平成21年度(2009年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2009年8月12日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要

1 日時

平成21年8月12日(水曜日)10時00分~12時00分

2 場所

愛媛県医師会館 2階 研修室

3 出席者

委員10名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1) 平成20年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成20年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について

5 報告事項

(1) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(2) 伊方発電所の耐震安全性評価に係る国における審議状況について
(3) 平成20年度伊方発電所異常時通報連絡状況について

6 審議等の内容(全部公開)

(事務局)

それでは定刻となりましたので、ただいまから、伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会を開催します。

はじめに、傍聴者の方に傍聴に際しての遵守事項を申し上げます。傍聴席の机にも掲示しておりますとおり、会議の開催中は静粛に傍聴すること。写真、ビデオ等の撮影、録音等しないこと。その他、会議の秩序を乱す等の行為をしないこと。などとなっておりますのでご協力をお願いいたします。また、携帯電話等をお持ちの方は、マナーモード等に設定いただきますようお願いいたします。

前回の部会以降、委員さんの委嘱替えがございましたので、新しくご就任いただきました委員さんをご紹介させていただきます。

京都大学原子炉実験所教授の代谷委員さんです。

なお、本日は、森委員、吉田委員は所要のため欠席されておられます。

それでは、長野県民環境部長からごあいさつを申し上げます。

(長野県民環境部長)

伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会の開会に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。

委員の皆様方には、大変お忙しい中、またお暑い中ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。また、日頃から本県の原子力安全行政に対しまして、格別のご協力をいただいておりますことを、厚くお礼を申し上げます。

また、本日は、原子力安全・保安院の石垣統括安全審査官、青木統括安全審査官、小林 耐震安全審査室長をはじめ、国の関係者の皆様方には、ご多忙の中お越しいただきまして、心から感謝申し上げます。

今日はこれから、「平成20年度の伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果及び温排水影響調査結果」についてご審議いただくこととなっております。

また、伊方3号機のプルサーマル計画につきましては、皆様ご存知のとおり、3月5日にフランスを出港したMOX燃料が、5月27日に伊方発電所に安全に搬入されました。その後、6月29日、30日には、技術専門部会の委員の皆様方にも立会をいただきまして、国によるMOX燃料の輸入燃料体検査が実施されました。その後、7月15日には、この輸入燃料体検査の合格証とMOX燃料装荷に係る工事計画の認可書が交付されております。本日は、四国電力から前回の部会以降のプルサーマル計画の進捗状況と今後の予定について、また、国からは輸入燃料体検査結果や工事計画の認可について、ご報告いただくこととしております。

さらに、当部会で継続してご審議いただいております伊方発電所の耐震安全性評価につきましては、現在、国において審議中でありますことから、その審議の状況についても国からご説明いただくこととしております。

いずれも伊方発電所の安全性に係る重要な案件でありますので、委員の皆様方には、技術的・専門的観点からご審議いただきますようお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。本日は、よろしくお願いいたします。

(事務局)

それでは、濱本部会長さんに議事進行をお願いいたします。

(濱本部会長)

それでは、議事に入らせていただきます。

まず、議題の(1)、(2)、平成20年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果及び平成20年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について、ご審議いただきます。

まず、事務局からその内容についてご説明いただきます。

(山口原子力安全対策推進監)

6月1日付で前任の門野の後任としてまいりました。よろしくお願いいたします。

それでは、平成20年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果につきまして、お手元の資料に基づきましてご説明させていただきます。

この調査結果につきましては、「平成20年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査計画」に基づきまして、愛媛県及び四国電力株式会社が調査を実施したものでございます。

まず、要約の1枚目のほうからご説明いたしますが、「Ⅰ 環境放射線等調査結果」の「1 空間放射線レベル」についてご説明申し上げます。

(1)の「線量率」でございますが、発電所からの予期しない放射性物質の放出を監視するため、愛媛県8カ所、四国電力5カ所におきまして、常時、空間放射線量率を測定いたして行います。測定地点につきましては、報告書本体でございますけれども、こちらの2ページ及び4ページにお示してございます。

測定結果でございますが、最高が45~70nGy、最低が11~24nGy、平均が13~27nGyの範囲でございました。

この線量率につきましては、降雨によります自然放射線の増加に伴いまして、上昇する傾向がありますことから、降雨時と降雨時以外に分けて評価を行ってございます。報告書の10ページをご覧ください。平成20年度には、降雨時におきまして通常の変動幅とされます「平均値+標準偏差の3倍」を超えました測定値は、計25回観測されてございます。これらにつきましてはいずれも、降雨に対応して線量率の増加が発生していること、発電所を中心に設置されました異なる方位のモニタで同時に増加が観測されていること、ガンマ線スペクトルからは自然放射性核種によるピークの増加が認められるものの、他の特異なピークは認められないこと、これらのことから、降雨によります自然放射線の変動と判断してございます。

報告書の12ページをご覧いただけますでしょうか。降雨時以外におきまして、「平均値+標準偏差の3倍」を超えた測定値は、合計13回観測されてございます。これらにつきましても、降雨時と同様の評価を行いましたが、飛びまして21ページでございますが、21ページのほうにお示ししていますとおり、ガンマ線スペクトルでは、鉛-214、タリウム-208、カリウム-40等の自然放射性核種のみの検出となってございまして、人工放射性核種は認められませんでした。

これらのことから、平成20年度の線量率測定結果からは、原子力施設からの放出と考えられる変化は認められませんでした。

次に、要約の2枚目にお戻りいただきまして、(2)の「積算線量」でございます。空間放射線によります外部被ばくの状況を知るために、伊方発電所の周辺地域での県測定29地点、四国電力測定25地点、松山市での県測定1地点の合計55地点で、積算線量を測定してございます。周辺地域におけます20年度の年間積算線量は、県測定では312~513μGyであり、四国電力測定分におきましては337~489μGyとなってございます。各地点の詳細な測定結果につきましては、報告書の36ページが県の分。それから37ページが四国電力の分をご覧いただけます。

四半期毎の積算値では、県実施分は過去の測定値の「平均値+標準偏差の3倍」を超えるものはありませんでした。また、四国電力実施分につきましては、平成19年度から蛍光ガラス線量計による測定に切替えてございますが、過去の熱ルミネセンス線量計による測定値の「平均値+標準偏差の3倍」を超えるものはなく、自然変動の範囲内でございました。

続きまして、要約の「2 環境試料の放射能レベル」についてご説明いたします。これは、発電所周辺の河川水、土壌、植物、海産生物等の放射能レベルを見るために、核種分析及び全ベータ放射能測定を実施しているものでございます。その調査結果につきましては、表のとおり、平成20年度の測定値は昭和50年度から平成19年度までの過去の測定値の範囲内でございまして、特に高い濃度は検出されてございません。

次に、要約の「3 大気圏内核爆発実験の影響評価」について、近年、新たな大気圏内核爆発実験は行われておらず、降下物中の放射性物質濃度は減少してございます。報告書44、45ページにグラフを載せておりますのでご覧下さい。

次に、要約の「4 蓄積状況の把握」でございます。継続的に検出されております人工放射性核種のセシウム-137につきまして、土壌、海底土の濃度の経年変化グラフを報告書の47ページから50ページに載せてございます。こちらのグラフのとおり蓄積傾向は見られませんでした。

続きまして、要約の「5 環境調査結果に基づく線量の評価」でございます。外部被ばく線量及び内部被ばく線量とも、その推定結果につきましては運転開始前や、それ以降のこれまでの評価結果と比べて同じ程度と判断してございます。

以上、平成20年度におけます環境放射線等の調査結果につきましては、いずれの項目につきましても特異なデータはなく、問題となるものは認められなかったと考えてございます。

続きまして、「Ⅱ 放射性物質の放出管理状況に基づく線量評価結果」でございます。放射性気体廃棄物及び放射性液体廃棄物の放出に伴います周辺公衆の線量を評価した結果、年間0.030μSvでございまして、安全協定の努力目標値7μSvを下回っていることを確認してございます。

最後に、要約の「Ⅲ モニタリングカーによる自然放射線量率分布調査」についてでございます。これは調査研究事業といたしまして、平成19年度及び20年度にモニタリング車を活用いたしまして、19年度は県下全域の自然放射線の状況を調査し、20年度は伊方発電所周辺市町の環境放射線線量率を調査したものでございます。調査結果の概要は、報告書の54、55ページにお示ししてございます。19年度の調査で、地質の違いやトンネルの有無が線量率に大きな影響をおよぼすことが分かってございまして、20年度の調査では、八西地区の線量率は1時間あたり25nGy以下である地点が95%を占めることが分かってございます。本調査につきましては、本年度は、伊方周辺地域でのより細密な調査を実施してございますが、これらの調査結果につきましては、緊急時等における評価用基礎データとして活用することとしてございます。

以上で、環境放射線等調査結果のご説明を終わります。

(阪本水産課長)

続きまして、平成20年度温排水影響調査結果についてご説明させていただきます。

資料ナンバー2でございます。調査結果の概要を表の1枚にとりまとめておりまして、次の2枚目以降が、調査の実施状況と結果の報告書としております。

それでは、調査報告書の1ページをお願いいたします。はじめに、調査の概要を説明いたします。調査はこれまでと同様に、愛媛県と四国電力がそれぞれ実施しております。

県の調査分につきましては、従来どおり愛媛大学に調査を委託しており、調査内容は表1に示しておりますように、水質調査、水温調査など7項目で、6の漁業実態調査については、通年にわたり調査を実施しておりまして、その他については、年2回ないし4回調査を実施いたしております。それぞれの調査側点につきましては、次の2ページと3ページに調査項目別に示しております。

次の4ページをお願いいたします。四国電力が実施しております調査内容を、表2として5ページにかけて示しております。水温水平分布調査、水温鉛直分布調査、塩分分布調査など、16項目の調査を年2回ないし4回実施いたしております。それらの調査測点につきましては、次の6ページの図3から20ページの図17にかけて示しております。

調査結果の詳細につきましては、報告書の21ページ以降に記載しておりますが、資料の1枚目の表に調査結果の概要をとりまとめておりますので、そちらを用いてご説明させていただきます。恐れ入りますが、資料の一番表の表にお戻り下さい。

県が実施いたしました水質調査結果等を表の左半分に示しております。表層水温は、13.1~25.0℃、PHは、8.1~8.3、CODは、0.02~0.75mg/l、塩分は、32.23~34.40、透明度は、8.0~14.0mの範囲で推移いたしております。

一方、四国電力が実施いたしました水質結果等を表の右半分にお示ししております。表層水温は、13.0~26.9℃、PHは、8.1~8.2、CODは、0.2~0.5mg/l、塩分は、33.16~34.18、透明度は、9.0~16.0m、DOは、5.6~8.5mg/lとなっておりまして、ヘキサン抽出物質、全窒素、全リン、浮遊物質の量等については、お示ししております数値の範囲内でございました。水質、水温調査結果とも、県、四国電力ともに過去の測定値の範囲内であり、特に異常は認められませんでした。

次に、流動調査の結果は、愛媛県の結果では0.00~0.62m/sec。四国電力が0.00~0.71m/secとなっております。

次に、放水口から排出されます温排水の拡散状況を見てみますと、温排水の影響と見られます1℃の水温の上昇の範囲は、県の調査では最大で6月には0.01km2、10月には0.15km2となっております。

一方、四国電力の調査結果では、最大で5月に0.07km2、11月に0.09km2、2月に0.15km2となっており、温排水による1℃以上の水温上昇は、県、四国電力の調査ともに確認されておりますものの、その範囲は過去の観測値の範囲内であり、放水口付近の部分的な海域にとどまっております。また、四国電力が実施しました底質調査の結果は、pH、強熱減量、COD、全硫化物、密度のいずれの結果につきましても、過去の調査結果と比較して特に異常のある数値は認められませんでした。

その他の調査といたしまして、プランクトン調査では、県が調査したプランクトン沈殿量、動物プランクトン、植物プランクトンの乾重量についても、四国電力が調査しました沈殿量、出現した種類など、過去の調査結果と比較しても特に異常は認められませんでした。

次に、付着動植物調査の結果では、県の調査では海藻はクロメが優占種となっておりまして、四国電力の調査でもクロメ等が優占種となっており、その他の生物につきましても過去の同様の生物が確認されております。

このほか、四国電力が実施しました魚類の潜水目視調査及び建網による魚類調査や、魚卵・稚仔魚の取水口への取り込み調査の結果につきましても、異常は認められませんでした。

最後になりますが、県が実施いたしました漁業実態調査の結果ですが、八幡浜漁協の3支所での漁獲状況は、近年の状況と変わりなく問題はないものと考えております。

平成20年度に実施しました全ての調査結果におきまして、特異なものは見られず、特に問題はなかったものと考えております。

以上が調査結果の報告でございます。ご審議のほどよろしくお願いいたします。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。

ただいまのご説明について、どなたかご意見、ご質問ございましょうか。特に、これまでの調査結果と変わりがないということでございます。

辻本先生、ご専門の立場から環境放射線につきまして、ご意見ございましょうか。

(辻本委員)

環境放射線の調査でございますが、当初の計画どおり綿密に実施されておりました。測定結果につきましても、「平均値+標準偏差の3倍」を超えるようなものについては、2カ所以上の方位を見たり、ガンマ線スペクトルを見たりされまして、人工放射性放射核種がないことがきちんと確かめられております。環境放射線につきましては、この報告は問題はないと思っております。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。ただいまの辻本先生のご意見よろしゅうございましょうか。

武岡先生、温排水の影響調査につきましてご意見をお願いします。

(武岡委員)

温排水の結果、事前に見せていただきましたが、水質等、各項目につきましていずれの結果も過去のデータと比べて特異なものはないというふうに判断します。特に異常は認められません。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。

ただいまの武岡先生のご意見、よろしゅうございましょうか。そのほか、どなたかご質問ございませんか。

それでは、ご質問もないようですので、本日の議題(1)、(2)の環境放射線等調査結果と温排水影響調査結果につきましては、過去の調査結果と比較して同じ程度であり、問題となるものは認められない旨、技術専門部会として意見をとりまとめさせていただいて、午後の管理委員会で報告させていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

(異議なし)

どうもありがとうございました。

(濱本部会長)

それでは次に、報告事項でございます。報告事項の第1番目、プルサーマル計画についてでございます。

プルサーマル計画につきましては、この専門部会でもいろいろ審議してまいりましたし、前回の専門部会でも審議いたしました。で、まずは事務局のほうから前回の専門部会以降の状況についてご説明いただき、次に四国電力からその詳細と今後の見通しといいますか、計画についてご説明いただき、最後に国から輸入燃料体の検査結果及び工事計画認可についてご説明いただきたいと思います。

(山口原子力安全対策推進監)

資料3-1に基づきまして、伊方3号機のプルサーマル計画に係る経緯について、今年3月以降の状況をご説明させていただきます。

伊方3号機用のMOX燃料につきましては、現地時間3月5日にMOX燃料輸送船がフランスのシェルブール港を出港いたしまして、3月25日開催の技術専門部会におきまして、四国電力から輸送の安全対策について報告を受け、3月30日開催の環境安全管理委員会におきまして同じく四国電力から報告を受けるとともに、国土交通省さんのほうからも輸送の安全性を確認したとの説明をいただいたところでございます。

その後、5月18日に静岡県の浜岡原発、5月23日に佐賀県の玄海原発にMOX燃料が搬入されまして、伊方発電所のほうには、5月27日にMOX燃料21体が搬入されました。県といたしましては、この搬入に当たりまして伊方発電所に職員が立ち入りまして、輸送容器の放射線測定結果が法令に定める基準値以下であることを確認いたしますとともに、搬入作業が安全に実施されたということにつきまして確認いたしました。

搬入されましたMOX燃料は、その後、輸送容器から使用済燃料プールに移されまして、6月29日、30日には、原子力安全・保安院によりますMOX燃料の輸入燃料体検査の外観検査が実施されまして、技術専門部会委員7名及び県職員が立会いいたしまして、検査の実施状況を確認いたしました。

また、7月15日には、原子力安全・保安院から四国電力に対しまして、MOX燃料の輸入燃料体検査合格証及びMOX燃料装荷に係ります工事計画の認可書が交付されたとこでございます。

以上が3月以降、現在までの状況でございます。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。

(四国電力 柿木原子力本部副本部長)

説明に先立ちまして、一言ごあいさつをさせていただきます。

皆様方には、日頃から伊方発電所の運営につきましてご指導、ご理解を賜りまして、まことにありがとうございます。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。

伊方発電所の運転状況でございますが、1、2号機をほぼ同時に停止いたしまして、中央制御盤の取替工事などを行っておりました定期検査も、先日、無事に終了いたしまして、現在、1、2、3号機とも定格熱出力で順調に運転を続けております。

伊方3号機のプルサーマル計画につきましては、順調に準備を進めておりますので、今回、それらの状況につきましてご報告させていただきます。

また、伊方発電所の耐震安全性評価につきましては、現在、国において確認が行われておりますが、当社といたしましては、これに適切かつ全力で対応してまいる所存でございます。

今月5日に、原子力安全・保安院より追加の要請を受けましたけれども、これにつきましても早急に検討をいたしまして、ご報告をしたいというふうに考えております。今後とも信頼される伊方発電所を目指しまして、安全・安定運転の継続と情報公開の徹底に全力をあげて取り組んでまいりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

それでは、3号機のプルサーマル計画の進捗状況などにつきまして、原子燃料部長の坂井からご説明させていただきます。

(四国電力 坂井原子燃料部長)

資料3-2に基づきまして、現在のプルサーマル計画の進捗状況についてご説明申し上げます。

当社は、来年1月開始予定の伊方発電所第3号機定期検査でのMOX燃料装荷に向けて準備を進めてございます。今回は、本年3月に報告申し上げましたMOX燃料の輸送開始以降の進捗状況についてご報告いたします。

括弧書きの中に、前回までにご報告した内容についての主要な経緯がございますけれども、平成18年3月に原子炉設置変更許可を受けた後、加工契約を締結いたしまして、輸入燃料体検査申請、その後MOX燃料の製造終了を受けまして補正申請を行っております。平成21年3月6日に輸送船がフランス、シェルブール港を出航いたしました。この3月6日は日本時間としての日付でございます。

次に、具体的な状況でございます。MOX燃料の搬入、開梱作業でございますけれども、5月27日にMOX燃料21体を発電所に搬入いたしました。発電所搬入時には、MOX燃料輸送容器の線量当量率、放射性物質の表面密度を測定いたしまして、輸送容器の安全性を確認いたしました。後ほど、具体的な数字を表1でご確認いただきます。

また、MOX燃料を発電所へ搬入後、輸送容器開梱作業と平行いたしまして社内受入検査を実施し、MOX燃料の健全性について問題のないことを確認いたしました。

次に、輸入燃料体検査でございますが、6月29日、30日に経済産業省の輸入燃料体検査にかかわる現地検査を受検いたしまして、MOX燃料に対する経済産業省令で定める技術基準との適合性について確認を受け、7月15日に経済産業省より輸入燃料体検査の合格証を受領いたしました。

3番目に工事計画でございます。5月12日にMOX燃料装荷にかかわる工事計画認可申請を行いまして、MOX燃料を使用した原子炉の制御性等に対する経済産業省令で定める技術基準との適合性について確認を受け、7月15日に経済産業省より工事計画の認可書を受領いたしました。

今後は、保安規定の変更、使用前検査について許認可手続きを実施してまいります。

当社は、今後ともMOX燃料の装荷・運転等の各段階におきまして、品質保証活動及び安全確認を着実に進めますとともに、引き続き地域の皆様との対話や各種広報媒体を活用した理解活動を継続していく所存でございます。

次のページに、先ほどの輸送容器の線量当量率の測定結果を載せてございます。

まず、輸送容器の表面の線量当量率でございますが、測定値、最大値として0.0547mSv/hということでございました。この線量当量率でございますが、一番下に記載しております。これは、MOX燃料を収納した状態で、輸送容器のガンマ線量当量率及び中性子線量当量率をサーベイメータで測定をしておりまして、1容器あたり11カ所を測定しております。その中の最大値を記載しております。なお、下の表面密度につきましても、1容器あたり18カ所を測定しておりまして、その最大値を記載するという位置づけでございます。それから、上の表に戻りますが、線量当量率表面から1mの点では0.0079mSv/hということで、それぞれ判定基準を満足しています。また、表面密度につきましても、検出限界値未満ということでございまして、判定基準を満足しておりますので、結果として良ということでございました。

次に、参考としまして、次のページにMOX燃料に係る許認可スケジュール。これまでの実績と今後の予定について図で記載しております。主要工程としまして、成型加工の開始が平成20年4月23日に開始をいたしました。その前に、許認可といたしまして、輸入燃料体検査を平成19年9月10日に申請をして、その後成型加工を行い、MOX燃料の成型加工終了後、補正申請を平成20年9月24日に補正申請を行いまして、MOX燃料の発電所への搬入後の検査によりまして検査を受検後、平成21年7月15日に合格をいたしております。工事計画につきましては、ご覧の日付で申請し、認可を受けています。

今後、来年1月開始予定の定検でMOX燃料装荷することを予定しておりまして、このための許認可といたしましては、保安規定、それから使用前検査があり、それぞれ申請を行っていく予定としています。今後とも着実にプルサーマル計画を進めてまいりたいと思っております。

(濱本部会長)

続きまして、原子力安全・保安院からご説明お願いいたします。

(原子力安全・保安院 石垣統括安全審査官)

今、四国電力からもご説明がございましたように、輸入MOX燃料体の検査を私どもやらさせていただき、7月15日にその合格証を交付したということで、今回、一連の輸入燃料体検査でどんなことをやってきたかということを、ご紹介させていただきたいと思います。

10年ぐらい前にBNFL社のデータの不正問題がございまして、その直後に燃料体検査の制度の見直しを私どもやってございますので、今どんな制度になっているかというのを今日のご報告の1番目としてご説明させていただいて、2番目に実際に私どもが今回行った検査の中身について少しご紹介をさせていただいて、それから、3番目は最初に申し上げましたBNFL社の問題の大きな要因は社内の品質保証の体制の問題だったんですけれども、そのためにいろんな制度見直しをしましたので、今回の検査の結果の中でどのようにやってきたかということを今日の3つ目のご報告事項とさせていただいて、最後にこの後、燃料体検査以降の私どもの検査とか安全の確認の取り組みについてご紹介させていただきます。

資料4ページ目をご覧いただけますでしょうか。これは、10年ぐらい前に起こったBNFL社のデータ捏造、不正の問題を簡単に整理したものでございます。

この会社、自社の工程管理のための検査をやってございますけども、そのほかにユーザのために品質管理用の検査、資料の枠で囲った部分ですけども、ロット抜きとりで検査をして、それをユーザーのほうに提示するというプロセスがございます。この過程で実際に測ったデータと、それをコピーして不正にくっつけたデータと混ぜて出してきたというところがこのときの事象でございます。こういったことが起こったのは、1つにはBNFL社の品質保証体制が、きちんと組織的にやるような体制になっていなくて、欠陥があったと。それから、従業員がデータのコピーをしてしまう、あるいはそれができてしまうようなセキュリティ上の対策というものがきちんとなされてなかったというのが、この事象から我々の理解するところでございまして、このために、燃料メーカーの品質保証体制をきちんさせて、それをきちんと確認していくというような仕組みを、輸入燃料体検査の制度の中に取り入れるという制度の改正をしたわけでございます。

次のページをお願いします。平成12年になりますけども、先ほどの事象を踏まえまして、制度の改正を行いました。制度の中身の1つとしては、黄色で囲った上のほうですけれども、電気事業法の施行規則の中に、「品質保証に関する説明書」というものをきちんと付けていただくということを義務付けさせていただいたわけでございます。これはまた、この後少しご説明を申し上げたいと思います。

それから、運用体制のほうの改善として、下のほうの黄色い枠で囲った部分ですけれども、1つは、設置変更許可後に、輸入燃料体の製造を始めて下さい、その順番をきちんとしましょうということでございます。それから同じように、成形加工する前に事前の申請を出していただいて、その中できちんとした製造の技術基準に合致するような体制になっているか、あるいはそれを確認する品質保証体制になっているかどうかというのは、あらかじめ計画段階で申請書を出していただくと。その次に、実際作った後に、申請を補正するという格好で実際の製造がどういうふうにやってきたか、検査をどのようにやってきたか、データはどうかと。さらにその確認はどういうふうにやってきたかというようなことを、補正の書類という形で実績として提出していただくという2段構えにさせていただいて、一番最後に、燃料体について我々が検査をしていくと。1つ1つの手続きごとに確認していくということを制度的に盛り込みました。

もう1点は、一番下に赤い字で書いてございますけども、燃料体構造の品質保証活動を日本の電気事業者が確認をしていくというふうにしているわけでございますが、さらに信頼度を向上させるという意味から、第三者機関に、電気事業者が燃料加工メーカーの監査をしてる状態をきちんと認証してもらうという二重、三重の構えにしました。これが現在の輸入燃料体検査制度の仕組でございます。

次のページ。先ほど申し上げましたとおり、品質保証に関することがBNFL社の問題を踏まえて大きな課題になったわけでございますが、品質保証に関する計画の中身なんですけれども、1つには輸入燃料メーカーがISO9000シリーズのようなきちんとした品質保証体制を構築してるかどうかということを、まず一般事項として確認するということでございます。それから、輸入燃料体に関しては、(1)のように燃料メーカーの評価と監査を電気事業者がきちんとやるような仕組みを作ると。(2)はトラブルがあった場合は、加工メーカーから順繰りに電気事業者を通じて国までトラブルの連絡がきちんとなされるということを、仕組としてきちんと作るということを記載していただくということでございます。

次のページでございますが、3番目に、加工メーカーが実際に工程を経て製造していくわけでございますけれども、その間、電気事業者は実際の加工メーカーの工場に行って検査を自らやって下さいと。ペレットを作る段階、あるいは燃料棒を作る段階、燃料集合体を製造する段階、それらの工程ごとにきちんと電気事業者に検査をして下さいということを求めているわけでございます。

それから4番目として、資料の黄色の枠で囲っている部分ですけれども、製造期間中を通じて、燃料メーカーの工場に電気事業者の社員の方が実際に行っていただいて、検査も含めて製造の状況、それから燃料メーカーの品質保証活動について具体的な確認をして下さいということを求めているわけでございます。

それから、先ほど第三者機関を活用して信頼性を高めるということを申し上げましたけれども、電気事業者が、加工の工程ごとに検査をきちんとしているかどうか。あるいは実際に、品質保証の取り組みについてどのように確認をしているかということについて、第三者の機関の認証を取って下さいということでございます。今回の場合は、フランスのビューロベリタス、ISOの審査機関などで有名な機関ですけども、ここの認証を取ったということでございます。このような形で、MOXの燃料確保のプロセス全体の品質保証と、その信頼性を高めるというふうなことで取り組んできたわけでございます。

実際の今回の検査の中身について少しご紹介させていただきたいと思います。

次のページをお願いします。燃料体検査の法令上の位置づけとしては、技術基準をきちんと適合してれば、それを合格としますというような仕組み立てになってございます。この中で具体的な技術基準としては、水色でいくつか書いてあるところですけれども、特に下の4つです。最初の申請段階では、試験の計画とか、品質保証をどのようにやっていくかっていう計画段階のものを出していただくと。それから、実際に製造が終わって、途中検査をして、品質確保のために取り組みをどのようにしてきたかというその実績について、補正申請という形で出していただくということでございます。後は、最後の燃料体の目視検査、外観検査を私どもでやらせていただく仕組みになってございます。

次のページ。順番にもう1回整理をしますと、最初に左の黄色い部分ですけども、申請書が出てきます。それで、私ども中身の審査をやっていくということでございます。実際は、補正申請という形で製造段階での取り組み、あるいは検査の実績というものをもう一度出していただいて、その中身がきちんとしていたかどうかということを私どものほうで確認をして、検査をしていくということになります。最後に、海上輸送されて、発電所内に入ったときに、外観目視検査を最終段階としてやるという、こういう流れでございます。

次は若干省略をさせていただきますけれども、12ページ以降が、技術基準の具体的な中身でございます。12ページがペレットの段階の技術基準。それから、13ページはジルコニウムの被覆管の基準でございます。それから、14ページは端栓、15ページはその他の部品というようになっています。最後の17ページでございますけれども、ペレットを燃料棒に入れて、それから燃料棒を束ねて燃料集合体にするという最後の段階で、私どもで外観目視検査を行うということでございます。この技術基準は、このように割れとか傷とか表面に付着物がないとかということでございまして、我々6月29日と30日に行ってございます。その検査の様子は、次のページを見ていただければと思いますが、こちらの専門部会の先生方と、県の方も立ち会いながら、私どもが実施させていただいたのですけれども、燃料プールの中にカメラを置いて、モニタを通じて、燃料集合体をぐるぐる回しながら、傷なり付着物なりがないかということを確認していきます。

それから、冒頭紹介しましたBNFLの問題がございまして、制度改正したわけでございますけども、今回の伊方の3号機のMOX燃料の検査が、それ以外はじめてのものだということでございますので、私ども自らが全体を品質保証の確認から検査まで一貫して国が実施をしたということでございます。法律的には、外観検査などは独立行政法人に一部事務をやってもらうということも可能ですけれども、今回は初めてだということで、一貫して私どものほうで検査させていただきました。

それから、19ページ以降は、実際の品質保証活動についてどんなことをやってきたかということでございます。1つ目、事業者の評価を行うこと。具体的にやった内容と、それを最終的に私どもが確認した内容というのが下半分に紹介してございます。私どもは記録確認という格好で資料を見ることによって、実際のメーカーがどうやってきたのかと、それに対して四国電力がどのように確認をしたかということについて、さらにそれに対して第三者の認証を付けていただくということで信頼性を高める。それらの全体の資料を、私どもで確認をさせていただいたということでございます。

25ページまで飛んでいただいて、今、申し上げたようなことを工程ごと、あるいは電力会社の実際に検査とか、そういったものを含めて最後第三者機関の認証というようなことなんですけども、資料25ページにどんなことをしたかを載せてございます。メーカーに対してシステム監査を、あるいは工程ごとにきちんと監査をしているかどうか。それから、製造の工程ごとにきちんと検査をし、確認しているか。あるいは、電力会社の人が実際に工程の期間中に工場に張り付いてきちんとパトロールしているかどうかというような実績について、電力会社の実績プラスこの分野で経験豊富な第三者機関のビューロベリタス社の認証結果を、私どもとして確認させていただいたということでございます。

最後に、26ページですが、以上の内容を確認させていただいて、今回申請のありました伊方3号機のMOX燃料につきましては、品質保証に関する記録確認、あるいはその内容の説明というものについて確認させていただいて、私どもの要求を満足しているという判断をさせていただきました。

最後に、今後の動きについてご紹介させていただきます。28ページをご覧いただければと思いますが、今、輸入燃料体検査まで来ておりまして、この後、私どもの取り組みとしては、燃料取替工事がこれからでございます。これは、MOXに限らず、炉の安全上大事な行為ですので、保安検査という形で、発電所に常駐している保安検査官又は東京から検査官を派遣して、この燃料取替工事、装荷作業のほうを確認していきたいと思っています。その次に使用前検査でございますけれども、燃料の実際の配置でありますとか、制御棒の効きだとか、その効きにどれぐらい余裕があるかというようなことについて私どもで確認をして、検査を終了して合格証を出すということになります。この後、MOXでの稼動がはじまっていくという流れになってございます。私どもといたしましては、この後も大事なステップでは、直接現場を確認し、検査するというような取り組みをしていきたいと思っております。1つ1つステップを踏みながら確認を行い、それによって安全を確保してまいりたいと思っております。

29ページはまとめです。輸入燃料体検査に関しては、技術基準や品質保証体制を確認しました。独立行政法人に一部検査をさせることもできるのですけれども、はじめてのことでしたので、私どもが直接、全体を通して確認をさせていただいたということでございます。これから先につきましても、燃料体の装荷、試運転等、その段階に応じて保安検査や使用前検査の形で、ステップを踏んで、厳格に安全性の確認を行ってまいりたいと思っております。

(濱本部会長)

ありがとうございました。

それでは、ただいまのご説明についてどなたかご意見、ご質問ございましたらお願いいたします。

(有吉委員)

国への質問ですが、昨年の10月、本部会で四国電力から品質保証活動に関してのご説明がございました。そのときの話では、四国電力が現地で行っている品質保証活動の中で、現場を巡視したときに気づいた事項に対しての処置と、それからメロックス社内での品質活動上必要な事項に対する処置というのが適正に行われているということを、四国電力が確認をしたというふうなことを聞いておりますが、国にお伺いしたいのは、この2社が行った品質保証活動に関する確認を具体的にどのように行ったのかという点。なお、その中に不適切なものに対して改善をした事項というのがございますので、それも含めて確認についてのご説明をお願いしたいと思います。

(原子力安全・保安院 石垣統括安全審査官)

今のご質問の関係は、先ほど省略してしまったのですが、20ページあるいは21、23ページになりますけれども、1つはここでいうシステム監査、不適合事象があったときにどういう改善をするか、それをどう評価してどうやっていくかというのはあらかじめ品質保証システムを見ております。23ページが分かりやすいかと思うんですけども、実際に製造工程の期間中に四国電力の社員の方が工場に張り付いて実際の検査を一緒にやっていく、あるいは、検査を独自に確認していくということをやってございます。それについては、下半分に書いてございますが、パトロールチェックシートという格好で具体的に何があったかと、どんな出来事があって合格としたのか。不合格として改善をしたのかというようなことを、最後の記録として私どもは確認をしたということでございます。それから、品質保証上の不適合事象として具体的に何があったかということになりますと、これは事業者間の秘密保持契約があり、このような不適合事例があったということを今申し上げることはできないのですけれども、私どもは書類の監査として、何があってどういうプロセスでその検討が行われて改善をしたのか、あるいはそれを改善したことをどう確認して、それがまた起こらないようにどういう改善をしたかということについては、一連のプロセスを全部文書化して残すというのが品質保証システムの考え方でございますので、その確認行為の最後の結果を、今回の品質保証を確認する中で、私どもとして改めて確認をしたということでございます。具体的な何が起こって何を改善したのかというのは、申し上げられませんが、取り組みとしてきちんとなされているということを確認したということはご報告できます。

(濱本部会長)

すみません。今、原子力安全・保安院のほうから2つの項目、第1は輸入燃料体の検査結果については、今ご説明がありましたが、3号機の工事認可についてのご説明がまだでしたので、引き続いてよろしくお願いいたしたいと思います。

(原子力安全・保安院 青木統括安全審査官)

伊方発電所3号機の工事計画認可につきまして、資料の3-4でご説明をさせていただきます。

まず、先ほどの話ございましたけれども、私どもの安全規制の流れを簡単にご説明いたします。原子力施設につきましては、基本設計、詳細設計、建設、運転といった流れで設置が進められるわけですけれども、私どもはこの段階に応じた、段階的な安全規制を実施してございます。原子炉の設置許可におきまして、基本設計を確認し、今日、お話させていただく工事計画認可とは、次の詳細設計の段階での手続きでございます。ここで詳細設計を確認した後、建設段階に入りまして、その詳細設計どおりにものが作られていますかということを検査で確認していくという流れでございます。それで、使用前検査に合格した後、運転段階に入れば定期検査、保安検査といった一連の手続きで安全確認を継続していくという流れでございます。

一方、燃料体につきましては、特別に燃料体の設計認可で詳細設計を確認し、燃料体検査で製造状況を確認するという流れでございますが、先ほどご説明あったと思いますけども、輸入燃料体につきましては、燃料体検査という手続きの中で、詳細設計以降の確認をしているというものでございます。

次のページ、工事計画認可とはどういう手続かということでございます。これは。原子炉設置許可された原子炉施設の基本設計、基本設計方針に従ってなされた原子炉施設の詳細設計について国が審査する手続きでございます。工事計画の審査におきましては、その詳細設計が許可に適合しているか、それから技術基準に適合しているかということを確認していくことになります。工事計画の認可が出れば、次に使用前検査がございますけれども、ここで工事計画で確認した詳細設計どおりに施工され、施設に所定の性能があるかどうかについて確認していくことになりますので、逆に言えば工事計画において使用前検査の対象や合格基準を定めるという意味合いの手続きともいえると思います。

下のほうに書いてございますが、燃料につきましては、工事計画とは別に燃料体の設計認可、あるいは検査といった手続きがございますが、先ほどの図にもございましたように、燃料体検査で合格すれば原子炉に装荷がされることになります。原子炉に装荷された後、炉心性能の検査が、使用前検査、ここで確認していくことになるという流れになるわけでございます。

次のページ、今回申請のございました「MOX燃料の装荷に係る工事計画の概要」でございます。伊方3号機において、ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料集合体を取替燃料の一部として最大40体装荷すると。これに伴いまして、原子炉本体、あるいは計測制御系統設備に係る工事計画書。これの記載事項を変更したいということでございました。この工事計画は、設備改造等の工事を伴うものではございません。MOX燃料を炉心に装荷することによる燃料の種類、最大装荷量、燃焼度など、ウラン燃料を装荷する際に認可してきましたこれまでの工事計画認可の記載の一部を変えるというものでございます。

次のページ、まず許可を受けております内容と、今回の工事計画の内容との整合について確認をしてございます。ご覧いただきましたとおり、左から2つ目の欄が、許可の際に確認されたものでございます。解析等で各パラメータ等、この範囲であれば安全であるということが既に確認されているわけでございますけれども、工事計画の段階でも同じように確認をさせていただいて、同様に規定されているということで、右から2つ目の欄が工事計画の欄でございますが、左向きの矢印で書いてございますが、これは左の許可時に確認しております項目と同じ、という意味合いでございます。

次のページ。代表的なものを記載してございますけれども、許可時に確認された事項と同様に工事計画の段階で改めて確認をして、同じ項目が登録されているということを確認いたしました。

次のページでございますが、技術基準との適合性を確認してございます。表の上から順番にご説明いたしますと、耐震性、流体振動による損傷の防止といった要求がございます。地震時においても燃料集合体の耐震安全性が確保されること。一次冷却材の流れにより生じる振動においても燃料集合体が損傷しないことといった技術基準の要求がございます。MOX燃料はステップ1ウラン燃料と構造が同じであるため、耐震安全性あるいは強度に対して影響はないという評価でございます。3つ目、原子炉施設でございますけれども、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時においても、原子炉の反応度を制御できることという要求に対しまして、MOX燃料炉心においても、ウラン燃料炉心と同様、原子炉固有の負のフィードバック特性を有しており、原子炉の反応度を制御できるという評価でございます。炉心等でございますが、燃料集合体は通常運転時における最も厳しい条件において物理的・化学的性質を保持できるとともに負荷加重に耐えるものであることという要求に対しまして、MOX燃料の構造部材は燃料ペレットを除きウラン燃料と材料が同じであるということで、物理的・化学的性質への影響はないという判断でございます。次に、安全保護装置と運転時の異常な過渡変化または地震においても、原子炉停止系統などにより、燃料許容損傷限界を超えないことという要求に対しまして、MOX燃料炉心においてもウラン燃料炉心と同様、原子炉停止系により燃料許容損傷限界を超えることなく原子炉を自動的に停止できるという判断です。

次のページ、反応度制御系及び原子炉停止系でございます。反応度制御系統及び原子炉停止系統を設置し、反応度制御系統は、出力変化に伴う反応度変化を燃料許容損傷限界を超えることなく制御できる能力を有すること。原子炉停止系統は、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時及び事故時においても、原子炉未臨界に移行し未臨界を維持できることという要求に対しまして、MOX燃料炉心におきましても、ウラン燃料炉心と同様、制御棒の挿入、ほう酸添加により、燃料許容損傷限界を超えることなく反応度制御が可能であって、未臨界への移行、維持が可能であるという判断でございます。制御棒駆動装置ですが、原子炉の特性に適合した速度で駆動できるものであることという要求ございます。MOX燃料炉心においても、ウラン燃料炉心と同様、制御棒挿入規定時間以内に制御棒を炉心に挿入できるという評価をしてございます。燃料貯蔵設備ですが、燃料が臨界に達するおそれがなく、崩壊熱により燃料溶融しないこと、放射線を遮へいする構造であることという要求がございます。MOX燃料を貯蔵する使用済燃料ピットは、MOX燃料の特性を考慮しても冷却性、未臨界性、遮へい性に問題ないことを確認してございます。生体遮へい等ですが、放射線障害を防止するために必要な遮へい能力を有するものであることと。これに対しましても、核種組成が若干変わりますけども、遮へい評価結果から遮へい性に影響はないということの確認をしてございます。

以上、まとめまして、MOX燃料装荷にかかわります工事計画を審査しました結果、設置許可と整合している。技術基準に適合する。こういうことを確認できまして、技術基準につきましては具体的に簡単に5つほどポイントをあげてございますけれども、通常運転時、運転時の異常な過渡変化時において原子炉を適切に制御できる。事故時において原子炉を安全に停止し、未臨界に維持できる。通常かかる荷重に地震荷重が加わっても、MOX燃料集合体の健全性が維持できる。地震時においても適切に制御棒を原子炉に挿入することができる。使用済みのMOX燃料を貯蔵した場合でも、使用済燃料ピットの未臨界性、冷却性、放射線遮へい性が維持できる。これらのことを確認できましたものですから、7月15日付で工事計画の認可をいたしました次第です。引き続き、使用前検査で、工事計画に記載されました各パラメータ等の確認を行っていくことになっています。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。引き続いて、ご意見、ご質問に移りたいと思います。

(代谷委員)

まず、非常に簡単な質問を、四国電力さんに教えていただきたいのですが、今回MOX燃料を搬入されたときの輸送容器の表面等の線量が出ておりますよね。で、その中でMOX燃料と今までのウランの燃料とでは、おそらく中性子の寄与率が違うのではないかと思いますが、この足し合わせた値を資料に書かれています。それで、中性子の寄与分というのはどの程度だったのかということを参考までにお聞きしたいと思います。

(四国電力 坂井原子燃料部長)

今、詳細なデータを持ち合わせておりませんけれども、約10倍ぐらい中性子のほうが大きかったと記憶しております。

(代谷委員)

分かりました。ここに出ている測定値のほとんどが中性子なのですね。

(四国電力 坂井原子燃料部長)

はい。

(代谷委員)

分かりました。ありがとうございます

すみません。それからもう1つ、保安院にお伺いしたいと思っていますのは、第三者機関の件ですが、これについて当然のことながら四国電力のほうから検査申請とかそういうのが出たときに、その中に第三者機関というのが出てくるのだと思います。これは四国電力さんがその第三者機関といわば契約のようなことをされると思うのですが、よくありますのは、例えば大学です。大学の評価を受けるときは認証機関の評価を受けないといけなくて、その認証機関というのは、国が認定したものの中から選ばないといけないというようなそんな仕組みがあるのですけれど、この第三者機関については、あくまでも検査申請が出てきた時点でその中に書かれたものが適切であるということを、保安院のほうで判断されるということなのでしょうか。それとも先にリストがあり、この範囲の中から選びなさいという話なのでしょうか。

(原子力安全・保安院 石垣統括安全審査官)

あらかじめリスト等を決めているわけではございません。今回の場合でいけば、四電がビューロベリタス社を使いたいという申請をしてくるわけですけれども、その時点で、ビューロベリタスがISO9000の認証機関としてきちんとしているということを確認した上で、大丈夫という確認をしていくということでございます。

(代谷委員)

どうもありがとうございました。

それで、保安院はこれまでの工事計画認可等についてきちんと審査してやっておられるということで理解してございますが、先ほど、今後のポイントのところで、通常の保安検査に加えて、何か検査を行うようなことをちょっと言われたかのように思いますが、普通の流れ中の使用前検査とか通常時の保安検査とかそういうものに加えて、特に何か手続き等を考えておられるのでしたお聞かせください。

(原子力安全・保安院 石垣統括安全審査官)

平たく言うと、特別にはありません。先ほどの資料の30ページに今後の私どもの検査の予定を書いてございます。使用前検査で今回の工事計画の変更を受けた部分につきまして、私どもとしては当然、きちんと確認をしていくということです。

炉心の性能ですとか、特に炉の停止の余裕度の検査といったところにつきましては、私どもが直接確認をしていくということでございます。また、燃料装荷の検査で、それぞれの燃料体が決められた位置にきちんと装荷されたかどうかというようなことについては、普通は独立行政法人の検査も活用しますけれども、今回は大事な部分については国がきちんとやっていきたいということでございます。従来やっていない特別なことをやるのかという意味では、特別にないのですが、それぞれのプロセスごとにきちんとやっていきたいというふうに考えています。

(代谷委員)

分かりました。

MOX燃料を使うということで、炉心全体として見ると、原子炉自体でほとんど特性に大きな変化はないということなのですけれど、燃料としては、MOX燃料とウラン燃料とで特性がかなり違うというように思っております。で、先ほどちょっと位置の話がございましたけども、燃料のポジションが変わると、もし設計と違うところに入れてしまうと、燃料の特性が違いまして、そこのフラックスのひずみが非常に大きくなります。そういうところは非常に気をつけてやっていただきたいと思います。これは四国電力さんには当然のことながらしっかりやっていただきたいと思いますし、それから国のほうにはその辺りをきっちりと今後、後段規制で見ていっていただければと思っております。

(濱本部会長)

そのほか、ご意見ございますでしょうか。

代谷先生、先ほどいただいたご意見で大体この問題に対する総括をいただいたように思いますが、それでよろしゅうございましょうか。何か追加ございますか。

(代谷委員)

特に私のほうから追加することはないのですけれど、今回のMOX燃料については、先ほど来、保安院からもご説明があったように、きっちりとした検査を四国電力も行って、それから保安院のほうもそれを確認する検査を行われて、それで運転されると。もちろん、原子炉の特性そのものについては、全体としては大きな変化がないということでございますけども、先般、私としても国の検査に立ち合わせていただいたということで、そういうことも含めて十分に国からご説明いただいたところでございます。先ほど申しましたように、くれぐれも四国電力さんにおかれましては、燃料を装荷して運転にもっていく各段階で十分安全性に配慮されて、きっちりと安全管理、品質管理をしていただいて、進めていっていただきたいと思っております。

私は、前回、私が辞めるというか、この部会を途中で抜けさせていただいたその頃に、ちょうどこのMOX燃料のお話があったので、私としても非常に思い入れが強いところがありますので、よろしくお願いします。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。

そのほか、どなたかございませんでしょうか。ご意見もないようですので、私ども技術専門部会としては、去る6月30日に伊方の原子力発電所に赴きまして、国の輸入燃料体の検査しておられるところを見せていただきまして、そして検査の実施状況を確認することができました。そしてまた本日、国から品質保証の確認結果や工事計画についての説明を受けて、MOX燃料自身健全であること、それから、それを原子炉に装荷した場合にも安全性が確保されているということが確認できたと思います。

以上のことは、午後の安全管理委員会に報告させていただきますけれども、今後とも四国電力といたしまして、MOX燃料の装荷、検査等の各段階で十分な安全性の確認をいただきたいと思います。

また、国におかれましても、それぞれの段階におきまして、厳正な検査をお願いしたいと思います。

技術専門部会としても、今後MOX燃料が装荷された各段階、それぞれの段階において審議してまいりたいと思っております。

以上、MOX燃料についてはこれで終わらせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(濱本部会長)

続いて、原子力発電所の耐震安全性についての報告にまいります。

耐震安全性については、四国電力が昨年3月に国に提出した中間報告について、この技術専門部会でもこれまで審議いただいてきております。

国では、現在も伊方発電所の耐震安全性評価を継続して審議中と伺っておりますけれど、本日は、国における現在の審議状況について原子力安全・保安院のほうからご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(原子力安全・保安院 小林耐震安全審査室長)

伊方の発電所の審議状況の前に、昨日、駿河湾を中心とした地震がございましたが、その浜岡発電所に対する影響について簡単にご紹介させていただきます。

昨日に起きました地震につきましては、浜岡3号については定検中、4号、5号は稼動中でございまして、これにつきましては地震加速度大で自動停止してございます。観測された地震波でございますけど、5号が若干大きめで、これはS1、いわゆる設計用最強地震とほぼ同程度の観測波を観測してございます。1、2、3、4号については十分S1を下回ってございます。ただ、5号につきましてはS1と同程度でございましたけど、当然設計用限界地震S2、それから新しい指針に基づきますSs、これらを十分下回っておりました。以上、簡単にご報告させていただきます。

伊方のほうの審議状況でございます。資料の2ページ目でございますが、バックチェックの審議体制でございます。これまでにもご紹介させていただいていると思いますが、私どもの耐震・構造設計小委員会。これのワーキンググループ、それから新たに設けましたサブグループ。この中で、関連する分野の専門家による審議を踏まえて、厳正に私どもとして確認しているところでございます。大きく分けまして、ワーキンググループ2つに分かれています。1つは合同ワーキング、それから、構造ワーキンググループ。この2つに大きく分かれてございます。その下にサブグループというのがA、B、Cそれぞれ設けてございますけど、これは審議を円滑にするためにそれぞれのサイトごとに分けておりまして、グルーピングして議論しています。伊方発電所については、合同ワーキングについてはAサブグループ、構造ワーキングについては同じく構造ワーキングのAサブグループ、ここで伊方発電所の審議をしてございます。合同ワーキングについては、これは書いてございますように、地質調査とか地震動こういったものの審議をしているところでございます。構造ワーキングにつきましては、施設の安全評価、いわゆる建屋とか機器・配管こういったものについての評価を詳細について審議しております。左側の合同ワーキングについては主に許可にかかわる部分、右側の構造ワーキングでは、どちらかといえば工事認可にかかわる部分を審議しているところでございます。それから、審議の途中で安全解析のクロスチェックをやってございます。これは、原子力安全基盤機構、JNESというところで、建屋、機器・配管系の評価、それから地震動、こういったもののクロスチェックをやってございます。

次のページをお願いします。バックチェック結果の審議状況でございます。左上のところに書いてございますように、現在、伊方3号機の中間報告に係る評価結果の妥当性を検討中でございます。断層の評価、それから施設の耐震安全性評価については概ね審議は終了してございます。ただ、地震動評価について、これをポイントを絞り込んで検討中でございます。

この左側の、(1)に書いてございますように、断層評価及び基準地震動のとこでございますけど、プレート内地震。これは想定敷地の下方のスラブ内地震でございますけど、それからプレート間地震。これは想定南海地震でございますけど、こういったものの審議については、ほぼ終了してございます。今行っていることは、(1)の1、2に書いてございますように、敷地前面海域の断層群に係る調査結果。これについては確認済みでございますけど、活断層としての評価結果のうち、断層長さ、それから傾斜、こういったものについては、審議検討中でございます。1つ目が、地震動評価において用いる震源モデルに不確かさを考慮する際の考え方の整理とその妥当性。それからもう1つは、基本震源モデル及び不確かさを考慮した震源モデルの設定(長さ、傾斜、地震規模等の震源パラメータ)の根拠とその妥当性。こういったものについて検討中でございます。審議については次のページに書いてございますので、後ほど説明させていただきます。

それから(2)でございますように、施設の耐震安全性評価、これは建物とか機器・配管系の評価の条件、手法、結果、これらについては検討をほぼ終了してございます。これで、事業者の中間報告書をベースにその基準地震動による評価をしてございまして、結果というよりもむしろ評価手法や条件を確認したところでございます。

左側の一番下に書いてございますように、私どもとしましては、私どもの評価書(案)。これを既に4月のサブワーキングでこれは提出してございます。地震動評価について再整理が必要というコメントを加えた上で、私どもとしての評価書を提示してございます。

次のページ。こちらは、先ほど四国電力さんのほうからおっしゃられたように、保安院としての要請した内容、8月5日の合同ワーキングのAサブグループ会合の審議の概要でございます。私どものほうから論点整理案を提示しまして、論点ごとに今後の検討方針を審議して、今後、四国電力の検討結果等の内容につきまして、厳正に確認することとしてございます。左側の枠の部分でございますけど、論点ごとの審議結果は下記のとおりであるということで、(1)から(3)に記載してございます。

(1)が震源モデルの傾斜角についてです。この敷地前面海域については、これは横ずれ断層でございますので、基本モデルとしましては、傾斜角を90度としてございます。ただ、種々の調査、エアガンによる反射法とか、それから音波探査といったものを見ますと、地質境界としての中央構造線が30度から40度の傾斜で北へ傾斜してるというふうな調査結果を得てございまして、震源断層が地質境界としての中央構造線と一致して北へ傾斜してるという可能性は否定しきれないということで、不確かさとして北傾斜30度も考慮するとしてございます。ただ、これはこれまでの方針と基本的には変わってございません。

(2)震源モデルの長さでございますけど、これは変わってございます。これは隣合う活動セグメントとの連動を不確かさの考慮に含めることを条件に、基本震源モデルの長さを両端の引張性ジョグの中央までの54km。この右の図にございますように、従来基本モデルとして串沖及び三崎沖の引張性ジョグを含まない区間、42kmで基本モデルを設定するべきじゃないかということを、今度は引張性ジョグの中央まで54kmということとする。それから不確かさを考慮した震源モデルの長さとしまして、さらに、その引張性ジョグを含む69kmも考慮するという方針に変更してございます。

(3)不確かさの考慮の考え方についてということで、基本モデルが先ほども言いましたように、傾斜角が90度、それから長さ54kmという設定でございましたけど、それに加えて不確かさを考慮した震源モデルとしまして、傾斜角、これは北傾斜30度でございますけど、それから長さとしまして69km。それから、応力降下量、これについては中越沖地震を踏まえた形で1.5倍の応力効果量。こういったものの不確かさの要因を重畳させるか、いわゆる重ね合わせるかどうかについては、この(1)、(2)の審議結果に反映した四国電力さんの検討結果を確認する際に審議させていただくというような方針にさせていただきました。以上が、これは8月5日の合同ワーキングでの会合の概要でございます。

5ページは、私ども自ら行った海上音波探査の実施についてです。そもそも原子力発電所の耐震設計に必要な活断層等の調査は、事業者が実施することが大前提でございますけど、私ども中越沖地震を踏まえまして、念のためチェックする観点から、保安院として自ら海上音波探査を実施してございます。この伊方の敷地前面海域の断層群についても同様に、三崎沖及び串沖の引張性ジョグ、それから敷地前面海域の断層の性状を把握することを念頭に、調査位置をこのように設定してございます。結果としましては、敷地前面海域の断層群に関する四国電力の海上音波探査に問題がないことを確認済みでございます。今、この結果については、私どもの専門家会議において活用しているところでございます。

(濱本部会長)

どうもありがとうございました。それでは、ただいまのご説明について、どなたかご意見、ご質問ございましたらお願いします。

(有吉委員)

伊方発電所の耐震安全性評価に関しましては、国でいろいろな角度から審議されてると思います。県民は一日でも早く安全性を確認していただきたいと願っているところでありますが、しかしながら、この伊方発電所の耐震に関する中間報告書が出てから、もうかれこれ一年半も経過しようとしていますが、今の時点なって、基本のケースを断層長が54km、傾斜角度が90度というようになったわけでございますが、その経緯と理由をもう少し具体的にお話いただければと思います。

(原子力安全・保安院 小林耐震安全審査室長)

先ほどのスライド4ページ目を示していただけますか。今、先生がおっしゃられたことですが、この8月5日の合同ワーキングで私どもとして今までの論点整理案を提示しまして、こういった方針で四国電力に検討するよう要請したわけでございます。1つは伊方発電所の敷地前面海域の断層群でございますが、これにつきましては、いろいろな地質調査結果から、隣合う活動区間との間に引張性ジョグが認知されている、これはもう従来からお話させていただいているところでございまして、この地質構造とより深部の地震発生層、こういったものに想定されます震源断層がどのような関係があるかということを、今年に入ってから私どもが自ら行った海上音波探査結果、こういったものも踏まえて、審議会としては合計26回におよぶ審議をしてまいりました。様々な意見が出まして、地質構造の観点からは、震源断層の長さに関する専門家の解釈として、42kmから69kmと、非常に幅があるようになりました。安全評価をするために基本震源モデルを設定したら何が適切か。そういったものを先ほど申し上げました論点を整理して、私ども提出させていただきました。6月以降、特に強震動評価の先生方にいろいろ積極的にいろんな意見を聴取しまして、その強震動評価の観点から隣合うこの活動区間ですね、引張性ジョグとの関係ですが、この不確かさの考慮の体系を含めることを前提に強震源モデルの長さを54kmとするということで、ほかの耐震関係分野の専門家も含めて、この共通認識を持つにいたったということで。私どもとしての論点整理案をこのように持つに至りました。ただ、長さについては、今言いましたように、強震源モデル54kmとしたわけでございますけど、傾斜角の90度については従来の方針とは変わっていないという経緯でございます。

(有吉委員)

どうもありがとうございました。

(辻本委員)

今の件に関連して、先ほど、保安院から今までの論点を整理されて、こういう考え方を出してこられた。それで、おそらく保安院さんのほうでは、ほかの発電所についても審査しておられると思います。そこと考え方的に齟齬があるといけないので、それは考え方で、それぞれのところで考え方を変えるのですよという考え方もあるかもわかりませんが、国として1つの統一した考え方でやるといったときを考えて、他の発電所についてはどういう形になっているのかを教えていただけるとありがたいです。

(原子力安全・保安院 小林耐震安全審査室長)

この不確かさの考慮については、サイトごとに、やはり地質いろんな調査結果、地震観測記録、それから地震学的ないろんな知見、こういったものを踏まえまして、考慮するパラメータとか、そういった今おっしゃられた不確かさの範囲や程度こういったものを私どもとしては根拠を明確にして、敷地にあたえる影響こういったものを把握した上で、余裕を見込んで設定しなさいというようなことを、私どもとして指示してございまして、不確かさをどこまで考慮すべきかについては、この基本震源モデルの設定を勘案しつつ、個々のサイトごとに地質の調査結果、観測記録の状況とか、それから確率論的な検討結果、こういったものを踏まえて総合的に検討すべきではないかと考えています。

他の発電所の実情でございますけど、この伊方サイトの場合のような単独の活動区間として、最大長さを基本震源モデルとして、いわゆる単独の活動区間ということで、その長さを基本モデルとしまして、それに対して敷地への影響が大きなほかの不確かさの要因、こういったものを、1つずつ単独に考慮して不確かさを考慮した震源モデルとすることを基本としてございます。さらに、不確かさを重ね合わせる、重畳するかどうかは、個々のサイトで状況を踏まえつつ、専門家の審議により、個別に検討してございます。

(辻本委員)

ありがとうございます。

(藤川委員)

国と四国電力さんにご質問したいのですけれども、まず、4ページの最後に不確かさの考慮の考え方についてと書いてあります。不確かさについてどの程度重畳させるかというのは、一度、四国電力さんに計算をしていただいて、またその後で再審議といいますか、さらにまた国で検討されるというふうに読めるんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

(原子力安全・保安院 小林耐震安全審査室長)

私どもとしては、この表現が、例えばその傾斜角については90度のみならず、その不確かさとして北傾斜30度とか、それから長さが69kmとか、こういったものの要因については重畳させるかどうかということでございますけど、これについては解析うんぬんよりも、やはり地質調査結果とか、それから今までの地震観測記録こういったもののいろいろなところから考えて、私どもとして重畳させるかどうかという判断をすべきではないかと考えてございます。

(藤川委員)

四国電力さんにお聞きしたいのは、スケジュールのことでございまして、私どもの理解では、MOX燃料の装荷のはじまる前に、耐震の結果を出していただくというふうに理解しておりました。それで、既に例えば、前面海域の断層69kmというのも、一度は計算されていますし、それからアスペリティの位置等いろいろなことについて自主的に計算していただいたと理解しております。それで、今後は54kmを基本ケースとして、さらに今までの計算を一連やっていただかなければならないと思うんですね。で、プラスアルファで県民、あるいは県のご意向でこれについても計算して欲しいという話が出るかもしれないと理解しております。さらに、国の審議状況によりましては、何らかの追加計算ということが起こりうると。で、最速、今までの基本ケースをまず変更して、さらに従来行ってきたいろいろな変動ケースを考慮していただいて、計算結果が出るのに、主要な施設の結果を出すのに、どれくらいを予定しておられますか。

(四国電力 谷川原子力本部副本部長)

国のほうから、基本ケースを42kmから54kmに変更されていますので、国のルールに従って実施すべきものでございますので、まずそれを最速でやります。もう既にとりかかっており、早急に終了させるべく考えておりますが、今までの検討の状況から見て、2か月強の時間がいるというふうに考えております。この結果はまとまり次第、国のほうに報告いたします。それから、その結果については、私どもから適切な時点で公表していきたいと考えてございます。

その他のケースにつきましては、我々は国の検討を受けているという状況でございますので、その検討の中で必要な結果とか、それから既に行った解析の我々としての評価、考え方とかそういったものを適切に説明していきたいと考えております。

(渡邉委員)

電力会社にお伺いしたいのですが、先ほどの質問にもありましたけれども、我々はずいぶん長い間この地震の問題を審議してまいりました。原発の安全性に関しては、ほかにも重要な問題がたくさんあるわけです。今回、先日のワーキンググループで震源モデルの長さが変わったということがあったわけですが、これまで長い間審議してきたことについてどういうふうにお考えなのでしょうか。今までやられてきたことが、いわゆる見通しが甘かったというようなことになるわけですか。簡単にお伺いしたい。

(四国電力 谷川原子力副本部長)

伊方発電所の耐震バックチェックについては、前面の中央構造線が一番大きな影響を及ぼすということで、今までも我々としてはいろいろな評価をしておりまして、長さで言いますと、佐田岬の西方から紀伊半島まで360kmございますが、それが動くということも含めて評価しており、既にこの席でもお話させていただいております。ただ、国の審査の中で基準震源モデルというのを作り、それに対して余裕を見ていくと。こういうような考え方が定着して、その基本震源モデルとして我々としては42kmで十分だということでお話させていただいておりますが、新潟県中越沖地震を踏まえた要求だとか、それから他社でのいろいろな検討の結果も踏まえて、先生方がワーキンググループの合意として原子力発電所の安全性については、多分厳しく見るというようなお考えだろうと思いますが、その合意として54kmのほうがよりふさわしいと。それで要請があったものと理解しております。従いまして、我々としては先ほど言いましたように、早急に検討を行って、その結果をワーキンググループへ提供したいと思っておりますが、我々がやっておりますいろいろな結果、360kmまで含めて多くのケースをやっておりますが、これらのケースの結果から見て、これまでの基準地震動の最大加速度は570ガルでございますが、今回の結果もこれを超えないものになるのではないかと考えております。また結果が出れば、その結果を報告したいと考えております。

(代谷委員)

今、四国電力さんのほうからお話をお聞きしたところなのですが、確か四国電力さんははじめの頃から敷地前に中央構造線があるということで、ずっと耐震のことやっておられるということで、最初に考えておられたS2かな、あれがものすごく大きいですね。普通のところではちょっと考えられないぐらいの大きさでございます。それから見て、今回のこの42kmはほとんどその中に入る、うろ覚えですけど、入っていたのかなと思います。今回は、これは横に伸びますよね。自分たちの伊方の発電所があるその前面のところから横に伸びていくわけで、両側に伸びるわけだから、予想としてはあまり効かないと思います。だから、予想ですけど570ガルのところがあまり変わらないのではないかなという気がしております。

いずれにしても、今後、やはり一番難しいのは、その不確かさをどこまで考慮するかということです。分からないからといってみんなを考慮してしまうと、その、変な話ですけど、天文学的な数字になっちゃうので、工学的な施設というのは造れないことになりますので、それで本当にいいのだろうかと。やはりここのところは現実的なことをあわせて考えるというような方法もあるのではないかと。この考えは規制側のほうにも必要になるだろうと思います。もちろんそれを基準にして、それに耐力があるように作られていれば、そこにも安全率がかかっているわけですから、その中で十分にいけるのではないかと私は思います、感想ですけれども。

(濱本部会長)

ほかにどなたかご意見ございませんでしょうか。

それでは、耐震安全性の評価については、現在、国で審議中でございますので、その審議の結果が出ましたら、改めてこの問題を技術専門部会開催して検討させていただきたいと思います。そういうことでよろしゅうございましょうか。

お忙しい中ご出席いただき、詳細にご検討いただきました。技術専門部会はこれで終わらせていただきます。審議した内容につきましては、午後の環境安全管理委員会で報告させていただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

(閉会)

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 次第

日時 平成21年8月12日(水曜日)10時00分~
場所 愛媛県医師会館 2階 研修室

1 開会

2 議題
(1) 平成20年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成20年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について

3 報告事項
(1) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(2) 伊方発電所の耐震安全性評価に係る国における審議状況について
(3) 平成20年度伊方発電所異常時通報連絡状況について

4 閉会

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 資料目次

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