平成20年度(2008年度) 伊方原子力発電所環境安全管理委員会の開催状況 伊方原子力発電所 環境安全管理委員会(2008年10月22日開催)

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伊方原子力発電所 環境安全管理委員会 開催概要

1 日時

平成20年10月22日(水曜日)13時00分~14時45分

2 場所

愛媛県医師会館 2階 研修室

3 出席者

委員22名(別紙名簿のとおり)

4 議題

(1) 平成19年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成19年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について

5 報告事項

(1) 平成19年度伊方発電所異常時通報連絡状況について
(2) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(3) 新検査制度について
(4) 伊方発電所の耐震安全性評価(中間報告)及び中越沖地震を踏まえ耐震安全性評価に反映すべき事項(最終とりまとめ)について

6 審議等の内容(全部公開)

(開会)

(事務局)

定刻になりましたので、ただ今から伊方原子力発電所環境安全管理委員会を開催いたします。

はじめに傍聴者の方に、傍聴に際しての遵守事項を申し上げます。会議の開催中は静粛に傍聴すること。写真、ビデオ等の撮影、録音等はしないこと。その他、会議の秩序を乱す等の行為をしないこと、などとなっておりますので、ご協力をお願いいたします。また、携帯電話等をお持ちの方は、マナーモード等に設定いただきますようお願いいたします。

それでは、当委員会は先般委員の委嘱替えが行われておりますので、今回新しくご就任いただきました委員さんを、五十音順でご紹介させていただきます。

八幡浜市議会議長の上田委員さんです。

南海放送株式会社代表取締役社長の河田委員さんです。

愛媛県農業会議会長の篠原委員さんは少し遅れられております。

愛媛県副知事の高浜委員さんです。

伊予灘漁業被害対策協議会副会長の中原委員さんです。

株式会社テレビ愛媛代表取締役社長の平井委員さんです。

愛媛大学大学院医学系研究科教授の望月委員さんです。

名古屋大学大学院工学研究科准教授の吉田委員さんです。

なお、新委員のうち愛媛看護協会会長の二宮委員さん、引き続いて委員をお願いしております有吉委員さん、岡村委員さん、山中委員さん、山本委員さんには都合により欠席されております。

当委員会の会長、副会長につきましては事前に各委員さんに書面でご承認をいただきまして、会長に高浜委員、副会長に山下委員に就任いただいておりますので、改めてご報告いたします。

それでは、会長の高浜副知事からごあいさつ申し上げます。

(高浜会長)

副知事の高浜でございます。会長を務めさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

委員の皆様にはたいへんお忙しい中、この委員会にご参集いただきましてありがとうございました。日ごろから県の原子力安全行政、格別のご協力をいただいておりますこと、改めて厚くお礼を申し上げます。また、原子力安全・保安院の前川統括安全審査官さん、そして、天野安全審査官さんをはじめ、国の関係者の皆さんには遠路お越しいただき、深く感謝を申し上げます。

今日の議題でございますが、今日は2つの議題、それから4つの報告事項をご審議をいただくことになっております。議題につきましては、平成19年度の伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果、温排水影響調査結果であります。伊方発電所からの環境への影響を評価するための重要な調査結果ですので、よろしくご審議をお願いします。

それから、報告事項につきましては、伊方発電所の耐震安全性評価の状況など4件につきまして、国と四国電力から説明いただくことになっております。いずれも伊方発電所の安全性にかかる重要な事項ですので、よろしくご審議をお願いいたします。

なお、県といたしましても伊方発電所の安全確認、そして放射線監視機能の一体化を図りますために、今年度、八幡浜支局に原子力安全室を設置したところでございます。さらに来年度からは、放射能の調査分析機能も一体化をしまして、安全確保対策をさらに充実、強化をするということで、まだ仮称ではございますが、伊方原子力発電所安全監視センターの建設に取りかかることとしてございまして、引き続いて県民の安全、安心の確保に取り組むことにいたしております。今日短い時間ではございますが、委員の皆様には忌憚のないご意見を賜りますようにお願いを申し上げまして、冒頭のごあいさつとさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

(事務局)

議事の進行につきましては、委員会設置要綱の規定により会長が務めることとなっておりますので、高浜会長よろしくお願いいたします。

(高浜会長)

それでは議事に入らせていただきます。

最初に、議題1の平成19年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果、議題2の温排水影響調査結果について、一括して事務局から説明を願います。

(門野原子力安全対策推進監)

放射線の関係についてご報告申し上げます。

お手元の資料の1でございます。要約版でご説明をさせていただきます。この要約の後ろに報告書がございますので、適宜ご参照いただければと思います。

それでは、1.空間放射線のレベルでございます。発電所からの予期しない放射性物質の放出を常に監視しているものでございますけれども、愛媛県と四国電力、それぞれであわせて13の測定局において測定してございます。測定結果は、最高で42から71、そのほか最低、平均値と書いてございますけれども、この数値はこれまで毎年測定しております結果と同程度でございます。特段の特異なデータというものは19年度はありませんでした。あと、若干、通常の変動幅とされております平均値と標準偏差の3倍を足した値を超える測定値もありましたが、これも毎年雨が降ったときに発生しているということや、発電所を中心に設置した異なる方位の測定局でも、同じように増加を観測しているなど、昨年と同じような傾向がございましたことから、この数値が超えたことについては、降雨による影響であると判断をしておりまして、自然放射性核種以外の特異なピークというものはなかったと確認されました。

次に要約の2枚目、(2)積算線量でございます。これにつきましても、空間放射線のいわゆる外部被ばくなどの状況を知るために、愛媛県と四国電力であわせて54地点で測定してございます。この数値につきましては、通常の変動幅を超えるものはありませんでした。愛媛県と四国電力との測定値も大体同じような数値でございまして、毎年同じような数値が観測されております。

それから、2.環境試料の放射能のレベルでございますが、これは発電所の周辺の河川の水でありますとか、土壌、あるいは農産物や海産物などの放射能のレベルを測定してございます。その結果でございますが、平成19年度の欄をごらんいただきますと、すべてその右隣の昭和50年度から平成18年度で測定をいたしました数値と何ら変わるものはございません。過去の測定値の範囲内でございまして、特に高い濃度というものは検出されなかったということでございます。

3番目の大気圏の中の核実験、核爆発実験等の影響評価もやってございますけれども、近年新たな実験は行われておりませんので、放射能濃度は減少してきております。

それから、要約の3ページ目でございます。4.蓄積状況の把握ということですけれども、人工放射性核種でありますセシウム-137がどのように蓄積してきているかということを継続して測定しておりますが、これにつきましては過去の大気圏内の実験と、チェルノブイリの原発事故に起因するものはありましたけれども、近年何らかの蓄積しているような傾向、そういったものはありませんでした。

それから、環境調査結果に基づく線量評価でございまして、それぞれ外部被ばくの線量評価と内部被ばくの線量評価、どちらも行っておりますけれども、平成19年の値をごらんいただきますと、昨年度18年度、あるいは12年度から18年度、あるいは運転開始前等の数値から見ても同じ程度の数値でございまして、特異な数値というものにはなっておりません。

以上により、19年度における環境放射線等の調査結果はいずれの項目につきましても特異なデータはなく、問題となるものは認められておりません。

それから、大きな2番で放射性物質の放出管理状況に基づく線量評価結果ですが、これは県と四国電力が安全協定を結んでおり、四国電力の努力目標値が年間7マイクロシーベルトという値になっておりますが、平成19年度はそれを下回る、年間0.034マイクロシーベルトという数値でございました。十分目標値を下回っていたということです。

最後に県としましては、愛媛県内の主要な道路の地点で、県内全域の自然放射線量率の分布の調査を行っておりますけれども、調査の結果、過去と同じように若干県北部や中部で線量率が高くなって、中南部で低くなって南部でまた高くなるというようなデータが採取できております。今後、こういったデータを引き続き拡充いたしまして、緊急時等における評価用の基礎データとして活用してまいりたいと考えております。

以上、19年度につきましては昨年度と同様、特異なデータ等というものはなかったということのご報告をさせていただきました。

(阪本水産課長)

続きまして、平成19年度の温排水影響調査結果についてご説明させていただきます。

調査の実施状況とその結果につきましては資料2としまして、調査結果の概要の表と、次のページからの報告書案にとりまとめております。

それでは、資料2の報告書の1ページをお開き願います。調査は愛媛県と四国電力がそれぞれ実施いたしております。県の調査分につきましては、従来どおり愛媛大学に調査を委託しておりまして、調査内容は表1の調査項目と調査方法の欄に記載しておりますように水質調査、水温調査など6の漁業実態調査を除く6項目につきましては、年2回~4回調査を実施いたしております。漁業実態調査につきましては、周年にわたって調査を実施いたしております。

それぞれの調査測点につきましては次のページの2、3ページに示しております。

四国電力が実施しております調査内容を4ページの表2に示しております。水温水平分布調査、鉛直分布調査、塩分分布調査、流動調査など14項目にわたる調査内容を年2回~4回実施いたしております。これらの測点につきましては、6ページの図3から20ページの図7にかけて示しております。調査結果の詳細につきましては報告書の21ページ以降に示しておりますが、資料2の1枚目の概要の表により説明させていただきます。

愛媛県が実施しました水質調査の結果を表の左半分のほうにお示ししております。表層水温は12.4から23.1℃。pHは8.2~8.5。CODは0.01未満~1.63mg/l。塩分は31.76~34.63。透明度は7~14mの範囲で推移いたしております。一方、四国電力が実施しました水質の調査結果、表の右半分のほうですけれども、表層水温は12.7~24.5℃。PHは8.1~8.2。CODは0.1未満~0.6mg/l。塩分は33.21~34.17。透明度は7.5~15m。DOは6.1~9.1mg/l。ヘキサン抽出物質、全窒素、全リン、浮遊物質等についてもお示しした数値の範囲内の結果となりました。

これらの数値は過去に調査結果と比較いたしまして、特に異常は認められませんでした。

次に、流動調査の結果ですけれども、県の調査では0~0.59m/sec。四国電力が0~0.69m/secとなっております。これらについても特に異常は認められておりません。

次に、放水口から排出されます温排水の拡散状況を見ますと、温排水の影響と考えられます1℃以上の水温の上昇の範囲は、県の調査では6月に0.03?、10月に0.11?となっております。一方四国電力の調査では5月に0.08?、8月に0.13?、11月に0.17?、2月に0.13?となっております。温排水の影響と考えられます1℃以上の水温の上昇は県の調査、四国電力の調査とも確認されましたが、その範囲は過去の観測値の範囲内でありまして、放水口付近の部分的な範囲にとどまっております。

また、四国電力が実施しました底質調査の結果は、調査を行ったpH、強熱減量、COD、全硫化物、密度のいずれの結果につきましても、過去の調査結果と比較して特に異常な数値は認められませんでした。

次に、その他の調査になりますけれども、県が調査しましたプランクトン沈殿量、動物プランクトン、植物プランクトンの乾重量についても、また四国電力が実施いたしました沈殿量、出現した種類など、過去の調査結果と比べても特に異常は認められませんでした。

次に、県の付着物調査の結果、それから四国電力が実施しました海藻調査結果につきましても、これまでと同様にクロメが優占種となっております。このほか、四国電力が実施しました魚類の潜水目視調査及び磯たて網によります捕獲調査、動植物プランクトン及び魚卵、稚仔魚の取水口への取り込み調査などの結果につきましても、異常は認められませんでした。

最後に漁業実態調査の結果ですけども、八幡浜漁協の有寿来、町見、瀬戸の3支所の漁獲状況は近年の傾向と変わりなく問題はないものと考えております。

以上、すべての調査結果につきまして特異なものはなく、問題はなかったものと考えております。

以上が平成19年度の温排水の調査結果でございます。

(高浜会長)

両調査結果につきましては技術専門部会でご検討いただいておりますので、濱本部会長から部会意見の報告をお願いいたします。

(濱本部会長)

技術専門部会として両調査結果について検討しました結果、「両調査結果とも、過去の調査結果と比較して同じ程度であり、問題となるものは認められない。」旨、意見を取りまとめましたので、ご報告いたします。

(高浜会長)

ありがとうございました。それでは、この調査結果につきまして何かご意見、ご質問ございましょうか。

(質問なし)

ご質問もないようですので、議題1、2の両調査結果につきましては、当委員会として「特に問題となるものは認められない」旨意見を取りまとめ、知事に報告させていただきたいと思いますが、ご了承いただけますでしょうか。

(異議なし)

それでは、そのようにさせていただきます。

以上が本日の議事でございますが、これからそれを終了しまして報告事項に移らせていただきます。最初は、平成19年度伊方発電所異常時通報連絡状況について、まず事務局から報告を願います。

(門野原子力安全対策推進監)

それでは、お手元の資料の3-1を使ってご説明申し上げます。

平成19年度の通報件数は合わせて48件ございました。このうち、国の報告対象となったものは1件でございましたけれども、お手元の資料3-1の37番、作業員の方が左手の指を負傷されたということで、労働安全衛生法に基づいて労働基準監督署へ報告がなされたということでございました。この1件がいわゆる国への報告対象事象でございました。

県の公表区分別に御覧いただきますと、右下の公表区分別でA、B、Cと書いてございます。Aと申しますのは、直ちに公表するものでございまして、これが7件。それから、通報連絡後に48時間以内に公表することとしておりますのがBで11件。そして、翌月にまとめて公表するC区分が30件という内訳でございました。このうちA区分の7件ですけれども、国に報告すべきかどうか、いわゆる国の判断に若干時間が要したということがございまして、お手元の御覧の下のほうですが、35番目と47番目ですけれども、35番目の制御バンクC、制御棒1本の位置表示の変動。それから、47番目の余熱除去系統B系統の異常。これは県としてはAとして公表いたしましたけれども、その後、国に確認しましたところ、最終的には国への報告対象事項ではなかったということでございましたけれども、この2件につきましては、国の最終判断に時間が要したためにAとして公表したものでございます。

それから、19年度にA区分で公表したもののうち、特に4番の湿分分離加熱器蒸気整流板の割れ。これと39番、同じく湿分分離加熱器の天板の割れと書いてございます。これらにつきましては溶接部の割れということでございまして、この機器そのものは管理区域の外にありますから、いわゆる国への報告対象にはならないということでございましたけれども、この湿分分離加熱器については、平成18年に1号機、2号機ともに新たに取りかえて、設置されていたのですが、このような溶接部の割れ、同様のトラブルが繰り返されていたということから、県としてはAの区分として直ちに公表したものでございます。なお、この湿分分離加熱器につきましては、本年の4月にも、溶接部の割れが見つかったということもございまして、四国電力として長期的な健全性に万全を期すとの観点から、すべて造り直して取り替えるというご報告をいただいております。

あと、異常の種類別に見てみますと、表の左下でございますけれども、やはり設備故障が多く、33件。それから、人の負傷、けが等が6件。地震の観測が1件。自然変動などが1件。落雷によって電圧が変化する系統ショックが3件。その他、人的なヒューマンエラーのなどが4件と、そのような状況でございまます。やはり設備の故障というものは毎年ありまして、通報があった設備異常につきましては、それぞれ原因を調査して同様な事象が繰り返されないように再発防止を徹底するよう、引き続き四国電力を指導してまいりたいと考えてございます。

(高浜会長)

はい。それでは、続いて四国電力から異常の原因、対策などについて報告を願います。

(四国電力(株) 石﨑原子力本部長)

皆様方には日ごろから伊方発電所の運営に関しご指導、ご理解いただきまして、この場をお借りしまして、厚くお礼を申し上げます。現在の発電所の状況でございますけれども、1、2号機は順調に運転をしておりまして、3号機につきましてはこの9月7日からの定期検査を継続しております。今後とも信頼される発電所を目指しまして、安全、安定運転の継続、情報公開の徹底に全力を挙げて取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。

本日は通報連絡の件、それから3号機のプルサーマル計画の進捗状況。それから耐震安全評価についてご報告いたします。

(四国電力 尾形安全技術グループリーダー)

お手元の資料3に基づきまして、ご説明させていただきます。

平成19年度伊方発電所の異常通報連絡事象について、一番目の通報連絡事象の分類につきましては、先ほど事務局よりご説明がございましたので、割愛させていただきます。

2番目の法律対象事象でございますが、通報連絡件数48件のうち、先ほど説明がございましたようにけがが1件ございましたが、設備に関します電気事業法、原子炉等規制法に基づく事故、故障等に該当する事象はございませんでした。

3番目、原因、対策の分類ということで、今回の通報連絡件数48件のうち、自然現象に起因するもの等を除きます設備の不具合36件につきまして、以下で原因と対策をとりまとめてございます。

まず(1)でございますが、36件を原因別に分類した結果が次ページの表2にお示ししてございます。原因といたしまして設計関係、製作関係、施工関係、保守管理関係、偶発的事象、人的要因に分類し添付資料にございます通報連絡の実績ナンバーを対応する欄に記載させていただいてございます。

続きまして(2)対策でございますが、これらの不具合箇所につきまして取替、補修を実施することに加えまして、各事象の原因調査に基づく対策といたしまして、設計、製作に起因するものは同一設計、製作を行った設備につきまして改良、改造を実施する。2つ目としまして、施工関係に起因するものに対しましては、同一施工要領を適応している設備について作業要領等の見直しを行う。3つ目としまして、保守管理関係に起因するものは、類似事象が発生する可能性のある設備について必要に応じて保守管理の見直しを行う。4つ目、偶発的事象については、必要に応じまして予備品を常備するということを基本としてございます。具体的に対策は下の表3にございますが、対策別に分類させていただいております。対策としましては、先ほど申し上げたような項目を左にお示ししまして、それぞれ通報連絡の実績ナンバーが右にございます。

続きまして添付資料でございますけども、添付資料の1が、平成19年度伊方発電所の異常通報連絡事象の一覧表でございます。添付資料2が、伊方発電所設備の不具合にかかる原因と対策の一覧でございます。最後のページになりますが、添付資料3が伊方発電所の基本系統図に先ほどの48の事象を発生場所別にお示しした図でございます。

(高浜会長)

はい、ありがとうございました。ただ今の報告について質問等ございますか。

(質問なし)

質問もないようですので、伊方発電所からのこの異常時通報連絡件数は、定期検査の時期でありますとか、自然現象などで増減はありますが、四国電力においては、さらに低減できるよう未然防止、再発防止対策を徹底をしていただきたい。また、関連企業も含めて関係者全員に安全意識を徹底して、作業等に従事していただくことを、強くお願いをしておきます。

続きまして、伊方3号機プルサーマル計画に関して、四国電力が本年4月からフランスのメロックス工場でMOX燃料の製造を開始しておりましたが、この9月24日に製造を完了したため、燃料の試験検査及び品質保証活動の結果をとりまとめた輸入燃料体検査申請書の補正を国へ提出しております。四国電力から試験結果等について説明をお願いします。

(四国電力(株) 坂井企画・サイクルグループリーダー)

伊方3号プルサーマルの進捗状況について、資料4に基づきましてご説明させていただきます。

当社は2010年度までの伊方発電所3号機におけるプルサーマル導入に向けて諸準備を進めてございます。

これまでの経緯を簡単にご説明させていただきますが、平成18年3月28日に原子炉設置変更許可を国からいただきまして、同年11月28日に三菱重工業との間でMOX燃料の加工契約を締結いたしました。その後、昨年9月10日に電気事業法に基づきまして、製造するMOX燃料の設計、試験検査の計画、品質保証活動計画の説明書等を添付いたしました輸入燃料体検査申請を行いました。また、メロックス工場での当社品質保証活動に関しまして、具体的な実施要領等の策定を進めますとともに、当社品質保証活動に従事いたします要員に対して必要な教育、訓練を実施し、充分な力量を有した要員を確保いたしました。必要な準備が整いましたことから、本年4月23日より当社MOX燃料製造を開始いたしました。製造中は、時期によって異なりますが、当社社員が3名~5名現地に駐在いたしまして、ペレット、燃料棒、燃料集合体の製造工程ごとの工程監査、立会検査、現場巡視を行いまして、MOX燃料製造に関する品質保証活動を展開してまいりました。

本年9月24日にMOX燃料21体の製造が終了したことを受けまして、当社は経済産業省に対し電気事業法に基づき、実施いたしました検査及び品質保証活動の内容を記載いたしました輸入燃料体検査申請(補正)を行いました。この内容につきまして添付資料に基づき、ご説明させていただきます。

はじめにというところは割愛させていただきまして、2ページ、3ページをお開きいただきたいと思います。まず、MOX燃料試験検査の結果ということを記載しておりまして、その内容を表1でお示ししております。項目といたしましては3ページに記載しておりますのはMOXペレット、被覆管、端栓、支持格子、上・下部ノズルにつきまして、これらの項目について立会検査、あるいは記録確認によって当社が検査をいたしまして、すべて合格となってございます。4ページでございますが、残りの制御棒案内シンブル、燃料棒、燃料集合体につきましても、同様にすべて合格ということでございました。

5ページでございますが、MOX燃料の製造にかかわる品質保証活動の結果でございます。5行目のところからご説明させていただきますが、当社は所定の力量を有しました社員がメロックス工場に駐在することにより、以下のとおり品質保証活動を実施いたしましてMOX燃料の品質に万全を期しました。なお、これら当社品質保証活動が適切に実施されていることにつきましては、第三者監査機関である仏国のビューロベリタス社の確認を受けております。まず、監査の内容でございますが、最初にシステム監査、これは、MOX燃料製造を実施するメロックス工場に対しましてシステム監査を実施いたしました。同社がISO9001:2000に基づいた品質保証体制を構築し、従業員教育やデータのセキュリティ管理等の、国の通達で要求されている評価項目についても問題ないことを確認しております。なお、元請の三菱重工及び三菱重工に対して部材を供給いたしました三菱原子燃料に対してもシステム監査を実施し、両者とも品質保証体制が適切に構築されていることを確認いたしました。これは、製造前に実施いたしましたシステム監査でございます。

次に工程監査でございますが、これはメロックス工場におけるMOX燃料製造におきましてMOXペレット、燃料棒、燃料集合体の製造工程ごとに監査を実施いたしまして、以下の点について確認をいたしました。まず、システム監査等を通じて確認いたしました品質マネジメントシステムが現場で適切に機能していること。製造関係書類に記載された内容が現場にて遵守されていると、この2点を確認しました。それから、(2)当社駐在社員による製造状況の確認でございますが、当社は製造期間を通じて社員をメロックス工場に駐在させましてMOXペレット、燃料棒、燃料集合体の製造工程ごとに検査を行っております。検査の内容につきましては、先ほどの表1のとおりでございます。それから、パトロールと称しておりますが、製造工程のところにまいりまして巡視点検を行うということをやっております。この結果、製品品質並びにメロックス工場の製造状況及び品質保証活動が適切に行われていることを確認いたしました。

資料4の本文の最後の3行でございますけれども、今後ともMOX燃料の輸送、取り扱い等の各段階における品質保証活動を確実に進めますとともに、引き続き地域の皆様との対話や各種広報媒体を活用した理解活動を継続してまいりたいと考えております。

(高浜会長)

ただ今の説明について何かご意見、ご質問ございますか。

(三島委員)

2点お聞きしたい。まず、四国電力の方に、社員が現地に行かれて、各工程ごとに監査を行われたということですけれども、品質保証活動として四国電力からメロックス社に対して何か指摘された事項とか、改善を要求した事項とか、そういうことはございましたでしょうか。それが1点。それから、今後、燃料を発電所に搬入し、燃料を装荷して、MOX燃料を使って運転が行われますが、それがどういうスケジュールで行われるのかということをお聞きしたい。それから、その段階で国は安全性をどういうふうに確認されるのかについてお伺いしたいと思います。

(高浜会長)

まず、四国電力さん。

(四国電力(株) 坂井企画・サイクルグループリーダー)

最初のご質問で、当社が現地で行った品質保証活動の中で指摘した事項があったのかということでございますが、契約上の守秘義務もございまして詳細は申し上げられないのですが、当社の行いました現場巡視での気づき事項に対する処置なども含めまして、メロックス社内で品質保証上必要な処置というのが行われており、これが適切に行われたということは、当社が監査の中で確認しております。したがいまして、当社へ納入されるMOX燃料の品質については問題ないと考えております。

2つ目の今後の計画でございますけれども、MOX燃料の発電所への搬入計画は現時点では未定でございます。したがいまして、原子炉への装荷とか発電開始についても、具体的な時期を今申し上げられる段階ではございませんけれども、当社としては2010年度までに伊方3号機で装荷できるよう、今後とも安全を第一に着実に進めてまいりたいと考えております。

(原子力安全・保安院 前川統括安全審査官)

私どもの制度といたしましては、我が国のほうに、発電所に陸揚げされていった後、燃料体検査という法律に基づく検査を行うことになります。ただ、これはできあがったものを見るということになりますので、現在、メロックスの製造の過程につきまして、いろいろ報告をいただいているというところでございます。これらを総合して、検査の合否を判定するということになります。 その後、燃料が原子炉の中に装荷されるということになります。

ただ、スケジュールにつきましては、四国電力から説明がありましたように、まだ未定でございますので、燃料が国内に持ち込まれた後にこういう検査を行うことになります。

(高浜会長)

ほかにございませんか。

このプルサーマル計画につきましては、各段階ごとに技術専門部会で確認を行うこととしておりまして、MOX輸入燃料体検査については、国の検査終了後、技術専門部会において技術的な内容を確認いただくこととしております。国、四国電力においては、MOX燃料の検査、輸送等の各段階で充分な安全性の確認や審査等を行うようお願いをいたしておきます。

それでは、次の報告事項に移ります。

国におかれては新しい検査制度を来年度から導入をすることとしておりますが、その内容について原子力安全・保安院から説明をお願いします。

(原子力安全・保安院 前川統括安全審査官)

本日は新検査制度につきまして、こちらの場でご紹介させていただけるということで、こういう機会を設けていただきましたことを、ありがたく思っております。

新検査制度、巷では定期検査の間隔が延びるというようなところだけが脚光を浴びて報道されているところがございますが、基本的には、安全を十分確保する上で、今までやっていた以上のことを要求していくということを考えておりますので、ぜひご理解を賜れればと思います。

お手元には資料の5-1と5-2ということで2つ配付させていただいております。

原子力発電所でございますが、お手元の資料5-1の2ページ目にもありますが、非常に多くの設備で成り立っています。ポンプ、バルブというような設備、トータルすれば千を超えるというようなことになってくるわけですが、これらが安全に機能する、そのためには正しくメンテナンスをするということが重要です。我々は、その中で事業者にメンテナンスを十分やってもらって、その結果を定検で確認をするということをやっていました。定期検査は13カ月ごとでございますが、千を超えるような機器がそれぞれどの時期に点検しているかというと、毎点検ごとにすべてを見ているわけではありません。それを計画的に確認をしていくということになります。確認内容は劣化等の進み具合を見ながら、消耗品を交換するというようなことをやりますが、検査はその部分は見ません。今のところは、これは事業者の仕事であり、それを前提として組み上がった状態が正しく機能するのかというところを検査でやっていた次第です。

検査といいますと、いろいろな検査がございますけど、このように私どもは13カ月ごとに設備の善し悪しを確認するための定期検査をやってございます。それから、安全というのは設備がよければそれだけではないと思います。やはり正しく運転をする、決められたことは守るということが重要でございます。そういう意味から、決まり事を正しくやっているのかどうかということを、年の4回の保安検査で行ってございます。これにつきましては現地の保安検査官事務所のメンバーによりまして、厳しく確認をさせていただいているところでございます。

このような制度でございますが、私どももやはりこれまでもいろいろ改良をしてまいりました。1つの改良のきっかけとなるのは、事件としては、どうしてもJCOの事故でございます。JCOの事故の前には、我々には設備しか見ない定期検査しかなかったんです。そういう状態にあったときに、いつの間にかバケツで核燃料物質を扱ってしまうというようなやり方の内部変更があって、それを国が見ていないというような状態がありました。これはやはりよろしくないということになりまして、私どもは保安検査というものをつけ加えました。その後、平成15年の改良でございますが、これは前年の14年に東京電力でございますが、内部検査記録を改ざんして、実は割れがあるのにないように振る舞ってしまったという事実がありました。これも踏まえて私どもとしては、先ほど説明をした中の最後のところだけチェックすればいいではないか。その前は事業者に任せていたところを、その任せる記録を後ほど見て、問題があったらそれは罰するというような制度のために、定期安全管理検査、定期事業者検査というような内容を追加いたしました。さらにはそのためには品質保証というような内容も強化をしてきたというのが、これまでの経緯でございます。

今回、新たな制度として考えておりますのは、こういう制度に加えまして、伊方1号も30年になりましたが、今後はトラブル、過去のトラブルとか高経年化という設備問題について、現在、55基軽水炉がございますが、これを国が一律に検査するというわけではなくて、事故のあったものもあればないものもあるわけでございますので、こういうもの履歴を踏まえて適切に保全がなされているのかと、そういうことを確認していくべきであろうと。すべて事業者に任せていたところを、そこをもう少々強化すべきではないかということが新たな検査制度のポイントの1点でございます。このポイントについて2点目に引き続き書いてございますが、その制度としては事前に我々も確認をしていくという形で、国の関与度合いも深めていこうというのが2点目です。

3点目はこのような検査ですが、一応停止しているときに確認をするということにこれまでは集中していたわけでございますけど、運転中の確認もできる技術開発がいろいろありますので、こういうものはできるのであれば技術を有効に使い、安全をより確保してほしいということで、運転中の検査も深めていこうと考えてございます。

その結果といたしまして、事前に一番上では保安規定の許認可の中でそのやり方、その保全のやり方の基本的な方針を認可し、それを踏まえて毎サイクルごとにどんなことを保全するのか、いわゆるメンテナンスをしていくのかいうことを国に事前に届けてもらいます。さらには、運転中の確保というようなことも強化をしていくということで制度を強化しようとしてございます。検査というよりは事業者の保管、保全を強化するというような面が非常に強い制度でございます。

では、事業者においてどんなことがやられるのかということになりますが、メンテナンスでございますけど、今までの状況は実を申しますと13カ月の運転というものを考えたときに、より効果的にやるためには検査の期間を減らしたい、定期検査の期間を減らすというような方向を思考していたのは事実でございます。そのために何をするかといいますと、とにかく交換するものはさっさと用意して交換しちゃえと。どんなところが劣化が進んでいるのだろうというような科学的なアプローチというよりは、当然時間が来たら電球を交換していくようにさっさと資材を調達して、そのまま交換する。その時間をどんどん減らして、最後の国の検査で全部問題がなければいいじゃないかと、こういうようなことを進めてきていたところがあります。これではさらによくするための根拠がないわけです。科学的な根拠がないということは劣化がどれだけ進んでいるのか。そのためには何をしなくちゃいけないのかというアプローチにつながっていきません。このために今回はここを強化していきたいと考えてございます。

まず、計画を立ててそれに基づいて点検をする。点検の内容としては手入れをする前の状態をより見ていただく。記録をとる。それを踏まえまして科学的に何がよくて何が悪くて、より保全を確保するためには何をするのかというようなことを考えていただくという制度でございます。

例えば一例として、資料では21ページですが、ポンプでございます。ポンプで劣化が進むというところとしては、中でぐるぐる回っている羽根車があるわけです。これは水をかき出しているところですが、じゃあケーシングはというと、これは動きません。動いているものと動かないところはすり合わせるようなリングがございます。ライナーと言ってございますが、こういうところが劣化していくというのは当然でございます。これについては現状で、例えば4年に1回点検をしている、計画的にやっていると。今まで何とかもっていたのでしょう。けれども、それをよく見てみるとライナーの傷とかそれを正しく見ていけば、これはもうちょっと劣化が早いんじゃないかと。そうすると4年で1回確認しているというのはやはりおかしくて、それは3年に1回ごとに見てもらうというようなことで見直しを図っていくということは必要になるわけです。これは短くなるケースでございますが、長くなるということもあり得るわけでございます。

さらに先ほどごらんいただいた資料からどういうところが強化されていくかということの資料でございますが、部品の取りかえ等については事業者が行う。国としては、その計画を事前に届け出ていただいて、その内容を確認する。それから、劣化の進捗の把握状況も評価していくというようなことが追加になります。追加になればどっか手を抜くのかということはございません。設備動作の機能の確認につきましては、これは今後とも、国として厳しく検査をしていきたいと思ってございます。

以上が、今回の新検査制度の根幹の、保全を強化していくというところの内容ですが、もう一点は、話題の定期検査が延びるというポイントについてのお話しでございます。

向かって左側が現状、向かって右側が今後ということになります。先ほど申しましたように、科学的なデータをもって、それぞれの機器の点検のインターバルというのは決まってくるとすれば、この中でどうしても原子炉をとめて確認をしなくちゃいけない時期というのが出てまいります。現在、それは13カ月ということで一律でやってございますが、それぞれの機器をそれぞれに評価していけば、もう少々延びるものもある。短いものも、もしかしたら出てくるかもしれないということになります。これらのミニマム値というのが、実は原子炉をとめて確認すべきインターバルを構成すると私どもは考えます。そうしますと、結果といたしまして、より正しい時期に何をしなくちゃいけないのかということは明確になり、それを積み上げることによって原子炉をとめて確認しなくちゃいけない時期というのが科学的に定まってくると私どもは考えました。これを踏まえますと、定期検査間隔が延びることもあり得ると、私どもは考えています。

結果といたしまして、国といたしましては、今後13ヶ月ごとの点検の区分を、18ヶ月、それから24ヶ月という区分をつくっていきたいと考えているところでございます。

結果といたしまして何が安全に貢献するかということになりますが、26ページの資料でございますが、のこぎりの歯のような絵をかかせていただいております。どうしてもものを保全していくということになりますと、最初に手入れをすると何かごみをかみこんでしまったり、初期の故障ということがあり得ます。現実にこれはございます。そうしますと止める毎に若干故障率は上がっていくということになります。これを減らすためにということは、もちろん注意深く作業をするということも大事ですが、むだな分解点検をするというようなことは避けたほうがよろしいということが言えます。のこぎりの歯が1つずつ減らすことも可能になるということが1点言えます。さらに今回取り入れております保全についての科学的アプローチをすることによって、上の絵では高めにあったのが、全体として低くする努力ということができていくと思います。こういうアプローチをすることで、より緻密で科学的な保全を行うことにより、この話題の前にご紹介がありましたような保守点検のために発生するいろいろなトラブルもございますので。こういうトラブルをできるだけ下げる努力ができていくと思ってございます。より明確な方法論に基づいて、下げるアプローチがされていくと考えているわけです。このような形で安全はより確保されていく、または、させていかなければいけないと、私どもは思っている次第です。

今後充実していく活動でございますが、このように点検をするということに目的があるのではなくて、さらにその前に点検、手入れ前のデータをとって劣化がどれくらい進んでいるかということを、より充実させてもらうと。結果といたしまして、何を次にしなければいけないかということがわかってくる。さらには運転中の状態を監視する。例えば、振動を今までであれば職人芸でございますけど、聴診棒という長い棒で当てながら音を聞いていたのですが、これを周波数分析というようなコンピューターを使った分析をやってみれば、より明確な判断ができるようになっていくという技術ですとか、赤外線サーモグラフィというビデオカメラで撮るようなものでございますけど、温度の高いところは赤くなると、例えば蒸気の流れる配管にバルブで、現在とまっているはずで蒸気は流れていないというところが、とってみると赤くなっているとすれば、どこからか蒸気が漏れているということが外からわかるわけです。こういうことを踏まえていけば、運転中の確認をしていくことで、より早く手を打って、その保全につなげていくということもできるということです。こういうことは、1つ1つは経験でございます。我々今後進めていかなければいけないところですので、その経験を踏まえるということになれば、ただ四国電力1社だけではなく、全国レベルでそういうデータを収集し整備し使い合うという環境の強化ということもしていかなくてはいけないと、私ども考えてございます。

以上のような状況の中でまとめでございますが、これまで一律の検査ということから、今後はどうしても1個1個のトラブルの経歴も違います。それから高経年化のレベルも違います。こういうものを考えたときには、どうしてもそれぞれのプラントにあった保全の計画をつくってもらって、それに基づいて維持、管理をしてもらうと。その内容は国としては事前に確認をしていこうと思ってございます。さらには新しい技術も踏まえて、全体の故障率を減らすという努力を深めていくということで今後対応をしていきたいと、このための制度でございます。

現在申し上げました制度につきましては、実は8月の29日に省令の改正を行いまして、来年の1月1日から大枠の基本的な方針を認可しようと思ってございます。適用については、来年の4月以降に始まります定期検査から、この内容を適用していきたいと考えてございます。

まず、私どもが各電力に指定する定期検査の間隔は13カ月です。これは変えません。その後、ここにあるようなアプローチをして記録を提供しデータをそろえて、それが十分定検の間隔を延ばすに値するかどうかということを私ども審査をいたします。その結果を踏まえて次18カ月というようなことを、一歩一歩進めていくという制度でございます。決して最初から延ばすというものではなく、まず13カ月という前提で今後も進めていただきますが、ただ努力して、そういう方向を強化していただければ、延ばすこともでき得るという制度になったというところです。

(高浜会長)

ありがとうございました。ただ今の報告についてご意見、ご質問ございましょうか。

(岡崎委員)

私たち地元にすれば、30年経つとか、MOX燃料を入れるとか、いろいろあって、そして先ほどの説明もあったように、まだかなり多くのトラブルがあり、中でも保守点検とか管理の部分での報告は多かったと思います。そういう中で、なぜ延ばしても安全と言えるのかなというのが、ちょっと納得しがたいのですけど。

もっとちゃんとこれとこれがクリアされて、それが安全だったからという、きちっと提示されてからでないと。ただ、こうやったら安全になるだろう、だから延ばしてもいいよというのは、ちょっと地元に住んでいる者としては心配かなという気持ちがあります。

(原子力安全・保安院 前川統括安全審査官)

ご指摘の点は、現時点で定期検査間隔を延長するための情報が不十分である、納得いかないと、こういうお話しだと思います。

今回、新検査制度として枠組みをつくりました。この枠組みを実運用して行く中で、納得できるデータを四電は出すべきです。データを出すような努力をこのような方向性でやっていただければ、私どもとしても判断ができると思い、この制度をつくったわけです。

ですから、今後本当に延長するということになりました際には、四国電力のほうのデータを私どもが確認し、その審査をした結果として、延ばす延ばさないの判断をさせていただきたいと思います。その際には、どういう評価の上で判断したかということを説明できるかと思います。ただ、方向で言えば、先ほどご紹介いたしましたように全体、やはり努力はしているのですけど、なかなか下げ止まっていない故障の発生をさらに減らしていける方向は、やはりこの道しかないんだろうと、私ども思ってございまして、その上でこの制度の枠組みをつくったつもりでございます。

今後の審査結果は、またご要望があれば、ご説明申し上げるようなチャンスもあろうかと思いますので、今後も私ども規制側の責任として、説明が必要であれば説明させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

(岡崎委員)

本当に専門的な部分については私本当にわからないのですけど、やはりいろんなことをやってみて安全だった、だから延ばしてもいいというならともかく、まだやっていないうちに何で先延ばすっていう議論が出てくるのかなというのが、多分みんな思っていることと思います。まずやって、その実績を示していただいてからというのが、地域に住んどる者にとっては、一番納得のできるやり方ではないかなと思うので、国のこういう方針にはちょっと違和感を覚えるというのは、正直なところです。

やっぱり絶対的に安全であってほしいということと、今、まだこうやって作業点検とか保守点検の中でいろんなトラブル件数があるので、まずそこをきちっと見直していただいて、そういうものの実績があがってから、延ばすよと言ってもらうのが、私たち地元にすれば一番ベストな選択なのではないかと思って言わせていただきました。

(高浜会長)

ほかにございませんか。

それでは、地元の岡崎委員さんからのお願いもございました。そういうこともしっかり踏まえていただきたいと思います。

この新しい検査制度については、発電所の安全性向上ということを最優先にして厳格に運用してもらいたい。それから、検査制度の変更の効果については、なお一層国民や県民に、わかりやすく説明をしていただくように要請をしておきたいと思います。

(高浜会長)

それでは、続きまして報告事項の4番目になります伊方発電所の耐震安全性評価の中間報告及び中越沖地震を踏まえ、耐震安全性評価に反映すべき事項についてご説明をいただきたいと思います。まず、原子力安全・保安院から説明をお願いします。

(原子力安全・保安院 天野安全審査官)

資料は資料番号6-1でございます。本日ご説明させていただく内容ですけれども、まずこの場では耐震バックチェックに関する保安院の対応についてご説明をさせていただくのは初めてかと思いますので、若干経緯等についてご説明させていただきます。その後保安院における審議体制、それから調査についてご説明をいたしまして、今回の中心となる新潟県中越沖地震の知見の反映ということをご説明させていただきます。

それでは、まず新耐震指針とバックチェックについてでございます。耐震設計審査指針の改訂の目的及び経緯でございますけれども、この指針は原子力安全委員会が策定しているものでございます。この指針の改定の経緯でございますけれども、平成7年に兵庫県南部地震が起こりました後、地震学、耐震設計に関する技術、そういったもののめざましい進歩がございました。改訂の目的といたしましては、そういった最新の地震学や耐震工学の成果など、最新の知見を取り入れて発電用原子炉施設の耐震安全性及びその信頼性等のより一層の向上を目指すものでございます。長い検討を経まして最終的に平成18年9月に新耐震指針が決定してございます。

新耐震指針のポイントとして簡単にご説明させていただきますけれども、左が旧指針、右が新指針でございます。キーワードといたしましては、より厳しい水準、それから、より入念な調査を求めると。それから、より高度な手法を採用すると。先ほどの目的に照らした内容として、こういったことを要求しているものでございます。

保安院の新耐震指針への対応ということですけれども、伊方発電所を含めまして既設の発電用原子炉施設に対しまして、先ほど申しました最新の地震学あるいは地震工学の成果に立脚して、耐震安全性及びその信頼性等のより一層の向上を確保するということで、私どもとしましては、この新指針に照らした耐震安全性評価、バックチェックと申しておりますけれども、これが非常に重要だと認識しております。このため、指針が改定される前からバックチェックの具体的な手法ですとか、確認基準の策定につきまして半年程度かけて準備をしてまいりました。そして、指針が出された翌日の平成18年9月20日にバックチェックの指示を各電力会社にしております。その後、中越沖地震等ございまして、事業者に早期にバックチェック結果を提出するよう要請いたしまして、昨年度末、本年3月ですけれども、各社から保安院に中間報告書が提出されたわけでございます。また、今後、最終報告について新潟県中越沖地震の反映事項も踏まえまして、各社から報告を受ける予定でございます。

それでは2つ目として保安院におけます審議体制と調査についてでございます。新耐震指針に基づく確実かつ迅速なバックチェックの実施ということでございまして、まず左側の事業者の対応ですけれども、新耐震指針に基づくバックチェックを実施するということで、中越沖地震を踏まえた詳細な地質調査や新たな地震動の策定、それを受けました建屋ですとか機器の安全性の評価、それから、耐震安全性向上対策といったものを実施しておりまして、19年度末に中間報告書を提出しております。

右側の保安院の対応でございますけれども、このような事業者の対応を受けまして、保安院では専門家の審議による厳正な確認に加えまして、独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)による安全解析も考えております。また、これが重要だと考えておりますけれども、中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所におきまして大きな揺れが生じたことから、この要因の分析を専門家のご意見をいただきながらとりまとめて、それを各原子力発電所の耐震バックチェック作業に反映すべく、その内容を事業者に通知するといったことも行っております。また、必要に応じ海上音波探査の実施ということで、伊方発電所の敷地前面海域でも保安院による海上音波探査を実施しているところでございます。こういった保安院による確認結果につきましては、原子力安全委員会へも報告し、ご審議をいただくこととしております。

バックチェック結果の審議体制ですけれども、バックチェックの確認作業については国では耐震・構造設計小委員会という委員会を設置し、ここで3つのワーキンググループを設けております。地震と津波のワーキング、それから地質と地盤のワーキングにつきましては、これはまとめて合同ワーキングという形で検討を行っております。それから、施設の耐震安全性評価については構造ワーキングということで、体制を組んでおります。このうち、バックチェックの中間報告の妥当性確認に当たりまして、対象施設が多くございますので、この検討を円滑に進めるという観点から、合同ワーキングと構造ワーキングにそれぞれ3つのサブグループを設けております。伊方発電所につきましては、各Aサブグループが担当でございまして、この中で8回~9回、それぞれのサブグループでの審議を精力的に実施しておるところでございます。

このサブグループでの検討に当たりましては、中間報告の内容につきまして耐震安全性評価に重要となるポイントを抽出し、その抽出した内容については、専門家のご意見もいただきながら集中的な検討を行っておりまして、半年程度を目途に評価結果をとりまとめて上位のワーキングに報告することとしております。下に審議のポイントとして地質・地質構造、あるいは地震動の策定、施設の耐震安全性評価といったポイントを掲載しています。

また、保安院による伊方発電所敷地前面海域の海上音波探査につきましては、関係者のご協力もいただきまして、前面海域に存在する断層構造形態の把握のため、このような8本のデータを取得して、現在、解析評価作業を実施中でございます。

3つ目、中越沖地震からの知見の反映でございます。まず、昨年12月末の時点におきまして、その時点で得られました中越沖地震による知見につきまして、下のような内容として中間的にとりまとめ、12月27日に事業者に通知するとともに原子力安全委員会にも報告しております。内容としては下に記載のとおり、地震・地震動の評価、地質・地質構造の評価、地震動評価の応答解析に関する事項でございます。

その後、中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原子力発電所で大きな揺れが発生した要因の分析を実施してまいりました。その結果、大きな揺れの要因は今回の地震の震源特性と本地域の地下構造の特性によって、柏崎刈羽原子力発電所で生じたことが明らかになりました。

この分析結果から、下に示しておりますような内容をとりまとめておりますけれども、具体的には、各発電所ごとに震源の特性や地下構造を適切に評価するということ。それから、実際の地震の揺れの記録は震源の特性などが反映されたものであり、地震の観測記録をしっかり分析するといったようなことは重要であると考えております。これらについては他サイトのバックチェック作業に反映すべき事項として、本年9月4日付けで事業者に通知するとともに原子力安全委員会に報告しております。全国の原子力発電所の耐震バックチェックにおきまして、これまでに示した事項が適切に反映されているかどうかについて、専門家の意見を聞きながら厳正に確認してまいる所存でございます。

まとめさせていただきますけれども、四国電力から提出された中間報告、今後提出される最終報告の結果の妥当性について、当院が自ら実施する調査結果も踏まえ、厳正に確認してまいります。また、中越沖地震により得られた知見のうち伊方発電所においても反映すべき事項については、適切に反映されていることを、専門家の意見を聴きながら厳正に確認してまいります。

(高浜会長)

続きまして、四国電力から中間報告の概要について説明をお願いします。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

資料6-3に従ってご説明させていただきます。伊方発電所耐震設計審査指針の改訂に伴う耐震安全性評価結果中間報告書の概要についてでございます。

2ページには経緯を書いてございますけれども、上から平成18年の9月20日、それから19年の7月20日、19年の12月27日と先ほど保安院の方からご説明のありました経緯で国のほうからもいろいろと指示が出ております。これらを受けまして平成20年、今年の3月28日ですが地質調査結果、基準地震動Ssの策定結果、それから伊方3号機における主要施設の評価結果など、これまで実施してきた耐震安全性評価に関する中間報告をとりまとめ国に提出いたしました。

3ページの中間報告のポイントについて書いております。全部で3つございますが、1つ目が新耐震指針に照らして評価した結果、新たに考慮すべき大規模な断層はありませんでした。それから2つ目ですけれども、基準地震動の最大加速度は570ガルとなりました。この基準地震動に最も影響がある地震はこれまでと同様、敷地前面海域の断層群による地震です。それから3つ目でございますけれども、安全上重要な機能を有する主要な設備や、原子炉建屋等の耐震解析を実施し、耐震安全性は確保されていることを確認しました。

4ページでは、耐震安全性評価の流れについて書いております。流れは上からA、B、Cと3つの流れになっておりますが、まずAとして地質調査の実施、活断層の評価を行います。この後Bで活断層評価に基づく基準地震動Ssの策定、そしてCで策定した基準地震動Ssに基づく施設等の耐震安全性評価を行っております。この各々のステップに関しまして、新潟県中越沖地震を踏まえた耐震安全性評価に反映すべき事項を反映していくこととしております。

地質調査の概要について6ページに書いてございますが、まず1つ目といたしましては、半径30km以内の地形調査、2つ目で半径5km以内の地表地質調査、7ページに、3つ目で海域の音響測深、それから海上音波探査等を行っております。4つ目でございますけれども、屈折法地震探査による地下深部の速度構造の調査、それから5つ目ですが、重力測定による地下深部の密度構造の調査、6つ目といたしまして、陸域の中央構造線断層帯を対象とする調査などを行っております。

では、活断層の評価にまいります。

9ページのところに耐震安全性評価における考え方のポイントをまとめておりますが、ここでは新耐震指針や中越沖地震を踏まえ反映すべき事項などを考慮しながら、安全側に評価を行っております。考え方のポイントでございますが、下にa、b、c、dと4つございまして、まずaでございますが、活断層評価対象期間が5万年から12~13万年前までに変更になったもの。それからbですが、複数のセグメント間における破壊の伝播を考慮したもの。それからcですが、変動地形学的調査等の調査手法によるもの。それからdですが、不確かさを考慮した安全側の評価ということになります。

10ページに新耐震指針に照らした活断層評価をまとめております。ここでは耐震安全性評価において考慮した断層について書いておりますが、まず赤で42kmと書いておりますけれども、これが敷地前面海域の断層群でございます。それから上のほうに広域の地図を載せておりますが、中央構造線で長さ130km、360kmのものについても評価しております。それから、伊方敷地の南のほうにありますが五反田断層というもの。それから宇和海のF-21断層というものについても評価しております。

11ページお願いいたします。以上の評価をまとめましたものが、この表でございます。まず(1)といたしましては、敷地前面海域の断層群でございますが、断層の長さは42km、地震動評価上の規模はマグニチュード7.6と評価されております。それから中央構造線の断層帯でございますが、長さが130km、もしくは360km。これはマグニチュードにいたしますとM8、もしくはそれ以上ということになっております。

それから、2つ目の五反田断層でございますが、これは長さ2kmと短うごいますが、マグニチュードといたしましては、6.8という設定をして評価しております。3番目のF-21断層につきましても、これは設置許可当時の長さとして8.9kmというのがございますけれど、これについてもマグニチュードは6.8と設定して評価しております。

次に、基準地震動Ssの策定です。15ページには参考といたしまして、地震のメカニズムについて書いております。地震には大きく分けまして海洋型の地震と内陸地殻内地震があります。海洋型の地震としてはプレート間地震と、それからスラブ内地震というのがあります。それから内陸地殻内地震はプレート内部の岩盤が壊れ、ずれることで生じる地震のことを内陸地殻内地震と言っております。

敷地に特に大きな影響を及ぼす検討用地震の選定についてでございますけれども、これは地震発生様式ごとに検討用地震を選定しております。下のほうに結果を書いてございますが、これはまた後ほどご説明いたしますので、ここでは飛ばさせていただきます。

最初に内陸地殻内地震について評価しております。内陸地殻内地震につきましては、敷地前面海域の断層群を含む中央構造線断層帯による地震が、他の敷地周辺の断層による地震と比較して、敷地により大きな影響を与えることが確認されております。右にグラフがありますけれども、これは横軸に周期をとっておりまして、縦軸に加速度を書いたものですけれども、ここに書いておりますグラフの高さが高いほうが、伊方の敷地に与える影響が大きな地震ということを表わしております。ここに五反田断層とか宇和海の断層を書いておりますけども、やはり一番大きな影響を与えておりますのは、グラフの一番上にあります赤い地震、敷地前面海域の断層群ということが確認されましたので、これを選定しております。

内陸地殻内地震といたしましては、もう1つ、先ほどの中央構造線断層帯の活動を考慮しての検討というのもございます。これは、中央構造線断層帯の長さを42km、それから130km、360kmの3つのケースについて検討したものです。右の図に結果を載せておりますけれども、いずれの長さ、42kmとか130kmの長さの結果のグラフというのはほぼ重なっておりまして、断層の長さが長くなっても敷地への影響は変わらないことを確認いたしております。

今までは内陸地殻内地震の評価でございましたが、ここは後の発生様式としてプレート間地震がございます。プレート間地震としては、想定南海地震を選定しております。それから、海洋プレート内地震につきましては、想定敷地下方のスラブ内地震を想定しております。マグニチュードは7.0と想定しております。

まとめた結果によりますと、内陸地殻内地震としては敷地前面海域の断層群による地震で長さ42kmのもの。それから、プレート間地震としては想定南海地震、これがマグニチュード8.6。それから海洋プレート内地震につきましては想定敷地下方のスラブ内地震、マグニチュード7.0を想定しております。

21ページ、このようにして求めました断層につきまして、震源を特定し策定する地震動というものを評価いたします。評価には応答スペクトル法というものと断層モデルという2つの方法で行うというふうに定められております。このページでは応答スペクトル法によるものを書いておりますが、応答スペクトル法によって求めた、例えば緑ですと、海洋プレート内地震、それから青ですと想定南海地震、赤の破線が内陸地殻内地震ですけれども、やはり敷地に大きな影響を与えるものは内陸地殻内地震ということがわかります。赤の実線がございますが、これは内陸地殻内地震に不確かさを考慮した場合の地震の強さを表わしたものでございますが、不確かさについては、後でご説明させていただきます。あと、黒で書いておりますのが旧指針に基づく基準地震動S2を示したものでございます。

先ほどのは応答スペクトルに基づく方法ですが、22ページは断層モデルを用いた手法による地震動評価でございます。やはり同じく海洋プレート内、それからプレート間地震等について評価したものでございますが、断層モデルについては方向性が出てきますので、太い線が東西方向、それから細い線は南北方向のグラフを示したものですが、やはり断層モデルによりましても、内陸地殻内地震のものが敷地に一番大きな影響を与えるということがわかりました。

23ページ、先ほど不確かさを考慮したということをご説明いたしましたけれども、まず応答スペクトルに基づく地震動評価の中で不確かさというのは、これは敷地境界としての中央構造線が北に傾斜していることを考慮しまして、断層面を傾斜させて地震規模を大きくする不確かさを見ております。まず、左のほうが基本ケースと書いておりますけれども、敷地前面の約7.8kmのところに断層がありまして、これは長さ42km、深さ13km、それから伊方の場合は横ずれ断層ということですので、断層の角度は90度ということで断層面を想定しております。この場合、マグニチュードは7.1という評価になりました。一方、不確かさの考慮といたしまして30度傾斜の断層面を考慮しております。こういたしますと深さ13kmは同じですので、断層面の面積は倍になりまして、マグニチュードは7.6ということで、不確かさとしては30度傾斜モデルを考えております。

24ページ、先ほどのは応答スペクトルに基づく、応答スペクトル法の不確かさですが、断層モデルについても不確かさを見ております。断層モデルについても、基本モデルとして長さ42km、深さ13kmというものを想定しております。断層の傾斜角は90度というのを基本モデルとしております。この図の中でオレンジ色に塗っているところがありますが、ここはアスペリティ、周囲よりも強く固着している部分でございまして、周囲よりも大きな地震波を出す領域をアスペリティと呼んでおります。基本モデルについては、このアスペリティをこういう位置においたものを基本モデルとして考えております。

不確かさの考慮を3つしておりますが、まず右側に行きまして不確かさの考慮(1)といたしましては、このアスペリティを一番上に、上端にもってくるという、これは敷地に近くなりますので、不確かさとして地震動が大きくなる方向で考慮しております。それから、不確かさの考慮(2)といたしましては、先ほどと同じように断層傾斜角を30度にとりまして、地震動を評価しております。それから、不確かさの考慮(3)といたしましては、30度傾斜モデルでアスペリティを最上端にもってくるという評価をいたしております。以上が断層モデル法を用いた不確かさの考慮でございます。

25ページ、今までは震源を特定して策定する地震動についてですけれども、もう1つ震源を特定せずに策定する地震動を評価するということが要求されております。敷地周辺における震源を事前に特定できない地震の最大規模は加藤ほかが提案した地震基盤における地震動レベルがありまして、これを、震源を特定せず策定する地震動として設定しております。その論文による応答スペクトルは右の下のほうに書いている図面でございます。このグラフが震源を特定する地震動として、今回は評価しております。

以上のものをすべて考え合わせまして、基準地震動Ss-1Hというものをつくっておりますが、このHは水平方向という意味でございます。Ss-1Hというのは今まで策定した地震動と、さらには旧耐震指針に基づく基準地震動S2をも包絡したものとして設定しております。この作り方を左のグラフのほうに書いておりますけれども、このグラフのほうで下のギザギザしたものとか、富士山型のグラフがあると思いますが、今まで策定しました応答スペクトル法による応答スペクトル、それから、断層モデルによるスペクトル、これらをすべてここに書き込んでおります。灰色で書いておりますのが、旧指針に基づくS2のスペクトルでございます。黒の実線が今回策定した基準地震動Ssでございますけれども、この黒の基準地震動については下のほうにございますスペクトルをすべて包絡する形で引きました。こうやって求めたものが基準地震動Ss-1Hでございます。

27ページでございますけれども、基準地震動Ssについては、先ほどの1Hに加えまして、Ss-2というものを作っております。これはなぜかといいますと、敷地に与える影響の観点から地震動の周波数特性、それから位相特性等を考慮して、断層モデルを用いた手法によりまして設定しておりまして、この断層モデルの手法は先ほど申し上げましたように、方向ごとに結果が出てまいりますので、NSという南北方向、それからEWという東西方向の結果が出ております。このSs-2についてはこのグラフにもございますように、青と緑の線がSs-2ということになっております。

以上のようにしてSs-1とSs-2という2つのものを策定いたしました。

このようにしてSsを策定いたしました後、これに対する地震波をつくっております。左側に地震波の波形があると思いますが、地震波といたしましては左の一番上がSs-1Hに対する地震波形でございまして、最大加速度は570ガルとなっております。それから、その下の2つが断層モデルによるものSs-2です。上側がSs-2NSで南北方向、それから下側がSs-2EW東西方向でございまして、南北方向については最大加速度が318。それから東西方向は298となってございます。

こうやって求めた基準地震動につきまして施設との耐震安全性評価を行っております。

30ページ、まずは安全上重要な建物、構築物の耐震安全性について評価を行っております。伊方3号機の原子炉建屋及び原子炉補助建屋について地震応答解析を実施しております。下のほうにモデルを書いてございますが、左のほうが原子炉建屋のモデル、それから右側は原子炉補助建屋のモデルですが、こういうモデル化をして、この基盤に地震動を入力して、建屋がどういう応答をするかという計算をしております。

31ページに結果を書いておりますが、まず左側の結果が原子炉建屋の例でございますが、最大せん断ひずみとしては0.63×10-3という結果になりました。それから右のほうが原子炉補助建屋ですが、最大せん断ひずみが0.84×10-3という結果になっております。いずれにつきましても、評価基準値は下にも書いてありますように2.0×10-3ですので、最大せん断ひずみは評価基準値を満足しており、耐震安全性が確保されていることを確認しております。

以上が建屋の評価でございましたけれども、次は安全上重要な機器、配管系の耐震安全性評価でございます。対象は伊方3号機でございまして原子炉を止める、冷やす、それから放射性物質を閉じ込めるといった安全上重要な機能を有する耐震Sクラスの主要な設備について評価しております。下に(1)から(8)にございますように炉内構造物、それから制御棒、それから最後は格納容器といった、非常に重要な機能を有する機器について評価をしております。

33ページ、基準地震動Ssによる応答解析を行いまして、その結果を評価基準値と比較することによって評価を実施しております。

34ページには評価結果を書いております。上の表が構造強度の評価結果、それから下にありますのが動的機能維持評価ということですが、構造強度の評価につきましては、炉内構造物から蒸気発生器、一次冷却材管というふうに評価をしております。発生値というところと、それから右の評価基準値というところを比較していただきますと、発生値のほうが評価基準値より小さくなっておりまして、これは評価基準値を満足しておるということが確認されました。

あと動的機能維持というのは、制御棒の挿入性ですけれども、これは制御棒が2.5秒以内に挿入されるということが必要でございますが、今回の基準地震動発生時でも挿入時間は2.03秒ということで、地震時の動的機能も維持できていることが確認されました。

35ページ、今後の予定でございます。伊方3号機の耐震安全性評価につきましては、本年7月末までに報告書を提出することとしておりましたが、新潟県中越沖地震の知見を踏まえた具体的な評価事項について、保安院において検討が継続されていることから3号機の耐震安全性評価結果の報告を延期することといたしております。その後、保安院から具体的な評価事項についての通知が出されておりまして、現在は、それらに対する検討を行っております。検討結果がまとまり次第、3号機の耐震安全性評価を報告する予定です。伊方1、2号機についても3号機に引き続き耐震安全性評価を行っていきます。あと現在新耐震指針の趣旨を踏まえ、耐震安全性に関する信頼性を一層向上させるとの観点から、既に自主的に開始している耐震性向上工事を今後とも進めてまいります。

(高浜会長)

ありがとうございました。この件につきましては、技術専門部会で技術的専門的観点から審議してきていただいておりますので、濱本部会長さんからこれまでの審議状況の報告をお願いいたします。

(濱本部会長)

それでは、ご報告を申し上げます。伊方原発の耐震安全性評価につきましては、5月2日と本日午前中に技術専門部会を開催し、審議を進めているところですが、これまでに、基準地震動は係数や仮定を安全側に適切に設定して策定したのか、設備や機器の構造強度評価結果はより詳細に記載すべき、評価内容を県民にわかりやすく説明すべき等の議論があり、四国電力では、今後、これらの意見や国の指示を踏まえて、最終報告に反映していくとしておりますので、引き続き、四国電力及び国から説明を受け、審議していくこととしております。

(高浜会長)

ありがとうございました。四国電力の中間報告に関しましては国において審査中でありますし、技術専門部会においても審議を進めていただいているところですが、ただ今の国及び四国電力の説明についてご意見、ご質問ございましょうか。

(中村委員)

中越沖地震を踏まえて耐震安全性の再評価を実施していただいているというところでありますが、もう一年もたっておりますし、地元の住民といたしましては、拙速であっては困りますが、できるだけ早い確認をしていただきまして、その結果をやはり住民にわかりやすく広く広報していただきたいと思いますが、それについてはいかがなものでしょうか。

(四国電力(株) 谷川原子力部長)

ご指摘のとおり、我々も地域の皆様に安心していただくことは非常に大事だと考えております。しかしながら、この問題について少しやはり検討しないといけないところがあります。国でも検討が進んでおりますので、その状況を見ながら、できるだけ早く報告を実施したいと考えております。その結果がまとまれば、地域の皆様にもよくわかっていただけるような形に工夫して、十分広報活動していきたい、皆さんに安心していただけるようにしていきたいと、こういうふうに考えております。今後ともよろしくご指導をお願いいたします。

(中村委員)

はい、わかりました。

(高浜会長)

はい、ほかにございませんか。どうぞ。

(岡崎委員)

非常に専門的でわかりにくいので単純な質問ですけど、よく報道などでは、1,000ガルとか2,000ガルとかという数字が出てくるので、ここで570ガルで安全ですと出ているのですが、何か数字が全然違うのですけど、そういうのは、どこが基準とか、そういうものがあるのでしょうか。

(四国電力(株) 高木耐震設計グループリーダー)

お答えいたします。今の1,000ガルとか2,000ガルというのは、柏崎刈羽原子力発電所では、先日、基準地震動最大2,300ガルに上げたという話がありましたので、その辺の差についてのご質問と思います。

昨年の新潟県の中越沖地震では、国の通知にもございますように、柏崎刈羽発電所周辺の特有な複雑な地盤構造により地震動が大きく増幅されたというふうに分析されておりまして、東京電力ではこれを反映して地震動を策定したというふうに考えております。

伊方発電所では現在得られている地質調査の結果等から、伊方の地下構造がそのような複雑な地殻構造とはなっていないと評価しておりまして、また今までの地震観測記録等でも地盤による大きな増幅が見られていないということから、柏崎刈羽原子力発電所で考慮されておるような増幅特性というのは、考慮する必要はないと現時点では考えております。伊方発電所と柏崎刈羽発電所とで大きな差が出ているのは、柏崎刈羽原子力発電所の周辺の深部地盤の不整形性、それから地盤の褶曲構造などの地域的な特性によるものの差が出てきて、このような大きな差になっているものと考えております。我々が策定している基準地震動についても、いろいろな不確かさは見ておりますので、そういう意味では決して過小評価になっているとは考えておりません。

(岡崎委員)

専門的な説明されると、そうかなと思うのですけど、普通、一方が2,300なのにこっちが570で、何で安全なのかという疑問が浮かびますので、そういうのを一般向けにきちんとわかるように説明いただければありがたいなと思っております。

(高浜会長)

ほかにございませんか。

それでは、この原子力発電所の耐震安全性については中越沖地震から得られた知見も踏まえて、今、中村委員さんからもお話ありましたように、一刻も早く耐震安全性評価の確認がなされることが、地域はもとより、全県民の信頼と安心の醸成につながるものと考えております。四国電力、国におかれては、早急かつ的確に伊方発電所の耐震安全性評価の最終報告や確認を行い、その結果については当委員会で改めて報告をいただきたいと思います。

以上で本日の審議事項はすべて終了いたしました。委員の皆様には、長時間にわたって熱心なご審議をありがとうございました。

(閉会)

伊方原子力発電所 環境安全管理委員会 次第

日時 平成20年10月22日(水曜日)13時00分~
場所 愛媛県医師会館 2階研修室

1 開会

2 議題
(1) 平成19年度伊方原子力発電所周辺環境放射線等調査結果について
(2) 平成19年度伊方原子力発電所温排水影響調査結果について

3 報告事項
(1) 平成19年度伊方発電所異常時通報連絡状況について
(2) 伊方3号機プルサーマル計画の進捗状況について
(3) 新検査制度について
(4) 伊方発電所の耐震安全性評価(中間報告)及び中越沖地震を踏まえ耐震安全性評価に反映すべき事項(最終とりまとめ)について

4 閉会

資料目次

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