して60年という期間を決められたということですが、他の産業でも60年を基準にしてるのでしょうか。60年の根拠についてもう少し具体的にお伺いしたい。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

はい。これは60年というのはどうやって決めたかということは明確にこうだからというのは論理的にも言えるものではないんです。私どもの管理としまして、高経年化に着目し、その対策をやり始めたのは平成8年でございます。この段階の時から当時30年を迎えるプラントが出てきた段階で、ではどれくらい先を見越した評価というのが必要なのかと、100年というのはあまりに本当にその原子力発電所を使うのかということで現実性を考えた時には、どうなんだろうという首を傾げるようなところがございました。それで中から30年の倍ということで60年を1つの目安として評価していくということがあったというのは、私どもの聞いているところでございまして、明確にですね、60年は例えば事例としてこういうのがありますよということを表現したところはございません。ただ、倍くらいの評価を見込んですることでですね、現状の評価をするということが、例えば10年後をみた時とずっと将来をみた時に、ずっと将来というのはあまりに評価し得ないという部分がございますし、あまりに手前過ぎますと全く評価の意味がなさないというようなところもあります。そのあたりを勘案して、30年で評価するんだったら、その倍ぐらいをポイントと置いて評価することで、現状の技術的なレベルであれば、そこを見越す程度の技術的なベースはあるのではないかというようなところも勘案してですね、一応、専門家の意見を聴きつつ、その60年というのを設定した次第でございます。あくまでこれはそこまでいいよと言っているわけではございませんで、そこまでを仮定として使ってみたら本当に使えるかどうかというような評価から得られた知見を次の10年間に生かしましょうということでございまして、私どもの意図としてイコール60年運転いいですよと言ったということは決して思ってございませんし、そういう理解は決してなさって頂かない方がありがたいというというようなところでございます。大体、このような状態で30年の場合を見越して技術的に大体それくらいだったら見越せるなということを勘案して決めたんだということで御理解頂ければと思います。

濱本部会長

よろしゅうございますか。三島先生、いかがでしょうか。

三島委員

高経年化の技術評価ですけど、先ほどの資料3-3を拝見させて頂いて、それからパワーポイントを使った御説明、委員の方々からの御質問に対する御説明とかを伺いまして、私としては、一応、ガイドラインに沿って着目すべき経年劣化事象を抽出したり、評価対象機器を選定したり、そういったものが適切になされているんじゃないかなというふうに思いました。それから、評価体制につきましても役割分担とか手順書がきちんと作られて、それに従って作業がなされていること、そのことを国が確認されたということで、この技術評価については適切な体制が取られているんじゃないかなと私は思います。それから先ほど品質保証に関して四国電力の方から、社員の方が出向して現場のほうで実際に下請けの会社の人と一緒にやられているという御説明がありましたが、過去のいろんなトラブルの事例をみますと、下請けとか、現場に丸投げして、そういったところでいろいろトラブルが起こっている事例が多いということですので、四国電力の方でそういう体制、丸投げでなく実際に社員が出向されていろいろチェックされているということは、私は大変いいことじゃないかなと思いまして、今後もそういう姿勢で検査等の作業を進めていただきたいというふうに思います。以上です。

濱本部会長

そのほか何か御意見ございましょうか。よろしいでしょうかね。大体、御意見出尽くしたかと思います。

それでは資料3-1について総括しますと、四国電力は品質保証計画に従い高経年化技術評価等の実施体制を構築し、高経年化対策上着目すべき経年劣化事象や機器・設備を抽出している、そのようにまとめてよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

では、そのように3-1のところはまとめさせて頂きます。

次は、3-2 経年劣化事象ごとの技術評価について審議するわけですけども、この中では長期保全計画にもつながる追加保全策についても評価しておりますので、併せて審議したいと思います。資料3-3の国の高経年化技術評価報告書に係る審査についての目次には経年劣化事象ごとに1から7までの項目がございますが、この順に審議していきたいと思います。

まず最初に1の中性子照射脆化の問題です。

有吉委員

国の方にお聞きします。高経年化対策上では機器は補修とか取替で適切に対応できると思いますが、原子炉容器の場合は、これは取替ということはありませんので、非常に脆化というのは極めて重要な観点になろうかと思うのですが、現状では先ほど御説明がありましたが、監視試験片でその状態は把握していると、一応現状では脆化はないというふうな御説明があったんですが、最も重要な点は脆化予測式の精度がどうなのかということが、今後も含めて非常に重要になってくるかと思うので、その点の国の見解をお聞かせ願いたいのですが。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

過去ですね、私どもでこれで13くらいのプラントの高経年化技術評価をしてまいりました。その間に原子炉の中に監視試験片を入れることは技術基準上要求してございますので、すべてのプラントに入っているわけですけど、こういうデータをみているところは、現在のところは予測式には十分のっているかなと思います。今回の伊方のケースもですね、第3回目の中性子の量は、先ほど申しましたけど原子炉容器に換算すれば、37年以上というか40年近くのですね運転に相当するような内容になってございますので、そういう意味ではそのあたりまでは確実に予測式は大丈夫なんだろうなと私どもも思ってます。ただし、今後、知見がありませんので我々はだからずっと60年いいんだよというつもりはございません。あくまでその間に別途安全研究を行ったり、諸外国のデータを把握したりということで、私どもとしても注視していきたいと思ってございますし、電力さんもそういう状況をよく御理解頂いていると思います。その結果ですね、長期保全計画として、例えば資料3-3の添付2の中性子脆化に関する考え方を書いてございますが、こういう中でこのデータを充実させていくというようなこと、それから電力会社1社だけでなく他社の状況を踏まえてそういうデータの充実を図って、長期的な予測式の妥当性は常に把握していくことが必要だろうと考えてございます。そういう体制のもとにもし新たな知見が発生するならば、例えばそれにあわせた評価をし直すとか、更には監視試験片の数が足らなくなりそうであれば現在使っている監視試験片をうまく再生して使うというような技術開発も別途やられてございますので、そういうような項目も長期保全計画としては念頭においてやっていくんだということを電力さんはお決めになられていると、私どもは理解してございます、そういうふうな報告になってございます。ですから、現在でもう予測式は100%OKと我々は判断しているわけではございません。少なくとも40年くらいまでは今の予測で十分いけるかなという感覚ではございますが、その後については注意深く各プラントのデータを踏まえて変化の状況を把握していきたいと思ってます。それを踏まえて必要になったら見直しをするということが長期保全計画だとしておりますので、そこはそういう体制、方針は妥当だと私どもは考えております。

渡邉委員

脆化の予測と監視試験片に関してなんですけど、監視試験片は御存知のように無荷重の状態で照射が行われております。それが実際の条件とどういうふうに異なって、それが監視試験片の結果に影響を及ぼすかどうかということと、もう1点聞きたいのは、最新の報告書をみますと脆化に影響を与える成分元素としてカーボンとマンガンの量が追加になってますけども、これは先ほど言われた最新の知見を反映した結果として国のほうで新たに加わった元素というように考えてよろしいんですか。以上です。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

まず当初の話は、そのぐらいに考えて頂いて結構です。もう一つエネルギー状態といいましょうか、応力を引っ張っているという状態も、先生御存知のとおりですね、そういう状態でいわゆる金属格子が動くわけがないくらいのちょっと低レベルの低エネルギーレベルの変異状態に高速中性子がドカンと入ってきまして、例えばどうだとか、いわゆるそういう不純物といいましょうか、ちょっと微量物質が入っているところが弾き出されるというすごい高エネルギーの、何といいましょうか、変化というもののこの違いで、荷重状態というのはある程度引っ張りというような、分子間の結合状態におけるちょっと引っ張り状態にあるのですが、高エネルギーをガンとかけて弾き出すという表現はよくないんですけど、そういうようなエネルギーレベルとは若干レベル的に大変違う状態であろうと考えてございます。このため応力が脆化に及ぼす影響はそれほど大きくないのではないかと我々は考えている次第でございます。参考にもなるかならないかというとちょっとわからないんですけど、先ほど圧延の母材で評価しましたでしょ、もうひとつは溶着金属でもやっているわけです。溶着金属の場合、当然母材と違って、性質を強化する元素も入ってますが、応力状態も若干違います。溶接による残留応力とか、そういうような応力状態の違うところもあるわけでして、そういうようなものも監視試験片の中には溶接部は入っているわけですから、そういう微細なことも考えた時には応力状態は常に一定ではないと思いますが、その時にちょっと若干言いにくいんですが、母材ともケミカルコンポジットは違うんで、ストレートに評価することはできないのですが、そういう状態にあっても我々の要求する予測式を大幅に超えているというものではなかったということも、一つの非常に弱い傍証になるんじゃないかと思うんですが、一番大きいところでは変化のメカニズムとして必要なエネルギーレベルが大幅に違うので、そういう意味では応力による影響というのはそれほど大きくないという判断を私どもとしてはしているというところでございます。

濱本部会長

そのほか御意見ございましょうか。

三島委員

先ほど、監視試験片が足りなくなったら試験済みの試験片を再生する研究をなされているとおっしゃっていましたが、既に試験済みの監視試験片は来歴の追跡が可能な状態で保存されているんでしょうか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

当然、使うにあたっては、どこまで浴びているか、来歴という意味では十分追跡はできると思います。ただ、どういう状態でここのプラントだけでなく一般的な状態ですけど、まだこちらについては再生技術が入っているというわけではございません。ただ、終わったものは既にある程度中性子量はどれだけでやったのかという来歴は決まっておりますので、その次入れた時どこまで加速が追加できるのかはやってみないとちょっと今のところは分かりません。再生技術も十分機能できるのかも今まさにどこを留意して再生技術を評価すればいいのかということも踏まえて安全研究やってございますので、そういう中から何に着目してかつ何を注意すれば再生技術として実用可能なのかというような結論が出れば、そういうものも将来使っていけるんじゃないかと思っております。

濱本部会長

そのほか御意見、御質問はございましょうか。

なければ次へ進ませて頂きます。2番目の応力腐食割れについてでございます。何か御意見ございましょうか。

有吉委員

四国電力にお聞きしたいのですが、1号機では以前に原子炉容器入口管台で内表面に傷があったということで原子炉容器表面の内張りステンレスの傷があったということですが、原子炉容器は、先ほどちょっと申し上げましたけど、そのまま使っていくもんですから特に重要だったと思うんですが、応力腐食割れの対策をどう取っていくのかということと、それから応力腐食割れが起こっているかどうかといったことの監視の体制はどうなっているのかという点をお聞きしたいのですが。

四国電力株式会社 谷川原子力部長

お答えさせて頂きます。かつて原子炉容器の入口の管台配管との溶接部に、補修溶接をした後のちょっとした穴ですけど、最大が5mmで深さが3mmぐらいの補修溶接をしたところにその表面に応力腐食割れが発見されたということがございましたが、いわゆる溶接部近傍の補修溶接の部分でございますので、原子炉容器の内張り部というようなものとは作り方とかがですね、全然違いますので、いわゆる原子炉容器のステンレス内張り部等の応力腐食割れにはつながらないと。我々の経験では伊方ではこの部分に応力腐食割れが発見されたことはございません。応力腐食割れは基本的に環境と材料とその場の応力、そういったものが重なった時に起こると思っておりますが、環境については一次冷却水、非常に純度の高い応力腐食割れには問題ない腐食物の少ない水にしておりますので、我々としては大丈夫というふうに考えておる。しかしながら、検査ないし確認はずっとやっておりまして、もし一番最初作った時、非常に慎重に傷がないかどうかを見ております。運転中におきましては、溶接部は10年計画で溶接は全て見ておるわけですが、溶接を見ているところに溶接部近傍についても非常に慎重に傷がないかどうかは見ております。溶接していないその他の部位についても、これは目視でございますが、傷がないことを確認してですね、今まで順調に確認できているというふうに考えております。以上でございます。

有吉委員

すみません、どれくらいの頻度でなさるんですか。

四国電力株式会社 谷川原子力部長

10年計画の中で全周を見るということです。ですから10年に1回でございます。

有吉委員

10年に1回ですね。

四国電力株式会社 谷川原子力部長

はい。

濱本部会長

そのほか御意見、御質問はございましょうか。

渡邉委員

照射誘起型応力腐食割れ、IASCCに関してですけども、国内のPWRではこれまで事例がないということでしたけど、今回のように60年間の運転を仮定してもそれは大丈夫かということと、あるところで急激に起こるような現象はないのかというところと、先ほどありましたように残留応力の影響と非常に微妙なところがありまして、なかなかこれは検出が難しい問題だと思うんですが、そのへんのところ何か具体的なお考えはあるでしょうか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

はい。照射誘起型応力腐食割れですけども、条件としては中性子の照射量と応力条件とか温度とか、そういうような条件が成り立たせる要因ですけども、例えばその1つの中性子の照射量ということで一点考えますと10の21乗くらいのフラックスが単位面積あたりかかれば起きるんじゃないかというような目安を考えてございます。そういう視点で見た時には、原子炉の容器の内側に炉内構造物がございまして、この炉内構造物の燃料を入れる格子を作っている外の炉心槽と、内側の燃料を入れる端はどうしても空間が空きますので、こういうところをステンレスで覆ってボルトで締めてるわけですが、これをバッフルフォーマボルトだとか、外側から入っているのはバレルフォーマボルトだとか、こういうようなボルト締めしているところがございますが、このボルトにつきましては非常に応力条件、温度条件、先ほどの中性子量を考えたときにはですね、照射誘起型応力腐食割れの可能性は非常に高いと、可能性は否定できないと思っております。そこについては、そういう前提でですね、点検をやっていかなくちゃいけないと考えてございますが、四国電力さんのケースで言いますと、炉内につきましてもいろいろ改造・取替等をしてございまして、例えば炉心の炉内構造物は、確か2004年くらいに交換してございます。そういう際に、今申し上げたようなボルトについても応力条件を緩和するとか、温度条件、中性子は逃げようがないのでどうしようもないので、その応力条件を緩和するとか冷却通路を作るというような形で温度条件を緩和するとかという対策は取られてはおります。ただ現状においても照射誘起型応力腐食割れは否定できないと思ってございますので、それは将来、監視していくということも重要になっていくと思ってはおります。まず否定しえない。その上で対策は現状の対策を取っていると思います。当面はよろしいかと思いますが、今後状況をモニタしていくということは重要なポイントだと認識しているというところでございます。

濱本部会長

よろしゅうございますか。そのほかこの問題について御意見、御質問はございましょうか。なければ、次の3の疲労、低サイクル疲労、この問題についていかがでしょう。

三島委員

低サイクル疲労を評価しようとすると、原子炉の運転状態といいますか、起動とか停止に伴って、どういう応力条件の変化があるかというのを評価する必要があるんですけども、この報告書を拝見しますと、実機の運転による過渡回数を運転開始以降全て把握されていて、また事故やトラブルによる過渡回数、そういったものも考慮されているということで、疲労の評価は適切になされてるんじゃないかなと考えます。ここで一つ確認したいんですが、ここには低サイクル疲労ということが書かれていますが、時々高サイクル疲労という言葉も出てきますが、これは経年劣化の問題というよりも設計上の問題という位置付けでここでは書かれていないんでしょうか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

基本的にはおっしゃって頂いたとおりで、高経年化の評価という観点で考えた時に、本来では低サイクルそのものも設計で避けてるはずなんですけど、どうしてもユーセージファクター(usage factor:累積疲労損傷係数)の要素は長く使うことで、どんどん膨れ上がっていきますので、そういう意味で高経年化評価という観点から低サイクルを主に書いてます。高サイクルについてはゼロではありません。一部、例えば伝熱管による流動振動だとか、そういう高サイクルものについては、一応その他項目として評価はしてございますが、大きなところはやはりそれも含めて出るものだったらさっさと出てるというか、変な表現で大変申し訳ございませんが、運転を開始して早々に、例えば高サイクルというような形であればトラブル等も発生するので、そこについては基本的には設計で避けるべきものだという認識はおっしゃって頂いたとおりだと思っております。

濱本部会長

よろしゅうございますか。そのほか特になければ次へ進みますがよろしいでしょうか。

4番目の配管減肉につきまして、有吉先生、何かございませんか。

有吉委員

四国電力にお聞きします。配管の減肉については、ここにも書いてありますが、2次系配管マニュアルに基づいてなさるということですが、それで適切に管理されると思いますが、最近のトラブルで保温材に覆われた配管の直管部で穴が開いて二次系の水が漏れたということがございましたけど、そういった保温材で覆った配管の部分の管理はどうなさるんでしょうか。

四国電力株式会社 谷川原子力部長

外面からの腐食で問題だと思いますが、いわゆる曲がりの部分とか、そういう通常見ている時に、直管も一部見ますので、そういうところで異常がないかどうかっていうのを派生的に見ますが、しかし保温材を取り外すことがなくてですね、環境上建屋の外にあったりして、非常に厳しいと思われるようなところにつきましては、特別に計画的に代表的なポイントを選んで保温材を取り外して、腐食がどうなってるかということを計画的に見ていきたいというふうに考えております。そこで問題があれば適切な処置を取っていきたいというふうに考えております。

三島委員

配管の流れ加速腐食のことについてですが、関西電力の美浜発電所の二次系の配管破断という事故が起こって、これは皆さんよくご存知だと思いますが、この事故について原因とかを調査されていろんなことがある程度分かってきていると思うんですけども、それを踏まえて国としてどういう点に注意されて、今回の技術評価をされたのかというのをお伺いしたいと思います。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

そうですね、まずどんな形で配管減肉の管理がされてるかということなんですけども、今回は美浜3号の評価の結果を受けまして、経済産業省としても、保安院は原子力施設の二次系配管の肉厚の管理指針を出させて頂きました。それを受けて、そういうものの要求を更に追加していったわけなんですけど、そういうものを受けて、事業者がまず自らですね、管理するための二次系配管の調査のマニュアルというのを作ってるわけでございます。ですから私どもが要求していることは確実にそこに反映させてあるのかなということが、まず第一点確認が必要なことだと思ってみてございます。ここについては新たな知見が出てですね、今後我々の要求する指針から、より一般的な民間の規格という方向に、例えば機械学会の方で規格が作られているというような方向にございますので、そういうものを踏まえて、今後改訂してくんだという、実は案は、昨年の段階で出てきているわけですが、そういうものは私どもとして、それを使っていいですよということはまだ公式には出していないところでございますので、私どもはその内容を早々に評価できるかどうかをチェックする。それで、事業者さんはもし規格が出れば、その後それを受けて確認するというような追加があるのかないのかをみていくということになろうと思います。従いまして美浜3号から発生する状況といたしましては、私どもがわざわざどういうポイントに絞って確認しなくちゃいけないのかというポイントの選び方とかいうのを明確にしましたので、そういうものが四国電力さんでお作りになられた調査のマニュアルに十分反映されてて、そういったところが十分管理されてるのかと、ちゃんと測定ポイントがしっかりと選ばれてそこが管理されてる状態にあるのかということが重要ですから、そういう審査を基本的にやっていると、将来については新しい知見や機械学会の新しい民間規格を受けて更に改善してくんだという方針を確認したというようなことで、私どもの審査はやらせて頂きました。

濱本部会長

よろしゅうございますか。そのほかに御意見ございますか。

なければ次へ移らせて頂きます。5番の絶縁低下につきまして、三島先生、何かございませんか。

三島委員

ケーブルの絶縁低下などに関する評価ということでございますけど、報告書を読ませて頂きますと、熱による劣化とか放射線照射による劣化などをいろいろ考慮されて評価されてるということで、私としては特にそれについて問題があるというふうには思えません。適切に評価されてるんじゃないかなという印象です。以上です。

濱本部会長

そのほかにはございませんか。

その次に移らせていただきます。6番のコンクリートの強度低下、この問題について。1号機のタービン架台のひび割れというのも、我々県民にとっても懸念事項になっておろうかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。御意見ございますか。

藤川委員

保安院さんに1点、四国電力さんに1点質問させて頂きたいんですが、まずタービン架台の関連なんですけれども、アルカリ骨材反応をよく分かっていないところもあるかと思うんですが、実際現場で拝見しますと、タービンデッキと柱で同じ材料を用いているということだったんですけれども、デッキ部の方で主に外観にも分かるひび割れが生じてきまして、柱で起こってきていないと、その理由を教えて頂きたいということと、将来的に、柱でも60年以内に起こってくるというふうに見るべきなのかどうかを教えて頂きたい、これ1点でございます。もう一つコンクリートの関連で原子炉本体の周辺の内部コンクリートなどですね、長期保全上は建築学会の規程など、規程といいますか出版物に沿って、あんまり大きな問題にならないというふうにしてられるんですが、ということは現状保全の継続ということなんですけれども、どのような検査体制を取っておられるのか、頻度はどういうものなのかを、これは四国電力さんに教えていただければと思います。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

それでは、保安院からは、デッキ部と柱の部分で割れの状態とかの違いあるのはどうしてかかというようなところのお話をさせて頂きます。基本的には環境状態がいろいろ変わればアルカリ骨材反応の状態も変わってくると考えてございます。デッキと柱で何が違うかというと、私どもとしてはやはり、大きくは熱の温度の影響ではないかなと思ってます。デッキというのはまさにそこにタービンが、約280℃とか300℃の蒸気が流れてるタービンがそこに乗ってる状態です。そこがボルトで架台に熱を伝えるという部分が、まさにタービンのデッキだと思います。それを柱が支えてるという構造でございますので、温度の分布でいえばタービンのデッキの部分が温度条件も高いというようなこともあわせて、アルカリ骨材反応も柱部よりも平板になっているデッキ部で促進されていたのではないかなと考えてございます。そういうことを想定しているということでございまして、いろいろな今後の知見等も踏まえれば、若干こういう見解も変わるかもしれません。ただ、現在では私どもはそういう具合に理解しております。それから、今後他のところでアルカリ骨材反応が出るのか出ないのかとういう御質問ですけど、タービン架台につきましては、四国電力さんはいろんなところでサンプルを取っておられ、コアを抜いて評価をしてるという状況でございます。コアを抜いて残存の膨張量を把握するための試験をいろいろやっておられるんですけど、そういうようなデータを見ておりますと、学会等でですね、リストで定められている目安の数値がございますけど、こういうものとの比較をしたところ、将来、今後のアルカリ骨材反応の進展というのはないだろうと思われるレベルにございますので、従って柱部に今後アルカリ骨材反応がどんどん進展してくということはなかなか考えにくいのではないかなと私どもは思っております。

四国電力株式会社 谷川原子力部長

四国電力からもお答えさせて頂きます。今後の見通しに関連しまして、私どもも同じような考えを持ってまして、アルカリ骨材反応はコンクリートを打設した直後から数年間は結構な反応が場合によっては出てくるということですが、通常きっちり管理された状態にあるコンクリートにつきましては、その後安定した時期がずっと続いていくと、これが一般的な最近の学説というか捉え方だというふうに考えております。従いまして今後、今発生していないものについてはですね、事態がこれ以上深刻になるということはないだろうとは思っております。しかし、設備としてはきっちり見ていくという観点からはですね、今後そういうようなことが起こって異常な事態に至らないかどうか、安定した設備の維持が図られているかどうかについては確実に確認していこうと考えておりまして、先ほど原子炉容器周りのコンクリートの点検等どうするのかという御質問がありましたが、定期検査の度にそのあたりも入れるようになりますので、定期検査の度にそういうところは目視ではございますがコンクリートに被害はないかというような点を見ていって、もし何か異常な兆候が出てくればそれ以上進んだ検査、内視調査をやっていきたいというふうに考えています。

濱本部会長

よろしゅうございますか。そのほかございませんか。

三島委員

先ほどちょっとタービン架台のひび割れの話が出ていましたけど、私も現場を見させて頂いて現状では当然大丈夫だろうと思いますが、今後のこと考えますと、どういう状態だったら大丈夫か、どういう状態だったら補修とか何らかの対策が必要になるのかという、そういった判断の基準や根拠というものがあるのでしょうか。それから、今後その部分について、国としてはどういうふうに監視とか確認をされていくのかお伺いしたいと思います。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

基本的にはですね、追加保全策というのは長期保全計画の中にいろいろ電力さんがお決めになられた方針がございます。例えば、劣化が進んでいるのかどうかということを非破壊的なリバウンドハンマーで評価をするだとか、更にはテーブルデッキの膨張部の変形計測をずっと進めるだとか柱の状況まで確認するとか、いろいろな方策を取ろうとなさっていることについて国としてもそういう形で評価をしていくことも大事と思っています。一番の問題は使えないという状態ですから、使えないというのはやはり例えばそういう割れがあって、当然タービンという100トンを超えるような重量をちゃんと支持できるとか、回転に異常な反応を起こさない、つまり回転機器でございますので異常な振動を起こさないと、起きるようなところでは使えない状況ですし、更に耐震性、まだ議論としては残っているかもしれませんけど、耐震性も含めて安全を確保できない状態というのは当然改造なり修理なりどんどんやってもらわないといけないんですけど、それを十分確保できる強度とか支持力を確保している状態であれば、まだまだ使用を進めていくことについては問題はないと思います。ですから現状はそういう状態にあって安全が確保されている、今後についてはモニタリングをしっかりやって長期保全ということで電力さんがお考えになられてるようなモニタリング方法を、随時国としても確認をさせて頂いて、決して想定が大幅に乖離していくという形で劣化が進むようなことになれば、当然次の対策ということを考えて頂かないといけないと思いますが、当面私どもの意識としては今言ったような使える状態にあること、それを今後もモニタリングで把握をしていくこと、この2つをですね、電力の方針を踏まえてその状態を確認、フォローアップしていくということが我々の方針でございます。

濱本部会長

そのほかございませんでしょうか。

辻本委員

資料3-3の23ページ表面ひび割れが見られない構造物というところで、一応この長期健全性評価上も問題ないという結論になっておりますが、もし新しい知見が出てきた場合、早急に何かしなければいけないような事象が出てきた場合は、10年ごとの見直しとは関係なく、その時点で国に報告するのでしょうか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

現在の制度では、新しい知見が出て評価を見直すことが必要となった場合、その結果は国に報告を求めることになります。まだそういう事例は、今のところ過去10件以上の評価の中ではございませんが。ちなみに、想定されるものとしては、この段階で言うべきものではないかもしれませんけど、耐震の評価につきましては、現在のところは古い指針に基づく評価をしてございますので、今後見直しがされれば当然評価もそれを受けた、長期保全計画に対しても追加の報告があると思います。その結果、ちょっとからんだような形でこの御説明をしたのでは理解上混乱させているようで大変申し訳ございませんが、一例としてそういう形でこのアルカリ骨材反応についても、もし新しい知見があって評価を見直すということが必要になれば国の方に報告を受けるということは制度として保障されているということでございます。

濱本部会長

森先生、何か御意見ございますか。

森委員

直接この点ではないんですけど、今ちょうど新しく改訂された耐震設計指針等が出てきていますので、それに対する再評価ということに対して国の方がどういう方針で指導されるのかということを確認したいと思っていました。この後で出てくることは別の問題として。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

まず今回、これは非常にこの高経年化の絡みの中だけでお話するような話ではないと思います。耐震安全性に関しては、もっと広い意味の伊方だけでなく日本のプラント全体に対して今回いろいろ見直しについては考えていかなければならない大事な問題であろうと考えてございます。そういう中ですので、今後また別の話題というか議題の中でも御紹介をしていくことになるんですけど、高経年化という観点で言いますと、まずは新しい指針に基づく地震の大きさといいましょうか、どういうものを評価すべき地震動にしなくちゃいけないのかというようなことがまず早急に作らなくちゃいけないことでありまして、そのための指導というのをまず一点やってございます。それを踏まえまして高経年化以前にプラント全体の評価ということをやって頂くということが大事でございます。更にその結果、それを踏まえて高経年化をしてるという視点の追加の劣化要素があるわけでございますので、それを踏まえた評価というのがされるということになります。制度的には高経年化されたところ以降のものが、今後の高経年化技術評価の変更ということで報告があると。そのほかのものは私ども別途指導してございますので、各電力さんから別途報告を受けるというような形をとります。両方とも早急にやって欲しいということは、私どもの方から指導しているところでございます。

濱本部会長

よろしゅうございますか。岡村先生、特にございませんか。

それでは、次の7番になりますその他の経年劣化事象についてはいかがでしょうか。

古賀委員

鉄骨構造物の件ですけれども、物理的な耐久性は塩分であるとか周辺環境に起因する腐食によりまして破損の程度というのは大きく左右されると思われます。コンクリート内の鉄骨の腐食による強度低下というのがアメリカで起きました高速道路の崩壊事故もこれが原因であるというふうに報道されていますけど、コンクリートの鉄骨の腐食についてはどういうふうに考えられておられますか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

コンクリートの内部にあります鉄骨とか鉄筋も含めてというお話であろうかと思いますが、これについてはコンクリート自身が石灰石からできているアルカリの凄い強いものなんです。ですから、コンクリートに覆われているところであれば腐食環境でなくきれいなものなんですが、ここが割れたりアルカリが弱くなってきたりすると鉄筋が腐食し弱まっていく、鉄筋が膨張したりその結果としてコンクリート構造物が壊れていくということになっていくわけです。ですから、我々としてはそれを確認する上では、表面に割れがないかとか、先ほど評価したような中性化という形でのアルカリ度合いの弱まりというものを評価するというような形で今後もそういうことが起きないように管理をしていくということが大事なものと思っています。現在のところですね、伊方発電所におけます今後のモニターのやり方、現状の評価につきましては適切にやられていると私ども思いまして、その結果は先ほどのコンクリートの強度という特性に応じた強度の評価の一部ということで評価はしているつもりでございます。

濱本部会長

よろしいでしょうか。そのほか、特にございませんか。

三島委員

7のその他の経年劣化事象の、資料3-3のところの25ページの記述文章なんですけど、一番下の文章に、管内流体による振動については、管内の流速が非常に高速の場合(例えば約100m/s以上の場合)には発生する可能性はあるがというふうに書かれてるんですけど、この約100m/s以上という数字は設計によっていろいろ変わり得るんじゃないかなと思います。それから実際上、約100m/sは水を想定されているのかどうかよく分からないんですけども、かなり高速なので実際のプラントでこんな高速の箇所があるのかどうかですね、その辺記述がちょっと不正確ではないかなという気がするんですけど。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

管の共振を避けることについては、私どもは技術基準、過去に美浜の2号でSGチューブ(蒸気発生器伝熱管)がバイブレーションして切れてしまったケースがございました。そういうものを踏まえてこういう管内の流体振動というものも非常に大事だという観点で規制をしてきてございます。おっしゃるとおりでございまして、例えば蒸気だとかを考えていかなくちゃいけないんですけど、あるように熱交換器の中で流速なんていうのはまさにどれだけの質量のものを取り込んで、どれだけの断面積にするかというかで、スピードは決まるわけですので、そういう意味ではおっしゃるとおりで設計で避けるべきものであって、私どもとしては可能性のあるということを表現しているわけですけど、現実には熱交換器にしろ何にしろ、数m程度の流速に抑えて設計をしておりますので、そういうところにおける発生については、可能性は非常に小さいと思ってるということで、一つの確実に起きるもので約100m/sと書いている次第でございまして、そこには決して至っていないということをちょっと表現したかったわけでございまして、ちょっとオーバーな表現と言われれば確かにそうかもしれません。

濱本部会長

そのほかございましょうか。

それでは3-2という大きな項目ですけども、これまでの御意見を踏まえて総括いたしますと、経年劣化事象ごとの技術評価については、最新の知見を踏まえて技術評価がなされるとともに、経年劣化事象に応じた追加保全策が策定されている、そのように総括してよろしゅうございましょうか。

(異議なし)

ありがとうございました。

次は、その下にあります3-3耐震安全性の評価について審議したいと思います。

先ほど国からの説明にもありましたように、今回の高経年化技術評価については、改訂される前の耐震安全審査指針に基づいた評価が行われております。現在、四国電力では改訂された耐震設計審査指針に基づく耐震安全性の再評価を実施中であって、伊方1号機については平成21年2月に評価が完了する予定になっています。改訂された耐震設計審査指針に基づく耐震安全性評価につきましては、四国電力の評価結果が出る時点において改めて当技術専門部会において審議したいと思います。また、7月の新潟県中越沖地震の対応につきましても、このあと国及び四国電力からの報告を予定しております。このことを踏まえまして、この3-3耐震安全性の評価につきまして、御意見頂けたらと思います。

森委員

保安院の方に質問が1点ございます。まず27ページ、3.3耐震安全性の評価のところに、耐震安全上着目すべき経年劣化事象として選定する際の着眼点として、機器の振動応答特性又は構造強度への影響という、この2点書かれております。構造強度への影響というのは念入りに検討がなされていて適切な評価がなされていると思ったんですけど、振動応答特性についてはあまり記述がないように思えたんですけれども、その点についてどういう方針で評価されたのかということについて教えて頂きたいんですけど。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

まず、振動応答の中では、一つは地震を受けて何回も繰り返しといいましょうか、例えばこれも応答の一つだと思いますけど、応答というのはどういう具合に反応するかですから、減衰がどれだけでとか、鈍ったことにより減衰率がどのくらい変わったかとかですね、鈍ったという表現はよくないかもしれませんけど、肉厚が薄くなったことの応答だとか、そういうことを考えていかなくてはいけないのではないかというところの御指摘かと思います。当然ですね、そういうようなことで考えていかなくてはいけないと思っておりますが、私どもの評価の中では例えば配管を減肉して評価してるというようなところにあっては、肉厚を下げてその状態において揺らした、基準地震動を入れて揺らした結果はもつのかもたないかという解析のなかに取り込んでいるという理解をしてございます。そのほか振動で影響を受けるのは、例えば低サイクルの繰り返し回数が増えるとか、疲労における繰り返し回数が地震が入ることによって増加するというような評価も加えてございますけど、応答というようなことをここまで拡大していいのかどうかちょっと分かりませんが、少なくとも解析という形のなかで例えば肉厚を減らすということによります、やはり剛性が変わりますのでそういうものも一部評価するような形で考えてございます。ただ、その結果、例えばサポート点が変わるとかそういうことはないわけですから、それだけの、そういうものによる応答が変わるということは決してございません。一応評価はしているという理解はしてございます。

森委員

例えば28ページの(2)経年劣化事象に対する耐震安全性評価の第二段落については、先ほどの検討事項で問題になっていましたASRに起因するひび割れが生じたタービン架台のことが頭にあるんですけれども、ひび割れが生じたことによってタービン架台の振動特性がどのように変わったかといったようなことをどのように評価されたんでしょうか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

ここはですね、タービン架台によって、1号と2号との比較というような観点と、昔と今とか、設計時と今という観点でいいますと、経年的な変化という形で考えますと、固有周期といいましょうか、それほど落ちてないというか差が出てきていないというところが観測というか評価の結果出てきてございますので、それを前提として評価をしてございます。ただ、どちらかというと、ここのポイントそのものは耐震設計上Cクラスなので、実をいうと評価そのものは建築基準法に基づく静的な荷重を入れておりますので、なかなかそういう意味の評価の中に入ってくる項目では実はないかもしれないので、そういう意味では評価の中に効いているかと言われると、これはクラス上は非常に低いのでそこはやってないと、しかし観測はしてます。そういうことの基礎データは電力さんしっかりお持ちになられてるということだけは申し上げることはできるんですけど、評価上は非常に簡便といいましょうか、この部分の重要度に応じた評価をしてございますので、その範囲のことしか反映はできないということになります。ほとんどしてないということになると思いますけど。

森委員

最終的に確認したい内容はどういうことかといいますと、その顕在化すると機器の振動応答特性へ影響を及ぼすことが想定される経年劣化事象を洗い出しはしたけれども、評価の結果、そういう影響がないというふうに評価されたというふうに受け止めてよろしいですか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

そうですね、そのように受け取って頂ければよろしいかと思います。

森委員

了解しました。

濱本部会長

辻本先生、御意見ございましょうか。

辻本委員

今回の報告書に直接関係ありませんが、週刊ダイヤモンドによりますと、伊方発電所の耐震危険度ランキングがナンバー1で、予想震度の最大速度が53になっております。四国電力が新しい指針に基づいて耐震性の再評価をしておられる最中に、このような数値がどうして出てきたのでしょうか。

四国電力 谷川原子力部長

私のほうからお答えさせて頂きます。週刊ダイヤモンドの先週号だったと思うんですけど、原発大解剖という特集の中で全国の原子力発電所をですね、いろんな3つの評価ですが、そのうち耐震関係では2つの原発立地危険度と原発耐震性危険度というのをランキングして、上から順番に危険だというふうなことから上から順番に並べていると。そういうなかで伊方発電所が立地危険度と耐震性危険度では上位におる、こういうような週刊誌の記事が出されました。これはですね、もともとのデータは文部科学省がやっております地震調査研究推進本部が一般防災用だと聞いておりますが、防災対策用の資料として全国の地震の起こる確率と地震が起こった時の揺れの強さ、それをそれぞれ防災用に発表しております。非常に細かい1kmメッシュだったと思いますが、そのメッシュごとにこの地域はこれぐらいと確率と地震の揺れを評価してます。そのデータを基に、ここの会社が独自に評価して、各発電所のランキングを入れたものでございます。この評価方法を、私どもの方が見てみますと、この評価方法は非常に一般的なデータを当てはめておりまして、それぞれの発電所が置かれている土地の状況とか発電所の設計の状況はほとんど加味されてないんじゃないかというふうに考えております。具体的にいいますと、伊方発電所の置かれている地区の地震発生確率43.6%というような表示だったと思いますが、実は伊方の別の場所、伊方町ではありますけど、埋立地の別の場所の表示でございまして、伊方発電所があるメッシュでは11.4%、岩盤がその地区は硬いもんですから揺れ方が低いということで、確率も低くなりまして大体1/4くらいの形になります。しかしそれは彼らは43.6%というような形でしております。それから揺れの強さのものも全国一律の原子力発電所であったらこれくらいの岩盤にのってるだろうという一律の推定値を使っておりますが、私どもが伊方発電所の原子炉建屋等を置いております岩盤は、それよりもはるかに硬い岩盤で揺れが少なくなるような状況にありますので、これの結果そのものは妥当でないというように判断しております。一つだけ補足させて頂きますと、この地震調査研究推進本部が伊方発電所を含む愛媛県西部が非常に地震が高いような評価になってございますが、これは南海地震、高知県沖、徳島県沖ですけど、ここで発生する南海地震が非常に至近で大きな地震がやってくるということで、高知県、愛媛県、徳島県もそうですが、非常に確率が上がっております。揺れの強さも上がっております。従いまして、その結果として伊方発電所が自動的に高くなっておるわけですが、私どもは安全審査を含めて、ここの南海地震につきましては、南海地震が起こった時の強さは設計ベースとして考えてですね、これには耐えられるように設計しておりますので、基本的には問題ないというふうに考えておりますので、その点も御紹介させて頂きます。

濱本部会長

よろしいでしょうか。そしたらまた後でこの地震の問題、それから最近起こりました中越沖の地震については説明があると思いますので、今のこの件につきましては、改訂された耐震設計審査指針に基づく耐震安全性評価に係る高経年化技術評価の見直しについては、改めて技術専門部会において審議するということで、ここは総括させて頂きます。

最後に、長期保全計画、その他についてですが、御意見ございましょうか。

渡邉委員

中性子の脆化に関連して国や民間の技術開発に積極的に参加するということが書かれてまして、非常にその良いことと考えます。その際に重要になるのは、こういうふうな材料、試験片データに関する情報をいかに的確に明らかにするかということと、その材料の評価をする場合にもどれだけ公平中立な機関でもって実施するかということが重要になるかと思うんですけど、それに関連して何かございますでしょうか。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

安全に係るデータはですね、秘匿するとかそういうことは決していい方向ではないと思っております。高経年化におけるデータにつきましても、やはりいろいろな国のプロジェクトは当然公開していくことになりますし、その結果につきましては、各種学会等でも発表させて頂くというような形で、広く、その内容を見て頂くという場を設けていく所存でございます。特に国、私どもの関係の独立行政法人でございます原子力安全基盤機構のやってるものについてはすべて公開という方向で対応をしていくつもりでございます。民間のやっているところをすべて広く公開ということはできないところもあろうかと思いますが、極力そういう方向でお願いをしていきたいと私どもは思ってございます。

古賀委員

1号機の高経年化技術評価等の報告書に関しまして、国のほうからの指摘事項を踏まえまして7月に変更がなされましたけれど、長期保全計画上、どのような項目をどのような理由で追加を指示されているのか、もう少し説明をしていただければと思います。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

一番大きいところはですね、よく新知見というのを今後何が出てくるかよく分からないところがございますが、今でいいんだと事業者さんは言いたがるんですが、それだけじゃなく将来に対する不確実さをいかにちゃんと真摯に対応していくかという視点からいうと、新知見を十分評価していくと、そのための安全研究というところにも積極的に乗り込んで頂くという部分については、いろいろこちらの方からお願いしたようなケースは多くございました。大体カバーされてると私どもは思っておりました。電力さんにおいてもやられておられましたので、加えてということになりますと、そういう将来にある新知見をいかに反映させるかというところについては、長期保全計画の中で特に強化して頂いたと認識してございます。

藤川委員

四国電力さんにお願いということになると思うんですけど、今も出てきましたように長期保全計画を確実に実施して頂くのはもちろんといたしまして、何か新しい知見が出てきた場合は可能な限り速やかに対応して頂きまして、評価あるいは対策を行って頂きたいと技術専門部会の委員としては考えております。また、高経年化対策につきまして、県民の皆さま方にできるだけ電力さんの方から分かりやすく説明して頂くようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

四国電力 谷川原子力部長

承知いたしました。私どもは新しい知見が出てきましたら、できるだけ早く評価いたしまして、報道等を通じてまず御説明させて頂きますが、その後、分かりやすいような形でパンフレットとか伊方見学会の場とか、毎年1回、地元の地区に戸別で回らせて頂いておりますが、そういう場を利用するなりしてですね、皆さんに分かりやすい形で御説明していきたいと考えておりますので、今後ともよろしく御指導お願いいたします。

辻本委員

長期保全計画と直接関係ないかもわかりませんが、原子炉には定期検査が行われています。定期検査は昔1年間隔で行われておりましたが、現在は13ヶ月毎に行うこととなっていると思います。最近の新聞報道によりますと24ヶ月すなわち2年に延長が考えられているようです。長期保全計画で60年の供用を考えて実施するので、定期検査の間隔を延ばしてもよいという錯覚を起こさせてはいけないと思います。定期検査の期間延長についてのお考えを伺いたいと思います。これは新聞社が勝手に書いているものなのか、何か根拠があるのか。長期保全計画と関係があるのかについてお伺いしたいと思います。私の思いつくままの勝手な考えですが、30年を超えた炉の定期検査は頻繁に行い、新しい炉の定期検査は長くしてもよいと思います。新車みたいな考えですが、そのようにすれば、新しい原子力発電所もたくさんできて、日本の経済も発展するのではないでしょうか。本筋よりはずれた話になりましたが、要するに定期検査の期間延長という新聞記事と、長期保全計画との関連性についてお話頂きたいと思います。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

昨今ですね、新聞紙上でお話のある定期検査間隔がちょっと延びるんじゃないかというお話でございますが、私どもはこの時期になって急にというような形で皆さまにそういう印象を与えてるところについては、大変申し訳なく思っております。私どもは長期に渡りまして検査制度そのものを見直していくというようなことをずっと続けておりました。先ほど一番最初に申し上げましたけど、東京電力で不正問題があった時の平成15年10月に制度を作り、品質保証を入れ、それから美浜3号で更に高経年化対策を強化し、改善を進めてきたわけでございますが、更に今後のことを考えますと、このプラント55基のうち2015年には30基が30年を超えてしまう状態になるわけです。30基が30年を超えてしまうということからいえば、より高経年化に注視していかなくてはいけないというのが、私達の命題でございます。そういう時に今のような定期検査のやり方が本当にいいのかということを根本的に考え直した時には、一律にこんな検査やりなさいではなくて、やはり30年間の履歴だとか、どんな整備をしてきただとか、どんな改造をしてきたかというようなことを既製服ではなくてオーダーメイドの検査というようなものを、個別のきめ細かな検査の方に移さなくちゃいけないんじゃないかということが基本的に私どもの認識になってございます。そこからいきますと停止中だけではなくて運転中も含めてどんな保全をやっていくかということを個別のプラントごとに作っていただくというようなことが適切ではないかなと考えております。

それを前提とした検査制度というのが今後考えていかなくてはいけないと考えているわけです。そうしますと実を申しますと現在13ヶ月ごとでやっているという13ヶ月というのはちょっと変わった数字でございまして、これは単に1年12ヶ月を役所の運用上ですね、13ヶ月ということで検査をやる時期を国の検査をやる時期を定めているだけでございます。科学的に13月に何か意味があるかというと、私どもの審議会のなかでもそれほどの意味についてはないんじゃないかというような御指摘も頂いておりました。そういうものを勘案した時には個別のプラントごとの保全が進んでいくならば、結果としてですね、プラントにある停止していわゆるチェックしたり、保護したり、メンテナンスしたりしなくてはいけない時期というのがいろいろございますので、例えばある機器については2年だったり、ある機器については1年ほどだったりというようなことになると、そういうなかでそのプラントの持つ機器を止めて確認しなければいけないという時期は、いわゆる原子炉を止める時期になるんじゃないかと、科学的に考えればそういうロジックになろうと考えてるわけです。従いましてきめ細かな検査を要求するならば、そういう形でプラントを安全にチェックするための停止の時期というのもおのずとある時期だと決まってくると思っているわけです。結果としてはそれは13ヶ月ではないという月数になっていきますので、そういう内容は、今後だからといって野放しにするのではなくて、規制のなかでは何らかの形で認可というのを考えていきたいと思っているんですけど、ただ制度上の運用上はどうしてもそういう時にある程度上限というのは必要になります。そういう上限を考えた時に過去の実績とか諸外国の状況等を考えた時に、あのような幾つかの月数が出ておりましたけど、こういうようなカテゴリー設定が必要になるのではないかという議論が現在私どもの審議会のなかで行われているという状況ではあります。まず一点、決まっているわけではございません。ただこれは突飛なように思えるかもしれませんけど、こういう形で高経年化するプラントを適切に管理する上ではこういう方向性は必要だろうと思っています。もう一点、高経年化のモードということと定検の1年とか、2年とかですね、その間隔というのを考えますと、高経年化というのは30年以降だとかもっと長い目でゆっくりと劣化するモードだろうと思っておりますので、そのことで高経年化したからすぐですね、やっぱり短く確認してくださいねというような方向にいくのか、それとももう一つそこで改造したり交換をしたりということをうまく取り入れることによって、健全性を息長く使っていくという選択肢もあろうかと思います。ですから高経年化イコール間隔を定める上で短くしなくちゃいけないというわけではないだろうと私どもは思ってまして、そういう意味でまず今後の検査制度としては、きめ細かな保全を進めることで高経年化という方向に対応をしたいと思いますし、それは日々の点検が積み重なれば高経年化されていくプラントの影響になろうかと思いますので、そういう視点で検査制度というのを考えてはどうかなということを今考えてるところであるということです。ちょっと要点化しますと、劣化モードを考えた時の1年間とか2年間というモードと高経年化は若干視点が違うと思っています。それから、今回の新検査制度そのものは我が国のプラント全体が高経年化していくという方向がございますので、それを踏まえれば個別にきめ細かに検査を要求する上の前提となる項目だと思ってまして、そういう観点からいいますと、このようなきめ細かな管理ができるという大前提があるならば13月という今の状態が延びるということもあり得るのではないかというような提案が今なされているという御理解を頂きたいと思います。これについては、今後、9月の中で原案というのを審議会の最終報告については検討していきたいと思っておりまして、その検討結果は地元の皆さまにも、一番心配されてるのは地元の方々でございます、まずは説明させて頂きたい、いろいろな場面で説明をさせて頂きたいと思っております。それを踏まえてパブリックコメントという形で広く皆さまの御意見を伺った上で案を作っていきたいと考えております。なぜこの時期なんだと言われれば、実を言いますと息の長い検討のゴールを平成20年4月からスタートさせようということがずっと言われてたゴールでございましたので、それに合わせるならばこの時期にというのが検討の方針として出ておりましたので、この時期であったということを補足させて頂きます。以上のような考え方を持ってございますが、あくまで決まるに当たっては再度いろいろ地元の方にも御説明させて頂きたいと思ってございます。このような状況でございます。

辻本委員

国及び電力の関係者に対する要望ですが、マスメディアに対する対応が非常に悪いように思うのです。トラブルが発生した場合の初期段階におけるマスメディアに対する対応が非常に重要です。日本の原子炉はだんだん老朽化していきます。そのうち、韓国や中国の原子力に負けるようになっては困ります。これからも日本の原子力を発展させていくためにはマスメディアに対する対応が非常に大切です。マスメディア及び世間の考えは非常に変化していきます。昔は許されたことでも今は許さないことが多くあります。時代に対応した、そして的確な対応をよろしくお願いいたします。

四国電力 谷川原子力部長

県民の皆さまにご安心頂けるということを目標にいろいろ工夫してまいりたいと思いますので、よろしく御指導お願いいたします。

濱本部会長

今の長期保全計画について総括しますと、四国電力は長期保全計画を確実に実施するとともに、高経年化対策上新しい知見が得られた場合には、適切に健全性評価や対策を行うこと、また、高経年化対策について県民に分かりやすく説明することということで総括させてもらってよろしいでしょうか。

今まで議論していただいたことをまとめて部会としての意見を総括しますと、こういうことになろうかと思いますが、第1、伊方1号機の高経年化技術評価及び長期保全計画については、高経年化対策上着目すべき経年劣化事象や機器・設備が抽出された上で、最新の知見を踏まえて技術評価がなされるとともに、経年劣化事象に応じた追加保全策が策定されていることなどから、妥当なものと認められる。第2、四国電力は長期保全計画を確実に実施するとともに、高経年化対策上新しい知見が得られた場合には、適切に健全性評価や対策を行うこと。また、高経年化対策評価の実施状況について、県民に分かりやすく説明すること。第3、改訂された耐震設計審査指針に基づく耐震安全性評価に係る高経年化技術評価の見直しについては、改めて技術専門部会において審議する。以上のようですが、こういうことで今の議論をまとめさせて頂いてよろしいでしょうか。

(異議なし)

ではそのようにさせて頂きます。

本日の議事1、2、3についてはこれで終了したことになります。次は報告事項なんですが7月16日に発生した新潟県の中越沖地震によって、柏崎刈羽原発でも建設時の設計基準を超える大きな地震動が観測され、想定外のトラブルが数多く発生するなど大きな影響が出ております。本県においても、伊方発電所の耐震安全性に係る県民の心配の声が出ておりますので、本日は、国及び四国電力から、中越沖地震による柏崎刈羽原発への影響を踏まえた伊方発電所の対応等について報告をお願いし、伊方発電所の現時点における耐震安全性及び今後の対応について確認したいと思います。

それでは、まず、原子力安全・保安院耐震安全審査室の御田安全審査官から説明をお願いしたいと思います。

原子力安全・保安院耐震安全審査室 御田安全審査官

原子力安全・保安院耐震安全審査室の御田でございます。本日はよろしくお願いします。

新潟県中越沖地震の概要ということで、もう皆さま方よく御承知のこととは思いますけど、平成19年7月16日午前10時13分頃、新潟県中越沖でマグニチュード6.8の地震が発生しております。現在、マグニチュード6.8とか震源位置等は大体特定されておりますが、震源断層が北西傾斜か南東傾斜かというようなことについては、今、研究機関等でも議論になっており、地震の全体像というのがまだはっきり特定されてない状況でございます。その時の柏崎刈羽原子力発電所の状況でございます。運転中の3、4、7号機、起動中の2号機は、今回の地震発生に伴い、設計どおりに制御棒が全挿入され、自動停止いたしました。1、5、6号は定検中で、特に1号機については圧力容器の蓋が開いていたということがあって、これは新聞なんかにも出ていたかと思いますけど、中の炉水が低床フロアに出ていたというのがよく出ていたかと思います。その時の柏崎刈羽原子力発電所の最大加速度の一覧表でございます。よく新聞に出てくるのは大きな数字が着目されるもんですから、ここで言えば1号機の東西方向の680ガルという数字がよく出てくるかと思いますけど、ここに出てくる数字と言うのが各号機の基礎マット上で得られた最大加速度の数字でございます。数字を見て頂くとよく分かるかと思いますが、南北方向と東西方向を比べると、東西方向の数字が全号機で大きくなっているという特徴がございます。その中でも1、2、3、4号機と5、6、7号機で分けると、基本的には1、2、3、4号機側の加速度の方が大きな数字になっていると。同じ敷地内にも関わらずこのように加速度値が相当違っております。今、何でこのようなことになるのかというようなことについての分析を東京電力が行っているところでございます。これもたぶん新聞に出ておりましたが、柏崎刈羽原子力発電所の3号機の地震値の観測された、これは基礎マットだけではございませんで、原子炉建屋の2階とかタービン架台の観測値と設計値が示されております。今回の観測記録の中で、最大加速度振幅の最も大きな数値が観測されたところがこの図でいえば右上のタービン架台、タービン建屋の1階で、2058ガルという数字が観測されております。右側の青い色でお示ししてございます数字が、それぞれ設計時にどれぐらいの数字が応答解析で求められたかという数字を比較のためにお示ししてございますが、2058ガルに対して834ガルということでございますので、概ね2.6倍とか2.7倍というようなものが観測されたということでございます。それではそもそも原子力発電所の耐震設計の基本的考え方は何かということでございますけど、大きな地震があっても、発電所周辺に放射性物質の影響を及ぼさないことと、安全上重要な「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」という機能が確保されるよう設計されるということでございます。今回の地震においても、柏崎刈羽原子力発電所の安全上重要な機能は確保されているということでございます。それでは、地震が起こってから保安院はどんな対応をしたのかということでございますが、今日の資料につけさせて頂いたのは、耐震安全性に係る事項を特に抽出させて頂きました。まず地震が起こった7月16日でございますけど、基準地震動を超える地震動が観測されたことから、東京電力に対しまして、地震観測のデータの分析、安全上重要な設備の耐震安全性の確認と報告を指示いたしました。それから7月20日、これは東電だけでなくて電力会社等ということで当然四国電力も入りますが、新潟県中越沖地震を踏まえた対応として、国民の安全を第一とした耐震安全性の確認を指示と。指示の内容は、新潟県中越沖地震から得られる知見を耐震安全性の評価に適切に反映することと、可能な限り早期に評価を完了できるよう、実施計画の見直しについて検討を行い1ヶ月を目途に検討結果を報告することでございます。それから7月31日には、この地震の具体的な影響についての事実関係の調査を行うとともに、国、原子力事業者の今後の対応について取りまとめるために、中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員会を設置したところでございます。8月20日でございますが、先ほどの経済産業大臣の指示に基づきまして、各電力会社は耐震バックチェックの実施計画の見直しを提出したところでございます。更に8月24日については、耐震・構造設計小委員会を開催いたしまして、ここに書いてございます検討を開始することになったところでございます。それでは電力会社が8月20日に提出いたしました耐震安全性評価の実施計画の見直しで、具体的にどういうことを見直しをしたかという中身でございますけど、そもそもこの耐震バックチェックというのは昨年の9月に耐震設計審査指針が新しく改訂されたことに伴ないまして、旧指針で作った発電所についても新指針に適応するかどうかということで耐震バックチェックの指示をしたところでございました。7月16日に中越沖地震が起こったことから、その耐震バックチェックの実施計画の見直しを指示したところでございます。具体的にどういうようなことが見直して変更されたかということでございますが、まず一つに本年度中に中間報告を提出するということでございます。柏崎刈羽、浜岡を除くなんですが、伊方発電所は提出されますが、今後各発電所とも今年度中に地質調査それとこれに基づく基準地震動の策定を概ね終了して頂くと。更に各発電所1プラントを対象として安全上重要な設備について評価を実施して頂くということ。それから海上音波探査の追加実施ということでございますが、今回の地震を踏まえて7発電所、それから六ヶ所再処理施設において海上音波探査を実施ということで、伊方発電所につきましても海上音波探査を実施することになります。それから3つ目でございますが、これも電力会社さんの自主的な対応ということでございますけど、今回、柏崎刈羽原子力発電所と同様の揺れが生じた場合の安全機能の維持の確認ということで、先ほどから見ていただきました基礎マットでとれた観測記録をそれぞれの各原子力発電所のモデルに入力いたしまして、安全機能が維持されるかどうかということを一ヶ月を目途に確認して頂くということの報告がございました。続きまして私どもの中の具体的にどんな形で検討をしていくかということですけれども、原子力保安部会の中越沖地震における原子力施設に対する調査・対策委員会、これが新たに設置され、その下に運営管理・設備健全性評価WG、中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するWG等を新たに設置となっております。それから既に設置しておりました耐震・構造設計小委員会等とも連携を取りながら検討を進めていくという体制でございます。まず、中越沖地震における原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するWGということで、大きく4つの項目がございまして、自衛消防体制の検討、事業者の情報連絡体制の検討、災害時における初動、準備体制の検討、自治体、国民等への情報提供と、先ほど辻本先生からも御指摘がございましたことにつきましては、ここの(4)のところにあたるのではないかと思うんですけど、(2)国の自治体、国民等への情報提供について調査・検討や(3)国及び東京電力の理解しやすいプレスリリースについての調査・検討と、このようなことも今回検討項目になっておりますので、ここで十分に検討したものを今後の広報に反映させていきたいというふうに考えているところでございます。もう一つは運営管理・設備健全性評価WGということで、ここでの検討項目は震災直後の運転管理について、設備の健全性評価についてということを検討してまいりたいと思っております。耐震・構造設計小委員会の検討項目でございますが、先ほど申し上げたことなんですけど、各号機の原子炉建屋基礎版において今回の地震による観測値が設計値を上回った要因について検討すると。それから今回の地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響の検討ということで、非常に入力が大きかったということで、弾性範囲を超えて塑性領域まで入っているんではないかと。これはまだ現在調査中なのでよく分からないんですけれども、当然そういうことも考えられますので、そういうことについて設備の健全性等についても検討していくということでございます。それから、柏崎刈羽原子力発電所の今後の耐震安全性評価に反映すべき事項等の検討も当然行ってまいります。それから、(4)今後の検討により想定される地震動に対する柏崎刈羽原子力発電所の耐震安全性の確認、(5)が柏崎刈羽原発以外のところでございますが、原子力発電所の耐震安全性確保の観点から、今回の地震から得られる知見を整理し、他の原子力発電所に反映すべき事項を検討ということで、当然伊方発電所にもどういうことが反映ができるかと、伊方という言い方になればどうなるか分かりませんが、他の原子力発電所にどういうことが反映できるかというような検討もこの委員会の中で行ってまいります。最後でございますけど、今後の伊方原子力発電所の耐震安全性に対する保安院の対応ということでございますが、耐震バックチェックの実施計画書の見直し結果を踏まえまして、四国電力が本年度中に、地質調査とこれに基づく基準地震動の策定を概ね終了し、伊方原子力発電所3号機を対象に主要設備について、改訂された耐震設計審査指針に照らして耐震安全性を評価した結果を厳正に評価させて頂きます。それから伊方原子力発電所全号機につきましては、平成21年の2月までに提出されることになってございますが、改訂された耐震指針に照らした耐震安全性の評価結果を厳正に評価すると。それから四国電力が自主的に行う柏崎刈羽原子力発電所の原子炉建屋基礎版上で観測された地震動と同様の地震動に対する安全機能についての確認というのも実施していきたいというように思っております。以上でございます。

濱本部会長

どうもありがとうございました。引き続き四国電力からも説明お願いします。

四国電力 洲之内原子力本部副本部長

四国電力の原子力本部の副本部長をしております洲之内でございます。7月から伊方発電所に駐在いたしております。よろしくお願いします。当社からの説明に先立ちまして一言御挨拶をさせて頂きます。皆様方には日頃から伊方発電所の運営につきまして御理解、御指導を賜りまして、誠にありがとうございます。この場をお借りいたしまして厚く御礼を申し上げます。さて、去る7月16日に起きました新潟県中越沖地震では東京電力柏崎刈羽原子力発電所におきまして様々な影響が見られ、調査・対策の検討が行われているところでございます。伊方発電所では従来から継続的に耐震に対する新たな知見を取り入れ、安全性や安心感の向上対策というものを講じてまいったところでございますが、今後とも柏崎刈羽原発に関する情報の収集に努めまして適切に対応してまいりますとともに、引き続き安全・安定運転を継続し皆様に安心して頂けるよう努めてまいる所存でございますので、よろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。それでは資料に基づきまして原子力部長の谷川から御説明をさせて頂きます。

四国電力 谷川原子力部長

資料4-2でございます。地震の詳細等につきましては先ほど国から御説明がありましたので、伊方発電所の状況を中心に御説明させて頂きます。3ページをお願いいたします。表になっておりまして、左側が柏崎刈羽発電所の主な事象、右側が伊方発電所の対応がどうなっているかということの比較表という形にしております。主な事象というのは新聞等で報道されて皆様方が御心配されるということを中心にピックアップしております。一番上に原子炉が自動停止し、現在炉心の冷却が続けられているという、安全が確保されているということですが、伊方発電所におきましても、そこにある数字の地震動を検知した場合には自動停止することになっております。

二つ目は非常に皆さん心配されました火災の話です。下側の表にございますようにタービン建屋と変圧器をつなぐ高圧ケーブルを支えている橋脚が、右側の地震発生後の表にございますが、橋脚自身が沈下して、そのためにケーブルがショートして火災が発生したと、こういう形で起こったという説明でございます。これは、変圧器は基礎に支えられてて、高圧ケーブルがそうでない柔らかい地盤の上に立っていたことが問題だと言われてます。伊方発電所の状況は、右側の図にありますように変圧器とタービン建屋はつながっております。一つの基礎の上でケーブルの支持を行っております。従いまして柏崎刈羽原発のようなケーブルの支持が不等沈下するようなことはないと思っております。もちろん全般について我々考えておることはこれから詳細な検討のなかで伊方発電所で考慮すべきことが新たに出てきた場合は、この速報段階での判断に関わらず必要な対策は取っていきたい、このように考えております。

三つ目は原子炉を止めた後、タービンの排風機を停止する作業がマニュアルで書かれておりますが、これを忘れていたということだろうと思いますけど、排風機の運転を続けていたために放射能が外に出たという事象がございました。伊方発電所のような加圧水型軽水炉では、タービンは放射能は含んでおりません。従いまして今回のような事象は現実的に起こらないと考えております。

次の4ページをお願いします。上側が放射能が漏えいした事象、6号機の原子炉建屋内でプールの水がこぼれて、下の図面にありますが、こういうケーブルの貫通部から建屋の外へ出て、本来は放射能を含まないものを処理する建屋外に出て、そこから水が排水口に出たというような事象がございました。伊方発電所ではピット周辺に水が漏れるようなものはないことを確認いたしました。

次の5ページです。一番上側に書いてございますが、地震計がうまく記録ができずにデータが一部消えてるというようなことがございました。私どもの方は伊方発電所内でデータ容量は10日分持っております。それから本店へ専用回線で伝送するようにしてございますので、今のところデータの消失が起こるということはないと、地震が終わった後、十分な評価ができるというふうに考えています。それからその次ですが、4、7号機の使用済燃料プール内に置いてあります水中作業台が壊れて落ちて使用済燃料貯蔵ラック上へ落下したという事象が公表されておりますが、私どもは水中作業台は使用済燃料プール内には置いてございません。周辺に置いてある工具等についても落下防止措置が施されていることを確認いたしました。それから一番下ですけど、排気筒までに接続されているダクトにズレが生じております。BWRは一般的に建屋と排気筒が別の位置に作られておりまして、その間をダクトが通っておると。従いまして敷地の不等沈下等がございますと、こういうダクトのズレが発生するということも起こり得るかなと考えておりますが、私どもの主排気筒は建屋と一体になった構造になっております。

それから6ページでございます。固体廃棄物貯蔵庫内のドラム缶が地震で揺れて転がったと、しかし放射性物質の外部への放出はないと報告されておりますが、私ども伊方発電所の固体廃棄物貯蔵庫につきましては、四段積みをしておりますが右の図にあるように、ドラム缶が転がりにくいようにストッパー、転倒防止ピンを使ったものにしております。

7ページは、作業員は汚染を検査せずに外に出たということを書いてございますが、当社におきましても基本的には汚染検査しますが、緊急時等については非常口から作業員の安全を確保するために出るようなこともございます。そのような場合は出たところで、安全な場所で留まって、その後作業員、避難経路の汚染検査を確実に行うような形を考えております。

その他は、先ほどありましたように、国から自衛消防体制、それから事故報告体制について、緊急に実施すべきものの指示を受けております。その指示の内容が10ページに表の形で書いてございます。左側の項目が自衛消防体制の強化と迅速かつ厳格な事故報告体制の構築と、2つの項目に書いておりまして、各項目について現状、報告時点の対応方針と、一番右側が8月末時点の当社の対応状況を示しております。火災発生時に消防が十分機能できなかったということで、一番右側を見て頂きたいんですけど、9月1日から夜間、休日の自衛消防体制を、常駐も含めて10名以上確保できる体制を構築して既に運用を開始しております。それから化学消防車が足りないのではということで、1台購入することで実施しました。まだ購入手続き中で伊方には来ておりませんが本年中には来るような計画で購入手配をかけております。それから地域の消防に対する通信が不十分であったという点が3段目です。消防機関へ専用回線を持っておりますが、これを固定するようにしました。それから中央制御室、非常に堅牢に作っておりますが、そこへ消防機関への専用回線電話を設置いたしました。次の項目は訓練を強化しますということですが実施します。では、次の大きな項目の、迅速かつ厳格な事故報告体制の構築に関しては、放射能分析が一番皆様方の興味がある、知りたいということで、放射能分析要員を3名常時確保する体制を9月1日から運用しております。それから緊急時用の通信機器、OA機器等は地震時に壊れないように固定をするということで実施いたしました。

次は11ページでございます。耐震安全性評価実施計画の前倒しと見直しということで、今年中に3号機を対象に中間報告というような形で実施させて頂きます。そこで伊方発電所で考えるべき地震の大きさを我々として評価したものを国へ報告したいというように考えております。全体の3号機の報告は平成20年7月でございます。その後1、2号機を引き続いて評価しまして、平成21年2月までに報告したいというふうに考えております。

次に13ページをお開きください。地震動の基になります活断層をどう評価するかということのキーになります地質調査状況を13、14ページに表記しております。上から古い順になっておりますが、昭和45年から50年に私どもが敷地前面海域を含みます敷地内も当然ですが、いろんな調査をしたものを前提に、1号機の原子炉設置許可申請、いわゆる安全審査を実施いたしました。その後も引き続いて実施しておりましたが、3号機の安全審査に向けて昭和57年から59年に更に詳細な調査を実施いたしました。安全審査した後、敷地前面には中央構造線に関連する断層があるということで、いろんなグループがいろんな研究をしております。私どもとしてはそういう研究をずっとフォローし続けております。それから、私どもとしても独自に調査するものもあります。赤で書いているものは私どもが独自で調査したものでございます。14ページの表の平成12年から13年の産総研他が敷地前面海域の断層群について海上音波探査をしたと、これが、今柏崎刈羽原発の沖で実施されております最新技術に基づく海上音波探査とほぼ同じ手法で、伊方で平成10年から13年にかけて実施しております。その結果、表の右側に書いておりますが、県環境安全管理委員会技術専門部会に、2003年3月に報告させて頂いた評価の中に取り入れております。その後ずっと続けておりまして、平成16年には私どもが独自に敷地前面海域の断層群の海上音波探査を実施しましたが、この技術も先ほど言いましたが柏崎刈羽原発沖で実施されている調査手法とほぼ同じものでございます。そういうことで私どもは常に地質調査を実施してきておりますので、特に伊方発電所で私たちが見落としている断層はないと考えておりますが、15ページをお願いします。この図で伊方発電所の沖の、赤で調査範囲と書いてございますが、北側の海域にはたくさん断層があって、それが基本的に伊方の原子炉に影響を及ぼすというような観点から、先ほどの表のようにずっと調査をしたり学術論文をフォローし続けておりましたが、南側の宇和海側につきましては、かつての調査で大きな断層はないというふうに評価をいたしておりまして敷地前面海域を代表させていればそこは耐震設計上評価を変えるようなものはないということがずっと明らかな状態で続いておりましたので、最新の技術に基づく調査がなされておりません。従いまして、今回最新の技術を適用してこの領域についても調査をして皆様に安心していただくというようなことを考えております。結果は変わることはないと確信しておりますので、先ほどの評価、今年度中に3号機の主要設備を対象に評価を実施するということについて、この調査は実際に調査会社とまだ契約できておりませんので、調査期間がいつになるか確定しておりません。従いましてこの調査が今年度中に終わるかどうか分かりませんが、私どもの評価そのものはその調査に関わらず実施しようと考えております。次に17ページでございます。ここは先ほどの柏崎刈羽原子力発電所の図で建屋の上の方にいくとよく揺れるという表示がございましたが、私どもの設計用の地震動が入ってきた時に各建屋がどの程度揺れるかというのを表記したものでございます。高いところがたくさん揺れておりますが、原子炉格納容器は頂部では3600ガルというような大きな値になっております。同じような意味で次の18ページに、主要な設備につきまして地震の応力がどの程度の比率を持ってるかというのを表記しております。原子炉容器や蒸気発生器のような堅牢な機器は、いろいろな内圧とかそういう形でものの構造が決まっておりますので、機械装置として地震の応力の寄与分が非常に少ないということが分かって頂けると思います。従いまして少々大きな地震がきてもこういうものが許容値に対して十分な余裕があるというふうに考えています。最後のページですが、先ほどの国の自主的な取り組みとして、柏崎刈羽で観測された地震と同じものが伊方であった場合に設備が大丈夫かどうかということを自主的な取り組みとして評価をしようということで、今評価を進めております。そのイメージ、一例をこういう形で評価を進めているということで御紹介させて頂いているものです。右側が機器の周期、揺れの時間です。左側にいくと早く揺れる、右側がゆっくり揺れるようなものだと考えて頂きたい。縦が応答の加速度ですので、そこに切ってあった場合にどれぐらいの力がかかるか、その重量に対してどれくらいの力がかかるかというのを表記するようなものでございます。下側に原子炉容器と書いてございますが、それぞれの機器ごとに周期が決まってございますので、機器がそこのところであると赤が伊方の設計の揺れの強さです。これによって先ほどのような評価を実施しております。私どもはそれによってデータを持っております。紫とピンク、これが柏崎で捉えた波です。柏崎の波は非常にゆっくりした揺れが非常に大きく出ているという特徴があると思います。ちょっと地盤が柔らかいという感じかなと思っていますが、こういう特徴のある波でございます。従いまして赤が上を超えるようなものは、同じ揺れがきても壊れない。右側と左側で若干柏崎の波が上回っていますが、これに相当の揺れの性状を持つ機器については、こういうものがあった場合の機器の余裕がどの程度あるかと、こういう評価をして皆様方に訴えたいと思っております。今最終的なチェックの事態にありますので、そう遠くない時期にこれをお見せすることができると思います。また報道機関を通じて発表させて頂くとともに、愛媛県や国には御了解頂きたいというように考えております。私どもからは以上でございます。

濱本部会長

ありがとうございました。それではただいまの国及び四国電力の説明、報告についてご質問はありますでしょうか。

森委員

国の方にお伺いしたいんですけど、一番初めに16日早々に観測された地震動を踏まえて耐震安全性の確認、データの分析等を指示されたということを報告受けたんですけど、この地震観測というのがどういうようにして位置づけられているのか、つまり地震観測をしなければいけないものなのか、それとも地震観測をすることが望ましいのか、そういった位置づけについてまずお伺いしたいのですが。

原子力安全・保安院耐震安全審査室 御田安全審査官

各原子力発電所については、今回は上書きされてしまって本震の観測記録がとれてないんですけど、地中の中の地盤の加速度を計測するための観測器と、それから原子炉建屋についてもいくつかの地震計を設置するように、これが法律で求められているかは今は間違っていたらいけないのでお答えできませんが、計測するように事業者には指導しております。法律事項の要求事項かどうかは今はお答えできません。

森委員

分かりました。要するに観測をしなさいということになっているということで、実際には地震を受けた後の構造物や機器が安全かどうか判断するのにこういうデータがとても貴重なものだと思うんですけど、特に、今回、下の基盤上では無事何とか観測されていますが、構造物の建屋の方で欠測若しくはサチュレート(飽和)したというふうに推察されるような結果が東京電力のホームページには載っていたんですけど、そのあたりについて事実はどうなんでしょうか。

原子力安全・保安院耐震安全審査室 御田安全審査官

我々が今非常に残念だと思っているのは、建屋の方の観測記録につきましては実をいうと新潟県中越沖地震の前に、中越地震というのが3年くらい前に起こったこともあり、東京電力は新たに建屋内に地震観測器を置いておりました。ところが地盤系については古い観測器しかなくて、今回本震が起こってから余震が何度も起こってしまったために、せっかく本震で取れた記録を余震が上書きしてしまったんですね。地盤のなかで本震の時どのくらい揺れたかというのが分かると非常に解析するのに役立つのですが、本震の加速度記録というのはありません。今言って頂いたのとどちらかというと逆で、建屋の方の記録は新しい観測器に非常に大きい容量があったものですから上書きされずに残っていたんですけど、昔から残っている地盤系の地震観測器は容量が小さいもので、早く東京の方に伝送しないと余震が起こるたびにどんどんどんどん上書きされてしまって、本震の記録が残りませんでした。どちらかというと地盤の記録が残っていないという残念な結果です。

森委員

今の見解はそのとおりだというふうに思いますが、私が聞きたいのは、四国電力さんからご説明頂いた資料でいいますと、最大応答加速度が、例えば18ページでいうと原子炉格納容器というのが地震により発生する応力をとても大きく占めるものでございます。原子炉格納容器というのは17ページをみますと3600ガルという説明がありました。この3600ガルというのが設計と同じものがきたら応答するはずだというわけですけども、そういう建屋の設計で想定されている地震応答が観測される機器をそれぞれ原子力発電所が備えているかどうか、そのあたりはいかがでしょう。

原子力安全・保安院耐震安全審査室 御田安全審査官

柏崎の例で言いますと、柏崎は実をいいますと、S1、S2という動的加速度で決まっているのではなくて、3Ciといいまして、普通の一般建物構築物が0.2なんですが原子力発電所はその3倍の地震動にも耐えられるようにするということで、0.6の震度で設計するようにされております。どちらかというと柏崎の場合は、その3Ciの数字によって設計がなされてますので、一概に今回の地震動と対象比較はできないんですが、今回の地震動が非常に大きかったというのは事実なものですから、本来であれば弾性範囲内に入っているものが望ましいんですが、場合によっては塑性域に入っている可能性もあるので、先ほど申しました設備健全性WGとか耐震設計小委員会の方で実際の施設がどうであったかということを今後検討していきたいというように考えてございます。

森委員

同じ点を四国電力さんにお聞きしたいんですけど、今の地震観測の現状と建屋の応答について設計上の地震動が来た時に測れるかどうかというような点についてお伺いしたいんですが。

四国電力 谷川原子力部長

設計をしている最大の地震がきた場合に設備がどの程度の力を受けたかということを各設備について評価することを目的として、そのことを考えて今のところ地震計はまだ持っておりません。地震計は大きな意味では2つ持っておりまして、1つは大きな地震がきた時に確実に自動停止するための地震計、もう1つは地震がきた場合にどういう性状の地震でどういう程度の大きさか後で評価できるようなものとして、代表的なポイントを持っております。従いまして代表的なポイントを類推して機器が受けた力を評価していく方法だと思います。従いまして今回、いろいろ評価をする過程でそういう地震の記録についても、少し持っておく方が全体として安心していただけるとか、設備の運用上いいというような評価が出てきた場合にはそれを踏まえて対応したいというふうに考えておりますが、今のところはまだ補充しておりません。

岡村委員

柏崎の中越沖地震の時には本体は起動停止となったということでしたけど、クレーンが落ちて結局発電所が1年あるいは2年、正確には知りませんが、そういうオーダーで運転ができないという状況になっております。発電所だけだとそうかもしれませんが、例えば近くのリケンという会社はそれによって営業ができなくなって、地域だけじゃなくて日本全国の車のメーカー全部ラインが止まる、非常にグローバル化しているわけですね、影響が。この伊方発電所も四国の電力の40%近くまかなっているわけで、これが止まって、地震で自動停止するか何かで止まって、そこまではいいんでしょうけど、その後のBCP(business continuity plan:事業継続計画)ですね、四電のBCPでなくて地域のBCP、日本全国に及ぼす影響というのを考えた上では、今まで安全性一辺倒で評価の対象の機器を選んでおられましたけど、いろんな地震によって発生し得るシナリオ、ストーリーを考えた上で安全性だけでなくBCPを考えたような耐震評価というのをされる必要があるんじゃないかということを、電力行政を司る方にちょっと伺いたいんですけど。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

それでは今の御質問は、電力供給の広域性と公益性を考えた時に、安全性に加えてそのような対応を考えるべき要素があるのではないかという御指摘かと思います。エネルギー供給という観点で考えれば、まさにおっしゃるとおりだろうと思ってございます。原子力というのは行政の中におきましても推進と安全という観点で2つの対応が混在しないように、それを分けて考えていくことによって安心を皆様のほうに頂くということが一番大事なところであったかと思います。一言でいいますと供給安定性という観点で考えますと、私どもの法律に基づく電気事業法という法律で一部規制をされてございますが、こういう観点では安定供給ということは非常に重要な位置付けを持ってございますので、法律に基づく計画を作る、これの主体者は電気事業者でございます。そういう観点のものの見方というのは大変重要だと思います。しかし、その安全というものを考えた時に、それによって安全をないがしろにするということは決してあってはいけないと考えている次第でございまして、幸い私どもお答えさせて頂いております原子力安全・保安院というミッションは安全の確保というのを第一にし、その結果を皆様に安心という形で御理解を頂ければ一番ありがたいと思っているような組織でございますので、私どもの立場から申し上げれば、安全についてまずは地震によって地域の被ばく、原子力災害を発生させないということを第一に今後も考えさせて頂きたいと思います。ただ、おっしゃって頂いたところ、エネルギー供給という視点からは大変重要なポイントでございますので、経済産業省の別の部門ではそういう観点の設備に対する、例えばそれは電源を分散させるだとか、そういう安全保障的な発想もあり得るものでございますので、もっと広域な視点で考え方を行政としてやっている部分がございます。従いましてそういうものは総合的に考えていかなければいけないところという認識でございます。第一義的には事業者さんが自らの企業としてのお考えを持って頂きまして全体の計画を立てて頂く、安全については決してそれをないがしろにすることなく規制という立場からもそこは確認させて頂くという立場で今後も臨んでいきたいと考えてございます。

岡村委員

ちょっと誤解がないように補足させて頂きますけど、安全性をないがしろにしろと言ってるつもりは一切なくて、例えば耐震性を重要視していない付帯設備についてBCPという観点からもっと調査あるいは点検の枠を広げていかなければいけないんじゃないかと。それは立地条件、社会条件によって、個々の原発違う条件かもしれませんけど、そういうオーダーメード的という先ほどの言葉ありましたけど、個々の原発でそれぞれの状況に応じてもう少し広い範囲で耐震性をチェックする機器というのを選ぶ視点を持たれた方がいいという意見です。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

その点については御意見として承ります。というのは今後私どもとしては中越沖地震を受けた反省というのは当然やっていかなくちゃいけないわけです。結果といたしまして、私どもは原子力による災害防止は図れたと思っておるわけですけど、そのために火事を全く通報できなかっただとか、例えばNHKのスペシャルの中で報道されているような安全をより健全にするためには手を打つべき項目として、今までは耐震クラスの低かったものについても何らかの地震に対する耐性を上げた方がいいのではないかというような御指摘もないわけではございません。こういうものを今回の反省を考える上で検討させて頂きたいと、今後の課題として私ども対応していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

三島委員

今の御質問に関連して、安全性というのは、他のことから独立して原子炉の安全を考えるというのは、国民からもそういうことが求められているというので当然だろうと思うんですけど、今言われた発電の公益性という観点からそういうことも出てくると思いますが、それともう一つは美浜の事故の時、作業員が亡くなったということで、これはやはり労働安全衛生の観点から重要だろうと思うんですけど、あの時に、原子力安全のことを考えられる方のなかに、極端な言い方すると、あれは原子炉の安全の問題ではない、というようなことを言われている方もおられたと思うんですけど、やはり原子力発電プラント全体からするとああいう事故が起こると長期間停まるとか犠牲者が出るとかいうことがありますので、ただ単に原子炉が安全だからそれでいいということではなくて、公益性とか労働安全衛生とか、もちろん原子炉の安全を確保するというのが一番重要だと思うんですけど、そういうことも含めてバランスよく考えていくような何かがいるのではないかなという気がしておりまして、今の原子力安全・保安院、国の考え方というのは、あれは原子炉の安全上大丈夫だったからというような言い方をされますけど、やはりプラント全体として安全を守っていくという観点がいるんじゃないかなという気がします。

原子力安全・保安院 前川高経年化対策室長

御指摘の点でございますけど、美浜3号の事故につきまして、あれは二次系であったということ、普通の火力発電所と同じであったという発言がありまして、原子力の安全という観点からは、あまり原子力固有の安全の問題ではないということを一部で言われたのは事実かと思います。ただ、あの時も私どもといたしましては作業従事者の保安という観点も重要なんだということを認識し、そういう観点で安全の確保については努めてまいりたいということで対応してきた所存でございます。今後も、まさに原子力の安全だけを言ってるから安心が発生しないんだというところもございます、ただ大事な根幹は私どもとしては原子力の災害防止のことだと思いますので、ここは抜かりなく確実にやっていきたいと思いますが、加えて無視するとか他の安全を考えないということも全くナンセンスでありますので、そういうところも踏まえて行政として皆様に御理解頂くようにやっていきたいと思っているところでございます。決して原子力固有だからどうこう言ってるような状況ではないと、強く認識しているところは御理解頂ければと思います。

四国電力 谷川原子力部長

少し補足させて頂きます。今の原子力安全以外の設備についてでございますが、私どもは耐震設計は原子力だけでやっているわけじではなくて、建築基準法とかいろんなところの法令に基づいて、地震時にも必要な安全性はあるということで、法的に要求されているものについては私どもはきちんとやってきたというつもりでございます。すべての設備にそういうものだというように考えてます。従いまして、大きな地震がきた場合には、それが持つ設備上の余裕というような中で、ものが処置されていくんだろうなと一般的に考えていたわけです。大きな地震がきても通常きっちり建てたビルはほとんど倒壊してませんし、そういうものだろうと思っていたわけですが、現実に柏崎刈羽原子力発電所ではいろんな付属設備の故障が起こっております。私どもとしては、この原子力の先進的な柏崎刈羽原子力発電所で起こった事態については、そういうふうに基本的には同じような考え方できてますので、なぜそういうようなものが壊れたかについてはよく調査フォローをしまして、必要なものは適切に対応していきたいと思っております。その時の観点としては、先ほどから問題になっております原子力安全というか放射能を中心とした安全だけじゃなくて、我々はインフラを支える企業でございますので、企業の責任というのも当然ありますし、火災というような防護の問題もありますし、危険物も一部使っておりますので、そういう危険物の対応もありますし、とりわけ地域の皆様に安心して頂くと、災害時にも安心して頂くというために、我々が事前に何をしておかなければならないか、その時に何をしなければいけないかというような観点から考えることもあろうかと思いますが、そういう観点から必要なものは今後検討していきたいとは考えております。

濱本部会長

そのほかよろしゅうございましょうか。

有吉委員

四国電力にお伺いします。先ほど13、14、15ページで御説明は頂いたんですが、そこで言い尽くされている可能性もありますが確認という意味で。一つはこの新指針による再評価のためにデータ拡充という意味で宇和海側の調査を追加するということ、その目的とか意義がもう少し明確になればと。それからもう一つは伊方の前面海域は今回は調査しないんだと、しなくても再評価には支障はないんだという理由を御説明頂きたい。それから国の方には伊方の方針をどのように評価なさっているのかということをお聞きしたいんですが。

四国電力 谷川原子力部長

再評価するに必要な活断層の把握については、既にしている調査で十分だと考えております。従いまして、そういう意味では南側の宇和海についても調査の必要性はないというふうに考えております。しかしながら、最新の技術で調査するのと昔の技術で調査したものはやはり精度が違いますので、そうすると皆様方に御安心頂けるというような意味では最新の技術でやっても結論は変わらないというのをお見せした方がはっきりするだろうということを考えて、それで我々としては南側の地域もやりたいというふうに思っておりますので、あまり結論を先走ってはいけませんが、今の考え方としては評価に影響を与えるようなことはないというように思っております。従いまして、北側の伊予灘に関連しても最新の技術を適用した調査が既に済んでおりますので、次にもし調査するようになれば何か新しい調査方法ができて、その調査方法によると何か新しい知見が出るかもしれないというようなことがもし出てきて、それが耐震設計に一定程度の影響を及ぼすというようなことがあれば、その時点でやるというようになろうかと思います。

原子力安全・保安院耐震安全審査室 御田安全審査官

私どもも四国電力が伊方原子力発電所の3号機の設置許可以降、敷地前面海域を含めていろいろな音波探査の調査を継続しているということは聞いておりますし、今回の中間報告の見直しの中において、宇和海側での海域の音波探査をするということも聞いております。ただ、最終的に私どもは四国電力さんがバックチェックの報告書を提出し、その地質調査の妥当性を今後バックチェックの審査の中で専門家の先生の意見を聴きながら、今までの調査、今回の調査含めて評価を行っていくことになります。その時にやはり追加調査が必要だという判断が出れば、電力会社に追加調査の指示をするということになるかと思います。いずれにしろバックチェックの審査の中で今後考えていきたいというように考えております。

三島委員

ちょっと確認したいんですけど、先ほどの地震のスペクトルは前面海域の活断層が動いたとして解析されたのでしょうか。その場合、前面海域の活断層というのは、先ほどスライドの15ページで示されました調査範囲の中に入っているんでしょうか。

四国電力 谷川原子力部長

そうでございます。

濱本部会長

そのほかございますか。

国や県におかれましては、伊方原発の耐震性の再評価とか確認ということを迅速、適確にやって頂いて、またこの部会に御報告頂きますようお願いいたします。

最後に伊方3号機のプルサーマル計画の進捗状況について、四国電力の方から報告をお願いします。

四国電力 谷川原子力部長

プルサーマル計画につきましては、2010年度までに伊方3号機で入れるということで進めております。今回、御報告するのは、それの燃料を作る段階前にありますので、その契約した当事者であります三菱重工、実際のものを作って頂くフランスにありますメロックス社のメロックス工場、それから部品を供給いたします三菱原子燃料、それぞれを監査対象としてきちんとものを作れるような工場になっているということを見てまいりましたので、その結果を御報告させて頂きます。監査の対象がⅠの(2)に書いてございます。(3)監査基準はきちんとしたシステムの中でやられているということで、(3)にありますように国際標準化機構ISO9001、2000年版ですが、この要求に従って基本的には見て参りました。ただ、一部は日本独自の規格がありますので、それも適応いたしました。それからBNFL社製でMOX燃料のデータ改ざんが行なわれたという反省を踏まえた再発防止対策がありますので、それについても見て参りました。次のページを開けてください。実際の実施要領はそこにありますように当社の社員ですが、社内資格を設けましてきちんとした人間を送り込んで実施いたしました。実施はチェックシートとか書類の確認、工場の現場確認を行ないました。メロックス社に対する監査には、客観性の観点から第三者監査機関の仏国ビューロベリタス社に立ち会って頂きまして、別の目から監査が適切だということも確認いたしました。結果は3社とも問題なかったということでございます。まとめでござますが、品質マネジメントシステムは適切でございました。今後とも安全確保を最優先にMOX燃料の製造、輸送等の各段階における品質保証活動を着実に進め、引き続き地域の皆様との対話や各種広報媒体を活用した理解活動を継続していきたいと考えております。3ページ目は具体的な監査結果の概要を少し詳細に書いてございます。最後のページは今後の予定でございます。主要工程の欄にあります成型加工契約の締結は終わりました。許認可の欄にあります輸入燃料体検査申請の前の段階でございます。今後、各種の国の申請、認可、合格を受けて2010年までの使用に向けて進めていきたいと考えております。

濱本部会長

どうもありがとうございました。

この件について何かございましょうか。

三島委員

この資料ではメーカーとか下請けの品質保証体制は四国電力が監査されているということが分かるんですけど、それでは四国電力自身の品質保証は大丈夫か、ということになりますが、先ほどの御説明では、第三者機関のビューロベリタスが監査しているということで、安心しました。四国電力の品質保証体制のところで、社員自らが現場に出向いてチェックするということを言われてましたが、こういう燃料の製造についてもそういうことが重要ではないかというように思いますので、そのへんも十分やって頂きたいと思います。

四国電力 谷川原子力部長

了解いたしました。そういうことでやらせて頂きます。

濱本部会長

そのほかございませんか。

プルサーマル計画につきましても、この部会で各段階、ステップごとに検討をしてきましたし、これからもしてまいりたいと思います。MOX燃料の輸入燃料体検査申請書については、また、国、四国電力に御説明頂きたいと思っております。

今日は皆様大変活発な御議論ございまして、大変大事な問題も検討したわけですから時間長くなっても仕方ないんですけど、長時間4時間に渡って検討頂きましてありがとうございました。途中で総括であるとか、管理委員会に報告する内容については御説明しましたので、明日の管理委員会ではそれに従って報告させて頂きます。

(閉会)

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 次第

日時 平成19年9月5日(水曜日) 13時00分~
場所 愛媛県庁第1別館11階会議室

1 開会

2 議題
(1) 平成18年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成18年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について
(3) 伊方1号機高経年化技術評価及び長期保全計画について

3 報告事項
(1) 中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響を踏まえた伊方発電所の対応等について
(2) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について

4 閉会

資料目次

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