平成21年度(2009年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会(2010年1月29日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 開催概要

1 日時

平成22年1月29日(金曜日) 9時00分~13時15分

2 場所

愛媛県水産会館 6階 大会議室

3 出席者

委員10名(別紙名簿のとおり)

4 議題

伊方発電所の耐震安全性評価について

5 その他

6 審議等の内容(全部公開)

○事務局

ただいまから「伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会」を開催します。はじめに、傍聴者の方に、傍聴に際しての遵守事項を申し上げます。会議の開催中は、静粛に傍聴すること。写真、ビデオ等の撮影、録音等はしないこと。その他会議の秩序を乱す等の行為をしないこと。等となっておりますので、ご協力をお願いします。

また、携帯電話等をお持ちの方は、マナーモード等に設定いただきますようお願いいたします。

本日は、辻本委員、吉田委員は、所用のため欠席されています。

それでは、長野県民環境部長から、御挨拶を申し上げます。

○長野県民環境部長

伊方原子力発電所環境安全管理委員会技術専門部会の開会に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。

委員の皆様には、大変お忙しい中、また早朝から当部会にご出席いただき、誠にありがとうございます。また、日頃から、本県の原子力安全行政に対しまして、格別のご協力をいただいておりますことに、あらためて厚くお礼申し上げます。

また、本日は、原子力安全・保安院の小林耐震安全審査室長様、名倉安全審査官様、森 施設検査班長様、原子力安全委員会事務局の長谷川課長補佐様には、遠路またご多忙の中をお越しいただいています。心から感謝申し上げます。

さて、本日は、伊方発電所の耐震安全性評価について御審議いただくこととなっております。県といたしましては、平成18年10月のプルサーマルの事前了解時に、当部会からの意見を踏まえ、四国電力に対して、県民の安心の醸成のため、平成18年9月に改訂された耐震設計審査指針に基づく伊方原発の耐震安全性評価を速やかに行い、MOX燃料の装荷までに国及び県の確認を受けるよう要請したところでございます。その後、技術専門部会におきましては、四国電力の評価や国の進捗状況に応じて、審議を重ねていただいてきたところですが、本年1月7日には、原子力安全・保安院において、また、1月25日には、原子力安全委員会において、四国電力の評価結果は妥当との確認がなされたところであります。本日は、この国の確認を踏まえまして、技術専門部会の開催をお願いしたところであり、この後、国から審議結果についてご説明等をいただき、御審議をお願いしたいと考えております。

委員の皆さまには、技術的・専門的観点から十分にご審議をいただきますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。本日はよろしくお願いします。

○事務局

それでは、濱本部会長さんに議事進行をお願いいたします。

○濱本部会長

皆さんおはようございます。本日は早朝から大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。

議事に入ります前に1つ報告事項がございます。武岡先生におかれましては、長年にわたって伊方発電所の温排水影響調査の結果の解析評価、あるいはその高度化ということにご尽力いただきまして、地域社会における原子力の安全確保にご尽力いただいたということで、原子力安全功労者として経済産業大臣表彰を受賞なさいました。昨年の10月26日に受賞されております。先生におかれましては、今後とも伊方発電所の安全確保、あるいは環境保全のために、引き続いてご尽力いただきますようお願いいたします。

ご披露はこれで終わりまして、早速議題に入りたいと思います。伊方発電所の耐震安全性評価について今日はご審議いただきます。

最初に、事務局から、これまでの専門部会における審議の経過等についてご説明いただき、続いて四国電力から国の審査経過を踏まえて報告書の変更、あるいは委員の先生方からいただいたコメントに対する経緯、検討、回答ですか、そういうものについてご説明いただき、その後、原子力安全・保安院のほうから評価結果について説明いただき、原子力安全委員会の事務局のほうから続いてご感想、ご感想というか評価を説明していただくことになって、まずそれをしてから審議に入りたいと思います。

○山口原子力安全対策推進監

それでは、事務局より資料1に基づきまして、技術専門部会等のこれまでの審議経過等につきましてご説明申し上げます。

伊方発電所の耐震安全性評価につきましては、平成18年9月に原子力発電所の耐震設計審査指針が改訂されたことを受けまして、県、および原子力安全・保安院からこの新しい指針に基づきます既設原子力発電所の耐震安全性の再評価の要請指示を行ったものでございます。これを受けまして、四国電力では平成20年の3月に伊方発電所の地質調査結果、基準地震動の策定結果、ならびにそれらを踏まえた3号機主要設備の耐震安全性評価結果を取りまとめ、原子力安全・保安院に提出いたしました。この報告につきましては、原子力安全・保安院において継続して審議されまして、この間、技術専門部会におきましても専門的観点から活発なご審議をいただいております。昨年3月には、アスペリティを発電所前面に設置した評価を行うべき旨を、当技術専門部会の指摘、およびこれを踏まえた県からの要請を受けました四国電力の追加評価結果についてご審議いただき、「妥当」とのご意見をお取りまとめいただいております。また、同じく昨年8月には、基本モデルの断層長さを42kmから54kmとする不確かさの考え方につきましても論点が整理され、当技術専門部会におきましても説明をいただいたところでございます。その後、原子力安全・保安院におきましては、断層長さを54kmに変更したモデルに基づき、四国電力が再評価した結果も含めてご審議され、今月の7日に伊方3号機の耐震安全性は確保されている旨の評価書を取りまとめられ、原子力安全委員会にご報告されました。原子力安全委員会におかれましては、原子力安全・保安院の報告を受ける以前より同時並行的にご審議されてきてございまして、同じく今月25日に原子力安全・保安院の評価は妥当である旨の見解を決定・公表されたところです。

以上がこれまでの伊方発電所の耐震安全性評価の経緯でございます。

○濱本部会長

続きまして、四国電力のほうから説明をお願いします。

○四国電力 石﨑原子力本部長

皆さま方には、日頃から伊方発電所の運営に関しまして、ご理解・ご指導をいただきまして、この席をお借りしましてどうぞお礼申し上げます。

伊方発電所の現在の状況ですけども、1、2号機につきましては、昨年オールデジタル化ということで中央制御盤を取り替えました。その後につきましては、順調に運転を継続しております。3号機ですが、この1月7日に原子炉を停止いたしまして、現在停止・検査中であります。

本日は、伊方発電所の耐震安全性評価の内容につきましてご説明させていただきますとともに、過去にこの部会でいただきましたご意見等につきましても報告させていただきます。また、3号機のプルサーマル計画につきましては、順調に準備を進めておりますので、それらの状況についても説明させていただきたいと思います。

今後とも信頼される伊方発電所を目指しまして、安全・安定運転の継続と、情報公開の徹底に全力を挙げてまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

○四国電力 高木計画グループリーダー

それでは、資料2-1に基づきまして、伊方発電所「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針の改訂に伴う耐震安全性評価結果(補正の要点)」についてご説明させていただきます。

このページにもございますように、要点としては3つございまして、1番目が活断層評価について。2番目が中央構造線断層帯の地震動評価について。3番目が施設の耐震安全性評価についてでございます。

1ページお願いいたします。まず、活断層評価、宇和海についてでございます。

2ページお願いします。宇和海の活断層データの拡充を目的に、3号設置変更許可申請時に探査した測線の間を中心に探査を行いました。この図でオレンジ色で示しておりますのが、3号申請時に調査した測線。それから、青が今回調査した測線を示してございます。

3ページお願いいたします。宇和海の海底地質断面図の例を示しておりますが、全般に水平な層理を示しますが、大崎鼻沖に3号申請時にも確認しておりましたF-21断層というものが認められました。

4ページお願いします。宇和海の調査結果でございますけれども、F-21断層には約19kmの区間で後期更新世以降の活動が認められます。全般に南落ち変位が優勢で、直線的な断層分布、さらには断層の走向と広域応力場の関係から横ずれの卓越する断層運動が推定されます。で、下のほうにも書いてございますように、宇和海には敷地前面海域の中央構造線断層帯による地震動を上回るような活断層は分布しないことが確認できました。

5ページお願いします。5ページからは、中央構造線断層帯の地震動評価についてでございます。基本震源モデルの変更でございますが、今回、長さですが42kmから54kmに変更してございます。

6ページお願いします。まず、当初評価でございますけれども、これまでの詳細な地質調査により、串沖、三崎沖にジョグを確認してございまして、ジョグは断層が活動した際の破壊の停止域であり、強震動は生成しないとの知見を考慮し、地震動策定の基本震源モデルとして両ジョグに挟まれた断層長さである42kmに設定しておりました。この図で茶色で描いております42kmという範囲がそうでございます。変更内容ですが、「地震動評価を行う上で、中央構造線のような長大な断層を評価する際に、その一部を基本震源モデルとして設定する場合には、ジョグの中央付近まで震源モデルを延ばしたケース、これは54kmになりますが、を基本とすべき」旨の原子力安全・保安院における審議結果を踏まえ、基本震源モデルの断層長さを42mから54kmに変更しました。この図でいきますと、緑で描いた矢印の分でございます。

7ページをお願いします。で、断層長さを42kmから54kmに変更するとともに、あらかじめ不確かさを考慮して、大きな地震のエネルギーを出す領域であるアスペリティを上端に配置したモデルを設定しました。この図で左側が中間報告における基本震源モデル、42kmのケースでございますが、長さ42km。アスペリティの位置は、深さ方向に中位に置いたモデルでございます。断層傾斜角としては、90度を想定しております。で、今回、新しい基本震源モデルが右の図にございますけれども、断層長さが54km。それから、アスペリティは上位に、上端に持ってきております。

8ページからが不確かさの変更についてでございます。

9ページお願いいたします。不確かさのケースとしては、地震動の策定といたしましては、このページにございます応答スペクトルに基づく手法、それから次のページに出てきますが、断層モデルを用いた手法で評価しております。まず、9ページでございますが、応答スペクトルに基づく手法についての不確かさのケースについてご説明いたします。左の上に基本震源モデルを描いてございますが、長さ54km、それから断層傾斜角は90度で設定しております。で、不確かさでございますが、まず右のほうにいきまして、不確かさの考慮(1)でございますが、これは応力降下量1.5倍を考慮しております。これは中越沖地震の知見の反映ということで考慮しております。それから、(2)でございますが、これは断層傾斜角を北傾斜30度を想定しております。これは地質境界断層が中央構造線と一致する可能性を考慮して30度傾斜させております。それから、不確かさの考慮(3)といたしましては、ジョグの長さを全て含んだ69kmというもので想定しております。それから、不確かさの考慮(4)というのは、次の断層モデルに出てきますのでここでは出てきません。不確かさの考慮(5)として、横ずれ断層ということで90度の断層傾斜角を想定しておりますが、角度のばらつきを考慮するということで南傾斜80度のケースについて評価しております。以上が応答スペクトルに基づく手法の不確かさのケースということになります。

10ページお願いします。ここでは断層モデルを用いた手法についての不確かさのケースについて書いてございます。基本震源モデル、それが先ほどの(1)、(2)、(3)、(5)につきましては、応答スペクトルに基づく手法と同じでございまして、不確かさの考慮(4)といたしまして、130kmの連動モデルというものを評価しております。これは敷地前面海域の断層群の中央構造線がさらに東側に延びていることも考慮いたしまして、130kmの連動を評価したものでございます。断層モデルにつきましては、この(1)~(5)の不確かさについて評価いたしました。

11ページお願いします。11ページでは、基準地震動SSの妥当性確認として、念のために検討したケースについてご説明しております。不確かさの考慮(4)として先ほどの130km連動モデルがありますが、まず右のほうにいきまして、360km連動モデルという評価もいたしました。これは中央構造線が紀伊半島まで延びているという360km全体を考慮した場合の評価でございます。それから、その下にございますのは130km連動モデルでもスケーリングということで、130km連動モデルに関しまして130km全体の面積に応じたエネルギーを同時に放出するとしたモデルであるスケーリングというモデルについて評価したものでございます。それから、その下にちょっと破線で囲んでおりますが、これは原子力安全委員会のコメントを受けて検討を実施したものでございまして、180km連動モデルでございます。これは九州側への連動を評価したもので、九州側の断層も加えまして180kmで評価いたしました。

12ページお願いします。12ページは以上の不確かさの考慮をまとめたものを表にしております。まず、上の表ですが、不確かさの考慮で0番を基本震源モデルとしております。で、1番が応力降下量1.5倍。2番が北傾斜30度。3番が長さ69km。4番が130kmの連動。5番が南傾斜80度でございます。念のためのケースといたしましては、1番が360km連動。2番が130kmの連動スケーリング。それから、その下にございますように、九州側まで延びた180km連動のケースについて評価いたしました。

次は13ページお願いします。このようにして定めました不確かさについて地震動評価を行いました。

14ページをお願いいたします。応答スペクトル手法によって評価いたしました地震動をSS-1と呼んでおります。このページにグラフが3つございますが、応答スペクトル図を示してございまして、左からNS、EW、Ud、Udは上下方向のことでございます、について描いてございます。黒い太線がございますが、これが以前に提示しておりましたSS-1のスペクトルを描いてございます。その下に、先ほどありましたような不確かさのケース、それからプレート間地震、それから海洋プレート内地震と、評価すべき地震動の応答スペクトルを全て描き込んだのがこの図でございます。この図を見ていただきますと分かりますように、他のケースについては全てこの黒の線を下回っておるということですので、今回不確かさのケース等を変更いたしましたが、SS-1については変更の必要が無いことが確認できました。

15ページお願いします。次は断層モデルによる地震動評価でございます。断層モデルによる地震動評価で求めた基準地震動をSS-2と呼んでございます。で、SS-2のケースにつきましては、先ほどご説明いたしました基本ケースと、不確かさの考慮(1)~(5)のケースについて評価いたしますが、以前は経験的グリーン関数法という手法で評価しておりました。今回は、これに加えまして、統計的グリーン関数法という評価も行っております。経験的グリーン関数法というのは、敷地における観測記録を用いて想定する地震における地震動を予測する手法でございます。また、統計的グリーン関数法は、統計データに基づいて小地震の模擬地震波を作成し、想定する地震による地震動を予測する手法でございます。今回は、経験的グリーン関数法、統計的グリーン関数法、各々で評価いたしまして、SS-2の候補を各々作ってございます。こうやって作って、SS-2の候補の中から、長周期側は理論地震動を組み合わすハイブリッド合成というものを行いました。で、ハイブリッド合成を行った波から作りました応答スペクトルを比較し、これを建屋に入力いたしまして、建屋の応答解析を行って施設の評価に最も影響の大きいSS-2というのを選定することにいたしました。

16ページからが、統計的グリーン関数法による地震動評価結果についてご説明いたします。ここでもやはり図が3つ出てまいりますが、NS、EW、上下方向Udについて評価して、全ての結果について評価しておりますが、これを見ますと大小関係でいきますと、基本ケースが1番小さくて、次が69kmの90度、その次に54km・90度・応力降下量1.5倍のケースと、54km・30度のケースがほぼ同じという評価になります。このことより、54km・90度・応力降下量1.5倍、それから54km・30度のケースについて、ハイブリッド合成を行うこととしました。

17ページ。ハイブリッド合成についてご説明いたします。ここでは54km・30度・破壊開始点が断層西下端から始まった場合のハイブリッド合成の手法についてご説明いたします。で、長周期理論地震動としては、周期0.6秒より長周期側について波数積分法で算出しました。で、それが下の図でございます赤い線でございます。で、主に水平動に着目しまして、統計的手法と理論的手法がなめらかに接続する周期0.8秒を接続周期として合成いたしました。で、出てきた結果が、合成した結果がこの図でありますように、青色の線が結果でございます。

18ページ。統計的手法による基準地震動SS-2の候補の選定でございますけれども、このページでも統計的手法+理論的手法のハイブリッドの結果を示しております。短周期側ではどのケースもほぼ同程度の地震動ですが、長周期側では54km・30度、西からの破壊が始まるケースが基準地震動SS-1を超える結果となってございます。これは図の右端のUd方向のオレンジの線を見ていただきますと、長周期側で黒い線を超えているような結果となっております。これより、統計的グリーン関数法により評価を行った結果から、54km・30度・破壊開始点が西下端のケースが敷地に対して最も影響が大きいケースとして、SS-2の候補として選定いたしました。

19ページ。今までが統計的グリーン関数法でございましたが、ここからは経験的グリーン関数法による評価結果でございます。経験的グリーン関数法につきましても、最も厳しい地震動を与えるのは、54km・30度のケース、それから54km・応力降下量1.5倍のケースとなりましたが、54km・30度・破壊開始点西下端のケースが短周期側で全体的に大きな地震動を与え、かつNS方向の周期0.1秒付近でわずかながら基準地震動SS-1を上回っておる結果となっております。従いまして、54km・30度・破壊開始点西下端ケースを基準地震動SS-2の候補として選定し、ハイブリッド合成を行うこととしました。

20ページお願いします。ハイブリッド合成のやり方は、先ほどの統計的と同様でございまして、0.8秒を接続周期としてハイブリッド合成を行いました。20ページの図にも示しますように、濃い青い線で描いたものがハイブリッド合成でつくったSS-2の候補でございます。

21ページお願いします。で、以上のようにしてつくりましたSS-2の候補について、両者を示したのがこの21ページの図でございます。濃い青が経験的手法、それから薄い青が統計的手法についてのものでございます。この2つの候補の中から、伊方発電所により厳しい地震動を与えるものを選ぶことになりますが、それについてはまず建屋応答解析を行うことにしました。

22ページ。このようにして選定したSS-2の候補について、原子炉建屋に入力いたしまして、建屋の応答解析を行い、施設の影響の度合いの検討を行いました。この図では、濃い青が経験的手法による応答のもの。それから、青が統計的手法による応答のもの。それから、SS-1によるものを黒で示してございます。特徴的な結果といたしましては、下のほうに書いてございますように、NS方向で固有周期が0.05~0.1秒付近にある部位で、これが格納容器、蒸気発生器、内部コンクリート、原子炉周辺補機等については、経験的手法による応答が統計的手法の応答を上回っておりまして、SS-1による応答に匹敵する箇所があることが分かりました。

23ページ。今のは建屋に対する影響を調べたものですが、23ページでは機器に対しての影響についても評価いたしました。機器は、載っております床応答のスペクトルを見てみた例をこのページに示しております。床応答スペクトルを描いてございますが、3つ図がございまして、左からNS方向、真ん中がEW方向、右端の図はNS方向とEW方向を周期方向に拡幅したものをさらに包絡したものを描いてございます。で、右端の拡幅・包絡の図を見ていただきますと、経験的手法による応答は統計的手法による応答をほぼ包絡したものとなってございますので、先ほどの建屋、それから床応答の結果から、経験的手法による地震動を基準地震動SS-2と選定することにしました。

24ページ。このようにして選定いたしましたSS-2についてこの図に示してございます。赤で描いてございますのは、42kmのモデルのときのSS-2。それから、青が今回策定いたしましたSS-2で、新SS-2と呼びますが、こういうスペクトルになってございます。新SS-2のほうが、42kmのときのSS-2よりも大きくなっているのが見て取れると思います。

25ページ。以上のようにしてSSが決定されましたので、これを表にまとめたものが25ページでございます。まず、応答スペクトルに基づく手法によるSSをSS-1と呼んでございますが、これは変更ございませんのでSS-1H、水平動でございますが、これは570cm/s2、これはガルでございますが、570ガルについては変更ございません。あと、鉛直動のSS-1Vについても330ガル、これも変更ございません。それから、断層モデルを用いた手法によるSSでございますが、これはSS-2でございまして、SS-2NSについては318ガル。これは数字、ガル数とした数字変わっておりませんが、これはたまたまでございまして、波自体は変更になってございます。それから、SS-2EWにつきましては、298ガルが413ガルに変更になってございます。それから、鉛直動のUd成分SS-2Udにつきましては、141ガルが285ガルに変更になってございます。

26ページからは、施設の耐震安全性評価についてでございます。ここで原子炉建屋地震応答解析モデルの諸元の訂正についてちょっとご説明させていただきます。

27ページで、原子炉建屋の諸元の一部に誤りを確認したことから、正しいデータを用いた再評価を実施いたしました。左の図は、原子炉建屋の評価に用いますモデルを示してございますが、まず青で四角で囲んでます23というところで諸元誤りが見つかっております。これは3号機建設当時の工事計画の認可申請書で用いたモデルの断面2次モーメントというパラメーターでございますが、8190.6というのが正しい値でございますが、5509.5という値が入ってございました。それから、赤で書いてございます諸元誤りでございますが、それは新耐震指針に照らした耐震安全性評価で用いたモデルでございます。この等価せん断断面積という値でございますが、正しい値に対しまして各々3m2ずつ小さな値が入っていることが分かりました。この誤りの程度がどの程度あるかということを調べるために、正しい諸元を用いた評価を行ってございます。これが28、29ページに書いてございます。正しい諸元を用いたモデルに対しまして、SS-1の波を入れた結果が、28ページがEW方向、29ページがNS方向の結果について書いてございます。図の中では、黒がモデル訂正前。それから、青の破線がモデル訂正後でございます。この両者の応答を見てみますと、ほぼ重なっておりまして、大きな差が無いということが分かりますので、諸元誤りによる影響は小さなものということが分かりました。

30ページ。施設の耐震安全性評価、伊方3号機についてですが、SS-2が新SS-2というふうに変わりましたので、施設の安全性について評価をいたしました。

まず、31ページからが原子炉建屋についてでございます。原子炉建屋についての応答結果について、EW、NS、Ud方向につきまして、31、32、33ページと、その応答の結果を書いてございます。赤がSS-1によるもの。それから、青がSS-2によるものでございます。こういう結果が31~33ページについて書いてございます。

それから、34ページは、建屋の応答解析に用いる接地率でございますが、これらの評価が行える前提といたしましては、接地率の制限がございまして、これが65%以上という制限がございます。で、原子炉建屋の応答評価の結果で、接地率は、この表にもございますように、全て65%を上回っておりますので、ここであります基礎浮き上り非線形を考慮した地震応答解析を用いていいという結果になりました。

以上のようにして求めた結果が35ページです。35ページで、耐震壁の応答せん断ひずみを求めてございます。この表でもございますように、最大の応答せん断ひずみは0.63×10m3という値になりました。評価基準値は2.0×10m3ですので、評価基準値を下回っておるということが確認されています。以上が原子炉建屋についてでございます。

36ページからは、原子炉補助建屋についてでございます。36、37、38と、EW、NS、Ud方向についての結果について示してございます。赤がSS-1、それから青がSS-2についての結果でございます。

39ページが、先ほどもございましたような接地率の確認をいたしております。原子炉補助建屋におきましても、接地率は65%以上であることを確認しております。

40ページに、耐震安全性評価、原子炉補助建屋でございますが、最大応答せん断ひずみは、最大で0.84×10m3という結果になりました。これは評価基準値2.0×10m3を超えないということが確認できております。

最後に、41ページでございますが、機器・配管系の評価結果でございます。で、結果をまず読まさせてさせていただきますと、発生値は評価基準値を超えず、耐震安全性が確保されていることが確認できました。評価した全ての機器において、基準地震動SS-1による発生値がSS-2によるものを上回っていたことを確認しております。今回、SS-2には変更がありましたけれども、やはりSS-1が支配的であることに変更はございませんでした。下の表に、構造強度評価結果について描いてございますが、止める、冷やす、放射性物質を閉じ込めるのに必要な重要な機器について、炉内構造物、蒸気発生器、1次冷却材管、余熱除去ポンプ、余熱除去設備配管、原子炉容器、それから原子炉格納容器について、発生値はここに示しているような数字でございます。あと、評価基準値もここに書いてございますように、全て発生値が、評価基準値を下回っておることが確認できました。それから、動的機能維持の評価も行ってございまして、これは制御棒の挿入性でございます。制御棒は、評価基準値が2.5秒以内に挿入できることという条件がございますが、これに対しまして発生値は2.03秒ということで、評価基準値以下であることを確認しました。

まとめになります。43ページをお願いいたします。変更の概要をまとめますと、基準地震動の策定におきましては、基本震源モデルの断層長さを42kmから54kmに変更しました。それから、断層長さ54kmを基本に、不確かさの考慮として、断層長さ69kmや断層南傾斜80度のケース等を追加しました。それから、基準地震動SS-1、これは最大加速度振幅570ガルでございますが、これに変更無いことを確認しました。それから、SS-2の策定に当たっては、経験的グリーン関数法に加え、統計的グリーン関数法でも評価し、SS-2を新たに設定いたしました。施設評価でございますが、原子炉建屋の諸元の一部に誤りを確認したことから、正しい諸元で施設の評価を実施しました。それから、SS-1、新SS-2で、伊方3号機の原子炉建屋、原子炉補助建屋の耐震安全性評価を実施した結果、耐震壁の最大応答せん断ひずみは、評価基準値を超えないことを確認しました。それから、SS-1、新SS-2で、伊方3号機の主要8施設について、構造強度評価、動的機能維持評価を行った結果、発生値は評価基準値を超えないことを確認いたしました。

以上が補正の要点についてでございます。

引き続きまして、コメント回答についてご説明させていただきます。

○四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー

それでは、資料2-2に基づきまして、これまで委員の先生方から過去にいただいておりましたコメント等に対して回答させていただきます。

まず、1ページ目でございます。最初のコメントですが、地盤増幅特性に関しまして、以前は耐専スペクトルを基準に観測値との比較を行って、地盤に特異な増幅は無というご説明していたのですけども、それだけでは十分とは言えないので、せん断波速度を測定して地下地盤構造を適切に評価してほしいと。地震観測との結果との比較とか、分析、そういうのをしたほうがいいんじゃないかというコメントをいただいておりました。

2ページ目でございますが、これは伊方発電所におけます地震観測の地点を左側の平面図にお示ししてますが、赤丸のところで観測しておりまして、現在ではC地点っていう赤丸のところで観測してございます。で、そういうところで、下のほうに表がございますけども、鉛直アレイを組んでおりまして、深さ5m、80m、160m、3箇所で地震観測しておりますので、この辺のデータを見て用いまして、地盤増幅の検証を行いました。で、伊方で観測しました大きな地震が右のほうに示してございますが、大きな記録として10個程度ここには載ってございます。そのうちの特に大きかった4つの地震に関しまして、時刻歴波形等をお示しします。

3ページ目。今から4つ地震をお示ししますが、上のほうに時刻歴波形をお示しして、下のほうに応答スペクトル示してますけども、黒い線が地表から5mのところの記録、赤が深さ80mの記録、で、青で描いていますのが深さ160mの記録でございます。これ見ますと、黒の線が応答スペクトルで見ますと、その下のグラフのほうですね、黒の線のほうが赤とか青より上回ってございますので、地表にかけて増幅してるように見えるんですけども、これが実際の増幅なのかどうかを実際に、このせん断波速度の分析で評価しましょうということでございます。

4ページ目は、伊予灘の地震で、こんな地震も起きてましてということで。

5ページ目が、2001年の芸予地震でございまして、これが伊方発電所でこれまで観測した1番大きな地震でございます。で、これのNSの応答スペクトル、左下の部分なんかを見ますと、ちょっともう黒の線が顕著にちょっと大きく見えてますので、これが地盤の増幅によるものかどうか、この辺のところを分析しましたということです。

6ページ目は、安芸灘の地震です。同様なことを示してます。

では、それをどういうふうに分析したかといいますと、7ページでございます。まず、伝達関数というものがございまして、地下の深いところの波と浅いところの波の比を取りまして、それで実際に増幅しているかどうかということを比べるのですけども、まずここでは2001年の芸予地震を用いまして解析してますけども、1番左下に赤丸の(1)と青丸の(2)と青丸の(3)が描いてますけども、それぞれの深さのところで波の比を取ってみまして、実際に増幅してるのかどうかを実際の観測記録と理論とで比べてみました。それで、(1)の青の右側のグラフのほうの上の赤丸の青のところでお示ししますけども、NSのところで黒のギザギザになってるのが、これが実際の観測記録で、比を取ってみると深さ80mから5mでこの程度増幅といいますか、していますけども、これは赤で描いておりますのが理論解析、左側に地盤構造モデルをお示ししていますけども、これで理論的に求めた伝達関数っていうのが赤ですけども、それと比較的合ってますと。観測記録のほうはちょっとギザギザがあるのは、どうしてもやむを得ないですけれども、それと傾向は合ってるかなってところがあります。(2)の青丸で見ても、そんなピークの何かどの辺に出てくるかっていうのは割とやっぱり合ってるのかなってところがございます。それをもっと平均的に見るために、8ページ目に最大加速度が10ガル以上の11個の地震を平均して見たものをお示ししていますけれども、そうすると先ほどの黒のギザギザが消えてきまして、NS方向だと赤のこのピーク出てますけども、そのピークの出退と黒の平均したお隣のピーク出てくるところが合ってるかなというところで、伊方の地盤構造は、理論的なものと合いますので、比較的、理論に乗りやすい素直な地盤であるというふうに言えるんじゃないかと思います。

さらに、10ページ目で、地盤同定解析をやりました。先ほどのモデルを9ページの表で示してます1番左のモデルなんですけども、これに実際に観測記録というか地震計深さ方向3箇所付いてますので、これをさらに地盤モデルを切って、より詳しいモデルにして実際に観測評価に合うような地盤モデルというのを新たに作りました。で、その結果が10ページでございますけども、そのように新たに作ったといいますか、モディファイした地盤構造モデルでつくった理論的な伝達関数が10ページの緑の線でございますが、黒の観測記録と比較で合ってるかなということで、これの同定した地盤構造モデルというのを用いて、はぎとり解析をやりました。

11ページでございますけども、地震波形というものは入射波と反射波がございまして、下から地中から上がってくる波と地表面で反射して地中に戻っていく波がありまして、その干渉によって実際に増幅しているかどうかちょっと分かりづらいので、入射波だけに、下から上がってくる波だけにして比較しましょうというものがはぎとり解析でございます。やり方としては、2箇所のピンクと赤で示していますが、こういうような2つの波で比較して、表層に増幅があるかどうかを見ているものでございます。

12ページでございますが、12ページは、使った波は2001年の芸予地震の波を使いまして、表層でとらえた5mの波を先ほどの地盤同定解析をやったモデルを用いてはぎとり解析をやって、入射波だけにして、地表面だけにしたのが緑の時刻歴波形でございますが、最大加速度87ガルという加速度になりました。そこで、深いところ、160mで取れた波をはぎとり解析を行って入射波だけにしたのが、薄いブルーの時刻歴波形で79ガルになります。最大加速度で見るとそれほど変わらないと。応答スペクトルで見ますと、右上にお示してますけども、一部の周期帯で0.1秒ぐらいの周期のところで緑のほうが大きいので2倍程度大きくなってますけども、一部周期帯でちょっと増幅してるように見えるところがありますけども、全体としてはそんなに大きな顕著な増加は無いかなと言えるかと思います。

先ほどのはNS方向の波でございましたが、13ページではEW方向で、同じように見たところ、右上の図で見ると、緑の地表の波と地中の青の波というのはほとんど重なっていますので、EW方向ではもう浅いところでは増幅ほとんど無いよっていうのが確認できました。

こういうところから、14ページにちょっとまとめてございますけれども、観測記録の伝達関数というのは、理論値と整合的なので、敷地地盤の特性というものは比較的素直で、複雑な構造ではないと言えるかと思います。2001年の先ほどお示ししましたはぎとり解析の結果では、EWの方向ではほとんど増幅は見られませんでしたけども、NS方向でごく一部の周期帯で2倍程度になってるんですけども、全体的な増幅ってのはそう大きなものではございませんでした。で、先ほどNS方向で一部ちょっと大きくなったところの理由は何かといろいろ考えたんですけども、右下に平面図をお示ししてますが、C地点の地震計の観測地点がこういうところにございまして、もともとの岩礁地帯の先端部でございまして、上の方向が北方向ですけども、ちょっと岩礁地帯がゆえにちょっと南北方向ちょっと揺れやすいと。東西方向は、右側のほうに、東のほうにタービン建屋とか炉心がございますので揺れにくいんですけども、ちょっと南北方向に揺れやすいです。こういうところの地形による増幅の影響が出ているのかなっていうような感じも考えてございます。こんなことに考えまして、今後さらに今まで取れている観測記録、芸予地震以外の観測記録も分析したいと思っています。あと、地盤系の地震観測を充実させることも考えてございます。なお、地震動評価において、表層の5mの記録を用いて要素地震波を作って、先ほど高木が説明しました基準地震動SS―2というのを作成したわけですけども、その辺本来補正すべき、もし地形による影響であるならば、こういうローカルな地形による影響ならば補正すべきところなんですけども、それが要素地震に含まれた状態で地震動評価に用いておりますので、結果的には安全側の評価になってるんじゃないかとは考えてございます。

○四国電力 細川地盤耐震グループ上席副リーダー

それでは、引き続きまして、15ページ2番目のコメント回答でございます。

今回の耐震安全性評価に用いました地震応答解析モデルについて、地震観測結果によって検証されているのならば、その状況を示してほしいというコメントに対するものでございます。

16ページでございます。これ前回にもご説明差し上げたかもしれませんが、3号機原子炉建屋の平面概要、断面概要を示しております。この建屋で割と豊富に地震計測をしておりますので、その記録を使った検証をしていくということでございます。

17ページでございます。これは先ほどの原子炉建屋の概要をいわゆる串団子モデルにしたモデルそのものでございます。右側にいろいろ特徴的な要点を示していますが、17ページの1番右下のところに非線形特性ということで書かせていただいてます。ここで1番下のポチですね、基礎の浮き上りによる地盤の回転ばねうんぬんと書いておるところに※を付けておりまして、注釈を入れております。前回の専門部会におきまして、基礎の浮き上りという現象が、解析評価上どう扱われているのかというお話もございましたので、それについての参考をこの項目の最後に示しているということで注記させていただいております。

18ページ目は、同じ原子炉建屋の、今度は鉛直方向の応答解析モデルを示させていただいております。

19ページ。この原子炉建屋の応答解析モデルについて用いた観測記録、先ほど来お話に出てきています平成13年芸予地震時の観測記録、これを用いて検討を行いました。

20ページ。検討内容等の概要をまず最初に示させていただいています。原子炉建屋の基礎版上、建屋の1番下のほうの観測記録、これを入力としたバックチェックモデルの応答解析。要は、観測記録をバックチェックモデルの入力としたということでございます。で、今回、われわれこの評価に当たって、主に着目させていただきましたのが、鉄筋コンクリート造部の減衰定数、われわれ5%を設定していますが、それの妥当性を観測記録から見てみようということで、解析上は5%と3%、両方を設定して実施いたしました。結果的に、減衰定数5%、3%で結果に大きな違いが無いということと、どちらかと言うと5%のほうが観測記録に近いかなというようなことでありまして、このようなモデルで建屋・地盤を含めた全体の減衰系の中で、モデル上、鉄筋コンクリート造部の減衰定数を5%と設定して支障が無いだろうと判断したというものでございます。

21ページ。実際、今の3号機原子炉建屋のいろいろなレベルの平面図を描いております。下の左端からEL.+10mということで、右にいくに従ってどんどん建屋の上層階になっていくというような絵を並べております。黒いポチで、観測用地震計が配置されている場所を示しております。また、紙面、上下方向とか水平方向に線が引っ張ってあるのは、そういう方向の観測成分を持った地震計でございます。真ん中に赤で塗りつぶしておりますのは、ここの部分は上下方向、鉛直方向の記録も観測しているポイントですということを表しています。

22ページ。先ほどの基礎版上の観測記録を入力とした解析を行うと申し上げた基礎版上の記録でございます。EL.+10m基礎版上で取られました東西方向、南北方向、上下方向の記録の加速度時刻歴波形、およびそれの応答スペクトルを示したものでございます。これに見られますように、水平方向の最大加速度が50ないし60ガルということでして、耐震安全性評価で用いております基準地震動レベルと比べますと、1桁小さい記録ではありますが、これを入力とした解析をやってみたということでございます。

23ページ。これは先ほどの安全性評価の結果でもお示ししましたような図ですが、ここでは最大応答加速度分布をお示ししています。左から3つの方向について並んでおりまして、ここで線で描いてます2種類の線がございます。ブルーとグリーンがありまして、ブルーが先ほど冒頭説明させていただきました鉄筋コンクリートの減衰定数を5%とした場合の結果、グリーンがそれを3%とした場合の結果ということでございます。それで、観測ポイントがあるところに、ちょっと小さい赤丸でポチポチポチとプロットされている点、これが実際にこの応答解析モデルに対応する部分で取られた観測記録、それの最大加速度値を落としてみたものでございます。多少、出入りがございますが、全体的にはおおむね観測記録を再現しているっていうような見方ができようかと思っております。

続きまして24ページでございます。今度は、先ほどは建物の全体の最大応答の分布状況でしたけど、今度は建屋各フロア、各部位、各部位の応答波形に対する応答スペクトル、床応答スペクトルと呼んでいるものですが、それを1番上の行で内部コンクリート、左から内部コンクリートの低層から上層、右に向かって上層になるといったような形でお示ししたものです。24ページがEW方向でして、すいません、ここで同じように寒色系ブルー、緑で描いていますのが、解析の結果でございます。暖色系って言いましょうか、赤とか、たまに黄色がおりますが、そういう色で表していますのが、実際のそこで取れた観測記録の応答スペクトルというものを重ね描いたものでございます。これを見ていきますと、だいたい横軸といいましょうか、周期的には、モデルと観測記録は、ほぼ合ってるかなということですが、ちょっと青とか緑、解析のほうの振幅値ということで見ますと、やはり単純化した解析モデルという特徴が出ていると思いますが、ちょっと大きめになっているようなところも無くは無いといったような状況でございます。

同じようなスペクトルを今度逆のNS方向について描いてみましたのが25ページでございます。やはり、周期軸的には、ほぼ、全体的に見ると、再現しているような見方が可能かと思っております。

26ページでございます。今度は上下方向でございます。これについても場所によっては、ちょっと特徴的な震動の影響みたいなものがかかっているように見えますが、このような状況ということでございます。

引き続きまして27ページでございます。冒頭、基礎の浮上り現象を解析評価上どのように取り扱っているかという話もさせていただきました。それについての概要をご説明差し上げます。地震時に建屋をモデル化して応答解析をするのですが、その結果として基礎が浮き上がるような場合には、基礎浮き上りによる幾何学的な非線形、これを考慮しなければならないと電気協会の技術指針等々で規定されております。質点系モデルを用いていますが、先ほどの絵でも基礎の下にクルクルっと回ったような絵があったと思いますが、回転ばねと称していますが、そういった回転ばねの剛性とか減衰に非線形を考慮するということになっています。ただし、この場合、基礎の接地率、要は浮き上り程度に応じて以下のような評価法を適用するということでフローがございます。下に接地率、ひし形の四角で左から75%以上、65%以上、右端が50%以上というふうに描かれてますが、その接地率、基礎の浮き上りように応じて、用いる地震応答解析モデルを選定しましょうということでして、われわれ3号機の原子炉建屋の場合ですと、黄色で網掛けしております真ん中、このような形でモデルを組んで、先ほどもご報告差し上げましたように、最小の接地率が65%を満たしているというような結果になっているということでございます。

28ページ。これはもう少し参考ということになろうかと思いますが、28ページの上半分、これは接地率と言っているものは、どういったふうに考えて算定するかっていうことを式も使いましてお示しさせていただいてます。下半分につきましては、回転角と回転角に対応するモーメントということになりますが、これの浮き上がって以降の非線形特性というのはどのように設定しているかいうようなことをお示しさせていただいた図でございます。前回この基礎浮き上りに関するお話を受けたときに、実際の浮き上がり量あたりについてもちょっとご懸念みたいなものがあったと思うんですが、今回SS-1で地震応答解析をした結果のここで言う回転角、最大の回転角っていうのがだいたい1×10??ラジアンのオーダーでして、これに単純にえいやと基礎の半幅を掛けたとしても、基礎の端のほうでの浮き上り量は0.4mmとか0.5mmとか、計算上はそういった数字が出てくるといったような程度の浮き上りということでございます。

○四国電力 川崎

続きまして、3番の基礎地盤安定解析についてご説明させていただきます。

29ページをお開きください。コメントといたしましては、原子炉建屋直下の端趾部地盤に破壊要素が見られるが、支持性能の検討についてはどのようになされているかということで、今回破壊要素の評価、および地盤安定の支持性能につきましてご説明させていただきます。

30ページをお開きください。今まで説明が無かったのですが、地盤の安定解析における評価の基本方針というものを記載させていただいております。上の箱書きは、原子力安全委員会における耐震指針に記載された内容でございます。「Sクラスの各施設は、基準地震動SSによる地震力に対してその安全機能が保持できること」というふうに記載されておりまして、その具体的な評価方法につきましては、経済産業省原子力安全・保安院における「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」に照らした既設発電用原子炉施設等の耐震安全性評価における評価手法及び確認基準に記載があります。ご説明させていただきますと、安定性評価の概要といたしまして、安定性評価は、動的解析を主体に検討を行うこととしております。解析は2次元モデルをもとに、周波数応答解析法による線形、または等価線形解析により検討を行うことを基本とし、水平地震動と鉛直地震動による応答を考慮することというふうに記載されております。そして、耐震安全性評価につきましては、その地震時における支持性能につきまして、「すべり安全率による評価を基本とする」というふうに記載があります。すべり安全率につきましては、「有限要素法等を用いて行う動的解析及び静的解析による評価において想定したすべり面上の応力状態をもとに、すべり面上のせん断抵抗力の和をすべり面上のせん断力の和で除して求める」というふうに記載があります。そこで、伊方発電所の原子炉建屋基礎地盤の安定解析においては、等価線形解析による評価を行い、支持性能については、すべり安全率による評価を行っております。

31ページ。コメントの経緯について記載させていただいております。コメントは、原子炉建屋基礎地盤の安定性評価における要素ごとの安全係数を示した図、これは下の色の付いた図なんですけども、これが本報告書に記載されております。この図に建屋隅角部の地表に破壊された要素が見られる。破壊された要素の評価はどのようになされているかということでございまして、すべり安全率の評価につきましては、下の図に示したような局所安全係数図や、モビライズド面等を考慮した想定すべり面を設定した上ですべり安全率の評価を実施しておりまして、この下の図に示した赤色で示しております引張応力が発生した要素や、黄色で示すようなせん断強度に達した要素については、評価に用いる強度について、この次のページから示しておりますが、強度定数を低下させて設定しております。なお、この図につきましては、最もすべり安全率が低くなりました17.08秒における瞬間的な応力状態を示したものでございます。

32ページに、すべり安全率評価における強度の取り扱いについて具体的に記載させていただいております。安定解析の結果において、引張応力が発生した要素や、せん断強度に達した要素、引張応力が発生し、なおかつ、せん断強度に達した要素につきましては、すべり安全率の評価において、その強度に残留強度を採用して、健全強度より低下させることで安全側の評価を行っております。具体的には下の表にありますとおり、健全強度と残留強度を各岩級区分毎に区分けしたものからそれぞれ引張応力が発生したもの、せん断強度が達した要素につきまして強度低下を行って評価を実施しております。なお、さらに引張応力が発生した要素につきましては、下の箱書きに記載させていただいておりますが、引張応力が働く面の方向が、われわれが想定しましたすべり面の方向と±20度の範囲の角度で交差する場合において、せん断強度、および内部摩擦角、これらは上記に示した強度定数ですが、0として、より安全側の評価を行っております。

33ページに、先ほど31ページに紹介しましたすべり安全率が最小となる時刻の応力状態を記載させていただいております。左側が主応力図で、右側がモビライズド面を示しております。左の主応力図の赤で囲った部分が引張応力が発生した要素でございまして、オレンジで示しておりますのが17.08秒における想定すべり面でございます。右側のモビライズド面につきましては、それぞれすべり面と強度の関係から強度定数をどのように評価したかということを記載しておりますが、少し小さくて見えにくいんですが、青色で囲った部分がせん断強度、および内部摩擦角が0となる要素でございます。緑で囲った部分につきましては、残留強度で評価した部分でございまして、この時刻においては、先ほどご説明しました(1)建屋基礎地盤の隅角部では、引張応力の働く面が、想定したすべり面に対して±20度以内で交差するため、各要素のせん断強度、および内部摩擦角は0としている。(2)で示しております緑で示した斜面部の法肩部の要素につきましては、引張応力が発生しているものの、斜面方向にすべり面を想定した評価をした場合につきましては、引張応力が働く面が斜面とほぼ直行しておりますので、評価に用いる強度は残留強度を用いております。上記のように示した強度低下をさせるような評価を行った上で支持性能を評価しており、すべり安全率を評価した結果、最小すべり安全率は2となりまして、評価基準値であります1.5を確保しており、建屋の耐震安全性は確保されているというふうに考えております。

34ページに、基準地震動SS-1におけるすべり安全率と、われわれが想定したすべり面のすべり安全率を記載させていただいております。青色で示したものがすべり面でございます。

35ページで、まとめといたしまして、伊方発電所3号機の原子炉建屋基礎地盤の安定性評価につきましては、等価線形化法を用いた有限要素解析を実施し、その支持性能につきましては、すべり安全率による評価を行っております。すべり安全率の評価におきましては、引張応力が発生した要素や、せん断強度に達した要素について、各応力状態や、想定したすべり面の関係から強度をそれぞれ低下し、安全側の評価を実施しており、その結果、最小すべり安全率が2.0となりまして、評価基準値であります1.5以上を満足していることから、原子炉建屋基礎地盤について基準地震動SSによる地震力に対して十分な支持性能を持つことを確認しております。

○四国電力 松崎地盤耐震グループ副リーダー

引き続きまして、36ページでございます。ここからは、以前42kmを基本モデルとしてるときに、アスペリティを正面に置くべきではないかということを森先生からご指摘いただいておりましたので、今回基本モデルが54kmに変更になりましたので、54kmでアスペリティを正面に置いたケースというのを検討しましたので、ご報告させていただくものです。

37ページが、そのモデルでございますが、今回1番右下に基本震源モデルを示してます。で、こんなふうに第1アスペリティ、第2アスペリティを置いていまして、▼がちょうど伊方発電所でございますけれども、このように目の前に伊方の沖のジョグがございますので、そこの上にアスペリティを配置してるんですけども、第1アスペリティを右上のほうに示しますメッシュ図のように正面に置きまして解析を行いましたということでございます。

パラメーター表は、もう変わってございませんので省かせていただきまして、早速結果でございますが、39ページに経験的グリーン関数法で行いました。で、破壊開始点を3ケース、西から壊すケース、東から壊すケース、断層の中央の下端から壊すケースをお示してございます。

NSにつきまして3ケースございますが、それを40ページのほうに基本震源モデルと比べてございます。40ページの応答スペクトルでお示ししてますが、グレーだとか黒でお示ししていますのが基本震源モデルでございまして、アスペリティを東西に分けたやつですね。目の前に置いてないやつですけども、目の前に置くことによってこれだけ上がりますということでございます。

41ページ。その正面モデルのケースと、基準地震動SS-1、およびSS-2と比べたものでございますが、全体を見ますとSS-1を上回らないことはまず確認してございますし、全体的な地震動レベルで見ますと青線のSS-2よりも小さいので、基準地震動に影響無いといいますか、妥当なものと考えてございます。

42ページ、これほんと参考になるんですけども、愛媛県議会さんのほうで、伊方沖と隣の伊予セグメントの2つの活断層が連動といいますか、そういうのを想定すべきじゃないかっていうご質問が、ご議論があったようでございましたので、当社のほうからちょっと参考程度にちょっとここの場でご説明させていただくものでございます。で、議会の議論の中の場では、75kmと言われたようですけれども、それは前面海域の長さを42kmと基本してたときに、隣の伊予セグメント33kmを足して多分75kmとしたのだと思うのですけども、今回われわれ基本モデルを長さ54kmと変えましたので、54+33で87kmの区間でもって評価したものでご説明いたします。

43ページ。右のメッシュ図で、54kmと33kmを足したもので検討しました。この両方にスケーリング則を適用して、楕円クラックモデルを適用してパラメーターを組んだらどうなるかというのを、実際の地震動のシミュレーションをやったわけではないのですけども、簡単な試算でもってどの程度の影響があるかを試算したものでございます。

44ページで細かなパラメーターをお示してございますが、45ページにまいります。45ページの応力降下量でちょっと比べてみました。応力降下量というのは、短周期の側の地震の最大動を規定するようなパラメーターと思っていただければと思うのですけども、その値がいろんなケースでどうなっているかというところでございます。まず、54km・90度の基本のモデルのところでは、われわれ楕円クラックを用いまして2.6MPaという値を設定してございます。表の赤で示しています69km・90度であれば3.1MPaだとか、54km・30度だと3.6MPaとしていますけれども、今回87kmに連動してスケーリングをして、楕円クラックという式で応力降下量を評価すると、3.7MPaというのになります。この値というのは、中越沖地震の知見も反映して応力降下量1.5倍としたケースってのをやってございます。黒で書いてございますが、2.6MPa×1.5としていますけれども、これが3.9MPaとなりますので、この値よりも小さなものになります。さらには、130km連動してスケーリングさせたものというのは、4.5MPaっていう値を取ってございまして、これよりも応力降下量は小さな値になりますので、これを見ると応力降下量1.5倍だとか、スケーリングよりも地震動は小さいかなというのが推定できるというものでございます。

さらに、長さが130kmだとか、54kmだとか、比べているので、ちょっと何と言いましょうか、土俵を同じにして比べましょうということでやったのが46ページ以降なんですけども、46ページでお示ししていますのは、スケーリングのケースで、いろんな3つのセグメントがありますけれども、それぞれごとの寄与率をお示ししてございまして、全体からの地震動が黒でお示ししていますけども、目の前の54kmの区間から出てくる地震のエネルギーとか、地震動っていうのは赤でお示ししています。

川上セグメントはオレンジでお示ししてますけど、これを見ると前面海域の54kmの区間の地震動が影響が大きい、支配・寄与率が高いというのがお分かりになるかと思いますので、54kmの区間にちょっと絞って検討してみたのが47ページです。ちょっとまたここで異なるパラメーターが出てきて申し訳ないのですけれども、短周期レベルっていうのも先ほどの応力降下量と同じようなものと思ってください。地震動の短周期側のレベルを規定するものでございます。これを黄色で示してありますのは、87kmの連動モデルの54kmの区間だけ、そこに当てがわれる短周期レベルを取り出すと、1.72×10¹?という値になります。これは54km・90度、左側に書いてますけれども、1.36なので、これよりも確かに大きな地震動になりまして、厳しい側の評価になりますが、スケーリングモデルの54kmの区間で設定している短周期レベルっていうのは1.84なのでこれよりも小さいと。あと、短周期側の地震動のレベルを規定するもの、先ほどお示ししたのは応力降下量っていうのは断層全体だったんですけども、アスペリティの応力降下量というのもちょっと重要な要因になろうかと思いますが、87kmのスケーリングモデルに設定されるのは13.7MPaになって、スケーリングモデルで13.3MPaぐらいになるので、130kmのモデルと87kmのモデルで54kmの区間から出てくるエネルギーってだいたい同じぐらいかなと考えられるってことで、だいたい地震動のレベルは47ページの下に応答スペクトルを出していますが、この紫が130kmの連動モデルの、これは全体からの地震動でございますが、これとほぼ同じぐらいなのかなというのが推定されます。で、これと基準地震動SS-1とSS-2とを比べておりますが、全体的にSS-1、2が上回ってございますので、仮に75km、87kmの連動を考えても伊方の耐震安全性には問題無いよとわれわれは考えてございますという結果をここでご報告させていただきます。

○濱本部会長

どうもありがとうございました。

引き続きまして、原子力安全・保安院から評価結果についてご説明をお願いします。

○原子力安全・保安院 小林耐震安全検査室長

伊方発電所の耐震バックチェックの評価ということで、一昨年の3月に四国電力から提出されました中間報告書につきまして、この1月7日に私ども原子力安全・保安院としまして「その評価結果は妥当である」という旨の判断をしたところでございます。

この専門部会におきましては、昨年の8月に私どものほうから審議結果としまして、敷地前面海域の断層群の長さについてどう考えるかといったところまで報告させていただいております。本日は、それ以降の議論につきましてご説明させていただきます。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

資料の2ページをお願いします。本日のご説明内容につきましては、耐震設計の基本的な考え方と耐震バックチェックについてということ。それから、私どもの評価結果。どちらかと言うと、2番のほうを主体に説明させていただきます。

3ページ。まず、バックチェックについてということです。

4ページ。これは以前にも説明させていただきました内容でありますけれども、原子力発電所の耐震設計につきましては、原子力安全委員会の耐震指針に従いまして設計がなされております。その基本的考え方といたしましては、大きな地震があっても、発電所周辺に放射性物質の影響を及ぼさないということで、安全上重要な「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」機能が確保されるように設計をいたします。

5ページ。この耐震設計の基本方針を具現化するために、徹底した調査、基準地震動の策定、それから重要度に応じた耐震設計を行っております。この中で特に重要なところといたしまして、今回バックチェックにつきましてはSクラス、止める、冷やす、閉じ込めるの機能につきまして、基準地震動に対して安全機能が保持されるということを確認しております。

6ページ。耐震指針の改訂についてですけれども、ここにまず原子力発電所の耐震安全性ということで一般論的な内容を記載してございますけれども、既設の原子力発電所につきましては、旧耐震指針策定以前のプラントにつきましては、この旧耐震指針を踏まえ、耐震安全性評価を行っているということ。それから、旧耐震指針を審査基準として許可が出されているものにつきましては、それをもとに耐震設計を行っております。その後、設置許可後に生じた地震等から得られる科学的知見も踏まえまして、耐震安全性について確認を適宜行っておりまして、原子力発電所の耐震安全性は十分確保されていると考えております。で、耐震設計審査指針の改訂といたしましては、ここに記載しておりますとおり、最近の地震学、耐震工学の成果等最近の知見を取り入れて、発電所の耐震安全性のより一層の向上に資するとの観点から新耐震指針が原子力安全委員会により決定されております。

7ページ。新耐震指針のポイントということで、左側に旧耐震指針、右側に新耐震指針の内容を記載してございますけれども、キーワードといたしましては、より厳しい水準、より入念な調査、より高度な手法ということで、これら3つの項目から成っております。それで、今回の伊方3号機のバックチェックの中で特に私どもが着目いたしました点といたしましては、真ん中のより入念な調査というところでありまして、従来の調査に加えまして、不明瞭な活断層を見逃さないよう変動地形学的手法等を用いた総合的な活断層調査を実施したということ。それから、より高度な手法というところで、従来の点震源を中心とした応答スペクトル評価式に加えまして、地震発生メカニズムを詳細にモデル化できる、いわゆる震源断層を面としてとらえる断層モデル、これを地震の評価手法として全面的に採用しているというところに着目しております。四国電力におきましては、指針策定前から自ら調査を実施しておりまして、かなりデータが得られております。それから、こういった指針に断層モデルが採用されることが判明する以前から、断層モデルによる地震動評価を研究的な意味合いでいろいろと対応したりして、基準地震動の妥当性等の検証を独自にしております。で、こういったこれまでの取り組みをまとめたもの、それをバックチェックで提出してきたということになります。

8ページ。耐震設計審査指針の改訂に伴う対応ということで、新耐震指針は、ここに書いておりますとおり一層の耐震安全性の向上、それから耐震安全性に関する信頼性、説明性のより一層の向上と、そういったことを目的としておりまして、もっぱら新耐震指針につきましては、新設、もしくは増設等の設置許可の審査基準として私ども採用しておりまして、こちらにつきましては既設につきましてはこれを法的には適用されるものではありませんけれども、既設につきましても新耐震指針に照らした耐震安全性評価、耐震バックチェックをすることが重要だと私ども考えておりまして、バックチェック手法確認基準、これはいわゆるバックチェックルールですけれども、これを策定いたしましてバックチェックを指示しております。それから、中越沖地震を踏まえまして、なるべく早期に提出するようにということで実施計画の見直しを指示いたしまして、事業者のほうから中間評価の結果の報告がありまして、これを厳正に確認してきたということであります。で、この中間評価と書いてございますけれども、基準地震動の策定、安全上重要な設備に関する耐震安全性の評価でありまして、発電所の基本的な耐震安全性の確認を行うものと考えております。

9ページ。耐震バックチェックの方法ということで、まず基準地震動の策定につきましては、敷地ごとに震源を特定して策定する地震動、それから右のほうに、やや下のほうに黄色く記しておりますけれども、黄色い枠で塗りつぶしておりますけども、震源を特定せず策定する地震動、こういったところから基準地震動SSを策定いたします。敷地ごとに震源を特定して策定する地震動におきましては、今回の指針で、地震発生様式ごとに検討用地震を選定して、その検討用地震に対しまして従来から用いられておりました手法を少し面的な面も考慮できるような手法に変えまして、応答スペクトルに基づく地震動評価をいたしまして、それと同時に断層モデルを用いた手法による地震動評価を実施し、これらの評価の中で不確かさを考慮するということで評価を実施しまして基準地震動を策定いたします。

10ページ。策定いたしました基準地震動をもとに、施設の耐震安全性評価を実施いたしますけれども、ここに5つ項目を挙げておりますけれども、今回の評価につきましては、安全上重要な建物・構築物、それから機器・配管系の耐震安全性評価のうち重要なものについて評価を実施しております。

11ページ。私どもの原子力安全・保安院としての評価結果を説明させていただきます。この評価結果につきましては、今年の1月7日に四国電力に評価結果を通知いたしまして、原子力安全・保安院のホームページにて公表済みであります。

12ページ。事業者のほうから提出がありましたバックチェックにつきましては、私どもの耐震・構造設計小委員会で検討をしております。で、バックチェック中間報告につきましては、全国で発電用原子炉施設の立地サイトが10数個ありまして、ユニット数でいきますと50近くございます。こういったものを効率的に確認するということで、地震・津波、地質・地盤合同ワーキング、それから構造ワーキングの上位のワーキンググループの下にサブグループを設置して、サブグループでは6名から8名の専門家による審議を行っております。伊方発電所につきましては、これらのサブグループとしてはAサブグループというところで検討を行っております。

13ページ。審議実績と審議に当たってのポイントでございます。審議実績につきましては、基準地震動SSの策定結果、主要な設備の評価結果、これらにつきまして上位のワークキンググループとサブグループにおきまして、それぞれ24回、14回ということで審議を実施しております。審議に当たってのポイントといたしましては、地質調査、活断層の評価といたしまして、敷地前面海域の断層群の活動性、その性状等、それから中央構造線断層帯四国北西部のセグメント区分。それから、基準地震動SSの策定といたしましては、このような敷地前面海域の断層群による地震の地震動評価といたしまして、震源のモデル化を含む解析手法、パラメーターの設定や不確かさの考慮について評価しております。それから、中越沖地震の知見の反映につきましても検討をしております。それから、施設の耐震安全性評価といたしましては、強度の評価方法等をあらかじめ定めたルールに従って行われているか、それから評価結果は安全基準として設定しております評価基準値を満足しているかということを確認しております。

14ページ。四国電力が行った地質調査方法等の評価でございます。このページから次の 15ページにかけまして、四国電力が実施した調査とその範囲を記載してございます。この評価につきましては、敷地からの距離に応じまして既存文献の調査、変動地形学的調査、地表地質調査、それから地球物理学的調査等が実施されておりまして、その内容につきましては、新耐震指針、それから原子力安全委員会のほうで指針改訂後に決定いたしました地質調査の手引、それから私どものバックチェックルール、これらで要求されている事項を満足しているということから、基本的に必要な調査が実施されているものと判断しております。

16ページお願いいたします。最初に活断層評価の全体につきまして説明させていただきます。耐震設計上考慮する活断層といたしましては、この右側の図に示しましたとおり、それからこの一覧表にも示しておりますけれども、3つの活断層を評価しております。この中で、敷地前面海域の断層群につきましては、当初評価した長さ42kmから12km延伸しております。それから、(3)のF-21断層につきましても、当初評価は約18kmに対しまして1km延伸した評価となっております。で、これらの四国電力の調査に基づく評価につきましては、敷地周辺の陸域、および海域の断層についての活動性、およびその性状等の評価について妥当なものと判断しております。で、この中で、敷地前面海域の断層群、これが図のほうで見ていただけますとおり、伊方発電所から断層まで最短距離で10km弱ということで、これが敷地に対しての影響が最も大きいものということで、説明に関しましてはこちらのほうを中心に評価結果を説明させていただきます。

17ページ。敷地前面海域の断層群の評価です。四国電力の陸域と海域の調査結果をもとに、それから私どもで実施させていただきました海上音波探査結果も踏まえまして、四国電力の評価が妥当なものと判断しております。評価した内容の項目といたしましては、まず四国北西部の中央構造線断層帯のセグメント区分であります。右下のほうの図にセグメント区分を示しておりますけれども、陸域、および海域の地質・地質構造に係る調査結果から、断層性状区分をこのように設定しておりまして、敷地前面海域の断層群の主部といたしまして42kmと。こちらにつきましては、伊方の沖合に小規模なジョグがありまして、こちらのほうは安全評価上考慮しないということで、地点の長さとして42kmを設定しております。で、その両端に串沖と三崎沖のジョグがございまして、これがそれぞれ13kmでございます。私どもの審議におきましては、この引張性ジョグを地震動評価上のモデルにどのように反映するかというところで、専門家の意見が分かれました。42kmからその両端13kmずつ足して約70km程度、69km程度ですね、こういったところ、この42kmから69kmという幅で先生方の意見を、議論を重ねていく上で集約を図りまして、最終的に伊予セグメントとか、それから川上セグメント等といったそれ以外の地震活動セグメントとの連動を考慮するということを前提にいたしまして、引張性ジョグの中まで延ばしてジョグの領域の一部を含む長さ約54kmと評価をしております。で、敷地前面海域の断層群の断層の傾斜角につきましては、変動地形学的、それから地震学的、地球物理学的な観点からの検討によりまして、横ずれ断層として鉛直90度を想定することが合理的であるということを確認しております。

18ページ。敷地前面海域におきましては、私ども海上音波探査を実施しております。耐震設計に必要な活断層等の調査につきましては、事業者が実施することが大前提でありますけれども、中越沖地震の知見等を踏まえまして、耐震安全性について厳格に検証を行うために、事業者による調査を念のためチェックする観点から、原子力安全・保安院として海上音波探査を実施しております。この海上音波探査の結果につきましては、公開の会合に提示しておりまして、当院のホームページにおいても全て公開となっております。下に調査概要を記載しておりますけれども、三崎沖と串沖の引張性ジョグの両端とその中央ということで、AからC、それからFからHという測線を設置しております。それから、伊方発電所の前面、真正面のところにEという測線、それからCとEの間、断層の海底面のトレースといいますか地震の痕跡というものが比較的明瞭に出ているところといたしまして、dという測線を設定しております。で、探査仕様といたしましては、地震発生層の上部までの深部構造をより高精度に調査できるように、音源のエネルギー量を上げたりといった仕様を設定しております。

19ページ。結果についてでございますけれども、最初に、海底下深部まで解釈可能な記録が得られたということで、深部の地下構造を把握することができました。この深部というところにつきましては、これは時間断面で描いておりますけれども、深度を距離で表しますとほぼ2km程度。それよりも深いところで3km程度ぐらいというところまで比較的明瞭に見えたというものであります。それから、調査結果につきましては、下の図のほうで黄色い破線で囲んでおりますけれども、基盤岩類の上のほうに第三紀から第四紀ということで、数100万年前以降堆積した地層に明瞭な断層が見えておりまして、横ずれ断層に特有なフラワー構造が明瞭に見えたということ。それから、下のほうの基盤岩類で、領家花こう岩類、三波川変成岩類の会合をしてる状況が見えて、かつ三波川変成岩類がやや低角で北側のほうに傾斜していくというところが見えております。この領家花こう岩類と三波川変成岩類の境界につきましては、地質境界断層としての中央構造線がやや明瞭に見えたということであります。

これらの調査結果につきましては、四国電力の評価と整合的でありまして、敷地前面海域における四国電力の調査は妥当なものと判断しております。

20ページ。こういった評価から地震動評価に反映していくときの反映の状況ということで確認をしております。この敷地前面海域の断層群による地震の地震動評価につきましては、震源モデルの設定といたしまして長さ、傾斜角、それから不確かさの考慮の考え方、断層モデルを用いた手法にポイントを絞り込みまして確認をしてまいりました。その結果といたしましては、四国電力の評価が妥当なものと判断しております。それぞれのポイントにつきまして説明させていただきます。まず、震源モデルの長さにつきましては、先ほども説明させていただきましたけれども、隣り合う活動セグメントの連動を不確かさの考慮に含めるということを条件に、基本震源モデルの長さを断層の分岐形状も踏まえまして、その分岐形状のY字型の先のところまでということで、これをジョグの中まで含めまして54kmと設定しております。それから、地下の断層破壊領域が引張性ジョグの全長に相当する面に及ぶ可能性も踏まえまして、不確かさを考慮した震源モデルの長さを69kmと設定しております。次に震源モデルの傾斜角についてです。基本震源モデルの傾斜角につきましては、右側の図に示したとおり90度、これを基本として設定しておりまして、先ほどの海上音波探査の結果にも表れておりました北傾斜30度の地質境界断層、これが震源断層と一致する可能性が否定できないということで、不確かさを考慮した地震動評価におきまして、北傾斜30度も考慮しております。それから、純粋な横ずれ断層による過去の地震の断層傾斜角、これを調査した結果から10度ぐらいのばらつきを考慮すればほぼカバーできるということを確認いたしまして、安全評価上の観点からこれを南傾斜80度ということで、敷地側に傾けて不確かさとして考慮をしております。

21ページ。不確かさの考慮の考え方についてでございます。不確かさ考慮ケースにつきましては、基本震源モデルを含めまして下の表のほうに記載してございます。基本震源モデルを0といたしまして、1から5のケースということで不確かさを考慮したケースを記載してございます。その右側、真ん中の列のところに基本震源モデルの設定条件。やや右側のほうに、不確かさを考慮するパラメーターを記載してございます。基本震源モデルの設定に当たりましては、アスペリティの深さ、こちらのほうにあらかじめ不確かさを見込んでおります。アスペリティの平面位置につきましては、地質調査結果、これに整合的な配置としております。それから、破壊開始点につきましては、これは3ケースということで、断層の東、西下端と、それから中央部ということで3ケース。これはほかのサイトでは、敷地に向かう方向ということを念頭に1ケースということで絞ってるところもございまして、そういう意味で3ケース立ててやっているということであらかじめ不確かさを見込んでいると判断しております。こういった一部の不確かさをあらかじめ考慮した上で設定しているということを確認しております。不確かさを考慮するパラメーターにつきましては、断層長さ、応力降下量、断層傾斜角、それから断層長さのところに含まれておりますけれども、隣り合うセグメントとの連動ということを不確かさとして、こういった不確かさ要因を1つずつ考慮するということにしております。で、基本震源モデルと地質調査結果の関係を調べまして、基本震源モデルの信頼性が非常に高いということ。それから、基本震源モデルにあらかじめ考慮されている不確かさ要因もあるということを踏まえまして、それから他サイトにおける不確かさの考慮に係る事例も整理した結果も含めまして、不確かさの考慮の考え方として妥当なものと判断しております。下のほうに※2ということで、別途ということで記載してございますけれども、先ほどの四国電力の説明にありましたとおり、基準地震動SSの妥当性を確認するための検討として、130km連動スケーリング、それから360km連動カスケードの2ケースということも実施しております。

22ページ。断層モデルを用いた手法につきましては、先ほど四国電力から説明ありましたとおり、2つの手法を用いた結果を比較いたしまして、施設の影響を検討して基準地震動SSに採用しております。で、私どもの審議におきましては、この経験的グリーン関数法に用いた要素地震が※2ということで書いてございますけれども、左下のほうに書いてございます。2001年の安芸灘の地震ということで、これはM5.2、震央距離78km、深さ42kmということで、数値上お分かりになると思いますけれども、芸予地震の余震ということでございまして、敷地前面で想定いたします中央構造線断層帯の断層の破壊メカニズムと異なるということ。それから、距離も比較的離れているということで、震源特性、伝播特性が適切でない可能性があるということで、統計的グリーン関数法、人工地震波で関数を策定いたしますけれども、こういった手法も同時並行的に採用をして検討をしたということでございます。それから、今回バックチェックということで特徴的なことでありますけれども、すでに施設があって、モデル化もある程度信頼性が高いものがあるということも踏まえまして、施設への影響につきましては、基本的には通常、応答スペクトルの比較により検討するんですけれども、本案件につきましては工学的判断の根拠を明確にするという目的で建屋地震応答解析を実施いたしまして、その結果をもとに敷地への影響を検討しております。

23ページ。これまで敷地前面海域の断層群ということで、内陸地殻内地震につきまして説明させていただきましたけれども、その他の地震の地震動評価といたしまして、海洋プレート内地震、プレート間地震につきましても検討用地震を抽出して地震動評価を実施しております。海洋プレート内地震につきましては、1649年の安芸・伊予の地震、これを検討用地震として抽出しておりますけれども、実際の地震動評価におきましては、この敷地を含む安芸灘、伊予灘豊後水道の領域におきまして、有史以来頻繁にプレート内地震と思われる地震が発生しているということを踏まえまして、敷地の直下のフィリピン海プレート内に、地震規模を若干上げまして既往最大の地震規模を想定しております。ちょっと図のほうの矢印が、赤の星印から基準点のほうに向かっておりますけれども、これは実際もうちょっとやや下の方向に抜けていくということで補足させていただきます。プレート間地震につきましては、中央防災会議が設定しております想定南海地震、これを考慮しております。この想定南海地震につきましては、中央防災会議におきまして、これまで発生した南海地震の観測記録が若干得られているものもありますし、震度分布等でそれを再現できるモデルということで、信頼性の高いモデルを設定しておりまして、これを採用しております。

24ページ。このような検討用地震、内陸地殻内地震、海洋プレート内地震、プレート間地震の応答スペクトルに基づく地震動評価結果を包絡するように設定をした応答スペクトルといたしまして、基準地震動SS-1の設計応答スペクトルを設定しております。左下の図でいきますと黒の実線でございます。それから、断層モデルを用いた手法による地震動評価結果のうち、SS-1を一部の周期帯で超えるものといたしまして、不確かさケース(2)(北傾斜30度)の経験的グリーン関数法によるハイブリッド合成結果、これを基準地震動SS-2として採用しております。で、震源を特定せず策定する地震動につきましては、敷地の地域性等を考慮いたしまして応答スペクトルを設定した上で、基準地震動SS-1に全周期帯において包絡されるということから、基準地震動SS-1で代表させております。それから、新潟県中越沖地震を踏まえた対応といたしまして、伊方発電所の地下構造が地震動評価に与える影響につきまして、観測記録を用いて検討いたしまして、現状で得られている情報からその影響は小さいと判断いたしまして、安全性に影響を与えるものではないというふうに考えております。基準地震動の最大加速度につきましては、ここに記載しているとおりでございます。

25ページ。参考ということで、私ども独自に検討した内容ということで、地震本部(2009)の強震動予測との比較をしております。これは説明性向上の観点から検討をしております。文部科学省の地震調査研究推進本部におきましては、昨年の7月に強震動予測地図ということで、伊方発電所の敷地前面海域を含む中央構造線断層帯の評価結果ということで示しております。地震本部のモデルにつきましては、上のほうに記載しておりますけれども、下のほうに記載しております四国電力のモデルとほぼ同等のモデルということになっております。これらの結果の比較に当たりまして、地震本部の地震動の評価上の地盤ということでは、工学的基盤ということで、VSの大きさでいきますと600m/s、やや低い値のところで地震動を評価しております。四国電力のほうは、解放基盤表面のVSが2600m/s程度ということで、直接なかなか比較しにくいんですけれども、左のほうの図ではまずノーマルにその結果は比較したということで、敷地への影響、もしくは施設への影響が大きい短周期レベルにおきましては、これらの結果は同等の結果ということになっております。それから、簡易的に地盤の補正を地震本部の結果につきまして実施させていただきまして、VS2600m/s相当に補正しております。補正方法につきましては、このVSの比率を用いまして、これをインピーダンス比として、そのVSの比率を√いたしまして、その比率を掛け合わしているということでございまして、これちょっとここまでは多分低減はしないかと思うんですけれども、仮にこういった補正をした場合ということで比較をしてみますと、短周期のレベルにつきましては四国電力のほうが約1.5倍程度大きいという結果になっております。

26ページ。基準地震動SSを策定するところまで説明させていただきましたけれども、このSSを用いまして施設の評価の結果ということを説明させていただきます。まず、建物・構築物であります。先ほども四国電力のほうから説明ございましたけれども、原子炉建屋等の地震応答解析モデルにつきましては、観測記録との整合性等を確認しております。それから、従来の工事認可のときからのモデルの変更点という中身を詳細に確認をさせていただきまして、妥当なものというふうに判断をしております。その上で建物・構築物の地震応答解析結果の確認をさせていただいておりまして、基準地震動SSによる鉄筋コンクリートの耐震壁の最大応答せん断ひずみがどれぐらいかということで確認をさせていただいております。その値につきましては、ここに記載しております原子炉建屋におきましては、外周コンクリート壁、こちらの10部材というところで、ELで申しますと32mの上のレベル、こちらのほうが最大値ということで、0.63×10m3という数値になります。で、評価基準値につきましては、2×10m3ということで、これに余裕も持ってクリアするということで、3号機の原子炉建屋、それから原子炉補助建屋の耐震安全性が確保されると判断しております。この評価基準値につきましては、実際の耐震壁として要求される機能が保持されるというひずみにつきましては、実験で確認されてるところといたしましては、4×10m3のところまで確認をされておりまして、それにひずみで2倍の余裕を見て2×10m3として評価基準値を設定しております。

27ページ。施設の耐震安全性の評価の結果として、機器・配管系の結果でございます。ここで色分けして記載してございますけれども、止める、冷やす、閉じ込める、それぞれの機能に係る評価対象設備につきまして、評価対象部位、それから応力分類と、それから発生値ということで記載させていただいておりますけれども、いずれも構造強度評価結果といたしまして評価基準値をクリアしていると。それから、制御棒挿入性に関する評価結果につきましても、評価基準値以下であるということを確認しております。で、これらの評価におきましては、既往評価と同等の実績のある手法、または応答倍率法として、安全側の数値を算定するための条件の範囲で適用できる手法を用いているということを確認いたしまして、これらの結果から3号機の主要な設備の耐震安全性が確保されると判断しております。

28ページは、まとめでございます。私ども原子力安全・保安院は、伊方発電所の基準地震動SSは妥当なものと判断しております。それから、3号機の安全上重要な「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」機能を有する主要な施設の耐震安全性につきましても、基準地震動SSに対して安全性が確保されるということを確認しております。これらが私どもの結果でございます。

29ページは、参考ということで、新たな知見を耐震安全性に取り入れる仕組みというものを私ども構築しておりまして、昨年の5月8日に公表しております。こういった新たな知見を取り入れるということにつきましては、これまで私ども適宜実施をさせていただいております内容でありますけれども、その信頼性を高めるということで仕組みを構築したというものでございます。この図にありますとおり、まず私ども原子力安全・保安院に対しまして、原子力安全基盤機構、それから事業者のほうから科学的・技術的な知見の収集結果等につきまして報告をしていただきまして、その結果を私どもで取りまとめて、専門家による委員会に報告いたしまして、審議会でご審議いただきまして助言をいただくと。その助言を踏まえまして、私ども原子力安全・保安院といたしまして、必要に応じて原子力安全基盤機構に追加的な検討を要請したり、それから知見がどのような影響を及ぼすかということ等につきまして必要に応じて事業者に指示をするという仕組みでございます。この仕組みにつきまして、実際に昨年の5月8日に公表しておりまして、実際の運用につきましては今後行っていきたいというふうに考えております。

○濱本部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続いて原子力安全委員会から見解のほうをご説明いただきますでしょうか。

○原子力安全委員会事務局 長谷川課長補佐

伊方3号機の耐震安全性に係る評価の原子力安全・保安院の評価結果につきまして、原子力安全委員会といたしまして1月25日に見解を取りまとめ、原子力安全委員会決定がされておりますので、その内容について本日ご説明をいたします。

まず、本日の資料でございますけれども、3種類ほどご用意させていただいておりますけれども、資料の4-2が1月25日に原子力安全委員会決定がされました原子力安全委員会の評価結果に対する見解の資料となっております。それから、資料の4-3は原子力安全委員会決定するにあたりまして、当日の原子力安全委員会の本会議におきまして鈴木委員長が補足説明ということで説明をした内容を文書にまとめているものでございます。本日は、資料の4-1号のパワーポイントの資料を使ってご説明をさせていただきたいと思います。

まず、原子力安全委員会の役割ということでございますけれども、原子力安全に係る科学的判断をより確実に行うために、原子力安全・保安院等の規制行政庁とは別に原子力安全委員会が設置されております。内容としましては、関連分野の専門家が専門的・中立的な立場から議論を尽くして自ら判断するということ。それから、検討に当たっては、あらかじめ考慮すべき点を提示して、検討・報告内容をチェックいたします。また、意見を表明し、必要があれば勧告や報告聴取を行うといったこととなっております。

それから、検討の過程は、透明性を確保する観点から公開としております。また、原子力施設の耐震安全性に係る調査審議体制ということで、次の3ページ目になりますけれども、これが今回の耐震バックチェックにおけます原子力安全委員会の体制でございますけれども、原子力安全委員会の下に耐震安全性評価特別委員会というものを設置しております。これは次の4ページ目に名簿が載っておりますけれども、38名の専門家から構成されております。また、その下には地震・地震動の評価委員会、それから施設健全性の評価委員会というものが設置されておりまして、さらに個別・具体的な検討を行っていくというところでワーキンググループを4つほどの中で評価を実施しております。具体的に伊方3号機に関しましては、ワーキンググループの3というところでございまして、そこの中で審議がされております。21年の3月から合計22回のワーキンググループを実施しております。その他、全体的な、共通的な事項として、原子力安全委員会が独自に専門家との意見交換会とか、地震動の解析技術作業会合といったところでですね、共通的な事項としまして合計7回の審議をしていまして1月の25日に今回のまとめがされているというところでございます。これが構成員の名簿となっております。

今回のバックチェック全般に係る原子力安全委員会の考え方ということで少し説明をさせていただきます。まず、新耐震指針のポイントということでございますけれども、最新の調査手法を総合した徹底的な活断層調査というところで、範囲の拡大ですとか、変動地形学といったものの重視、活断層の連動性を考慮するといったところがあります。それから、基準地震動の評価方法の高度化というところでございまして、今回は大きく(1)と(2)ということで、震源を特定して策定する地震動、それから震源を特定せず策定する地震動という大きく2種類の地震動を策定するというところで、まず特定して策定する地震動につきましては、敷地の近くは断層モデルを重視するですとか、3次元的地域特性や地盤特性といったところの考慮からですね、不確かさを考慮するといったところが今回大きく取り入れられているところでございます。それから、(3)の残余のリスクですとか、そういったところにあたっても今回の指針のポイントとなっております。そのほか基準地震動SSによる安全設計の余裕・信頼度について、弾性設計用地震動Sdという確認の要求となっております。これが旧指針のS1ですとか、静的地震力といったところに代わるものでございます。

それから、また、新手引というところでございますけれども、これは指針の具体的な運用ですとか、解釈といった観点で、現在まで活断層に係る部分まで手引が今策定されておりまして、引き続き地震動評価の部分についても現在審議を重ねているところでございます。ポイントといたしましては、まず従来のリニアメントの重視から地形発達過程へ重視を移行したということでございまして、先ほど申しましたように変動地形学的な調査ですとか、地表地質調査、地球物理学的調査ですとか、また活褶曲・活撓曲といったところについても十分に調査するということ。それから2番としまして、1番の調査結果を総合的に検討するというところ。それから、3番目といたしまして、3次元的形状を把握することを重視しております。また、4番目は、そうした中で一貫した考え方に基づいて活断層を認定していくというところ。それから、5番目といたしまして、検討に当たっては必要に応じ調査の原資料に立ち返った審査というところを重視してございます。

また、全体的な話として、耐震安全性をどう再確認するか。今回のバックチェックでございますけれども、まず現時点の最新の科学的知見を反映するという点。それから、科学的不確かさが評価に与える影響を考慮するというところ。それから、3番目としまして、専門家が徹底的に議論を尽くし、論点を可能な限り俎上に載せて検討するといったこの3点を重視して今回バックチェックのほうに当たっております。

次に、科学的不確かさというところで重点も置いておりまして、まず活断層評価に当たっての不確かさの考慮。それから(2)といたしまして、地震動の評価に当たっても不確かさを考慮するといったところ。それから2番目としましては、基準地震動のほか、入力地震動というところの重要性と設備健全性の安全、余裕の確保といったところで重視した形で、こういったところに不確かさの考慮、重要視してございます。

具体的に伊方3号機の安全性に係る中間報告の原子力安全委員会の見解というところで、具体的な説明をしたいと思います。これは原子力安全・保安院の評価結果というところでございまして、先ほど来ご説明がございますので説明のほうは割愛させていただきます。

12ページ目は今回原子力安全委員会のほうで行った主要な論点ということでございますけれども、まず中央構造線断層帯の活断層評価というところ、これは活動性、3次元的構造。それから、中央構造線断層帯の基準地震動の評価といったところで、モデル化ですとか、不確かさの考慮というところ。それから、長大断層の強震動評価手法の検討。それから、サイトの地盤特性。震源が敷地に近い場合の応答スペクトル法の適用性。また、震源を特定せず策定する地震動の妥当性の検証。それから、建物のほうといたしまして、弾性設計用地震動のSdの設定や、旧指針、これはS2ですとか、そういったとろでの設計の連続性といった部分。それから、機器・配管系におきましては構造強度評価。それから、制御棒挿入性におきまして、今回は応答倍率法という手法を使って評価を実施しておりますので、その適用性に関しまして主な論点として取り上げて検討を実施しております。本日は、この赤字で書いております主に基準地震動の評価というところで、特に原子力安全委員会の審議で原子力安全・保安院の検討にプラスして追加検討を求めた部分としまして、断層傾斜角の不確かさ、それから西への九州の陸域への活断層の連動、それから原子力安全委員会が独自で実施しました地震動評価といった主に3点を中心にご説明を差し上げたいと思います。

まず第1点目としまして、断層の傾斜角というところで、先ほど来南傾斜80度というところで検討の結果も説明がされておりますけれども、四国電力といたしましては、変動地形学的な観点、地震学的観点、地球物理学的な観点を総合的に勘案して、断層傾斜角を90度、これ鉛直ということを基本と考えております。それから、原子力安全・保安院の検討結果も踏まえ、30度~40度で北傾斜する地質境界断層と一致するという可能性も考慮して、北傾斜30度を不確かさとして考慮をしておりました。原子力安全委員会のほうでございますけれども、それに対してほぼ鉛直としても必ずしも垂直になっているとは限らないと。±10度程度は不確かさとしてみる必要があるということで、南傾斜80度の検討のケースを四国電力のほうに要請して、実施をしていただいております。で、その結果としましては、下のほうにそれぞれNS、EW、Udということで記載しておりますけれども、基本震源モデル、これは長さ54km・90度に比較して、地震動レベルは若干大きくなりますけれども、基準地震動には影響はしないということを確認してございます。

それから第2点目としまして、西側、九州への連動ということで、合計約180kmの断層モデルとして追加検討を要請しております。これに関しましては、中央構造線の西端ということで、地震調査研究推進本部の別府-万年山の断層帯の評価というところがありまして、別府湾の活断層が中央構造線へ連続する可能性が指摘されております。そういったところから、敷地前面海域と豊予海峡セグメントを含めた大分県陸域への活断層との連動の考慮が必要ではないかというところで、東の川上断層から大分平野-由布院断層帯の東部までの180kmの区間が連動した場合の地震動評価ということの実施を四国電力のほうに要請して、検討を実施しております。

その結果といたしましては、まず基準地震動のSS-1、SS-2には影響はしないということの確認。それから下のほうは130km、360kmといった四国電力のほうで検討を実施している連動のケースと同様に、敷地では前面海域の断層群が地震動として支配的であるということを確認をしてございます。

それから、大きく第3点目でございますけれども、確認用の地震動ということでございますが、これは原子力安全委員会が自ら地震動の評価のほうを、評価結果の信頼性を高めることを目的に実施しておりまして、検討ケースとしてはここにございます4ケースを実施しております。具体的な検討としましては、ケース1と言われるものは、まず四国電力が実施した断層モデルのパラメーターの妥当性を検討するということで、これは司・翠川の距離減衰式と最大速度との関係等、そういったものの距離減衰式と、中に比較して適当であるかというとこの確認用のモデル。それからケース2が、事業者が実施しております基本震源モデルと言われているもの。それからケース3が、原子力安全委員会のほうでも示した南傾斜80度のケース。それからケース4が、180kmの検討ケースの確認ということで、若干断層のパラメーターですとか、考え方を少し変えて評価を実施しております。

その結果、四国電力が実施した検討ケースというところでは、適切なパラメーター設定がされていることを確認しております。それから、ケース2によっても、今回実施したケースと同程度であるということを確認しております。それから、全体的なケースから、四国電力の計算結果は適切に計算がされているということ。最終的には、ケース2、4からいずれのケースにおきましても設定された基準地震動を下回っているといったことを確認しております。

次に、施設の耐震安全性ということでございますけれども、これについてはまず建物・構築物ということでは、建物の耐震壁のせん断ひずみの最大値が評価基準値を下回っている。それから、原子炉建屋、原子炉補助建屋の接地率についても十分満足していると。機器・配管系に関しましても、発生応力が基準値以下であるということ。制御棒挿入性につきましても、設置許可の時間内に挿入されているということを確認してございます。

原子力安全委員会のほうで特に重要視して取り組んでいる事項といたしまして、弾性設計用Sdですとか、旧指針との対応関係というところでございまして、これはSdということは0.5以上に設定しなさいということで指針で言われておりますけれども、過去の旧指針のS1の応答スペクトル等を考慮して0.6で設定しているということ、その考え方は妥当であろうということ。それから、弾性設計用のSdによる地震力に対して弾性範囲に収まっているということ。もう1つは、基準地震動のSSによる地震力に対してもおおむね弾性範囲に収まっているということ。それから、機器・配管系についても、基準地震動SSに対する評価結果が弾性範囲である許容応力状態のⅢASといったこと等を満足しておりまして、SSに対しても十分安全性が確保されているといったものを、こういった観点からも確認をしております。

まとめとしまして、今回の原子力安全・保安院の評価結果は新耐震指針に基づき、四国電力株式会社伊方発電所3号機に係る敷地・敷地周辺の地質・地質構造、基準地震動及び主要な施設の耐震安全性に関して適切に評価をしているというふうに原子力安全委員会として判断をいたしたところでございます。

最後ですけれども、これは今回中間報告ということで、最終報告までに原子力安全・保安院、ならびに四国電力へ追加的に検討をお願いしているといったところがここに記載しております。

(休憩)

○濱本部会長

よろしいでしょうか。議事を再開いたします。

次は耐震安全性評価についてでございますけれども、非常に広範囲にわたりますので、ポイントを絞って審議してまいりたいと思います。3点ありまして、第1点は敷地周辺の地質・地質構造評価について。第2点は地震動の評価について。第3点は設備の耐震安全性の評価についてでございます。

先生方からこれまで頂いたコメントに対する四国電力の先ほどの回答につきましてのご質問も、それぞれのポイントの中でしていただくようにお願いしたいと思います。

それでは、第1点の周辺の地質・地質構造についての評価について、どうぞ。

○森委員

四国電力さん、それから原子力安全・保安院さん、原子力安全委員会からおいでの皆さんどうもありがとうございました。

地質関係ということでご質問したいと思います。

まず、原子力安全・保安院の方にお聞きしたいのですけれども、特に重視されたという科学的不確かさの考慮というそういう観点からお聞きします。ご説明の中では、敷地前面のジョグは、評価上これは考慮するといったことで妥当なことかと思いますが、特に引張性ジョグの取り扱いで意見が分かれたと。最終的には42kmが54kmということで、当初、同じ考えを申し上げたわけですけれども、最終的に国の指導でこれが取り入れられて54kmになったことで、これはそれで良かったと思いますが、具体的に引張性ジョグの取り扱いに関する意見が分かれたということについて、もう少し意見交換の内容について御説明いただきたい。

○濱本部会長

よろしいでしょうか、原子力安全・保安院。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

それでは、原子力安全・保安院からお答えさせていただきます。

私どもは、審議の取りまとめに当たりましては、論点の整理をいたしまして、それを公開の審議で明らかにしながら審議を進めてまいりました。それで、今回ジョグの取り扱いということにおきましては、まず報告当初におきまして、四国電力の調査結果、これを見た場合に、引張性ジョグと、引張性ジョグでないところの直線状に地形が出ているところ、そういったところの成分の違いを海上音波探査で結構詳細にとらえているということも見た上で、当初の断面を見た上では引張性ジョグの領域と、それから断層主部で明らかに性状が違うと言えたと、はっきりしていたと。ただ、審議を進めていく段階で、私どもの海上音波探査結果、これが昨年の年末から今年にかけまして審議会で紹介したところ、引張性ジョグの領域、特に敷地前面の小規模のところの解釈として、引張性ジョグ等のある領域と、その両端の引張性ジョグのところについても3点、両端と真ん中ということで押さえた結果、私どもの結果見たところ、この下に震源断層っていうものが直接は見えなかったわけですけれども、震源断層の破壊領域としてそこで止まるかどうかというところについては、下の基盤の会合部分が見えているのですけども、その形状とか、そこのところが実際断層主部とほとんど変わっていないとか、そういうことがございまして、引張性ジョグのところについても、実際にその下に震源断層があるか無いかということでは、これは地質調査上の観点からはなかなか評価がしにくいという状況で意見がばらつきました。それで、最終的にこれはどういう判断をしたかということにつきましては、地震動評価上の観点、地質調査の結果からどういうふうに地震動評価のモデルを設定するかというところで、四国電力は当初、42kmの場合は、隣り合うセグメントを、実は42kmにそのまま隣り合うセグメントの距離をくっつけていたんですけども、そうすると少ししわ寄せが外側にどんどんどんどんとずれていくというような状況でありました。で、地震動評価上は、ジョグは破壊の停止域ということはほぼ確からしいと、そういう痕跡が出ているからこういうふうな地形になっているということなんですけれども、その破壊領域ということでは、断層面の全体の形状をどこまで取るかということでは、ジョグの中に入り込んだところまでを面積で取って、隣り合うジョグとの中間までモデルの断層面を取るということで最終的な意見の一致を見たと。その場合におきまして、引張性ジョグの部分につきましては、基本的に破壊の変位が乗り移る境界上のところでありまして、そこのところについてはこれまでの世界各地で起こった横ずれ断層、ステップした形状とか、ジョグがあるところ、そういったところの変位の乗り移りと、それから震源のインバージョンモデル、反射記録を基にした世界各地の地震インバージョンモデル、そういったところも見まして、ジョグの上には少なくてもアスペリティがないだろうということで、震源断層面としてはジョグの下まで考慮して、ただアスペリティについてはジョグの外側で動かすということで、最終的な断層長さという評価、それから震源断層の設定というところの議論の決着をみたということです。ですから、地質調査上は意見がばらついて解釈が難しかった。で、そのときに地震動評価上の観点、こういったものを取り入れて意見の収束をみたというふうな状況でありました。

○森委員

ありがとうございました。今のご説明の中で、ジョグのところで、アスペリティが無いというようなことが、つまりアスペリティがあった事例は無いということは確認されているのですか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

少なくともここでいうところのステップ幅が3km、4kmといった大規模なところ、大規模なジョグがあるようなところでアスペリティは設定されたものは、基本的には震源のインバージョンモデルとしては無かったという確認はしております。

○森委員

モデル化の話ではなくて、今の説明では波形のインバージョンをすることによって、今まで起きた地震の中では、それが無かったというご説明だったかと思うんですけど。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

過去に世界各地で起こった地震の地表の痕跡の形状と、それからその地震が起こった際の観測記録からインバージョンで求めた震源モデル、これはにわとりか卵かといった感じはあるかもしれないのですけれども、少なくとも大規模なジョグ、過去の地震のインバージョンの結果を見ても、大規模なジョグの上にはアスペリティは無かったという結果を確認しております。

○森委員

ちなみに、その確認された例というのはどれぐらいの数ですか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

すいません、ちょっと今データが無いんですけれども。

○森委員

いえ、細かい数字というよりは、オーダーでかまわないのですが。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

オーダーですと10程度、5から10個ぐらい。

○森委員

いったん目の前のいわゆる前面のジョグを評価上考慮するっていうような方針にしたんだけれども、アスペリティだけは置かないというような方針を貫いてらっしゃるっていうのはどういうことでしょうか。

例えば、四国電力さんのほうは、前面に置いてはどうかというような提案に対して追加検討なさっていただいたのでとても安心できるんですが、国の、あるいは原子力安全委員会の審議において、その10例しか無いということをもってして、そこに置かないという選択を皆さん全会一致か何かで決まったのですか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

基本的に、私どもの原子力安全・保安院の部会の審議におきましては、この上に置くという意見を具体的に言われた先生はおられませんでした。これは地質調査結果との整合性ということでは、その必要は無いという判断はしております。

ただ、先生方に個別にご意見をお聞きしたところによると、森先生のコメントも踏まえた県のほうの指示で、42kmで伊方沖の小規模ジョグのところにアスペリティを近づけた場合、こういった評価を実施した結果も私どもの審議の場では紹介をしておりまして、その結果を見た傾向として、影響度合いとしてはそれほど大きくないだろうとみているというふうに聞いております。それから、こういった54kmとか40kmを超えるものについて、最近のM7弱程度の実際に起こった地震を見ますと、アスペリティは実際に2つから3つという数になっておりまして、強震動評価上の観点からすると、アスペリティを真ん中に寄せるわけですから、1つに近づけることになります。アスペリティをこういった長い断層で1つに近づけるということは、それだけ特異な波が出やすいと。ですから、施設評価上の観点からすると、パルスの放射方向とかそういったところも踏まえると、短周期に着目した評価ということでは、これは必ずしも厳しくならないということもありますので、1つの実例として感度解析的な意味合いでやっているものがあれば、それを見て傾向は推測できるだろうというふうに聞いております。

従いまして、私どもの審議では具体的には出ておりませんけれども、県のほうのコメントで四国電力が実施した内容につきましては、それを参考にさせていただいて、考え方をまとめております。

○森委員

横目できちんとご覧なっているということ分かりました。ありがとうございました。

○濱本部会長

そのほか。

○有吉委員

国にお伺いします。先ほど、原子力安全委員会の資料11ページと12ページのところですが、11ページは、これは原子力安全・保安院も同じですが、評価の範囲として伊方のところから東へ360kmという評価をしており、それから、原子力安全委員会では12ページに赤で書いていらっしゃるように大分県陸域の活断層との連動ということで、大分側の断層も含まれていると。原子力安全・保安院と原子力安全委員会で評価が異なるのですが、それぞれの見解をお聞きしたいと思います。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

それではまず、原子力安全・保安院からお答えさせていただきます。

ご質問の趣旨といたしましては、原子力安全委員会のほうでは敷地前面海域の西側を九州・大分側の別府-万年山断層帯、これを130km東側連動ケースに連動させて180kmとしているところまで原子力安全委員会は確認をしていると。それに対しまして、原子力安全・保安院はその180kmのケースは実施していないけれどもというご質問について、お答えさせていただきます。

私どもの評価におきましては、この敷地周辺の地震記録とか、それから地質調査結果、そういったものを総合的に分析いたしまして、敷地前面海域の断層群を含む中央構造線断層帯と、それから九州の大分側にあります別府-万年山断層帯、これが断層の性状として横ずれと正断層形態ということで違うと。その地震テクトニクス上の形態の推定と、それから調査結果が整合的だということで、まず断層の形状が違うということ。それから、四国電力が実施した東側連動ケース130km、これはカスケード、スケーリング、それと360kmのカスケードといったところの連動ケースの中で、各地震発生セグメントごとに分解した結果も示しておりますけれども、そういった結果を見ますと、敷地前面海域が支配的であるということを把握しております。そういうことを援用して考えると、西側のほうのセグメントを連動させた場合であっても、断層の形状が違うということも踏まえて、スケーリングでモデル化しないでカスケードでモデル化した場合については敷地前面が支配的でありますので、そういったところも踏まえまして、私どもの審議におきましては不確かさの考慮の考え方、それから基準地震動SSの妥当性の検討の中のケースに含めなくてもよいだろうという判断をしております。

原子力安全委員会におきましては、これは地震調査研究推進本部の2005年の別府-万年山断層帯の評価の中で、中央構造線断層帯との関係については要検討としている。そういったことも踏まえまして、説明性向上の観点から、実際にその結果を明示的にしたということに私どもは意義が大きいというふうに考えておりますので、原子力安全委員会にそのようなことをやっていただいたということにつきましては、それは説明性向上、信頼性向上の観点から非常に重要だったと私どもは考えております。そういった観点は、私どもの今後の検討の中で参考にさせていただきたいと考えております。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

原子力安全委員会でございますけれども、まず今回の耐震安全性の評価というところで原子力安全委員会の方針としましては、現時点での最新の科学的知見を反映すると、それから専門家が徹底的に議論を尽くす、要は可能な限りの論点を俎上に載せて検討するという趣旨でございまして、そういった中で地震調査研究推進本部で、別府-万年山断層帯の評価というところで別府湾の活断層が中央構造線断層帯と連続する可能性といったものが指摘がございます。ですから、そうした指摘があった以上、多分地震動評価的には大きな影響は無いだろうということは予測はついておりましたけれども、きちっと地震動を評価するということが国民への説明上の観点からも重要であろうということで、今回検討して、その影響が無いということを明らかにしたということでございます。

○有吉委員

はい、分かりました。

○森委員

原子力安全・保安院にもう1度お聞きしたいのですけれども、先ほど来、地質学的なということで、私自身も科学者の1人ですから、科学的な合理性っていうことで物事をどうしても考えがちなんですけれども、従って自然のばらつきというものと、それから分からないことに対する不確かさという2つの不確かさを考えていくときに、今回四電さんの説明で基準地震動となっているものが、54kmで応力降下量が1.5倍にしたもの、それから北傾斜30度というものがだいたい同じようなレベルだというようなことです。で、応力降下量のばらつきっていうのは、自然界のばらつきとして、何というか科学的合理性というような裏付けで議論することができるっていうふうに思っています。そうしたばらつきについては唯一、この北30度というものは、例えば最終的に原子力安全・保安院さんの資料ですと、それを考えるのに適した資料が19ページになると思いますが、19ページのこの断面をもとに北30度傾斜というのはどのように専門家の間では評価されたのか、その点について教えてください。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

原子力安全・保安院の海上音波探査は19ページのところで、その結果を見ますと、実際に三波川変成岩類と領家花こう岩類の地質境界としての断層、これが北傾斜の緩い傾斜で下側に潜り込んでいるということは比較的に明瞭に、下のほうにいけばいくほど不明瞭になりますけれども、見えているという状況であります。ただ、これを実際に震源モデルとして考えたときに、実際の海底面の地形等を見ますと、断層を挟んで南北の高度差がほとんど無いと。それで、実際に傾斜している断層で考えた場合に、純粋な横ずれというのはあまり傾斜が緩い場合には考えにくいと。この場合に、もしそういうところで逆断層とか正断層成分が入っているのであれば、高度差がある程度下で入ってきます。そこで、高度差があまり出ないということは、ここは地質境界断層としての断層、これを純粋横ずれと考えるよりも、鉛直面に立った断層が下に地震発生層に潜んでいて、それが地表面にこういった痕跡で出ると考えたほうが、これは敷地への影響も考えるといいのではないかと、というふうな考えで、あくまでも調査結果として鉛直の断層面というのは非常に見えにくくなっているという状況ではありますけれども、鉛直を基本として考えて、30度北傾斜を不確かさとして、実際に見えてはいるということもありましてこれも考慮するという形であります。

○森委員

もう1度確認したいのですが、この北30度は私自身は相当不確かだと思うんですけれども、その不確かさはどのような不確かさかという議論をされているのですか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

定量的にこれを申しあげるのはなかなか難しいですけれども、例えば先生が10人いたとしたら8人から9人はこの状況を見て鉛直の断層であると、そういうふうに考えるのが地質学的・地震学的には合理的であろうと思います。ただ、地質学の先生に言わせると、これだけの緩い傾斜の純粋横ずれであっても、上の柔らかい層に出てくる断層の鉛直形状、変位の形状ということでは、このように真下に収斂するようなフラワーストラクチャーが出るということは、実験的にもあり得ると。だから、これの純粋横ずれということを明確には否定しきれないということで、それも念のために考えておくべきだという先生が1割から2割はいらっしゃるというところです。そういった意見の分布等も考えて基本を設定しております。

○森委員

ありがとうございました。

○濱本部会長

そのほかどなたかありませんか。

○代谷委員

私はこの関係の専門家でないのですが、今のお話で、地震動のところとの兼ね合いでいろいろ検討されるということで、その基になるデータは、四国電力側から、あるいは国からきっちりと出されている。今、森先生等がお話されている科学的なところ、そこの議論はあろうかと思いますが、基になる調査そのものについては非常にきっちりとやられているんじゃないかと考えております。

○森委員

私、疑問に思うところは全部聞かしていただきましたし、今までずっとやり取りしてきて、自分なりの理解は全て終わったつもりですけれども、私自身の意見としてはいわゆる地震動を考えるための地震をどう考えるかという、地震のモデル化については、相当いろんな面での不確かさを考えていて、この段階ではもう十分過ぎるぐらいに考えていると思います。地質も地震学も少しは勉強したことのある人間にとって、明瞭なジョグが目の前にあるのに、そこにアスペリティを置いてはどうかという意見を出すのは恥ずかしいものではあったのですけれども、ただやはり限られた事例しかないということで、あくまで科学的合理性っていうだけで、誰も知らないものがあるかもしれないというようなことまで考えるのが、何といいますか、最も安全側に沿った考え方だろうと。それで、それをも採用していただいていますし、ましてや、北傾斜30度というのも、ここまで考えなくってもというふうに私自身思ったぐらいですので、この後の地震動の評価も踏まえての話ではありますが、地震のモデル化としては十分安全に考えられていると思います。

○濱本部会長

どうもありがとうございました。じゃあ、この最初の問題についてはこれで終わらせていただいて、次に移りたいと思います。

地震動評価についてでございます。

○藤川委員

私も素人ですので2点を教えていただきたいのですけれども、耐震設計審査指針において、いろんな不確かさを考慮するように定めていただいていまして、先ほど来の四電さんの説明とか、コメントでも回答を伺っていますと、私は工学部ですので、2重、3重、4重、5重の補正付けを考えていただいていて、一方、審査指針のほうでも、例えば安全率という形で数倍程度以上のものが掛かっていて、これは、どこまで保守的に考えるのが妥当なのかなというのがちょっとピンとこないんですが。それで地震動について、例えばクラックモデルの設定について、いろんなご意見があるようなのですが、クラックモデルについても、楕円形を考えるのか、それとも別の形を考えるのかで、また地震動が変わってくると思うのです。極端なケースを考えだすとちょっときりが無いのかなと思っているのですが、その辺りのご見解を国のほうから伺いたいというのが第1点。

第2点は、私は神戸の地震を経験していまして、あのときは、夜明けに地震がありまして、周りの家はぺっしゃんこだったんですけど、建築基準法を満たしている家はどこも立っていたんです、私の家も幸いそうだったのですが。傾斜地で地盤が悪いところでも建築基準法を満たしてればだいたい大丈夫なんだなと、それからは信じているのですが。一方、原子力発電所は何か神戸の地震よりはるかに悪そうな地震を受けても建屋が弾性限界内にほぼ収まるらしいと、建屋・機器が壊れるような地震、弾性限界ではなくて、本当に壊れるような地震というのはありえるようなものなのかというのを、ちょっと素人に分かるように教えていただきたいというのが第2点です。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

まず、四国電力の資料にもありますとおり、断層モデルの断層面全体の静的平均応力降下量を求める際の算定式、これがいろいろとありまして、例えば円形クラック、楕円クラック、それからFujii and Matsu'uraほか、無限長クラックといろいろモデルがあって、それについてどのように判断をしているかいうご質問の趣旨ということでお答えさせていただきます。

基本的に四国電力につきましては、中央構造線断層帯の評価に当たりまして、100kmを超えるような長いものにつきましては無限長のクラック式を使っています。それから、それ以外のセグメントにつきましては、33から69kmということで中間的なものでありまして、そういったものに対しましては断層面の形状、これに応じた評価が可能な楕円クラック式というものを使っております。

一般に私どもよくレシピというものを見ます。文部科学省の地震調査研究推進本部の強震動予測レシピ、昨年の12月にも改訂されましたけれども、こういったものを使って、じゃあ一体どうしているかということでありますけれども、まず地表に表出しにくいような比較的小規模の、地震発生層を飽和して破壊が全体に広がっていないようなもの、そういったものにつきましては円形クラックモデル、円形の破壊モデルを仮定していると。それよりもかなり長いものにつきましては、これはFujii and Matsu'uraという式、これは横ずれ断層を念頭に置いたクラック評価式なんですが、こういったものに言及していて、その中間的な長さについてどうするかっていうことについては、あまり明示的に書いておりません。で、私どもの考えといたしましては、伊方発電所の敷地周辺の領域のように地震発生層が比較的薄いようなところ、これ四国電力は少し余裕を持って13kmとしておりますけど、これでもまだ薄いほうだと思います。こういった薄いところで、かつ断層の長さが地震発生層の厚さに対しまして、もしくは断層の幅に対しまして長いもの、そういったものについてどのような式を使うかということでは、四国電力が中間的な長さにおきまして設定しました、楕円クラックモデルというのが現実的な評価をしているのではないかというふうに私ども考えております。他サイトの事例ですけれども、他サイトで確認できる傾向といたしましては、短いものにつきましては地震調査研究推進本部の強震動予測レシピに基づきまして円形クラックモデル。それから、かなり長いもの、100kmとか80kmを超えるものにつきましては、これは横ずれ断層でありましたらFujii and Matsu'ura、逆断層でありましたら無限長クラックモデルというものを使っております。それで、中間的なものにつきましては、事例があまり無くて、実際に見た限りでは、サイトによって考え方が少しばらついているというような状況でございます。従いまして、私どもといたしましては、中間的な長さ、比較的四国電力がある程度明確に考え方を明らかにしておりますけれども、ほかのサイトの事例等も今後集めまして、中間的な長さについてどういうふうに判断していくかということは、こういった敷地周辺の地震発生層の厚さとか、断層の形状とか、そういったものに応じてどうするかということを今後ちょっと考えていきたいというふうに考えております。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

今の円形クラックとか楕円クラックをどちらがいいかといったところでございますけれども、確かにある範囲内では地震モーメントが同じでも円形クラックよりも楕円クラックで求めた応力降下量というのが実際には計算で小さくなります。今回の中央構造線でございますけれども、地震発生層が13km程度で比較的巨大な断層ということで、非常に細長いものに対してどういった式を適用していくかというところでございますけれども、細長いものに対して円形クラックを適用するというところは、なかなか難しいところがございまして、まず、アスペクト比というのがあるんですけど、それ断層長さと断層幅の比でございますけれども、それが2を超える、幅13km、15kmとして30kmぐらいを超えてくる細長い断層につきましては、地震本部等でも震源断層を特定した地震動予測シートいう報告書にも記載しておりますけれども、巨大断層帯の応力降下量の算出に円形クラックの適用には問題があるといったことも指摘されておりまして、それに代わって今回いくつか式はございますけれども楕円クラックと、さらに無限長クラックというものの式を組み合わせて巨大断層の評価をしているというところ。それから、不確かさの考慮におきまして、地震本部が設定している標準レシピよりも大きな応力降下量ということを別の不確かさでも見込んだ中で、全体的に巨大断層に関する楕円から無限長クラックといった式の適用については妥当であろうということで、こちらも専門家の意見の中でそういった巨大断層の地震動評価に関する議論というのがありまして、そういったことからいろいろな式があって一長一短はあるということでございますけれども、今回、ほかの応力降下量なんかの不確かさ等も含めて評価は妥当だということの結論を得ているというとこでございます。

○原子力安全・保安院 小林耐震安全検査室長

あと、もう1点の先生がおっしゃられたいわゆる建屋が壊れるとか、そういったような大きな地震が本当に地球物理学上起こり得るかというようなことだと思うんですけど、実は過去多度津の震動台ではPCCV、そういったものを実施したことがございます。そのときには、当時のS2の5倍から10倍とかいう大きさといわれていたのですけれど、そのときも最終的にはS2の10倍以上で破断があったというような報告がありました。ただ、どのような地震が本当に起こりうるかどうかというのは、ちょっと私も地球物理学上の知識を持ち合わせておりませんけど、相当な大きさの地震じゃなければ壊れ得ないというようなことだけは基本としてあるということは申し上げます。

○藤川委員

断層長さが中間のところは定説が無いということですが、伊方は中間で、やや定説が無いほうに当たっていると言っていいのでしょうか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

今、だいたい長大な断層といった場合は80km以上でありまして、そもそもの円形クラックモデルを設定したときの想定してる断層のモデルというものは、どちらかというと30km、40kmとか、そういったところぐらいまでとされています。そういう意味で30、40から80kmの間というのがだいたい中間的な長さというか、そういったところになるかと思います。これについては先ほども申しましたけれども、評価を実施する実施者によってこの判断は異なるというものでありますので、その状況はやはり今後調べていかないといけないのかなというふうに考えております。

○森委員

原子力安全委員会の方にお聞きしたいのですが、資料4―1の18ページに、ケース2というもので、四国電力さんと同じケースの計算をして、そして評価結果が同程度であることを確かめたということですが、これはコンピュータによる計算をしているものですから、ここが1番ヒューマンエラーを総合的にチェックできるということで、重要ですけれども、この同程度というのはどの程度なんですか。もう少し定量的にご説明いただきたいです。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

今回は、ちょっと時間の兼ね合いから検討結果だけ簡単にお示ししてるところでございますけれども、原子力安全委員会のホームページの中ではきちっとパラメータ含め結果も示しているところでございます。

同程度といったところでございますけれども、基本的にパラメータ等は同じように設定しておりますけれども、統計的グリーン関数法、ハイブリッド合成法などのなかから、統計的グリーン関数法というもので評価しておりますけれども、そういう意味で何といいますか、山谷の部分で計算上、多少ばらつきが出てきますけれども、オーダーとしては問題ないといったところで、そういったところでここの記載としては同程度といったことを書いております。

○森委員

オーダーとして同程度という意味ですか。つまり、対数軸で見て、18ページに載っている複数の線の中に入るということでいいんですか。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

そうですね、はい。

○森委員

そうすると2、3倍は平気で違うということですか。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

対数軸で見て細かく見れば、山谷で2、3倍程度はある部分もあるかと思います。

○森委員

全く同じ計算をするということはされなかったんですか。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

いずれにしましても乱数ですとか、そういったものの与え方で当然変わってきますので、全く同じ結果が出るということは基本的には無いということで、原子力安全委員会のほうでは四国電力のモデルを模擬できるということで、あと推進本部のレシピなどに基本的には基づいてやっております。全く同じケースというのは特に考えてございません。

○森委員

この質問を最後に確認したいのですけども、山谷っていう言い方を図が無くって理解するのがとても難しいのですけれども、ここにある最も小刻みな山谷程度が違うのか、大きな山と大きな谷が違うのかどうなのか。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

基本的には、小さい山谷が違う程度で、大局的な大きな形はそう変わるものではありません。

○森委員

はい、分かりました。ありがとうございました。

原子力安全・保安院に3つ質問があるのですけれども、実は具体的な地震動評価を実務でやってらっしゃることについては、私自身は自分なりにはよく理解して納得できるレベルであるというふうに総合的には思っています。ただ、気になることが3点ありまして、それをお聞きします。

重要なものが10Hzから20Hzといった高振動数領域にあると。ところが、10Hz付近のような高振動数領域の地震動の評価ではどういう議論があったのかと。もう1つの質問は、地震学の進展はむしろ長周期っていうか、せいぜい1秒、2秒というような地震学の進展はあったけれども、10Hzというような震動について、お聞きしたいのは、どういう研究の進展があったというふうに専門家の中では認識を持っていたのかという質問と、それから2つめは、10Hz付近の大きさの評価に関してどういう議論があったのかというその2点をちょっとお聞きしたいのです。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

まず1点目ですけれども、今回の耐震指針に断層モデルによる評価を取り入れる際に、やはり先生によって意見が多分違っていたということがあります。今までの地震を経験した際、その地震の観測記録の再現と、適宜研究者によって行われている場合の検証というものは、当然今は森先生が言われたようにどちらかというとやや長周期、1秒前後、そういったところの評価、それからある地震でパルスが再現されれば、そういったものが再現できるかどうかということに着目しておりますので、そういう意味では10Hz、20Hzというところについては、具体的にそれを検証できるかということについては、これは指針の検討の中ではいろいろと議論があったところではあります。でも、指針で規定されて、しかも地震動評価手法として従来の応答スペクトル評価に加えて断層モデルについての評価を実施して、双方の地震動評価結果を基準地震動として採用するということが要求事項となっておりますので、現状の知見として、できる範囲内で実施しているということになります。それが専門家の認識に近いと思います。当然10Hzから20Hzというところは、例えば理論的、もしくは統計的ということでは少し課題があるというふうには思いますけれども、短周期を厳密的に評価する方法ということで、私どもで、ある程度中越沖地震も踏まえて有効性が確認されている手法として経験的グリーン関数法、こちらでは要素地震がその周期帯において信頼性が高いデータが取られていれば、経験的グリーン関数法を使えば短周期が評価できるというふうに考えております。これがその領域での評価ができることの考え方ということになるかと思います。

○森委員

ありがとうございました。非常に的を射たご回答で、理解深めることできました。

その上でもう1つお聞きしたいのですが、従って今回の地震動もたまたまなのか、あるいは当然の帰結なのか、経験的グリーン関数法を使ったものが大きく支配をしたと。10Hzといったようないわゆる高振動数領域ですと、地震計の性能というのが年代によって性能が全然違っている。つまり、最近は高振動数成分はきちんと記録できるようになっているけれども、昔の記録というのはほとんどが落ちてしまっていると。そういったことに対して、今回過去の記録を使っているわけですけれども、その辺りに対する議論というのはありませんでしたか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

原子力安全・保安院のほうからお答えさせていただきます。実際に各サイトで基準地震動策定に経験的グリーン関数法に用いられるような要素地震があるかどうかということで、要素地震に用いるための要件をちゃんと満たしているかどうかということを各サイトで確認をしながら用いているものでありまして、各サイトで設定している自由地盤計の観測点、これは主にはだいたい1980年代、90年代から設置されてるものもあれば、新たに設置し直してるものもありまして、そういう意味ではある程度のサイトでこういった地震動評価に用いるための観測記録を得るための観測値というのは高感度で、比較的高振動数側まで、50Hz程度まで得られるものを使っております。で、中越沖地震が2007年にあって、自由地盤系の観測記録が欠損したということもありまして、各サイトではそういったものを水平展開ということで、なるべく欠損しないように機器を取り変えたり、運用管理を徹底したりということをしておりますし、先ほど四国電力から少し説明で補足的に言っておりましたけれども、信頼性が高い記録を得るために今後観測網の充実を検討するとか、そういった努力の積み重ねとして、経験的グリーン関数法に用いる要素地震を取れるような環境、そういったものを整備していくということについては、私どもは監督行政庁として、そういった指導もしてまいりたいというふうに考えております。

○森委員

どうもありがとうございました。最後に1つだけ。増幅が小さいと判断されて、四国電力さんもそういう報告をされ、またその結果に対して同じく原子力安全・保安院のほうでも小さいと判断されたとのご説明があったかと思います。通常の1次元の地震動の応答でしたら、それはそれでこの程度であればこんなもんかなということで研究の世界ですといけるのですけど、例えば資料2-2の10ページの160mに対する5mの増幅ということで、例えばこれは1次で5Hzである。それから2次が理論で言うと14Hzぐらいである。で、これはこれで1次がほぼ乗っていますねっていうそういうご説明があったわけですが、例えばこれ10Hzですと理論よりも観測が3倍になりますね。つまり、10から13Hzっていうのは、最も第3段階目の構造物や設備を評価するときに重要になってくる結果であるということを考慮しますと、増幅が小さいと判断した根拠は一体何なんでしょうか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

まず、このサイトで用いております統計的グリーン関数法、それから理論的手法は波数積分法で長周期側ということでありますので、実際にこの周期帯においてこの地盤構造を使っているかどうかというところがまず重要になりますけれども、四国電力の評価におきましては統計的グリーン関数法の人工地震波の策定は解放基盤表面で行われておりますので、この地盤構造を使っておりません。それから、解放基盤表面で観測されたはぎとり波を使って要素地震にしておりますので、そういった意味からしても、この周期帯については地震動評価上は使っていないということで、施設側の評価については、この構造については使っていないということで問題は無いと。ただ、私が特異な地盤の増幅特性が無いというふうに申しましたのは、これ以外にも地震の到来方向、それによる周波数特性に特異な傾向が無いかということを確認して、それで中越沖地震対応として顕著な特異な増幅特性が無いという判断をしていると。ここに書いてあるのはあくまでも実際の統計的グリーン関数法で用います人工地震波の策定とか、そういったところの検証をする際にいろんな伝達特性とか、そういったところを分析したというところで出てきた地盤の同定方法がいいかどうかというところで作成された資料ですので、そういう意味ではここに書いてある資料の中身そのものは評価に使っていないのですけども、先ほど森先生がおっしゃられたような実際にフィッティングが合いにくいところとかそういったものもありますので、今後研究的な課題として、四国電力では今後取り組むというふうに言っておりましたけれども、こういったところを少し精度を良くするということのための観測網の整備、観測というものをやっていただきたいと考えております。

○森委員

期待していた答えを頂きまして、私はそれで理解も満足しているのですけれども、実際には経験的グリーン関数法を使っていますので、この観測波に見られる測定がそのまま入ってるということで全く問題は無いと理解しているわけではありますが、今おっしゃったような到来方向別の主成分分析だとかそういったものというのは、どこかに載っているんでしょうか。数字まで見る必要は無いですけれども、載っているのであれば、どこに行けば確認できるかだけ教えていただけますか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

原子力安全・保安院のホームページで、私どもの審議資料を全て公開しておりますので、その中にあります。

○森委員

どうもありがとうございました。

最後にコメントだけさせてください。地震動の評価についても全く問題が無いというふうに私自身は判断しています。

○有吉委員

先般、NHKの地震に関する特集がございました。その話によりますと、最近は観測できるようなデータが出てきたことで、プレート境界付近で深部の低周波の微動が取り上げられていますが、これが伊方原発に影響するかという観点では、今回の地震動の評価のときに、プレート間地震の評価にこのことが含まれていると考えてよろしいのでしょうか。

○四国電力 松﨑地盤耐震グループ副リーダー

深部低周波微動についてですけれども、これ自体はごく新しい知見というのではなくて、阪神淡路大震災の後に高感度の地震観測網が国のほうで整備されまして、全部で800地点くらい、Hi-netというものですけども、その観測が始まったことによって見つかったものでして、約10年ぐらい前に防災科研から報告がありました。先生がおっしゃるようにプレート境界地震が起こるプレート境界、フィリピン海プレートと陸側のプレートの境界面がすべって南海地震が起きますけども、その境界面で深部低周波微動が起こってるのも確かのようです。しかし、その位置は、南海地震の想定面よりもやや深いところ。深さで言うと30kmから40kmぐらいで起きていて、

それが東西方向に600kmぐらいにわたって分布しているのが発見されたというのが2002年に防災科研から発表されました。深部低周波微動と言いますように、普通の地震動とちょっと違うわけです。普通の地震はバリッと割れますので短周期の地震動が出るのですけれども、低周波微動は要するに長周期の波が出ます。そういう波からどういうことが起こっているのかと考えると、バリッとした割れではなくてスロースリップといいますか、ゆっくりした地震が起きてるんじゃないかと、今考えられています。ただ、まだ結論が出たわけではなくて、今でも研究段階でありますけれども、こういうところでは日常的にスロースリップが起こっていて、南海地震の本震の際の断層面とはなり得ない。それより浅いところにひずみがたまって、本震のときには地震が起こるのだというのは、この前もNHKの番組で報道されていたかと思うのですけれども、そういう意味で考えると、伊方のちょっと南のあたり、宇和島のあたりに確か深部低周波微動のエリアを番組で書かれていたかと思うのですけれども、そこは南海地震の震源面ではなくて、それより浅いところにわれわれは断層面を設定しています。これは、中央防災会議が設定している断層モデルを採用しているんですけども、低周波微動から浅いところに設定しているということは、低周波微動による知見を踏まえた断層面、南海地震の断層面を設定してわれわれ地震動評価をしているということで、すでにその知見も取り込み済みと言えるのではないかと考えます。

それで、南海地震による地震動をわれわれが断層モデルで評価しますと、伊方での地震動が60ガルとか80ガルとか、最大加速度はそのぐらいです。それに対しまして、敷地前面海域の断層群による地震動ですと、200ガルとか300ガル、先ほどの基準地震動SS-2ですと400ガルというような地震動になりますので、敷地への影響の度合で考えると、やっぱり中央構造線、敷地前面海域の断層のほうが大きいわけでございますので、基準地震動に与える影響はまず無い。南海地震、深部低周波微動については影響無と考えるべきかと思います。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

私どもの審議の中に参加していただいております専門家の中にプレートテクトニクス、それから地震学の専門家といった方がいらっしゃいますので、そういった方にご意見をお聞きしたということも踏まえましてお答えさせていただきたいと思います。

番組の中では近年の高性能地震観測によりまして、四国北西部においてフィリピン海プレート上側の陸側プレートで深さ約35から40kmのところでスロースリップが日常的に繰り返し起こっているということが、近年の高性能地震観測の結果としてとらえられるようになったということが番組の中で報じられました。私どもの考えといたしましては、そのこと自体が四国北西部の直下でプレート間地震が発生するということを示唆するものではないというふうに考えております。言い換えますと、スロースリップが起きている場所というのは、日常的にひずみを解放しているということで、将来プレート間の特に大地震とか、そういったものが逆に起こらない場所というものを意味しているというふうに考えております。それで、伊方発電所の地震の想定につきましては、今四国電力からも説明がありましたけれども、プレート間地震として中央防災会議の想定南海地震を考慮しておりまして、敷地直下でのプレート間地震については想定しておりません。これを私どもが良しとした根拠ですけれども、フィリピン海プレートと、それから陸側のプレートの境界で地震が発生するという領域につきましては、プレートの不安定すべりが起きると言われておりますプレート深度10から35km、この範囲に限定されるということ。それから、1940年代に発生しました南海地震の震源域、それからそれ以前の震源域がこの範囲にありまして、地震動や地殻変動の観測データから、敷地直下まで震源域が広がるということについては考えにくいということも考慮いたしまして、これで良しとしております。

なお、参考ということですけれども、海洋プレート内地震につきましては、この伊予灘、安芸灘、豊後水道の領域で過去頻繁にスラブ内地震が起こっているということで、念のために四国電力は敷地直下、敷地下方のフィリピン海プレート内にプレート内地震を真下に持ってきているということをしております。四国北西部を含む四国ブロックのプレートの動きと、それから固着域の関係ということについては、これまでも精力的に研究が進められてきておりますし、今後も精力的に進められるというふうに考えておりますので、それらの知見につきましては先ほど新知見の反映をするための、私どもの行為として説明しました参考資料、ああいったところで少し考慮していきたいと思いますけれども、こういった新しい研究が精力的になされているというところの知見につきましては、注視してまいりたいというふうに考えております。

以上です。

○有吉委員

どうもありがとうございました。

○濱本部会長

地震動の評価につきましてはこの辺りでよろしゅうございましょうか。

続いて、第3点です。施設の耐震安全評価でございます。

○岡村委員

原子力安全・保安院の資料3-1の26ページ、施設の耐震安全性の評価で、例えば外周コンクリート壁のせん断ひずみが小さいということから安全性を確認されたというご説明があったと思います。こういうことをいろいろな部材・機器でやっているというふうに理解をしましたが、もう1つの資料2-2の例えば22ページから26ページぐらいの間に、この解析法でやるとこのぐらい合うんだ、あるいは合わないんだという計算結果が出ております。これを見ると、出たり入ったりという表現をされてましたけれども、平均的にはおそらくとらえられてるだろうということはよく分かるんですけども、平均的にとらえられているというのと、それから安全性を評価するという原子力安全・保安院さんの資料ではちょっとギャップがあるように思うのですけれども。原子力安全・保安院さんの資料の26ページの赤い点の意味というか、ここに信頼性、適用の信頼性設計って、この信頼性っていうのはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

2×10m3の評価基準値の信頼性ということでご質問いただいたと。

○岡村委員

2×10m3にも当然安全余裕が入ってて、信頼性の議論が当然あるのだと思うんですけれども、それはちょっと置いておいて、この四角の何番というのが付いてる赤い点がいくつかあって計算結果があると思うんですけども、これと今基準値2×10m3と比べてると思うんですけども、この赤い点それぞれの意味、あるいは信頼性というのはどう評価されてるんでしょうか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

はい、今回ここに表示しておりますのは外周コンクリート壁ということで、観測記録の方を見ますと外周コンクリート壁は比較的解析結果のほうが大きいという結果が出ておりますので、そういった意味ではこのところのモデル化、こういったモデル化をした場合に、若干弾性範囲を超えている部分もありますので、その推移によっては若干動くかとは思いますけれども、少なくともこの基準値を超えるところまではいくことは無いであろうというふうに考えております。実際モデル化につきましては、合いがいいところと悪いところが周期帯によって少し明確に出ているものもございます。例えば、燃料取扱建屋の上の方とか、そういった鉄骨層の部分は合いが悪いとか、そういうところがございますので、今後モデル化につきましては、他サイトの事例等も集めながら、同じような傾向があるか無いかとか、例えばFEM解析でやったらどういうふうになるかとか、そういったところも今後課題として取り組んでいきたいというふうに考えております。

機器・配管系への影響ということでは、本日の資料にはありませんけれども、私どもの審議の中ではスペクトル、機器・配管系が設置している床レベルで、観測記録のほうが解析結果を上回っている場合につきましては、実際その領域に固有周期を有する機器があるか無いか。ある場合については、その機器の評価上の余裕でカバーできるものなのかっていうことも一応確認はしているというものでございます。

○岡村委員

もちろんかなり単純化した解析ですから、解析のモデル化による誤差、信頼的結果の信頼性っていうのは当然あるわけですね。それともう1つ、使っている材料定数、これもコア抜きした測定値を使っているのか、それともそれにある程度の安全余裕見た設計値を使っているのか、そういう全体としての安全性、あるいはその結果の質のばらつき、正規分布かもしれませんけれども、当然結果にばらつきがあってしかるべきだと思うんです。ですから、この原子力安全・保安院さんの資料の赤い点も当然ここだという確定論ではなくて、もしかすると危険側に評価していて、ここで1%を出ていても、それが3%の可能性もある。そういうばらつきの信頼性の評価という意味ではどうでしょうか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

資料3-2の30ページぐらいのところから地震応答解析モデルのことを記載してございますけれども、32ページを開いていただきますと、ここから約2ページ半にわたって私どもでやった検討の結果というものを記載してございます。ここではモデルを変更してることの変更点ということと、それから実際にコンクリートの実強度とか、そういったもの、それから減衰がばらつくとどういうふうな影響があるかというところは一応把握はしているということでございます。こういったばらつきによって、非線形解析の結果のひずみも動き得ますので、そういう意味ではそういった分析も今後必要かというふうに考えておりますけれども、今のところそういったばらつきが及ぼす影響というものは、ここで定量的に把握した限りはそれほど大きくないだろうというふうな推測はしております。

○岡村委員

それを明示的に示す資料に僕はなってないと思うのですね。要するに、実際使ってる強度、あるいは解析モデルの先ほどの定数などにばらつきがあって、それを包含するような、ある計算用の強度、あるいは何かを設定して、それを使うと全部安全側になってますよというような四電さんの資料があった上で、この原子力安全・保安院さんの資料があれば、確かにこれが安全側ですねということになると思うのですけど、そうなってない。明示的に示してないと思います。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

建屋の層レベルの評価につきましては、今後の詳細評価では応力評価等も行いますので、そういったところも含めて実際に確認していくことになると思いますけれども、層レベルで実際にばらつきがあるということを定量的に示していないということでは、現状では非線形解析でばらつきを振っているということはしておりませんので、今後確認してまいりたいと思っておりますけれども、建屋のほうでは層レベルの評価として今現状はこういうことであります。ただ、機器系の評価におきましては、実際の建屋と、それから地盤のばらつき、それから補助壁といたもの、耐震要素としてモデル化していないもの、こういったものがどういうふうに影響するかと、そういったところがほぼカバーできるところとして、機器側の設計ではスペクトルの拡幅ということを行っておりますので、そういう意味では機器系の評価におきましては、ばらつきをある程度カバーできるような流れになっているというふうに理解しております。建物関係は、実際の設定がどこに保守性が含まれていて、そこにどんなばらつきが考慮され、実際に結果として、ばらつきがどこまで考慮できてるかということについては、基本的にこれまでFEM解析とか、そういったものとの比較において、実強度とか、そういった実際の物性を考慮した場合にどうなるかっていうことを比較しながら、より簡単に評価をするのであれば、より保守的な結果が出るようにというふうなモデル化をしており、工事計画認可ではそういったことも確認した上で、そういう保守性のあるモデルを用いているということを確認することによって、現状ではある程度保守的な評価になっていると考えておりますけども、これをどういうふうに定量化して示すかということは、やはり私どもも非常に難しい問題もあり、実際にある仮定条件を置いてやればできるんですけれども、どういったやり方をするかといったところも含めまして、今後検討させていただきたいというふうに考えております。現状の答えとしては以上になります。

○渡邉委員

四国電力にデータの誤りについてお聞きしたいのですけども、こういうふうなチェックというのは多分何回もやられてると思うのですけれども、こういうことが発生する要因というのはどこにあるのかということと、訂正の前後で変化が無いというのはよく分かったのですけども、訂正の前後で変化が無いのになぜそういう諸元に誤りがあるのかということが分ったのでしょうか。それと、ほかにこういうふうな事例があるのか無いのか。

それと、国のほうにもお聞きしたいのですけども、電力会社がこういうものを持ってきたときに、データまで戻ってチェックできる機能というのは、国なりJNESのほうにあるのかどうかというのをお聞きしたいのですけども。

○四国電力 玉川原子力部長

初めに、今回のデータ誤りにつきましては皆さま方に非常にご心配をお掛けいたしましたことを改めましておわびを申し上げます。

ただ今のご質問でございますけれども、今回のデータ誤りの原因につきましては、解析に用いました計算機、これのアウトプットデータを転記するという作業がございました。この転記する作業におきましてミスが発生いたしました。これを最後までそのミスが発見されないままきてしまいまして、最後の報告書、いわゆる計算書の中にそれが記載されてしまったというのが細部の原因でございました。これを踏まえまして、当社におきましては、3号機の建屋のいわゆる耐震計算データの全てについてこの解析を行いましたメーカーと一緒になりましてデータのチェックをいたしました。その結果、今回ご説明いたしましたほかには異常が無いということを確認をいたしました。で、当社としましては、今回の反省を踏まえまして、今後こういった解析作業を行う際におきましては、要求事項といたしまして、その設計者はもちろんでございますけれども、設計者以外の者がダブルでチェックするということと、そのチェックをした結果につきましても記録として残すということを追加いたしました。さらに、当社といたしましても、それが確実に行われているということを確認するということで、万全を期していきたいと思ってございます。また、今後1、2号機の建屋につきましても、今回の地震動の変更、これに伴います評価を行いますが、この際におきましてもこういったデータの誤りが無いということを確実にチェックしてまいりたいと思ってございます。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

今回のこの誤記が見つかった経緯というものは、私どもが少し関係しておりまして、その経緯をまず説明させていただきます。

私どもは四国電力のほうから昨年の2月2日に本報告書を提出していただきまして、実は中間報告の審議中ではありますけれども、本報告のクロスチェックを昨年の秋ぐらいから実施しておりました。今回PWR系では初めてのサイトということで、原子力安全基盤機構のほうで細かく中身をチェックしておりまして、工事計画認可データで、見た目上の数値ですけれども、少し理解できない部分があるというところをJNESの専門家が見つけ、四国電力に問い合わせをして確認したところ、間違いであったということであります。JNESの担当者に聞きましたけれども、この結果もしくはJNESが解析した解析コードのダンプデータとか、そういったところからはこの間違いは分かりませんと。データをよく見て、おかしいんじゃないかという、ある意味疑いを持った目で見た場合にやっと見つかったという程度のものだったそうです。従いまして、こういったものをほんとに今後私どもで見つけられるかどうかということにつきましては、よく時間を掛けて見ればそういうものは見つかるかもしれませんけれども、ただ限られた資源の中で見つけるということは現実的ではないというふうに考えております。やはり耐震安全性評価に係るこの解析作業の信頼性確保ということにつきましては、一義的には事業者による品質保証体制の適正な構築と、それからそういった品質保証体系、品質保証活動の着実な実施、そういったものが前提ではありますけれども、私どもといたしましては、そういった品質保証体制とか品質保証活動に係る取り組み等について、これまでも確認しておりますけれども、必要に応じて審議資料よりもより詳細なデータ、それから解析コード、解析の条件設定の妥当性に係る検討結果と、そういったものの提示を求めて確認しております。

私どもが自主的にできる範囲というものは、これは結果として耐震安全性の評価にある程度の影響を与えるような、そういった間違いについては数字的なチェック、それから四国電力が実施している品質保証体系の中身を実際に確認することによって可能ではありますけれども、そういった範囲であれば私どもでも可能だと。ただ、今回のようなものについては、ある意味、ここまで見つけられるかどうかという細かなところまで見つかってしまったというふうな状況かと思います。今後、私どもといたしましては、先ほども申したような品質保証体制の維持とか、活動の着実な実施ということにつきまして、より自主的に確認するような方法を考えているところでございます。

○渡邉委員

そう聞くと、JNESや国には専門家がいて、電力会社には専門家がいないんじゃないかというふうな気持ちがするのですが、やっぱり国は電力会社に対して、もっときちんとした社内チェックや、専門家の育成も含めて、そういうことを指導するというのが立場ではないですか。国はなかなかデータまで立ち返って見るということは多分無理だと思うのですね。だから、そういうことが無いように、やっぱりもっと指導するということになりますよね。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

おっしゃるとおりでありまして、そういった私どもの指導としては、実はやっておりまして、なぜこういった設定をしていて、なぜこういう結果が出るかということの因果関係が十分に説明できることを、日頃からそういったことは電力会社に求めております。だから、確認のプロセスの中にそういった指導は入っているというふうに認識しておりますけれども、ただこういった事象がありましたことも踏まえますと、今後そのやり方というか、そういったところもより有効なやり方というものがあるかもしれませんので、私どもとしても今後の方針ということで、どういうことをするかということにつきましては、指導も含めてしっかりと考えさせていただきたいと思います。

○森委員

先ほど岡村先生からご質問のあった内容と同じ場所になるのですが、資料2-2の24、25、26ページというところと、それから原子力安全・保安院さんから出てきている資料3-1の26、7ページ、設計ということで、原子力では、耐震安全性というと地震の方ばかりが、大きく震源域を取れとかっていったような意見は出てきますが、純粋に設計の箇所から考えると、このいわゆる安全余裕がいくらあるのか、それから許容値がいくらあるのかというようなところが最も重要になってくると思います。そういう観点で見たときに1つ簡単な質問は、原子力安全・保安院さんの27ページの資料で、例えば発生値と評価基準値で比較するわけですが、これで数字が最も近いのは支持構造物で、圧縮応力56N/mm2の発生値に対して79 N/mm2となっていますね。で、応答値が倍半分ぐらい観測と実際が違うと、そういうのがあって実際に仕方がないわけでして、じゃあその違いをどう解釈するかっていうときにこの26ページにあるような応答結果を見て、等価なエネルギーで置換をして、どれぐらいまで増えるのか、そういうようにして安全性がおおよそ確認できるというような立場で見てらっしゃると思います。私もそのように見ていますが、そう見たときにこの27ページの蒸気発生器の支持構造物の数字は、ちょっとあまりにも近いものですから、この応力のうち、例えば56のうち地震によるものはいくらで、地震によらないものがいくら、そういう割合によって判断していかないといけないと思うんですが、そこのところだけ教えていただけますでしょうか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

ご質問は1点だったんですけど、まずちょっと先にお答えさせていただきたいのは、先ほど岡村先生の質問の後にお答えさせていただいた内容で、機器・配管系の評価については、観測記録がシミュレーション結果をオーバーする部分で固有周期を有している機器がある場合は、その余裕の大きさとの比較、倍率を取って余裕の大きさとの比較をしているということでありますけれども、今ご指摘いただいた蒸気発生器の支持構造物につきましては、発生値が56N/mm2、評価基準値が79N/mm2ということになってますけれども、裕度としては1.41という形になります。これに対しまして観測記録、先ほどの観測記録とシミュレーションの結果っていう話をしましたけれども、この蒸気発生器の固有周期を有する周期帯で最も比率が大きいところでだいたい1.25倍ということになりますので、そのスペクトルの増幅、シミュレーション結果に対しての解析結果からオーバーする部分比率っていうのは1.25倍で、余裕の範囲内に入っているということは確認をしております。それで、それは実際の全体の荷重に全部全て掛けてしまっておりますので、地震と地震以外の荷重全て掛けたときの余裕になりますけれども、実際の比率につきましては、蒸気発生器につきましては、水平地震力の比率がほぼ100%になります。支持構造物につきましては、縦方向の支持ではなくて、横方向のサポートブラケットでありますので、横方向の地震力が支配的で、鉛直方向はほとんど効かないと。それから、通常運転時につきましては、温度応力も勘案した場合につきまして、このところはほとんど常時、力が作用しないという部分で、水平ほぼ100%という荷重の支配率でございます。

○森委員

これを判断するときに、今たまたま大きな資料があって、これに固有振動モードと、それから固有値解析の結果があるので、1つ1つずうっと読んでいって今やっと全部が特定できたんですけどね、で、こういう先ほどの地震観測記録と、それから応答解析結果をスペクトルの形で見るときに、この手のいわゆる固有値の数字と、それから振動モードの情報がここに無くってどうやって判断ができるんですか。かなり多数の判断をしないといけませんよね。それから、EWとNSでモード次数も違ってきてて、1個1個書いていかないと分かりにくいと思ったのですが。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

この資料に表示が無いということについては確かにそうでございますので、こういった詳細な内容まで含めて説明する場合については、それはそういった資料も必要になるというふうに思いますけど、私どもの審議の中におきましては、だいたい固有震動数の1次がどれぐらい、各機器ごとにどれぐらいに存在して、それよりも高振動数側に高次の次数でどれぐらいあるかということについては、だいたい把握をしているんですけども、そういったところについては今この資料には表現していないということでございますので、今後ちょっと説明の仕方とか、そういった資料につきましては、少し内容に応じてもう少し入れるとか、そういったことを少し考えさせていただきたいというふうに思いますけれども、先ほど私が申しました比率につきましては、1次に限らず1次が存在する周期から高振動数側で全ての周期帯、考慮してる全ての周期帯において最大の比率を取った場合に1.27という数値になるということです。

○森委員

そうですか。具体的な数字は出ませんけれども、例えば1例だけ見方を教えていただきたいんですけど、資料2-2の例えば25ページ、ここの25ページの真ん中にあるいくつもあるんですけども、外周コンクリート壁61mとか、外周コンクリート壁32mとかってあります。で、この辺のところ、観測記録が全て解析を上回っています。そして、なかには1次より下回るものがありますから、1次より下回っていれば実際には一次、実測もかけて定性的には解析しているのでしょうから全く問題無いんでしょうけども、それ以上になっているようなところは、やっぱり非線形解析以前の線形でも合わなければ非線形が合うわけないっていうのがいわゆる解析法の常識ですから、線形で合う努力っていうのをおそらくは伊方だけの問題ではないと思うんですけども、その改善について、あるいはその重要性についてどれぐらいの認識を持っておられるのかちょっと説明をお聞きしたいのですけど。私自身は、これはとても大きな問題だと認識しています。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

はい。先ほどあくまでも説明させていただきましたのは蒸気発生器のことでありますので、そういう意味では同じ25ページの上側のインナーコンクリートというところですので、比較的差異が小さいところだと思います。で、今ご指摘いただいたところにつきましては、外周コンクリート壁の上のほう、上のレベルにいけばいくほど観測記録のほうが上回る程度が大きくなるというふうにご指摘を頂いておりまして、こちらにつきましてはやはり現状のモデルが実際のこういったものを再現できない原因がどこにあるかということについては、今検討をしてる実は途中であります。重要性ということでは、建物の外周コンクリート壁そのものの健全性ということでは重要な意味を持ってるかもしれませんので、そういう意味ではこのところを今実施してるクロスチェックの中も含めまして3次元応答性状とか、そういったところも関係してる可能性も含めて今検討しているという状況でございます。ただ、機器側の評価ということでは、このレベルには機器は設置していないということですので、影響の検討はこのデータからはする必然性は無いんですけども、建屋の評価ということでは、このところはどうしてかということについては今後検討していきたいと考えております。

○森委員

今、機器のことおっしゃったので、ちょうど同じ絵で、例えば左側の外周コンクリート壁32mというものがありますね。で、レベル的にはこのあたりにも機器なんかがあるんじゃないかっていうふうに思うんですが、例えばそういうときにフロアレスポンスって言いますか、構造物の応答が機器にとっての今度は入力になるわけですから、そうしてくるといくら500ガル程度であっても入力が倍になるっていうようなことになってきますよね。そうすると、今度は機器側にとってみると、入力が倍になるときれいに応答も倍になると考えていいんじゃないかと思うんです。そのあたりのことも考えた安全余裕も確認されていらっしゃるんですか。

○原子力安全・保安院 名倉安全審査官

今回評価している評価対象設備が存在するポイントは、炉内構造物がほとんどですので、特にこの11番のところとか、それより上の外周コンクリート壁につきましては、実際の内部コンクリートの構造とはアニュラスを設けてありまして、隔離してありますので、そういう意味ではこの応答自体は直接機器に使うものではないというふうに考えております。

○濱本部会長

よろしいでしょうか。そのほかございませんでしょうか。

じゃあ、この第3のポイントにつきましては、これで終わらせていただきます。

そのほか耐震評価全般について何かご意見ございますでしょうか。

○藤川委員

全体に現時点での最新の知見を基にいろいろご検討いただいてると思いますが、原子力安全委員会さんのほうに伺いたいんですけども、こういう耐震の審査指針の改訂は今後も定期的にされるのかどうかということと、どれぐらいの頻度っていいますか周期で改訂をされるかということをお伺いしたいのですが。

○原子力安全委員会 長谷川副管理官

指針の改訂につきましては、現時点では特に今後いつ改訂するとか、そういったことについては特に考えてございません。で、今細かい指針を改訂した後、先ほど少し説明しましたけれども、手引といった具体的な運用の基準というか指針の具体的な運用について手引のほうに定めていまして、今活断層の部分については策定できております。それで、今回全ての原子力施設の耐震のバックチェックをやりながら、活断層の評価、それから地震動評価といったところについても現在策定中でございまして、そういった中に新たな知見をどんどん入れていくということ。それから、この見解の部分でも1番最後に書かせていただいておりますけど、まず原子力施設の安全確保の一義的責任という意味では事業者にあるということで、ただし常に新たな知見と経験の蓄積に応じて、それらを適切に反映する必要があり、こうした取り組みを継続していくことが肝要であるということで、今回見解として示しておりますけれども、新たな知見が発生したごとに事業者はきちっと適切に評価をしていくという、これを継続していくことが重要であるということを述べておりまして、指針の改訂といった面につきましては現在のところは考えてはございません。

○藤川委員

四国電力さんには、今回もいくつか宿題みたいなのがあったと思うんですが、新しい知見に応じてまたご検討いただけるということでよろしいでしょうか。

○四国電力 高木計画グループリーダー

先ほどからありましたように、新しい知見は常日頃から取り入れていきまして、それを反映すべきものは検討して反映していこうと考えています。

○岡村委員

今日のメインの審議事項ではないのかもしれませんので、次回までの宿題でもかまわないのですけども、四電さんの今日のコメントへの回答資料の中で、基礎地盤の安定解析のところ、資料番号2-2の29ページ以降のところ、これは建屋全体の活動だとか支持力破壊だとか、そういう全体がどう動くのかという全体の上もの全体の話をここでされているんだと思うんですけども、これちょっと細かいところは別に無かったので、今日はあんまり時間が無いので次回ということにしていただければいいと思うんですけども、1つは、すべり線が考えてるものと±20度以下の場合にはどうするというようなご視点でしたけど、これは引張応力の最小値応力とすべり線が±20度で交差するってのは、これは自明のことでして、それ以内の場合で交差するという、そういう設定は非常に力学的には説明がしづらいので、これはどういうことなのかというのを次回に説明していただきたいのと、それからもう1つ、建屋と基礎地盤、岩盤ですか、建屋が建ってる部分、ここの間、建屋の平面ですべるようなモードも考えてらっしゃいますけど、ここの強度も岩盤と同じ強度を使っているんでしょうか。要するに、コンクリートと硬い岩というと、その間の付着力というか、その間の強度はそのうち落ちるので。例えばコンクリートとか随分落ちます。どうしてこんな強い強度を使って安全だと言っているのか、その辺も含めて、次回で結構なんですけども、ぜひじっくり説明していただければと思います。

○四国電力 川崎

はい、了解しました。

○濱本部会長

森先生、今のに関連して何かありませんか。

○森委員

関係しませんが、せっかく皆さんにお越しいただいてるので、原子力安全・保安院の方々、あるいは原子力安全委員会の方、それから四電の方にもお願いしたいことがありまして、いわゆる一般的なインフラ構造物もそうなんですけれども、おそらくは今後の長く使っていくっていうような社会的要請が出てきた場合なんかでも初期値がとても大事になってきますし、あるいは健全性の評価だとかをしようという場合に、やはりまた1つの議論が間違いなく起きてくるだろと。で、そのときに有効な議論ができるためには、またモニタリングだとか、初期値評価、あるいは説明するためのモデルの構築というのが重要になってくると思いますんで、そのあたり息が長いと思いますが、どうぞご努力のほうよろしくお願いいたします。

○濱本部会長

先ほどの岡村先生の発言に対する四国電力のほうから簡潔に。もう時間も迫ってはおりますが。

○四国電力 川崎

こちらのほうでちょっと資料を用意しておりませんので、また次回ご説明させていただきたいと思います。

○濱本部会長

それでは、少し遅くなりましたけれども、今までの議論を含めまして、改訂された耐震設計審査指針に基づいて、伊方3号機の耐震安全性評価っていうことについて、この部会としての今日のまとめをさせていただきたいと思います。

3つのポイントに絞って議論をさせていただきました。第1点は、周辺敷地の地盤、あるいは地質、そういったものでございます。それから、第2点は、地震動。それから、第3点は、施設の安全性というそういうものについての評価。そして、付帯的にやっぱり現時点の知見をもってすればという私どもの意見になろうかと思いますので、藤川先生最後に言われたように、今後とも新しい知見を加えてどんどん変えていくところは変えていっていただきたい、そういうところを付帯意見として付けて、午後の安全管理委員会に部会意見として起こさせていただきたいと思っております。

それでは、まず意見としまして3点。

第1の敷地周辺の地質・地質構造の評価については、四国電力により指針に沿って周囲の調査が実施され、原子力安全・保安院の独自調査結果で整合性が確認されていること等から、必要な調査が適切に実施され、断層等の評価についても適切に実施されていくものと認められる。第1点については以上でよろしいでございましょうか。

それから、第2点として、地震動評価にいては、地質・地質構造の調査や断層等の評価結果に基づき、不確かさを安全側に考慮した震源モデルが設定され、適切な評価手法により地震動評価が行われており、国においてもこれらの妥当性が確認されていることから、今回設定された基準地震動570ガルは妥当なものと認められる。これでよろしゅうございましょうか。

それから、第3点として、施設の耐震安全性評価については、今回設定された基準地震動に対して、指針に沿った適切な地震応答解析手法により、伊方3号機の主要な建屋及び施設に係る耐震評価がなされた結果、評価基準値を満たしており、国の独自解析によっても地震応答解析の妥当性が確認されていることから、耐震安全性は確保されるとした評価結果は妥当なものと認められる。以上3点です。

そして、付帯意見として、四国電力は、今後とも、耐震安全性にかかわる新しい知見や事象に対しては、その都度、迅速かつ適確に検討・評価を行うこと。このようにさせていただきたいと思います。よろしゅうございますか。

(異議なし)

それでは、報告事項が2つありまして、第1点は、MOX燃料の健全性についてであります。昨年の8月に伊方の3号機のMOX燃料は、原子力安全・保安院で輸入燃料体検査が実施されまして、報告を受けているわけですが、その後の昨年8月、関西電力が高浜発電所用の燃料ペレット自主検査をしたところ、目標値の範囲に収まらないものが起こって、製造体数を変更したというようなことがプレス報道されておりますけれども、伊方原子力発電所のMOX燃料の健全性について、四国電力から自主検査結果を含めて説明をしていただいて、次いで原子力安全・保安院からもご説明をいただけたらと思います。

○四国電力 坂井原子燃料部長

資料5-1に基づきましてご説明させていただきます。

昨年8月、先ほどご紹介にありましたようなプレス発表がございました。2つ目の丸でございますが、当社は、フランスのメロックス工場で、製造段階から当社駐在員により徹底した品質保証活動を行ってまいりました。この燃料は、先ほどご紹介いただきましたように、国の輸入燃料体検査に全て合格しており、その安全性が確認されております。さらに、国の検査とは別に、均質な製品が安定的に供給されること等を目的といたしまして自主検査を行い、全て合格しており、当社MOX燃料は品質が確保されてございます。添付資料といたしまして、国の検査であります輸入燃料体検査の項目とその概要、それと自主検査の項目とその概要を表にしてまとめてございます。

○濱本部会長

ありがとうございました。

○原子力安全・保安院 森施設検査班長

四国電力のほうからもご説明ございましたが、昨年の7月に輸入燃料体検査に合格いたしまして、8月にこちらの部会でその検査の実施状況についてはご説明したところでございます。本日は若干の補足ということで、自主検査問題を踏まえた私どもの対応についてご説明いたします。

燃料体検査の概要ですけれども、こちらは電気事業法に基づいた検査でございまして、実際にどのようにやりますかというと、この下にございますけれども、まず詳細設計について個別に審査をいたします。どのようにいたしますかというと、これまでのウラン燃料の知見、それから実績等踏まえまして、また専門家による審議も経まして、設計が妥当であるというようなことを確認してございます。

実際の物の検査につきましては、審査された設計のとおりに製造されていること、こちらを確認するということで技術基準への適合性を確認してございます。伊方の3号のMOX燃料についても同様の検査をしました。まず第1段階としまして製造時の記録を確認いたします。ここに確認項目の例として簡単にペレット、燃料棒、集合体について示してございますが、これらの項目につきまして私どもは事業者の記録のみならず、メロックス社で実際につくった製造記録、こちらも含めまして記録確認を行いました。その後、発電所に到着してから実物の外観検査をいたしまして、その後技術基準の適合性を判断いたしました。伊方3号につきましては、上に書いてございますけれども、物としては適切なものであったこと、それから事業者の品質保証活動も適切であったことということで、昨年の7月に合格証を交付したものでございます。

その後でございますが、先ほどのご質問にありましたように、関西電力の高浜3、4号機の燃料は、現在製造し終わったところでございますが、それにつきまして、昨年8月に、関西電力が行っている自主検査、ペレットの性状に係る自主検査の1つで、目標値の範囲に収まらないものがあったとの連絡を受けました。これについては、製造メーカーであるメロックスとしては、これは目標値は外れているけども使えるというふうに主張したようですが、関西電力とその元請けである原燃工、こちらは品質的に厳しく対応するということで、それらのペレットの採用を取りやめたため、結果的にペレットの数が足りないということで、当初計画の16体から12体に体数を変更したというものです。

この事象を受けまして、四国電力に対してわれわれが何をしたかというと、自主検査というのは事業者が自らより高い品質の燃料を調達するという目的で行っているものでございまして、あくまでも国としては念のために、昨年の10月に自主検査項目、これについて四国電力の持っている記録、これを詳細に確認いたしました。結果としましては、ここに書いてございますけども、四国電力も関西電力と同様の自主検査を行っておりまして、検査内容・判定基準についても同様のものであったり、自主検査内容が全て目標値を満足しているということを確認してございます。

最後に今後の検査等の予定といいますか、どのようなことを行っていくかということでございますが、今現在伊方3号機は定期検査中でございまして、今後の燃料装荷に当たりましては、伊方保安検査官事務所の保安検査官、これが保安検査として、燃料装荷時の安全性等について確認してまいります。その後、MOX燃料を装荷した原子炉の安全性については使用前検査で確認してまいります。内容としては燃料の配置や制御棒の効き、これらについて国の検査官が確認してまいります。それで、最後に総合的な性能、これが満足した段階で定期検査が終了して、営業運転に移行するというような段階を踏んでまいります。

○濱本部会長

どうもありがとうございました。

それでは、続いて第2番目の報告事項ですが、伊方3号機において昨年11月に一次冷却材中の放射性物質濃度が上昇する事象が発生しております。四国電力から事象の概要、燃料検査の結果、今後の対応等について、説明をお願いします。

○四国電力 坂井原子燃料部長

資料6に基づきましてご説明させていただきます。

伊方発電所3号機漏えい燃料の調査状況について、経緯でございますが、昨年11月19日、冷却材中の放射性希ガス濃度が通常値の5倍程度に上昇してることが確認されましたことから、濃度の監視を強化して運転をしておりました。本年1月7日、定期検査のために原子炉停止操作中、冷却材中の濃度が通常値よりも高い数値を示しておりました。

次に2.調査状況でございますが、1月17日から22日の間、原子炉から取り出した燃料全数を1体ずつの専用の検査容器に入れまして、漏えいの検査をいたしました。その結果、漏えい燃料1体を特定いたしまして、そのほかの燃料には漏えいが無いことを確認いたしました。漏えいが認められました燃料は今後使用いたしませんが、平成17月3月から使用開始した燃料であり、十分に燃焼していることから、今回の定期検査において使用済み燃料とする予定のものでございます。今後、当該燃料の詳細調査、運転履歴調査、取り扱い履歴調査等を進めていきたいと考えてございます。

2ページ目に、漏えい燃料の装荷位置を示してございます。

○濱本部会長

どうもありがとうございました。

時間も多少せまっておりますので、この件につきましてご専門の立場から、代谷先生におまとめいただいて報告事項を終わらしていただきたいと思いますが。

○代谷委員

漏えい燃料の件についてお話をさせていただきたいと思います。漏えい燃料について、この燃料が出たというのは、非常に遺憾なことだと思っております。ただ、やはりピンホールが開くというのは、かなりたくさんの燃料棒があるという状態から考えて、これを工学的に0にすることは不可能だろうと思うんです。で、もともと原子力のこういう炉の利用については、安全審査の中でそういうピンホールが発生するということも考えて、それなりの対処をされていますので、それ自体で特にどうのこうのっていうことは、安全性に特段の問題が出るということは無いと思うんです。ただ、これはやはり放射性物質が出ていくという可能性がありますので、その濃度がある程度以上になったらきっちりと炉を止めていただいて、それでその燃料を取り換えていただくと、そういうことが必要になるのかなというように思っています。で、今回のものについては、燃料のどこが漏れたということが、とりあえずこの場所のものが漏れたということですので、今後これについてできる限りの調査をしていただいて、で、原因が何であったかということを、今すぐに全て分かれというのは無理だと思うんですけど、分かった範囲できっちりと公表していただくということでご対処いただきたいと思いますし、それ以上に新しい知見を得るような、そういう先ほどの件とも関連しますけど、そういう取り組みも四国電力さんとして燃料体の漏えいが無くなる方向に向けて、無くなるというか少なくなる方向に向けて努力していただきたいというように思っております。

以上です。

○濱本部会長

どうもありがとうございました。

ただ今の代谷先生の取りまとめでよろしゅうございましたか。

それでは、大変遅くなりましたけど、これはもう大変活発に、熱心に審議・ご議論いただいたということでありますので、長時間にわたって、特に原子力安全・保安院、それから原子力安全委員会の事務局の皆さん方、質問にも的確に対応していただきましてありがとうございました。

これで技術専門部会を終わらせていただきます。長時間ありがとうございました。

○事務局

事務局から失礼いたします。

技術専門部会の審議が長引きましたので、設営の準備等もありますことから、午後1時半に予定しておりました管理委員会につきましては、開始を15分遅らせていただきまして13時45分開始とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(閉会)

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 次第

日時 平成22年1月29日(金曜日)9時00分~
場所 愛媛県水産会館 6階 大会議室

1 開会

2 議題
伊方発電所の耐震安全性評価について

3 その他

4 閉会

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会技術専門部会 資料目次

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